「三位一体改革」による国の責任放棄
■杉本議員■日本共産党の杉本ちさとでございます。歳入の質問を行います。
まず、「三位一体改革」について質問をいたします。4兆円規模の国庫補助負担金の削減と3兆円程度の税源移譲と地方交付税の見直しの実現をはかるとして、「三位一体の改革」が進められてきました。このほど政府与党の合意がなされましたが、知事をはじめ県の地方6団体では3兆円の税源移譲を評価しています。4兆円削減されて3兆円の移譲、これだけを見ても政府の地方財政支出削減がねらいであるということは明らかだと思うのですが、また、他府県からも「地方の裁量が広がるものにはならない」そういう不満の声が多数あがっているところです。県は、前向きに評価していますが、ちょっと違うのではないかと思ったりもします。不満の声などが出ているのも踏まえて改めてどのようにお考えでしょうか。
■荒川企画管理部長■三位一体改革につきましては、少なくともシャウプ税制以来初めて国から地方への税源移譲、しかも3兆円という税源移譲がなされた、確実になったということ、これは素直に評価していいと思います。評価したいと思います。また、建設国債を財源としているという理由で中央省庁が反対をしておりました施設整備費についてもその対象になったということ。これは地方の自由度が高まるという観点からも評価できると思います。後はその率についてはちょっと不満のあるところでございます。
ただ、その他に義務教育費の国庫負担金ですとか扶養手当それから児童手当をはじめといたします国庫補助負担金の切り下げというのは、単なる数あわせにすぎません。地方の自由度を高めるということにはつながらないことでありますので、これは私ども不満であります。今後、国と地方の協議の場などにおきまして、これまで実現されなかった地方の提案など残された課題につきまして、充分な検討が行われ県民の理解と世論喚起をはかりつつ全国知事会などとともに今後の2期改革に向けて取り組んでまいりたいと思います。
■杉本議員■生活保護費について今回は見送られましたが、国が憲法25条の最低限度の生活を保障する責任を放棄することは許されません。適正化が行われれば今後削ることも示唆しています。国の責任を果たさせるべきである。削減は絶対に許さないという立場で臨んでいただきたいと思います。
また、今回の合意では、同様に国が責任を負うべき児童扶養手当給付負担金そして児童手当各負担金の削減が盛り込まれていますが、削減された場合影響はどれくらいになるのでしょうか。
■竹本財政課長委員■今おっしゃいました国庫補助負担金の詳細は今後国における予算平成作業の中で明らかにされているものと考えております。
■杉本議員■それぞれ削減される金額が1805億円また1578億円にものぼる削減額として明らかになっています。多大な影響になるということは必至だと思いますが、試算もしていないというのはおかしいのではないでしょうか。これまでも削減だけ決まって税源移譲などのやりかたは後で考える、スリム化も図るということで結局地方はひどい目にあわされてきました。このようなやりかたに対してもっと批判の声をあげるべきではないでしょうか。
義務教育費国庫負担の維持を
■杉本議員■次に、義務教育費国庫負担についてお聞きします。県が言われているのは今回の合意は国庫負担を小学校中学校を通じて負担割合を減らしたもので国庫負担制度は残っている、そのことがよくない、まあけしからんと言っているわけで、つまり国庫負担を堅持すべきだと考えてはいないということです。それは憲法の理念と違うのではありませんか。中央教育審議会の結論でも「一般財源化では必要な財源が確保されない状況が生じ、義務教育の水準が均等に維持されないことになる」と言われています。このことが一番大切なことと思います。すべての子どもに同じ水準の教育を確保する、機会均等に無償で提供するという義務教育の根幹が守られなければなりません。だからこそ義務教育費は国庫負担制度であったわけですから、現行制度を維持すべきだと考えます。これまでも主張してきましたが、中教審委員で兵庫教育大学学長の梶田叡一さんも「学校や教職員へお金がわたらなければ教育が劣化する。大半が貧しい自治体と一握りの豊かな自治体の間で教育水準に大きな格差が生じかねない」と言っています。義務教育費についても国庫負担制度をなくすのではなく国庫負担制度を維持すべきと国に主張すべきだと思いますがいかがですか。
