認可保育所の新増設こそ待機児童解消へのみち
■質問■森田委員
はじめに県の保育対策の推進について質問します。
近年「保育所にいくら申し込んでも入れない」こういう悲鳴が急増しています。長期の不況やリストラ、就業形態の多様化が保育所の待機児童の急増に拍車をかけ、被虐待児を生み出すような原因にもなっています。待機児の存在自体、行政の責任放棄の結果だと言えます。憲法および児童福祉法、さらにこどもの権利条約に照らせば、子どもは保育を受ける権利があり、また保育に欠ける子どもは、保護者の申し込みがあれば、地方自治体が保育所において保育をしなければならないことが義務付けられています。このことは、いつでも保育所に入れるように空き定数を用意して、むしろ行政、自治体の方が待機をしていなければならないのではないでしょうか。
平成13年度は待機児童は2700名となっていましたが、新年度2002年度で新増設されるのは予算上、何施設で何人分となっているのかお答えください。
▼答弁▼永峰児童課長
14年度の保育所の新増設は、500人の新増設を予定しています。
■質問■森田委員
500名は人数分で、私は新増設されるのは何施設あるのかとたずねたのでお答えください。
▼答弁▼永峰課長
後ほど、答えます。
■質問■森田委員
現状でも、ほとんどが既存の認可保育所の定数枠の運用ではないでしょうか。実態に照らせば保育水準を犠牲にした詰め込みになることを指摘します。
つぎに認可外保育所、いわゆる無認可保育所についてうかがいます。
県の資料によると、認可保育所に入所している子どもの数が806施設約6万6000人、一方、認可外保育所に入所している子どもは423施設約1万4000人にものぼっています。認可保育所の子ども1人当り平均していくら税金を投入されているのでしょうか。また、認可外保育所の場合はいくら投入されているのかお答えください。
▼答弁▼永峰課長
後ほど、答えます。
■質問■森田委員
認可外保育所については、制度上今の段階ではあまり予算がつかないということだと思うが、子どもたちにとっては行政から大変な差別を受けていることになると思います。それは問題です。しかも県の説明では、待機児というのは、年度当初で福祉事務所に申し込んだが認可保育所に入れなかった児童数を指し、認可外保育所に入所した児童は待機児にカウントをされていない。
実態は、福祉事務所を通さずに認可外保育所に申し込む保護者の中には、はじめから認可保育所への入所を諦めている方が少なくありません。たとえば認可園に申し込んでも兄弟が別々の保育所に入所をすることになるので、かえって保護者の負担が増えてしまうためとか、一旦、福祉事務所に申し込みに行ったが、いつまでも待たされて間尺にあわない等々、保育ニーズに認可保育所が応えきれていないからではないでしょうか。
ある認可外保育所でアンケートをとったところ3分の1以上が「認可保育所に行きたかったけれども行けなかった」と回答されておられます。ところが県が進めている待機児童ゼロ作戦は、こうした認可外保育所の子どもたちを待機児からはずし、事実上認可保育所の新増設数を減らすために、公的援助をしていない認可外保育所を利用しているにすぎないのではないでしょうか。本当に冒頭に確認をした、保育とは何かという基本を踏まえていくのであれば、文字どおりすべての子どもたちに等しい保育を保障するように、認可保育所の新増設目標を引き上げ、当然、認可外への公的補助も含めて財政支援をするべきだと思いますが、そういった考えはあるでしょうか。
▼答弁▼清原県民生活部長
待機児童の数えかたですが、まず、認可外保育施設を利用している児童の内、認可施設を希望している児童については、当然、待機児童数の中に算入した上でのことです。
保育所の待機者を減らす取組みですが、保育所の新増設はもとより、多様な設置主体による保育所の設立、あるいは認可外施設の認可化、駅前保育センターあるいは既設保育所の定員拡充など、さまざまな定員増とあわせて、保育の提供会員と依頼会員をつなぐファミリーサポートセンター、あるいは新年度に予定している街の子育て広場における一時預かりなど、たとえばピアノの先生をする夕方の2時間だけ子どもを預かってほしいというお母さんもあります。また就業の仕方も多様化しています。就業の仕方の多様化に応じて対応ができるようにさまざまな関係施策を組み合わせて総合的に取組みたい。
■質問■森田委員
毎年新年度の保育所の新増設というのは少ないわけで、結局、認可外の保育所に頼らざるを得ないのが今の実態だと思います。認可保育所の新増設の目標値を抜本的に引き上げることを重ねて要求してつぎの質問に移ります。
児童養護施設の職員増員を
■質問■森田委員
つぎは、児童養護施設の問題です。私自身、児童養護施設の指導員として長年働いてきました。子ども達と生活をともにしていく中で、入所してくる子ども達がかかえた問題、その心の傷がいかに深いかということを実感してきました。児童養護施設の環境整備と拡充が今切実に求められています。そこでまず、被虐待児保護などの対応についておたずねします。
来年度予算を見ると、心理療法担当職員は2名、児童虐待個別対応職員は1名を増員されているが、心理担当職員、児童虐待個別職員は今後どういう計画、テンポで配置していくのか明らかにしていただきたい。
▼答弁▼永峰課長
児童養護施設の心理療法担当職員については現在3施設が国の制度を活用して配置しています。14年度には5施設に活用をしていただくように思っています。
