パーキンソン病の難病認定の不承認が増加
■杉本県議■私は難病の一つパーキンソン病の認定問題について質問をいたします。一般特定疾患に指定されています。パーキンソン病関連患者の間で特定疾患をはずされたり重症認定で保留になったりする事例が最近多く発生しています。
16年度で3863人が認定されていますが、不承認数は16年度で新規46件継続が34件にのぼっています。15年度では、265件が不承認になっています。何故不承認が多くなっているのか、新規認定や継続にあたって県は手続き書類の内容や判定基準の変更を行ったことがあるのでしょうか。あればその内容を示していただきたいのですが。
■熊谷疾病対策課長■まず、判定基準についてのお尋ねですけれども、平成15年度10月に制度改正が行われまして要綱が変更になっております。その際の変更がいくつかあるのですけれども、その中の一つに今まで個人調査票というのを提出していただいておりますが、その項目についてそれ以前よりももっと詳しく詳細に記載するというふうに変わっております。ただ判定基準については変更はございません。
■杉本県議■判定基準の変更はないということです。特に昨年まで何年も特定疾患や重症患者として認定されてきた方が、しかも症状が改善されてなくってそれどころかむしろ進行しているような人も認定からはずされています。
例えばある42歳の男性の例ですが、平成11年に発病し3年前から特定疾患の認定がされていました。薬を飲んでそれがきいている間はいわゆるオンの状態である程度体は動くのですが、薬が切れますとオフの状態になってまるで棒のように固まってしまって全く体がうごきません。寝たきりの状態です。
年々症状が悪化し薬があるためになんとか体を動かすことができています。
この方も今年特定疾患が認められませんでした。公費負担がなくなったために薬代が毎月3万円近くかかるようになりました。薬は生きていくのに必ず必要です。
働くことはとうていできませんし年金も受給できません。収入がないため薬代が大変負担になっています。また重症患者の認定でも徐々に症状が進行していると医師の所見があるにもかかわらず認定からはずされている例もあります。
何故症状が悪化進行している患者が認定からはずされるようになるのでしょうか。こうなった原因は、県が審査基準を厳しくしていわゆるオンの状態の時だけをみて認定を判断するようにしたからではないのですか。
■熊谷疾病対策課長■まず、審査基準についてですけれども、審査基準はまずこれは国の研究調査事項ですので国の示している審査関係基準によって行っております。県独自で厳しくしているという状況にはありません。一般の審査についてですけれどもパーキンソンの認定についてですが、これもやはり国の審査の要綱でありまして、薬を服用している段階で審査する。判断するというふうになっておりますので、いまおっしゃいましたように薬を服用している状況の身体状況というのが診断といいますか判定の基準になります。
MRIやCTの検査を義務づけるな
■杉本県議■国の基準ということを言われました。これはまた違う視点ですけれども、兵庫県は認定を受ける際のパーキンソン病臨床調査個人票に今年からMRIやCTの検査を必ず実施することというのがつけ加えられました。他府県ではCTなどの義務づけはしていないと思うのですが、何故兵庫県だけこうした義務づけをしているのでしょうか。検査費用だけでも約1万円以上かかると不満の声があります。厚生労働省もこのような義務づけはしていないと思うのですが、どうでしょうか。
■熊谷疾病対策課長■この疾患は厚生労働省の調査研究にもなりますので臨床個人調査票を提出いたしますが、その中にMRIあるいはCTの所見というのは研究事業の項目として入っております。これは、所見につきまして研究に必要であるということで県といたしましては撮影をお願いしているところであります。
■杉本県議■兵庫県は必ず実施することというように書き加えられています。私は、他府県の用紙も見せていただいたのですが、そのような事項は入っていません。今年からしかも兵庫県は付け加えられているということなんですが。これは、あらためてお答えいただきたいと思います。
■熊谷疾病対策課長■これは国が出している特定疾患治療研究事業における認定基準というものでありまして、パーキンソン病関連疾患、パーキンソン病と診断する所見ですね。それが4つありまして、4つの内3つ以上満たすということになっております。その中の一つといたしまして脳CTまたは、MRIで特異的な胃腸の変化がないかというのがパーキンソンの診断の基準の一つとして捉えております。そのためMRIあるいはCTというのは必要というふうに考えております。
認定方法の見直しを国に求めよ