■柏財務課長■義務教育費国庫負担制度につきましては、ご存じのように11月30日の政府与党の協議におきまして、義務教育制度についてはその根幹を維持し義務教育国庫負担制度を堅持する。その方針のもと費用負担について小中学校を通じて国庫負担の割合は三分の一とし、8500億円程度の減額及び税源移譲を確実に実施すると決定されたところでございます。県教育委員会といたしましては、義務教育無償の原則に則りまして、教育の機会均等とその水準の維持向上を図りますことを目的といたします義務教育制度の本来の主旨を維持するために必要な財源が今回の合意により税源移譲等により確実に確保されているものと考えているところでございまして、妥当なものと考えております。
■竹本財政課長■先ほど私が18年度の影響額の試算というご質問ございました。18年度の必要額それにともないます影響額というのはこの予算編成をしていかないと、どのような額になるかというのはわかりません。しかしながら、例えば17年度当初予算で計上させていただいている額が単に補助率が引き下がるその影響額はどうかという点で計数的に出しますと、この児童扶養手当、児童手当で約400億弱の程度と考えております。
■杉本議員■ご丁寧な答弁をありがとうございます。県は先ほどの答弁によりますと、額を含めて地方に裁量がゆだねられるだから大丈夫だとこのようにおっしゃいました。
しかしそれは甘いのではないでしょうか。「三位一体改革」の狙いが地方財政の削減であって、現に地方交付税の総額抑制がなされているではありませんか。
一般財源化されればどのようなことになるか、この間の義務教育費教材費にも現れています。教材費は、1985年に一般財源化されましたが、文科省の資料で見ますと全国の予算措置率は、毎年下がり続けています。昨年度は一般財源化直後の半分以下にまで落ち込んでしまいました。兵庫県の平均は47.2%です。市町別の内訳を見てみますと基準財政需要額の2割3割以下という自治体も多くあります。学校現場では画用紙や紙代等教材費を親から集める額が年々増えています。しかもそれも学校によって額が違うということもおこっています。義務教育を均等に提供することが原則崩されているのです。国庫負担制度をなくせばこのようなことがさらに広がることは目に見えています。それでも国庫負担制度をなくすことを求めるのですか。ご答弁をお願いします。
■竹本財政課長■国庫補助負担金と申しますのは経費面では財源を国がどの程度負担するかと言うことでございます。しかしながら、問題というふうに私ども考えておりますのは、事業を行っていく中で地方に自由度があるかどうかでございます。地域に応じた対応が求められます事業そういうものにつきましては、その地域のことはその地域の住民が負担するということがまさに地方自治ではないかなと考えております。そういうふうな中で国庫補助負担金これは実はこういう条件で地方が金を出したらその一定割合は、国庫で出してあげるよと。逆に言えば金がほしいならこの条件を満たさないといけないよと、そういうふうなたぐいのものでございます。事業を行う、まさにその事業が地方がいろいろな観点から判断して行うべき事業については、その地方がその住民が財源を負担していただきながら、どの事業がいいのかというのを取拾選択して行っていくというのがまさに地方自治ではないかなと考えております。従いまして地方分権がすすめばわれわれ地方職員はさらに一層汗をかいてよりどの事業がどの県民とか住民に対して必要かということをより真摯に検討していかないといけないと考えております。
■杉本議員■地方の自由度についての考え方にちょっと乖離があるなと。財政が豊かである地方と豊かでない地方に教育の差が出てくるというのが危惧されると。中教審の最終報告にもありましたが、先ほどいいましたが、まさにそのようなことが自由なのだと。ええことなのだというふうに評価されていることを非常に危惧いたします。改めて、引き続いて国庫負担制度については要求をしていきたいと思っております。
次に、私は三位一体改革の狙いはスリム化、いわゆる国の地方への財政支出の削減であって地方の自由度を高めたり地方分権の推進につながるものにはならないと指摘をしてきました。
2004年度決算は地方交付税400億円が一方的に削減され、県自身がたいへんな財政運営を強いられました。このようなひどい横暴を二度と許してはならないと思います。ところが経済財政諮問会議の議論にもありますように財源保障機能を見直し交付税算定の基準も見直すことを示して交付税の大規模な総枠削減を求めています。竹中総務大臣は、「総務大臣として一番やらなくてはいけない最重要の課題が、交付税改革であり不良債権処理、郵政改革に匹敵するぐらい難しい改革だが断固進める」意志を強調しています。たいへんな攻防になることが予想されますが、県は何よりも県民のくらしと安全を守るという立場で、交付税削減に反対し、地方交付税の財源保障機能や調整機能を守るよう国に強く働きかけ地方自治を守るため奮闘すべきだと考えますがどのようにお考えでしょうか。
