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2005年度決算特別委員会県土整備部審査 杉本ちさと議員
2005年12月12日

耐震強度偽装問題について

■杉本県議■私は問題になっています建築物の偽装問題に関連して質問を行います。 
  この問題は、県内でも姉歯建築設計事務所が設計に関わった姫路と三田のホテルが営業停止に追い込まれ、建設業界に対する信用が失墜すると同時に自分たちのマンションは大丈夫かという不安が広がっています。今この住民の不安を取り除くことと、今後の再発防止対策を構築するために国とともに、県も大きな責任を負っています。
  まず1点目にこの問題が起こった背景、責任の所在についての認識についてお伺いいたします。今回の問題の責任は、第一義的には耐震強度偽装を行った姉歯一級建築士や建築確認審査を行った検査機関、施工会社、販売会社に重大な責任があることは言うまでもありません。しかし、建設業界の中では建築確認審査が民営化されて以降いつかはこんな大きな問題になるだろうと言われいたと私も専門家から聞きました。それは、かつて行政で行っていた当時は1カ月ぐらいかかっていた建築確認審査が早いときには3日で多くの場合一週間以内にでるといわれます。この背景にはコスト削減を最優先する建設業界の下で、設計や構造計算まで早い安いを売り物にする競争が生まれ、一方で住民の安全をないがしろにする風潮ができていったことにあります。
  この点では人の命や財産に直結することまで「官から民」「規制緩和」と称して儲け第一の競争原理にゆだねることが、どんな問題を引き起こすが浮き彫りになった事例の一つです。今回の問題は偽装に関わった当事者はもとより、建設業界の構造的な問題と合わせこの建築確認検査機関を指導し指導監督の責任を負う国、県の責任も重大です。県当局は想定外、あってはならないことと言われますが、たとえ建築確認審査を民間で行ったとしても最終的には国、県が責任を負うべき公的な問題ではないでしょうか。この点についてどう考えておられるかお答えください。

■高橋建築指導課長■建築確認申請確認処分等民間開放につきましては、ご案内の通り平成10年の建築基準法の改正によりまして平成11年度から施行されているところでございます。ご存知の通り民間開放するにあたりまして当時国が考えておられましたのは、いわゆる当時の段階で、いわゆる建築基準法の実効性が県下等の実績等を見ればかなり低いものではないかと。今後いわゆる阪神淡路大震災の時に言われましたように建築物の安全性を上げるには検査等の実務体制をいかに拡大するかということが大事という指摘がございました。
  それでもっていわゆる地方公共団体だけでは、なかなか人的な確保ができないということでもって民間開放することによって、完了検査等の施行体制を充実するための民間開放であったと理解をしております。
  ちなみに民間確認審査機関の指定は、大臣およびまたは知事が指定することになっております。それらに対しまして定期的な指定機関に対する検査はもちろんのこと、今回のような事件あるいはそれ以前にもいわゆる苦情等が入りましたら県といたしましては、自動的に指導機関に対しまして、いわゆる検査の執行体制について厳正な調査をしておったところでございます。
  ちなみに、いわゆる県の責任と言うことに関しましては、四知事指定機関に対してこのような事態であれば責任があると思いますがそれ以外については責任はない考えております。

県民の不安にどう応えるのか

■杉本県議■県に四指定機関以外は責任がないとはっきりと断定されました。
  2005年6月最高裁判決これは午前中にまちづくり担当部長もおっしゃいましたことですけれども、最高裁の判決で地方公共団体にも責任があると断罪されています。そのことをも覆す県の姿勢は本当に許せないと思います。
  県民にとっては行政が最終的にチェックしているということで民間の仕事を信頼している面、そういう点が大きいことを改めて指摘をしておきます。行政も責任を負わないと言うことになれば県民は何を信頼すればいいのでしょうか。
そこを改めて認識をしておきたいと思います。そして、次に県民の不安、つまり自分たちのマンションは大丈夫かと言う不安に応える対策についてお尋ねをいたします。
  9日付の新聞で報道された東大教授などによる建築士を対象としたアンケートでは、建築構造設計を担当する建築士の37%が不当な圧力を受けたと回答し7割近い人が設計に時間が不十分という結果がでています。このことは、コストダウンのために程度の差はあっても姉歯設計のところが他にもあるということを示しています。都市部ではマンション建設が続き安売り競争のような状況があり住民の間で姉歯設計に関係なくても自分達のマンションを大丈夫だろうかとそういう心配が広がっています。県はこうした住民に応えるとして資料が残っている過去3年間は再審査をするとし、また知事指定の確認検査機関には同様の措置を執るよう指示をし、県下の特定行政庁には要請を行うとしています。では、大臣認可の民間の建築確認を行った建物についてはどのようにするのか具体的に聞いておられるのでしょうか。