■杉本県議■兵庫県だけが4つの基準で判断するというのではなくて全国的に同じ判断がなされていると思います。高齢によって加齢によってパーキンソン病になるという方も増えていると思います。MRI、CTの必要な脳の疾患だけが問題ではなくて神経病としての問題も非常に大きなウエイトも占めているというふうに聞いております。他府県がしていないような厳しい調査個人票については撤回をしていただきたいなというふうに思います。
次に、認定からはずされた患者さんが非常に多くおられるのですが、納得ができない。結局財政を削減するために私たちのような弱者が犠牲になっている。
このことを憂いますというふうな手紙を書いておられます。難病です。治癒の見通しを持てないという難病患者の声に耳を傾けていただきたいと思います。
そして、いわゆる薬が効いている時、オンという時だけを見て認定判断をするのではなくてオフの状態の時も含めて丸ごと症状を見て認定するように基準を国に対して変えるよう求めていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。
■熊谷疾病対策課長■先ほど冒頭に申しました平成15年10月に制度が改正になっております。その制度の主旨ですけれども、その主旨の中に自己負担の見直しというのが入っています。自己負担はそれまで15年10月までは一律に定額制でとっておりましたが、15年10月以降は所得に応じて段階的に自己負担をいただくようになっております。
ただ、その自己負担の考え方ですけれども、基本は低所得者それから重症患者については特に考慮して、具体的には低所得者あるいは重症患者というのはいままで15年10月までに定率でいただいておりましたけれどもその部分は自己負担はゼロということになっておりまして、現実問題としまして低所得者それから重症患者については、一切自己負担が生じていないと言う状況であります。
国保料の滞納について
■杉本県議■認定がはずされてしまっては先ほどのお話が全く通用しなくなるんです。
本当に多くの方が認定からはずされるという異常な状況が広がっています。一日も早い改善を要求いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に国民健康保険の問題について質問をいたします。私は歳入審査で県税収入の中身から県民の所得が減り続けており、また県下8万2000余の法人の7割が赤字経営である。
県民の暮らしはたいへん厳しい状況にあることを示しました。
そういう中で県下の4割の人が加入しています国民健康保険ですが、国保料の滞納が増えてまた収納率も悪くなっているのではないかと思うのですが。どのようになっていますか。
■原医療保健課長■まずは収納率の問題でございます。まずは県下平均で見ますと昨年度は90.9%でございます。その前年と比べまして0.03ポイントは減少してございます。
ただし市町別で見ますと半数の市町では収納率が前年度に比べて向上してございます。
滞納世帯の状況でございます。17年6月1日現在の状況でございますと約18万7000世帯という状況でございまして、おおむね16年6月と同率と認識してございます。
国保加入者の生活実態に配慮せよ
■杉本県議■収納率が少し減っている。半数以上の市町は、向上しているというふうな内容でした。また滞納も18万7000世帯姫路市全体の人達が滞納しているかと思います。
もちろん収納率を上げるために努力するのは必要なことです。
しかし同時に機械的に対応するというのでは、よくない。滞納する加入者の実態をよく把握して丁寧に対応することが大切になっていると思います。今保険料を払いたくても払えないという実態というのが広がっています。あるクリーニング店を経営する方は、収入減のために3回分の保険料が払えなくなったのですが、保険証が交付されませんでした。
また塗装業の方は資金繰りがつかずに2回支払いが遅れたら通知もなくいきなり差し押さえされました。保険証の取り上げ徴収強化がますます強化されている事態です。保険料がサラリーマンに比べて非常に高い。これが大きな負担になっているのですが、例えば所得300万円4人家族の世帯を単純に比較しますと、サラリーマンの年間保険料が約13万円であるのに対して、国保の加入者は2.7倍35万円となります。
冒頭述べましたように暮らしは悪くなるばかりです。
生活苦のために払いたくても払えない実状が依然として続いている。こうした中で保険証がとり上げられ病気になっても医療を受ける権利が奪われる事態が県下で多数発生しています。私は、国民健康保険制度は社会保障制度であるという位置づけを明確にして国が国保への責任を果たすことが何よりも重要だと思っています。また県も国保加入者の生活実態に配慮して県民のいのちと健康を守る責任があると思うのですがどのようにお考えでしょうか。