■高井調整局長■地方交付税は全ての地方公共団体において学校教育それから社会資本整備あるいは維持、消防や警察等基本的な行政サービスを財政力のいかんに関わらず基本的な行政サービスを等しく提供できるように地域間の財源の偏在を調整してあるいは財源を補強するこの二つの両面の機能の上で必要不可欠な地方の固有の財源でございます。
井戸知事が委員長を務めております全国知事会の地方交付税問題小委員会では、平成18年度の地方財政計画策定に地方の意見を反映させるために、先ほども申し上げましたが地方交付税に関する10の主張という冊子をとりまとめて各方面に働きかけてまいりました。
今後とも地方財政の安定的な運営に必要不可欠な一般財源総額が確保されますよう国に強く働きかけてまいりますとともに、この小委員会におきまして引き続き地方交付税のあるべき姿というものについて議論を重ね国の地方交付税の見直しに反映させてまいる所存であります。
■杉本議員■ぜひがんばっていただきたいと思います。三位一体改革は、小さな政府を進めるために地方への財政支出を削減して地方に負担だけを押しつけるものであることがいよいよ明らかになっています。
経済財政諮問会議で本間議員は、「そうは言ってもがんじからめで地方を縛りながら強制するということであっては地方自治分権の観点から望ましくない」と述べられていますが三位一体改革の本質をついた意見ではないでしょうか。この点をしっかり認識していただくことを要望して次に県債の問題について質問をいたします。
無駄な事業を削り、借金の削減を
■杉本議員■私は春の予算委員会でも新たな県債起債をできるかぎり抑え将来に大きなつけを残さないことを求めましたが、少し内容に立ち入ってお聞きします。
2004年度決算の県債発行額は2981億円と前年と比べ184億円減っています。県税収入額の56%、歳入総額の14.1%を占める発行額となっており、投資事業は相変わらず借金に依存しています。
福祉施設や生活道路など後年度負担はやむを得ないものはありますが、ダムなど大規模事業や関空2期工事など過大なものへの借金が、過大な将来負担となっているのではありませんか。お答えください。
■竹本財政課長■広い県土と多様な地域性を有しております兵庫県、この中では地域間、分野間の均衡のとれた社会圏整備、既存ストックの機能の有効活用このへんは必要だと思っております。そのためにも一定規模の事業量というものは今後とも必要ではないかと考えております。
こうした中で、昨年度行財政構造改革推進方策の見直しの中で県議会とも相談し年平均投資額を3400億円とし16年度も台風23号と一連の風水害被害に対する災害復旧費192億円でございますが、それを除いて一般会計の投資事業費は3354億円となっているところでございます。
委員ご指摘のありました大規模な投資事業につきましては外部の有識者を委員といたします投資事業審査会において審査もされ、また県議会においてもご審議をいただきそれを執行に努めているところでございます。その上でも私といたしましては現在行っている中で不要不急の大規模な投資事業というものはないのではないかと考えております。
■杉本議員■財政運営上大きな借金は適切ではありません。将来の財政負担規模を見る指標に実質的将来財政負担額がありますが、地方財政の専門家なども指摘していますように標準財政規模の同額かそれ以下にするべきだと思います。ところが県の実質的将来財政負担額は、4兆810億円と膨大で、標準財政規模の4.8倍、約5倍近くになり異常な将来試算になっています。
県債残高は、全会系で4兆596億円、一般会計だけでも県債残高は3兆521億円となっています。県の会計規模から見ても収入のうち一般財源額の合計は1兆527億円です。一般会計の県債残高は、一般財源の2.9倍となっています。さきほどから指摘していますように国による交付税総額抑制の動きなど厳しい状況や少子化時代に入っているなかで今以上の財政規模の拡大は見込めません。このことからも投資事業を3400億円と枠を決めてしまうのではなく大幅に抑制して県債発行を大きく減らすべきではありませんか。再度ご答弁をお願いします。
■竹本財政課長■委員ご指摘の県債残高全会計で4兆5400億このうち1兆5000億程度は特別会計企業会計にかかるものでございます。一般会計は3兆500億円でございます。この中には午前中にも答弁いたしましたが、阪神淡路大震災からの復旧復興にかかります公共事業等のそのようなものも当然県債の機能を着目いたしまして起債というもので対応しております。そのことから本県の残高というものは、類似府県でも増えておりますが、類似府県に比べて多少良いのではないのかなというふうには思っております。こういうふうな中で私ども財政運営するにあたりましては、その起債の元利償還金が将来の財政運営に大きな負担にならないよう、その年度年度で償還いたします起債の元利償還金をその年度年度で財政運営に必要とする一般財源額の中で大きな割合を占めてそれ以外の事業に支障が生じることのないよう起債制限比率または経常収支比率等財政指標を見ながらその運用に努めているところでございます。なるべくご理解いただきたいと思います。