■高橋建築指導課長■大臣指定の民間検査機関につきましては国交省の方からそれなりに再チェックをするようなことで要請が出ております。また、先ほどの県も含めて申し上げますと、知事が所管する区域内における民間確認検査機関がなした処分については適正でないものについては大臣指定であろうとも県知事は指示できることになっております。さらに含めまして今後国交省の調査を踏まえて疑義があるものについては県の方から指示することを考えたいと思っています。

県民から再審査の要請があれば受け入るべき

■杉本県議■大臣認可の民間の建築確認を行った建物についての具体的な指示というか具体的な内容については充分にお答えできていません。しかし、今現在において国は、政府が言っている内容については、やはり構造計算の再チェックの問題については住民がとても安心できる状態ではありません。
  そこで、再審査にあたってはやはり再び民間に任せるというのではなく行政でしっかりと責任を持って行うということが重要と考えます。建築基準法改正などで全国どこへでも申請ができるようになっていますので再審査にあたっては98年度以降民間で建築確認審査をしたものでマンション住民から県に相談が寄せられ再審査の要請があったものについては、県が責任をもって再審査を行うよう求めますがいかがですか。また県は資料がある3年間だけとしていますが、住民が3年より以前の資料を持って県に再審査を要請した場合も受け入れることを求めますがいかがですか。

■高橋建築指導課長■民間指定機関が行った兵庫県知事が所管する区域内の物件についてでございますが、民間指定機関もそれなりに再審査をやられると思っております。その結果の内容を吟味した上で当方の方でも再審査等必要であれば適切に対応したいと考えております。また、県が保存しておりますは過去3年分の構造計算書でございますが、それ以前のものにつきましていわゆる県としては書類は残っておりません。ただ、いわゆる副本がそれぞれの管理組合に残っている場合につきましては、今後の検討課題としたいと思っております。

職員の体制強化が必要

■杉本県議■検討課題といわずにぜひ受け入れていただきたいなというふうに思います。また、民間の指定機関であったとしても県を信頼し県の再審査をしてほしいという要望があった場合は受け入れていただきたい。再度要望をしておきたいと思います。
  次に技術者の育成についてお伺いいたします。今回の問題の背景には行政のチェックする技術者が非常に不足している問題があります。県にも150人の建築主事の資格を持った優秀な職員がおられます。しかし技術力を高めるような仕事の配置になっていません。実際に確認業務にあたっている主事は43人です。同時にその主事のもとに19人が技術職員が業務を補佐しています。今求められているのは実際の構造計算など業務を担当する職員を含めて検査業務が行われるよう技術力を高めていく対策が必要だと思います。特定行政庁も人材不足ですし技術支援も必要です。そこで職員の専門性を高める配置や技術力を高めるための研修を実施し職員の増員も含めて体制強化を図ることが急務だと思いますがいかがでしょうか。

■高橋建築指導課長■建築職の技術者としての育成の問題でございますが、いわゆる建築主事有資格者150人の内、建築主事につきましては、県の場合は8県民局10事務所で建築審査を処理しておりまして本庁の3名を除いて適正に10事務所で40名配置しているところでございます。なお構造面につきましては構造計算書の審査にあたりましては従来から建築主事がチェックをしてまいりましてそれなりに年数を重ねることによりまして一定の技術力は持っておると思っております。ただ今回のような構造計算プログラムを偽造した形で確認申請が出されると言うことに対しましては、やはりそれなりに構造計算プログラムを再検査をしてチェックをするということも必要かと考えておりましてプログラムを導入いたます。それに際しましては、当然いわゆるこれはコンピューター上のソフトでございますからそれをさわるということは、その前にどういう考え方でデータを入れるかあるいはデータをどうチェックするかという研修が必要かと考えておりましてその研修は今後展開して行くことにしております。なお、本当に専門性につきましては構造の面が今回いろいろ浮かび上がっておりますが、それ以外にも設備面でのチェックも必要かと思っております。それらは本庁で一括審査をしておりますが、県の今後建築審査業務に支障の無いようなかたちで対応していきます。また人的な配置につきましては、10事務所40人ということで、一人当たりの処分件数を見てみますと適正な配置を行っておると考えております。

再発防止のためにも行政がチェックする体制を

■杉本県議■現在起こっている一番反省しなければいけない問題が、公的な責任をしっかりと果たすということだと思います。それにやはり職員の増員も含めた対策が必要になっているというふうに思います。要望しておきます。
  次に再発防止対策についてお聞きいたします。建築基準法改正後、建築確認から中間検査、完了検査まですべて民間で行うことができるようになりました。行政には簡単な報告書を提出するだけとなりました。今回のような問題を再発させないためには、このチェックの仕組みの改善を行い最終的には行政がチェックし責任を負う体制にすることが重要だと思います。
  そのために、一つは民間検査機関から行政への建築確認の報告をもっと詳しく少なくとも基本的なチェックポイントは再チェックできる内容にあらためる必要があります。チェックポイントの内容では、専門家に聞きますとマンションの場合特に構造計算とともに個人の所有部分以外の廊下や避難経路など公共性、集団性の高い部分をきちっとチェックするようにすることも重要と言われていました。そして、建築確認済み証を行政が行うように責任を持つ仕組みに改める必要があると思いますが、いかがでしょうか。