■原医療保健課長■ご指摘の通り国民健康保険社会保障のまさに基盤でございます。その意味でこの相互扶助の精神に基づく共済制度でございます。従いまして全ての人が保険料を払うというのを基本としております。ただし能力の低い方につきましては、保険料の軽減措置がございます。前年所得に基づきましてこれ全国統一で実施されてございます。あるいは、世帯主の方の死亡でございますとか、病気でございますとかその時点で困窮されておられます方につきましては、保険料の更に減免措置もとございます。そういうことで全世帯の約5割の方が保険料のなんらかの軽減措置を受けておられます。それともう一点、委員ご指摘の通知無く差し押さえされたというご発言ございますが、差し押さえにあたりましては、当然催告、督促さらに必要な手続きを踏んでございます。従いまして通知なしに差し押さえということはありえないというふうに認識をしてございます。
国保は社会保障制度として位置づけよ
■杉本県議■国民健康保険制度が社会保障制度であるということを一番先に言われました。非常に大切な視点だと思っております。今年2月に各市町の国民健康保険主管課長宛に県の健康生活部福祉局国民健康保健課長の名前で収納対策緊急プランの策定等についてという文書が出されました。その内容は、国保料の収納率を向上させるために滞納状況の解消、収納人員の増員、徴収方法、滞納処分の実施など詳細に指導助言をしているものです。
こうした保険料の取り立てを強めるだけでは、たとえ一時的に収納率を高めることができたとしても、国保が社会保障制度としての対策がとられないかぎり国民皆保険制度をいっそう空洞化させることになる。抜本的には解決しないのではないか。そのように思うのですがいかがでしょうか。
■原医療保険課長■先ほどご指摘のございました収納対策緊急プランでございます。これは本県独自ではなく収納率の確保はこれ全国的な問題課題でございます。
従いまして国の方でこのプランを作成しまして各市町でもその中へとりうる方策はとってほしい。そのことによりまして収納率を確保したいという主旨でございます。従いまして、それ以前からも市町では様々な収納率向上対策ということを地域の実情に合わせて実施をしてございます。それと合わせまして、先ほど申しました通り負担能力の少ない方につきましては、市町の窓口で相談をさしていただきたい確認をさせていただきたい。そのことによりまして必要であれば保険料の軽減もいたします。また分納誓約を出していただければ分割納付という方法もございます。そういうことで従来から私どもとしましては、きめ細かな収納対策を市町に対して助言をいたしておる次第でございます。
■杉本県議■また9月に国民健康保険調整交付金に関する条例が制定されました。県が市町の国保財政を調整するものです。その交付金は普通調整交付金と特別調整交付金がありますけれども、その内の特別調整交付金の算定で交付する基準として先の2月の通達に書かれていますけれども、資格証明書が発行されなければ交付しないということになっています。ペナルティを課して国保料の徴収強化を交付金で誘導するものだと私は思います。これでは、保険証の見交付や短期保険証、証明書の発行、差し押さえなどさらに増えるばかりで弱者は一層苦しめられひいては国保制度の空洞化を加速するものになるのではないでしょうか。先ほどさまざまな軽減措置があるとこのようにおっしゃいましたが、行政の分野ではまた現場では徴収強化また保険証の取り上げがいっそうすすんでいます。
私は、改めて県は国に対して国保の責任を果たさせるように要求し、県としても減免制度や保険料の負担軽減等このことを強化することが大事ではないかと思います。少なくとも徴収強化に対しては納税者の実状をよく聞いて暮らしがたちいくように、機械的強制的にならないようにすることそのことを求めますがいかがでしょうか。
■原医療保健課長■さきほど委員ご指摘の中で、資格証の交付を条件にしておるというご発言ございました。これ国の調整交付金では確かにそういうふうな条件が付されてございます。ただ本県がこの9月に条例可決をしていただきました。県の調整交付金ではそのような要件をつけることは現時点で予定をしておりません。
それともう一点機械的な運用云々というご指摘もございます。先ほど来申し上げておりますように、私ども決して市町に対しまして機械的な助言をしているわけではございます。あくまでも個々の被保険者の方の実状に応じた対応をしてほしいということでかねてから助言もしておるところでございますし、これからもその主旨で対応してまいりたいというふうに考えてございます。
■杉本県議■社会保障制度としての国民健康保険制度改めて大事にしていくそのことを求めまして私の質問を終わります。
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