■杉本議員■特に県債発行の中身で言えば国直轄道路事業債など本来国が行うべき事業への県債発行は問題だと思います。この間知事会や県自身も国と地方の役割分担から国直轄事業負担には反対と言っていますが改善されていません。実際に今年度決算の国直轄事業債は329億円も発行して県債発行総額の11%にもなっています。国による理由にならない交付税削減攻撃もあります。文字通り国との役割分担を明確にして国の直轄事業負担と国直轄事業債発行はやめるべきではありませんか。荒川企画管理部長お答え下さい。
■荒川企画管理部長■県債将来に多大な負担が残さないように注意していくべきだというのはその通りでございまして、将来の償還の見込みをたてながら発行に努めてございます。同じように将来の世代に必要な社会資本を残していくというのもわれわれの世代の努めであろうかと思います。必要な社会資本整備につきまして、必要な起債を発行して整備をすすめてまいりたいと思っております。また、国の直轄負担金につきましては、地方の自由度が高まるような方向で改善されるべき、これ当然のことだろうかと思われます。
県税収入は増加したが、約7割の法人が赤字
■杉本議員■是非とも改善をしていただきたいとよろしくお願いをいたします。
次に、県税収入について質問をいたします。県税収入が平成12年度以来4年ぶりに増加しました。前年度比106.8%とりわけ法人関係税が121.8%、午前中からずっと議論をしているとおりですが、法人事業税の業種別状況の推移をみますと企業が大きく業績を伸ばしていることが伺えます。例えば鉄鋼業では前年比551.2%機械業で227.3%、証券業で259.5%石油石炭が200%など多くの業種で法人事業税が前年度の2倍から5倍に増やしています。県は景気は確実に回復していると言われています。また政府も景気は回復基調にあると言っています。ところが、多くの県民や中小企業では景気が良くなっているという実感はありません。私は県税収入の内容をもっとよく見ていく必要があると思います。まず16年度決算の法人数と欠損法人数その割合について本県に主たる事務所を有するもので結構ですのでお聞かせ下さい。また資本金1000万円以下の法人数と欠損法人数その割合も教えてください。
■宗野税務課長■委員ご指摘のように平成16年度の法人事業税収につきましては、1254億1800万円と対前年度比121.9%となりまして、15年度16年度の企業業績の回復基調を反映しまして製造業非製造業ともに前年度を大幅に上回る状況で推移をしたところです。ご指摘の点につきましては、平成16年度の課税において県内法人及び本県本店法人全8万2539法人の内欠損法人数は5万5986法人で67.8%を占めます。またこの内、資本金1000万円以下の法人は、6万8078法人であり、そのうち欠損法人数は、4万8563法人で71.3%を占めております。しかしその比率は前年度に比べますと前年度の73.1%に比べますと1.8ポイントほど改善をしておるところでございます。
■杉本議員■欠損法人数の割合が67.8%、約7割の法人が赤字だということです。そして、その内の資本金1000万円以下の中小零細企業の欠損法人86%ぐらいですから、約9割弱となっています。中小零細企業では赤字経営が大半を占めているという実態がはっきりとしてきました。県下の7割の法人とりわけ中小企業では景気回復どころか赤字経営ですので倒産の危機に瀕しているのが実態です。一方、業種別の資本金区分の所得状況では鉄鋼・機械などの製造業で資本金1億円以上の大企業が製造業所得総合計の7割を超える利益を上げており、運輸通信業などでも資本金1億円以上の大企業が所得総合計の6割を超える利益を上げています。県内の3割の法人が利益をあげ、その中でも大企業が莫大な利益を上げていることがわかります。大企業は景気回復を実感しているでしょう。しかし、7割の赤字法人は中でも中小企業に赤字経営が偏っていますが、数から言えば圧倒的に多い中小企業です。ここでは景気が回復していると言われてもとても実感できない。それは当然ではないでしょうか。このような法人税関係税の内容を見てどのような認識でおられるのでしょうか。お答え下さい。
