鳥インフルエンザでの被害業者対策
■中村まさひろ委員■私は、高病原性鳥インフルエンザ1本に絞って質問したいと思う。
先ほど部長からの答弁もあったのだけれども、さらに具体的にお聞きしたいというふうに思う。
3月10日に、鳥インフルエンザ発生に伴う緊急対策として補正予算が組まれたことは先ほど言われたとおりである。ところが、自粛要請区域内のある養鶏農業者から自分たちは蚊帳の外に置かれ、これらの支援策の対象とならないという声が届いてきたわけである。昨日3月17日午前零時をもって移動自粛要請が解除されたけれども、解除された農家にとってもろ手を挙げてよかったと喜べない問題があるわけである。
実は、この方は八千代町で1万羽を超える播州赤鳥を飼育しているTさんというけれども、この赤鳥は非常に人気があって、これまで大体80日間で出荷をして、9000羽出荷すると200万円ぐらいで売れた。今月は移動自粛が解除された後の、来週23、24日ごろが出荷に適した日で、今その準備に追われている。ところが、消費は以前の3分の1にまで落ち込んでいる。その上に、兵庫の鳥、特に八千代町というだけで全く売れそうにない。出荷時期が自粛期間中であれば、何らかの損失補償を、補てんをしてもらえる可能性もあるけれども、私の場合は全く対象外のようだと、本当に泣くような訴えがあったわけである。区域内の調査をされたということだけれども、このような実態も掌握しておられるのか。私は、もっともっと詳しく調査をして、そして実態に即した支援を行うべきで、そのためにも調査が必要だと思うけれども、まず、この点について伺いたい。
■柳田畜産課長■自粛要請区域内の養鶏農家の実態については、地方対策本部、県民局等を通じて調査をさせていただいているところである。
■中村まさひろ委員■ちゃんと質問を聞いて答弁してほしい。こういう私の今言ったような例も承知しておられるということを聞いたのだけれども。そしたら、もうちょっと聞くけれども、今回、八千代町というのは、当初30キロの自粛制限から今月2日に5キロに縮小したけれども、その自粛を解除された地域の養鶏業者から、解除したが売れないで困っているという声がずっと上がっているわけである。また、小野市のブロイラー養鶏農家の方から、取り引きしている加工処理場は移動制限区域内の春日町にある。そのため、その業者はそこへ出荷できない。そのまま出荷時期をとうとう過ぎてしまった。商品として価値を失った鳥が今4万5000羽もいる。新しい取引先も見つからずに、困り果てているというのである。三田市の農家からも同じような声を聞いているし、きょうの神戸新聞でも具体的な事例が出ていた。このような問題が次々起こってくるのは、やはり損失補てんの対象が移動制限、あるいは自粛要請の区域に限定されていること、それから制限期間内に限られている、こういうことからだと思う。
知事は、補正予算を発表された後でも、「今回は緊急対策としての補正であり、今後必要なものについては措置をしていく」と、このように言われたが、区域外とか、あるいは制限期間を過ぎても、こんな大きな影響を及ぼしているところを調査し、損失補てんを実施すべきであるというふうに考えるけれども、いかがか。
■柳田畜産課長■先ほど部長の方から藤本委員からの質問にもお答えしたとおり、県としては3月10日に発表した緊急対策により、制限区域内の農家における畜産物の価値減少等直接的損失に対して補てんを行うということは決めておるわけであるけれども、移動制限区域外の農家に対しては、風評被害による販売減少に対応すべく新たな資金を創設したところである。
損失補てん等の支援策については、県が行った移動制限、また、自粛要請措置に伴う直接的損失に対して行うものであり、そういった制限を受けていない区域外の農家の被害は風評被害であるというふうに考えておるところである。そのために低利融資制度を創設して、安全性の啓発等の対策を広く講じているところである。
■中村まさひろ委員■どうも聞いてて、もうひとつわからないのだけれども、結局のところ具体的な対策というのは今ないと、制限区域内、あるいは制限期間が過ぎたものについては。私が最初にした質問は、制限区域内であり、区域内であるけれども、しかしそのときには出荷予定がなかった。それが過ぎて出荷をするというときには一体どうなるのかというふうなことを聞いてるが、答弁全くなかったんで、これとあわせて、これも問題になってる先ほども出たブランド品に対してどうなのか。融資融資と言われているけれども、融資ではなくて、私どもは直接的にやっぱり補てんしてあげないとだめだよと、この分については少なくともというふうに思っている。
今回は、先ほどもあったように、卵への補てんというのは上限が1キロ150円というのが出ていた。これはこれなりに今までにないことなんで評価はするけれども、ブランド品で市島町では300円、あるいは八千代町では480円とか、きょうの新聞でも3倍から4倍、あるいは5倍、そういう卵がブランド品として出ている。そういうものに対するのにどういう支援策があるのか。先ほど、部長は「要望を踏まえて、実態に即した支援を国に要望する」という答弁をされておられたと思うけれども、しかし、やっぱりそれについては、県独自でも、とりあえずやはり今困っている人に支援をするべきだというふうに思う。ちょっとあわせて、部長お願いしたい。