■高橋建築指導課長■建築基準法の改正につきましては、この問題を受けまして国土交通省でも相談、その改正の内容を検討されているところでございます。
  再発防止の一つの提案として、いわゆる民間が確認処分したものを行政の方で再度チェックしたらどうかというご提案でございますが、これを法定の3週間以内でさらにダブルチェックするというのが果たして妥当かどうかということについては、今後国の改正等の動きを見守っていきたいと思っております。以上でございます。

■杉本県議■国の改正の方向を見守ると言うことですが兵庫県自身がやはりこのような再チェックする必要だとお思いになられますか。その点もう一度お答え下さい。

■佐々木部長■いくつか議論の中で整理しなけりゃ行けない点をお話したいと思いますけれども。まず民間の指定確認機関につきましては、県をまたぐ場合には国土交通大臣、兵庫県だけで行う場合には兵庫県知事が指定をするということでございます。立ち入り処分でありますとか監督処分につきましては、最初国土交通大臣部分については責任がないといふうに私は答弁申し上げましたけれども、これは国土交通大臣が指定したものについては立ち入り検査も含めて、国土交通大臣が行うと。県が指定したものについては県が行うというかたちで整理がされていることを申し上げたわけでございます。
  併せましていろいろな先ほど論点になりました、もう一つ重要な点につきましては、県は特定行政庁の一人でありまして12市の特定行政庁と対等な立場で国の指定機関にたいして指示を行うことができるという権限がもう一つございます。
  これはただ区域が分かれておりますので、例えば尼崎市でありますとか神戸市とか姫路市とか今度の話題になりました三田市とかそういうものにつきましては、三田市が責任を持って民間指定機関、国の国土交通大臣指定の民間指定機関に対して指示をするということでございまして、県知事が指示をすることができないというのが現在の制度でございます。
  3点目の国が現在作っております制度につきましては確かに民間指定機関が行いました行為について特定行政庁がそれほど充分に関与ができないというかたちになっておりまして、その点につきましては、まさに法制上の問題でありまして、国の方でも改正の検討をしていると聞いております。
  併せまして先ほど申し上げました通り最高裁の判決も出ておりまして民間指定機関の確認が損害賠償の対象になった場合には、特定市たとえば宝塚市の指定機関、東京に本社がある指定機関が確認を行った場合であっても、それが要請があれば宝塚市の損害賠償責任の可能性があるという判決、これは判断でありますが出ておりますので、その意味で国の方としましては、これは県が努力するというよりは、建築基準法を改正をして民間指定機関に対する特定行政庁の関与をより強くすると言うような方向で検討をしているようでございますし、我々としてもそうしていただかないと特定行政庁も安心して確認業務はできないというふうに考えておりますので、その方向で国にも要望してまいりたいと。今までの議論の中でちょっと混乱していたと思いますので整理を兼ねて全体を通してお答えいたしました。以上でございます。

公的責任で完了検査を

■杉本県議■改めて兵庫県が法律にない責任は一切関係ないんだと言われているように私には聞こえました。でも兵庫県民の中の安全と安心はやはりみんなで考えていくそういう立場というのが大事なのではないでしょうか。
  次に、中間検査の重要性は言うまでもありませんが、私は、完了検査について言及いたします。最後の工事が完了するとその建築物がその法令の基準に適合かどうか完了検査を行い完了検査証が発行されます。ところが、完了検査がきちんと行われていません。
  完了検査もせずに使用を開始している建物が平成16年度では建築確認件数の約2割に及ぶ6500軒もあります。法に反し罰則規定があるにも拘わらず放置されています。
直ちに正さなければなりません。そしてこのような過ちの再発を防止するためには建築物の検査体制の中で最後の完了検査は民間機関と行政とが共同で行い完了検査証は行政が発行するように改めるようもとめますがどうでしょうか。

■高橋建築指導課長■完了検査における未完了物件ご指摘の通り約2割昨年度でございます。法律上は完了検査を受けなければいけないわけでございますけれども、例えば個人の住宅につきましては完了検査を受けなくても使ってはいけないということにはなっておりません。それで、我々としてはできるだけ受けていただくよう督促をしておるわけでございますけれども、なかなか進んでいない。
  だけども逆に言うと5年前、数年前が5割程度だったのが8割程度まで上がってきたかなあというふうに認識しております。最終的には民間で処分したやつは民間でも県でも公共でも完了検査受けられますけれども、今の段階ではどちらかにしろと、公共団体にしろということにはならないかと思っております。

■杉本県議■これで質問を終わりますが、改めて国・県の公的な責任を十分認識していただいて、あたっていただきたというふうに思います。以上です。

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