■宗野税務課長■平成16年度に確定申告を行った法人に関して一般企業業績を反映しているといわれます法人事業税の確定総額の状況を見てみますと、全体では対前年度比20.8%の伸びとなっております。これを企業規模別で見てみますと資本金1億円未満の中小企業では14.2%の増、資本金1億円以上10億円未満の中堅企業では18.4%の増、資本金10億円を超える大企業では28.5%の増と企業規模に比例して16年度については大きな伸びを示しておるところでございます。ただ15年度の状況を見てみますと、大企業よりも中小企業の方が伸びが大きいという状況もあるところでございます。さきほど申し上げた16年度の状況についてですが、これは近年の大企業の企業業績が中小企業に比べて非常に大きく落ち込んでいたことに起因していると考えております。事実5年前の平成11年を100として指数をとってみますと、大企業では平成15年度が最低の70.5まで法人事業税額が落ち込んでおるのに対しまして、中小企業では平成14年度の82.0が底となっておりまして、それらの年度を境にそれぞれが増収に転じましたものの、16年度には大企業は90.6に留まっている。これに対し中小企業は95.4まで回復しているという状況にございます。
■杉本議員■単に全体として景気回復をしているというのでは実態を見ていないということになります。大企業と中小企業しかも資本金の額によっても違いますが、欠損法人の割合その他を勘案をしても格差が大きく広がっているということも見ておかなければいけないのではないでしょうか。
次に個人県民税の納税義務者数そして納税額一人当たりの税額ですけれども、最近の推移についてどうなっているのかお尋ねいたします。
■宗野税務課長■平成16年度の個人県民税の課税額につきましては15年度税制改正により創設された配当割及び株式等譲渡所得割の税収が通年ベースとなったことが影響しまして、対前年度比102.3%、1017億9900万円と前年度を上回わりました。しかし、均等割所得割について見てみますと958億9900万円、96.5%に留まっております。過去の個人県民税の均等割所得割の納税義務者数の推移を見てみますと、平成12年度が242万8000人であったものが平成13年度が242万人、平成14年度が240万6000人、平成15年度が235万7000人、平成16年度が238万1000人、対前年度比101.0%となっております。同じく、課税額につきましては、平成12年度は1102億8000万円でございました。対前年度比95.9%でありましたが、平成13年度が1079億3900万円、平成14年度が1050億8100万円、平成15年度が993億5500万円、平成16年度が958億9900万円、対前年度比96.5%と5年連続で減少しております。また、納税者一人当たりの課税額につきましては、平成12年度が4万5415円、対前年度比97.1%でありましたものが平成16年度には、4万268円、対前年度比95.5%と一貫して減少をしておるところでございます。
■杉本議員■納税人口は毎年増え続けているけれども県民税額、県民所得割、均等割ですけれども、これは毎年下がり続けています。一人当たりの税額も減少していることを先ほど言われました。県民の所得は毎年下がり続けているということですが、先ほど見てみましたように、大企業が大きく利益を増やす一方で県民の所得は減り続けています。中小企業は赤字経営に追い込まれています。大企業の利益が中小企業や個人の所得に還元されていないことがわかります。景気が良くなっているのは大企業だけで、県民のくらしや中小企業の経営はむしろ悪くなっているということが県税収入の内容からはっきりしたのではありませんか。県はどのように考えられますか。
■宗野税務課長■確かに個人県民税が減収となっている要因といたしましては一つに高水準の失業率、民間消費支出の減少など県民所得をとりまく環境が依然厳しいと言うことが上げられると思います。ただ特に個人県民税が前年の所得に対して課税される税目であるということ、こうしたことから直近の景気回復の傾向が税収に反映されにくい面もあるというふうに考えております。なお先頃厚生労働省が発表しました17年10月の毎月勤労統計によりますと、一般労働者とパート労働者をあわせた雇用労働者数が前年同期比で0.6%の増となりさらに現金給与総額も0.5%の増と2カ月で連続して増加するなど雇用情勢の改善が広がっておるということでございます。さらにまた雇用形態につきましても企業の景気拡幅などを背景に、パート労働者から正社員へのシフトしておると。こういった動きがあるということは個人県民税収をはじめとします県税全体にとっては明るい傾向きざしではないかというふうに考えておるところでございます。
政府税調の庶民増税に反対を