■黒田農林水産部長■先ほど制限区域、あるいは自粛要請の区域内外というお話があった。各農家、あるいは団体からも本当にいろんな要望が個々具体的に届いている。そういった一つ一つの要望に対して、今の総合的な対策で十分賄えるのかどうかということに対してだけれども、県としては3月10日に総合対策として、一つには経営的な面をきちっとする経営支援対策、そして二つ目には疾病の蔓延防止対策、そして三つ目には風評被害対策、この三つを柱とする総合対策を講じたところである。先ほど、一番最初に、藤本委員からの質問もあった。それは、当面緊急に対応すべき支援策を講じたというふうに申し上げたところである。その中で、特にブランド鶏卵、ブランド鶏肉等に対しての補てんということであるが、私は、国だけに要望しているということを答えたんではなくて、国に対してももう既に農林大臣あて、関係省庁あてにも、そういった実態に即した措置が講じられるようということで強く要望はしている。しかしその一方で、そういったブランド鶏卵とかブランド鶏肉といったものの生産コスト、あるいは販売コスト、そういったものが一般のものとどのように違っているのかといったことも十分実情を把握した上で、そして対策が必要なものについては検討を進めていくというようにお答えしたとおりである。そういった意味で、今の対応としてはそのように考えている。
ただ、先ほど委員の事例であった小野市の養鶏というか、ブロイラー農家が移動制限区域にかかっているところに出荷できないということに対しても、当初、国のマニュアルでは、そういった外からの持ち込みはできないということだけれども、国と協議をして、そういった制約条件も緩和していただくような措置もとったところである。いろんな事例が多々ある中で、私たちはその実情一つ一つを十分にやはりよく聞いた上で、対応できるものについては運用の中で対応していくような努力も重ねていきたいと思っている。
融資条件の緩和を
■中村まさひろ委員■本当に今の実態直視していただいて、十分調査した上と、承知をしたいということを言われた、実態については。であるから、それはまずやっていただいて、そして具体的に早急に対策をやはりお願いしたいということを要望しておく。
次に、融資条件についてであるけれども、現在の制度では区域外の支援対策は融資制度しか実際にはないわけである、現実には。養鶏農家の人たちは、もともと経営が大変だったことはよくご承知のとおりである。その上に今回の問題で、もう壊滅的打撃が予想される。新たな借金をしてもやっていける希望がない。展望がない。そういうのが実態だと思う。また、BSEのときにもあったけれども、借りたくても審査が厳しくて借りれないという実態。これもたくさん出されたと思う。
そこで、経営安定円滑化資金についてであるけれども、個人1000万、法人4000万という限度であるが、これ今、県と市町の利子補給で0.65%とあるけれども、せめてこれらも無利子にできないのか、当面の問題として。そして、償還期間は10年程度に延ばし、そして据え置き期間も3年ないし5年という、これぐらいやっぱりしてあげて、今の壊滅的な状況を何とか当面防ぐような対策はできないのか。保険料については、もう県が負担するというぐらいに思い切って緩和しないといかんと思う。
先ほども、これも黒田部長は「県独自の対策も検討するんだ」という前向きの方向あったけれども、ぜひ私が今言ったような具体的な方向で検討していただきたいなと思うけれども、いかがか。
■木下農林経済課長■丹波町での鳥インフルエンザ発生以来、移動制限区域等はもちろんのこと、県下全域において養鶏農家及び関連産業全体に経済的影響が及んでいるため、区域外の養鶏農家への経済的影響に積極的に対処するため、既存の県単独の資金である豊かな森づくり資金を拡充して、経営安定化資金を今回創設をしたわけである。この資金の創設に当たっては、一つには貸付対象者を…。
■中村まさひろ委員■制度の説明はいいから、結論だけ出してほしい。
■木下農林経済課長■委員ご質問の金利であるけれども、この金利については、県が1.0%、それに対して市町の協力も得て末端0.65という低い金利にしているわけであるけれども、制限区域内の方には無利子というような制度をしているけれども、ただ、若干その制限区域内と地区外と、被害、あるいは影響度も若干違うだろうというようなことで、若干の金利でご理解いただけるというふうに考えている。
今後の抜本的な防止対策を
■中村まさひろ委員■結論は最後の25文字ほどだったと思うけれども、程度が違うから理解してもらえると言うけれども、そうでないから具体的に私はこういうふうに出させてもらっているわけで、やはりそれも含めて検討するんだという方向をぜひ、部長が県独自の対策も検討しているということを言われたんで、だから、それについて、それに沿った答弁をぜひお願いしたかったなというふうに思うが、もうこれは強く要望をしておきたいと思う。
今後の対策だけれども、今、国会でも通報義務違反に対する罰則や、あるいは家畜伝染病予防法の改正案、国会に提出している。私たち日本共産党も、昨日、届け出義務の対象者の拡大とか、あるいは通報義務の新設、あるいは損失の補償、そういう内容の家畜伝染病予防法の改正案を発表した。我々は、翌日にはもう現場へ直接足を運び、そして2日後には黒田部長にも申し入れをしたところであるけれども、大変だと思う。大変だと思うけれども、やはりそれに見合った人員体制が必要だと私は痛感した。
そこで、今度のことを教訓にして、私は新しい指針をつくるべきではないかなというふうに考えている。国に対して現場の実態に即した的確な意見を言うと同時に、家畜保健所の充実など、やはり県としての今後の対応指針をしっかりつくっていただきたいと思うけれども、いかがか。
■黒田農林水産部長■今後の対応であるけれども、とりわけ予防対策については、家畜伝染病予防法に基づき、日ごろから家畜保健衛生所が通常の業務として徹底した取り組みを行っているところである。しかしながら、今回のインフルエンザの発生を受けて、県では全庁を挙げて万全を期すということで本庁に、あるいは県民局にそれぞれ対策本部を設けて取り組んできたところである。また、あわせて農林水産部の中にも防疫対策本部、下方にも現地の防疫対策本部などを設けて、的確な防疫対策に取り組んできた。しかしながら、危機管理体制という意味の観点も含めて、県民の不安を取り除くためには、今回の対応について改めて委員会などでの検証などを行って、そういった取り組みに万全を期していくべきだと、このように考えている。
■中村まさひろ委員■終わらせていただく。
|