それから個別対応職員ですが、昨年の10月から9施設活用しています。14年度は、1施設、対象を増やす予定です。
■質問■森田委員
児童虐待個別対応職員の配置ですが、定員50名以上の施設のみ配置されるということです。県下14施設あるが、残る4施設の定員も30名から45名の児童を預かっています。
児童養護施設で生活をしていく子どもたちの約5割から6割が、今PTSDなどの多くの問題を抱え、虐待を受けた子どもたちが増え続けています。そうした子どもの深い心の傷をいやしてあげられるように、心理療法担当職員と児童虐待個別対応職員をすべての児童養護施設に配置をする必要があると考えますが、いかがですか。
▼答弁▼永峰児童課長
心理療法担当職員は、それぞれ子どもの、対象となる心のケア等を要する児童が、10人以上という要件がありますが、おおむね制度的には、すべてそういった要件が満たされているところですので、県としては、そういった専門的な職員が施設に配置できるようなマッチングといったことに意を用いてまいりたい。
それから個別対応職員ですが、50人以上の施設と、おっしゃった通りに要件があります。この分については、主要都道府県民生主幹部長会議、近畿民生主幹局長会議あるいは全国児童相談所長会議等々、あらゆる機会に国に強力に、要件の緩和等について要望をしています。
また、その要望の単なる要件の緩和と併せて、そもそもの配置基準をそういった職員も併せて配置基準の中に考えていただきたいという要望も中に入っています。強力に今後とも国にたいして制度の緩和なり、配置基準の見直しについて要望していきたい。
■質問■森田委員
ぜひとも現場からも強い要請があるわけですから、県としても積極的にできることですから、直ちにしていただけるように強く要望しておきたい。
つぎに職員の拡充についてです。国の職員配置の最低基準では、幼児には2人に1人の職員を、また3才から就学前までは4人に1人を、そして小学生以上18才までは6人に1人となっています。これは機械的に年令が上がれば手がかからないという考え方からのもので、現場では24時間交代制勤務になっていますので、全くこういったことが考慮されていないということで実態にあっていません。第267回本会議でわが党議員の質問にたいして、清原部長は「全ての養護施設で国の基準を上回る職員配置がされている」と答弁されているが、国の基準そのものが大変低いものです。
平成13年度12月に神戸市内でおこなわれた「日本子どもの虐待防止研究会」で発表された兵庫県下14の養護施設職員のアンケート結果を見ると、燃え尽き症候群や神経症、うつ状態と推定される職員が、回答のあった242名の職員の内5割から6割を占めていた。その背景として子どもとの関係、また長時間にわたる勤務時間等が大きく影響しているという報告もありました。現状は、職員個人のレベルではもう解決できない問題となっています。職員の増員の面からも、早急に改善が求められています。
児童養護施設の社会的重要性が増々高まっているにもかかわらず、こういう状態を県は放置をしておいてもよいのでしょうか。県はこうした状況の把握を実際にされておられるのでしょうか。改善をしようという考えがあるかどうか重ねてお答えください。
▼答弁▼永峰課長
配置基準そのものが厳しい状況ですが、それぞれ施設においては配置基準を上回る職員配置のもと、週休2日制に対応できる勤務体制をとっており、全ての施設において週40時間勤務、週休2日制となっています。
■質問■森田委員
では、国の基準を上回る職員配置は、県がされているのでしょうか、施設がされているのでしょうか、国がされているのでしょうか。お答えください。
▼答弁▼永峰課長
児童1人当りに措置費の基準がありますが、その基準に基づいてそれぞれ措置費が支弁をされています。その運営費、措置費なり事務費を含んだ運営費の中で、経営努力のもとに施設の方で配置をしています。
なお、先ほど申し上げた個別対応職員なり心理療法の職員については、雇いあげ加算という別の制度があり申し添えたい。
■質問■森田委員
結局、国基準を上回る職員配置は施設の経営努力で賄われているということだと思います。本当にこういう状況を直ちに改善していただきたい。職員の、先ほども申し上げたが、健康面や精神面に関わるような実態調査も、県は直ちにおこなっていただき、改善をしていただくように強く要望しておきます。
愛知県でも大阪府でも独自に加配支援をおこなっている。滋賀県でも来年度から県の単独で予算を計上し増員しています。国にたいして最低基準の引き上げを求めていくとともに、県独自で職員の配置をおこなうべきだと思います。重ねて答弁をお願いします。
▼答弁▼永峰課長
他府県とも協議しながら、全国民生主幹部局長会議、主要都道府県民生部長会議あるいは近畿府県の民生主幹部局長会議等を通じて強力に国に最低基準の見直し等を要望したいと考えます。
■質問■森田委員
私は、県の児童虐待防止プログラムを見ました。これは専門家会議の提言を受けて策定をしたものですが、この中で「児童養護施設の設備また人員の充当等の整備をおこなわなければならない」こう県としても重視し、記載されています。国の基準の引き上げと同時に、県独自の加配をさらに強く要望して質問を終わります。
▼答弁▼永峰児童課長
先ほど答弁を保留した新設の箇所ですが、5箇所。それから多様な設置主体による新設が2箇所です。
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