■杉本議員■私の質問にちゃんとお答えしていただいていないように思います。県税収入の内容から見て単に景気が回復しているというふうに一般的に言うだけでは実態をよく見ていないのではないかと。その点についてあたらめて再度主張したいと思います。
そして、政府税制調査会は定率減税の廃止など国民に大増税を行うことを答申しました。その口実の一つに景気が回復傾向にあるとしているのは報道の通りです。これがいかに実態とかけ離れたものか、先ほど見てきた通りです。少なくとも兵庫県民の生活実態から見れば景気は良くなっていないことがはっきりしています。県民を一層苦しめる定率減税廃止などの税制改正に対して反対するべきであると考えますが県当局はどのように考えてられますか。
■宗野税務課長■ご指摘の定率減税につきましては、平成11年度の税制改正におきまして当時の著しく停滞した経済活動の回復のため、今後我が国の経済状況等見極めつつ個人所得課税の抜本的な見直しを行うまでの間の措置として期限を定めずに行われたものでございます。政府税制調査会の平成17年度の税制改正答申においては、定率減税は個人所得課税の抜本的な見直しのまでの緊急避難的な特例措置として導入されたこと、また景気回復のための景気対策のための特別措置としての必要性が著しく減少したことから税源移譲と併せて国地方通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う必要がある、平成18年度までに経済への影響も十分考慮しつつ段階的に廃止すべきであるとされ17年度の税制改正において定率減税の規模が二分の一に縮減をされることになりました。さらに同調査会の平成18年度の財政答申においては、経済状況が非常に導入当時に比べて改善している中見合いの財源なしに将来世代の税負担により毎年継続されていることを踏まえれば経済状況を見極め廃止すべきあるとされたところであります。いずれにしましても、定率減税のありかたも含めまして今後の所得課税のあり方について国地方通じた制度全体の中で検討される必要がありまして国において今後十分検討されるべきものであると考えておるところでございます。
県民合意ない「県民緑税」
■杉本議員■県当局はどのように考えているかというふうにお答えしていただいたらよかったんです。税制調査会の中身については別に結構です。
次に、県民緑税についてお伺いをいたします。県民緑税が18年度から導入されますが県民緑税のことを県民の多くは知っていません。知事は今年予算議会で県民緑税を1年かけて県民に周知徹底し理解を深めていただくと言われましたが、これまでにどのような取り組みをされたのでしょうか。
■宗野税務課長■県民緑税は法人だけではなく個人も対象になっておりますことから納税義務者となる住民数も多くいます。こうしたことから全県を対象にした幅広い周知や主旨についての理解をえることが重要であると考えておりまして、ホームページの活用をはじめ県の広報媒体等を活用し県民緑税の内容や緑の保全再生の必要性、使途等について広く周知が図ることができるように取り組みをすすめています。具体的には、県の広報媒体である県民だよりひょうご、ニューひょうごなどに知事のエッセーや県民緑税に関連する記事などを掲載し、さらに9月には新聞広告を5紙に掲載し、10月にも全国育樹際の記事に併せて新聞広告を行ったところです。同時に各市町の広報誌や納税貯蓄組合などの広報誌等により市町民への啓発をお願いをしておるところでありましてこれまでに8割弱の市町の広報誌に掲載をいただいております。なお直接的に県民により詳細な情報の周知をはかる広報も必要であることからパンフレット等の作成配布や兵庫の森の祭典、全国育樹際、ふれあいフェスティバルなどのイベントでもピーアールブースを設けて啓発を行ったところであります。さらに農林部局の主催でありますこれまで地域ごとの森林フォーラムを開催し12月4日には全県レベルの森づくりフォーラムを開催しておりまして、森林の重要性について十分議論を行うとともに県民緑税の必要性についても啓発を行っておるところです。引き続き県の広報媒体はもちろん、新聞広告、イベント、市町等の広報協力依頼とあらゆる機会媒体を活用しまして県民、法人等への充分な周知啓発に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
■杉本議員■私は県の取り組みはきわめて不十分だと思います。本当に県民緑税のことについて県民はほとんど知りません。このパンフレットも発行したといわれましたけれども広い県下にわずか4万5千部だけです。ポスターも3千枚、リーフレットはまだ1月からだということです。姫路市でも広報で県民緑税を掲載しましたかとお尋ねしましたらしていません。担当者があれは一体どういうふうになるのですか。そんなことまで言われています。この県民緑税は約240万人の納税者に一律800円を課税するものです。肝心の納税者に通知をして県民緑税を知っていただき理解をえて納税していただくことが必要ではありませんか。県はこのような取り組みで県民緑税を県民に納税者に周知し理解していただいているというふうに考えていますか。
■宗野税務課長■先ほどご答弁申し上げましたように県民緑税は個人及び法人を幅広く対象にしております。こうしたことから幅広く周知を図る必要があるということから県のホームページの掲載はもとよりリーフレットそして各種イベント等での専用ブースの開設等によって幅広く県民及び法人を対象にPRを図らしておるところでございまして、今後ともそういう努力を継続をさしていただきたいと考えております。
■杉本議員■私はこのような県民緑税、新税の導入のすすめかたを見て納税者の理解と納得を得るという税の基本理念をないがしろにしていると指摘せざるをえません。県民緑税の理解が県民に広がっているとはとうてい言えない状況です。県民税の均等割と一緒に800円をプラスして納税するようですが、このことさえも一体どれほどの県民が知っているでしょうか。県当局は周知をはかったとまた図るといっていますが未だ不十分であり県民緑税の県民合意が得られたとは言い難い状況です。従ってこのような状況にある県民緑税の実施は見送るべきと考えますがいかがですか。
■高井企画調整局長■県民緑税につきましては、平成18年度からの導入ということを今年の2月県議会で県民の代表である県議会の皆様のご理解を得てご議決をいただいたところであります。先だっての県会常任委員会の県の広報番組でも筒井副委員長さんから制定に際しては議会ではいろいろ議論があったけれども決まった以上はこれを有効に使うことをこれからむしろ議論するべきだというふうなご意見があったところでございます。
■杉本議員■筒井議員の例を持ち出して反論されましたが、納税者にきちっと通知をしていくこと。本当にそのことがこの税の基本だというふうに思います。一般的に広報誌で宣伝したとか新聞でやったとか言うだけでは本当に不十分だと。こんなやりかたが通用するなら新しい税金いくらでもできるじゃないかと。そんなふうな意見もあります。本当にこの緑税の導入については、改めて見送るべきだということを求めて次の質問に移ります。
近代美術館絵画の賠償で、画商から2億円が回収不能に
■杉本議員■私は、諸収入についてちょっと順番が違うのですがお伺いをいたします。近代美術館絵画の賠償問題についてですけれども、この問題は所有者から寄託を受けて県立近代美術館が展示していた小磯良平らの名画108点のうち50点を画商が所有者に無断で請け戻し流用したとして、所有者が絵画を画商に引き渡した近代美術館の責任を問うて損害賠償を請求してきたものです。50点のうち32点は取り戻せましたが18点は散逸してしまいました。結局裁判所の和解勧告で県が1億9500万円の損害賠償を所有者に支払い県は画商から1億9000万円を支払ってもらうことになっています。その後画商から支払いはされたのでしょうか。
■柏財務課長■現在画商との協議を調整いたしておりまして現時点では支払いはされておりません。
■杉本議員■理由はなぜでしょうか。
■柏財務課長■私ども確認したしましたところ画商は現時点では海外に住んでおりまして、今現時点では、連絡がとれておらない状況でございます。
■杉本議員■私たちは1年前の議会で和解事項が守られるのかと質問しましたが、県は迅速かつ確実に債権回収をはかると答弁をしています。ところが実態は全く回収できず協議もされていません。また担保なしで約束が守られるのかについても問いましたが、実際は画商の自宅は妻名義になっており東京にある画商のギャラリーは解散してしまっています。動産等が金融会社に処分されてしまっていますが、このことを県が確認したのはいつのことでしょうか。
■柏財務課長■去年和解いたしましたが、その後東京等を調査をいたしまして差し押さえ等処分等されたこと、ギャラリーについては倒産したことを確認しております。10月の時点です。
■杉本議員■10月の時点に知ったということですが、それは事実ですか。もう一度答弁をお願いします。
■柏財務課長■1カ月誤っておりました。昨年の9月でございます。
■杉本議員■和解が8月の末、画商の身辺調査が8月、倒産処分が9月というふうに報告されています。問題なのは昨年9月末の議会に専決処分でこの損害賠償の案件が出されています。その時には既に画商は担保になるべき物件を持っていないということが分かっていたということではないのでしょうか。このことを隠して議会にまた県民に説明をしていたということであれば県の姿勢が厳しく問われます。県民から県の不信を招く問題ではありませんか。今からでも県民に事実をきちっと説明をして画商から返金してもらうよう努力を求めますがいかがですか。
■柏財務課長■先ほどご答弁申しました中で法人等の財政については9月に確認しておりますが個人等についてはまだ確認しておりませんでした。今、当然画商については居所をはっきりさせまして強制手段を踏まえた法的手段を踏まえたものを県としていたしたいと考えております。
■杉本議員■議会に報告をした時期についても改めて県民に不信を招く問題になると思います。きちんと努力を求めます。
滋賀造林公社の貸付金の焦げ付き
■杉本議員■次に滋賀県の造林公社貸付金の償還金についてお聞きいたします。滋賀県の造林公社は、滋賀県の他、兵庫県や大阪府など近畿の自治体が共同出資して設立し造林事業を助成していますが、この公社の累積債務が膨らんでいることが問題になっています。伐採樹の収益を見込んでいたのが国産木材の価格が低迷して収支見通しが立っていなことが新聞などでも報道されています。兵庫県は1967年昭和42年から昨年まで約9億円の貸付を行い償還が1998年度から開始されたと聞いております。昨年度までの償還予定額と実施の償還額はいくらですか。また16年度決算の償還額をお答え下さい。
■山本県民政策部総務課長■滋賀県造林公社は昭和40年に琵琶湖の水源涵養を目的として滋賀県が設置したものであります。当時琵琶湖下流域の水需要が増大する中で水源確保のために上下流一帯が連携をして琵琶湖の水源涵養を図るため本県も大阪府とともに下流団体の一員として昭和42年から参画し貸付金等による造林業を支援してまいりました。それで平成9年度から平成15年度までの償還額のトータルでございますが約990万、約1000万弱でございます。16年度の貸付をする予定額は1800万でございます。16年度の償還は約500万の予定でございました。16年度の償還額はゼロで猶予をいたしております。滋賀県からの償還を猶予いたしております。
■杉本議員■16年度決算では全く償還がなくすでに見込みが狂いはじめているわけですが、昨年度までは、間伐材の収入見込みであるため償還予定額が比較的小さいとのことでした。計画では、今年度から主伐つまり大きく育った木を切り始めその収入で本格的な償還がはじまります。見込みはあるのでしょうか。
■山本県民政策部総務課長■現在滋賀県のイニシアティブのもと経営再建について検討中でございます。見込みといわれましてもちょっと見極めるだけの材料が今現在そろっていない状況でございます。県といたしましては当然のことながら契約書通りの貸付金の償還を受けることを基本として返還をお願いしたいと思っております。
■杉本議員■非常にたいへんな事態だというふうに思います。資料では今年度から5年間で8億3000万円、2011年から16年間で2億4000万円、2028年から13年間で4億6000万円の償還を見込んでいたようですが、合計すると15億円あまりにもなります。償還の見込みがたたないということですが、いろいろと今後どのようにするのかと問うてもたいへんだと思います。基本的には国のずさんな森林政策、造林政策にあることは明白です。このような事態を招いたことその責任は明白ですが、たいへんだと思いますが、努力をしていただくことを求めていきたいと思います。
県立高校の授業料値上げやめよ
■杉本議員■次に使用料についてです。県立高等学校授業料についておたずねをいたします。私たちは近年の経済状況の悪化で経済的理由で勉学をあきらめる生徒がでることのないように授業料の値上げを行わないことを求めましたが、昨年授業料の値上げが行われました。そして、ここ数年間、決算の推移を見ますと滞納額がなかったのですが、2001年から滞納額、未済額が出てきております。そして昨年16年決算では、全日制では27万2400円、定時制で58万1000円の未済が生じています。これは、滞納問題は、学校の努力だけではどうしようもないところにまできているのではないかというふうに思っております。学校現場では徴収の強化を求めていくだけでは本当に限界だとそういうふうにたくさんの声が出ております。家庭の事情がいろいろとあると思うのですが、授業料の減免を作っていますけれども、保護者の所得証明だけにしてほしいという切実な声もあがっています。こういう滞納が出てこないような施策、未収を取り立てるというだけではなくて滞納が生じないような施策も改めて求めて私の質問を終わります。ありがとうございました。
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