要望の強い地域の県営住宅の新築を
■質問■筒井委員:私は、今までからも我が会派がいつもとりあげております県営住宅問題を問題にしたいと思っております。
公営住宅法の第1条は「国および地方公共団体が健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ー国民生活の安定と社会生活の増進に寄与するという点が非常に重要な点で、私どもがこの問題を常に取り上げる所以であります。
日頃からそういう点ではいろいろご苦労いただいておるわけでありますが、この点をお聞きしたいと思います。
県民生活の実態は、最近出されております厚生労働省の統計などを見ましても平均所得の金額はどんどんと減ってきております。200万から300万円未満が11.2%と多くなって、300万から400万未満が12.0%というふうになってきて、所得の低い方々の階層が膨らんできているという実状があると思うんです。
しかし、この度の改訂されました公営住宅法、それにもそういうことを謳われておるんですけれども、しかし兵庫県は震災で大変なご苦労を、みなさん方も苦労なさって災害公営住宅を一気に増やしたということもあってですね、県営住宅のストックが非常に他府県に比べて多いというのも事実でありますけれども、しかし県は「ストック活用」の方針に転換をしたと。つまりあるものを有効に使うとこれ以上増やしていかないという方針に転換をして、新築をなさらんようにしているのではないかというふうに思います。
しかし県営住宅の応募倍率を見ますと2000年以降、神戸市内で平均6.3倍、それから阪神間で10.7倍と被災地を中心にですね、相変わらずですね、高い倍率で個別の住宅の中には、空家住宅のなかには百何十倍という競争率すらなっておるというわけであります。
確かに震災の結果滅失した住宅、その後に計画されました住宅の供給計画、これをはるかに上回るマンション群が出現をしていることは確かであります。
私の住んでいる東灘区で申しますと人口は震災前をはるかに上回ってですね、企業の跡地とかあるいは酒造会社の持っていた土地とかに何百戸という一気に大型マンションができあがる。総合設計でいっぱいいっぱい建てるものですから、そしてできるだけ価格を安くするというようなことで住宅戸数は確かに需要を上回る供給がなされていることは確かであります。しかし、低所得者層にとってはそういうところは高嶺の花ということになっておるわけですね。そこで今のようなかたちでストックの活用というような形でですね、この住宅供給、本来の、この公営住宅法の目的がこのままで達成できていくのかということを考えますと、これは「ストックの有効活用」ということだけではちょっと足らんのじゃないかと。もう少し考えるべき新築について、特にニーズのあるところですね。そういうところを考えるべきではないかというふうに思うんです。
とりわけ交通の便のいいところ、こういうところが求められております。最近は地価が下がり、住宅の価値も下がるということで、今までのような買っておけば資産になるというような考え方からご承知のように利便性とかあるいは快適さを求めると。資産価値を求めないという人たちが増えてきているんですけれども、低所得者層にとってはねそんなこと言うておられない。とにかくこの生活苦を免れるために資格があるんなら公営住宅に入りたいと、県営住宅に入りたいという願いが切なるものがあると思うんですけれども、今の計画を修正していこうというようなストック中心で新築をしないという方針を変えていこうというお考えはないでしょうか。 ▼答弁▼松尾住宅整備課長:県営住宅の整備計画におきましては昨年度から平成20年度までの10年間で6500戸の建て替え事業を実施することとしております。昨年度より今年度はそれぞれ600戸の立て替えを着手しており今後とも事業量を確保して計画の推進に努めたいと考えております。
現在県内には、県営・市町営を併せまして約13万6000戸の公営住宅があり、世帯数に占める割合は全国平均の約5%に対しまして、約7%とかなり多い状況でございます。
今後の住宅需要につきましては、広域的な人口移動も見られなくなったことから新規に必要となる住宅供給は、地域に密着した市町が主体となって実施していくことが適切と考えており、県といたしましてはストック活用を重視をした建て替え・改修を主体とした整備により良質な住宅ストックを形成し、居住推進の向上をはかることといたしております。
さらに、こうした整備と併せて県営住宅に対する県民ニーズに対しましては年間約1700戸生じます空家住宅の募集をする際に特に入居者希望の多い高齢者、母子世帯あるいは若年世帯などの優先枠を設けるなど、きめ細かな対応を行ってまいりたいと考えております。 ■質問■筒井委員:600戸の建て替えという以前の「5ヵ年計画」で、私、貝原前知事に言うたことあるんですが、800戸の計画があると調べて見たら建て替えがほとんどで実際に増やすのはわずかやったと。まあ震災前でありますからそれは一気につくられたからそういうことを言うたんは、今もちょっと反省はしておるんですが。「ウソ800戸や」と。こう言うてですね、「この計画はウソ800戸の計画やないですか」とこういうふうに言った覚えがあるんですけれども、
しかしですね、600戸の建て替えでね、あとは空家対応ということで本当にこのニーズに応えられるんだろうかというふうに思います。
震災復興のこの一つのメルクマールのですね、人口が戻ったかと、もう戻りましたという話があります。それが復興がなったという一つのメルクマールになると言われますが、私はそうは思わない。本当に住めるところに住みたいところへ住んでいるかということから見ますとね。
例えば、被災者の問題で申し上げたいんですが、統括部でも申し上げたんですが、人間というものは住み慣れた土地、生い立ちを追憶できる環境というものは非常に大切なものですね。とりわけ高齢者は、ヨーロッパでは家族の写真、使い慣れた家具、住み慣れた家というのは命の次に大切にしていると。医学的にも老人が引っ越しをすると痴呆がでやすいと。息子さんが立派に事業成功しましてね、立派な家建てて引っ越したら親が喜ぶと思って引っ越したら早よ死んだという話もよく聞きます。どんなに古くてもですね、住み慣れたところが高齢者にとっては良い住処なんですね。
そういうことから考えますとですね、私は今反省しとるんですが、あの仮設住宅を大量につくってくれと、こういうことで本会議で私は「一番最後に入る」と啖呵を切ったんですが、県会議員が仮設住宅入っとる言うたら具合悪いんで、最後まで入らなかったわけです。まだ残っている人がおりましたんでね。しかし、あれを緊急で作るために被災地外にも含めて、埋め立て地とか辺鄙なところも含めて、交通の便の悪いところも含めてお建てになった。これはこれなりに私は評価をしたいと思います。あれは300万円渡した方が良かったという議論もありますけれども、あの避難所の苦労を見ますとね、あれは一つの英断であったと思います。
しかし、残念ながらコミュニティを無視して入れざるをえなかった。お年寄りを優先にするとかあるいは遠くてもそこへ行ってくれと言わざるをえなかったことは分かります。しかし、復興公営住宅だけは、私は被災地でそこのところでどれだけ潰れたかとそれに見合うような建て方、比率で建てるということをやるべきではなかったのか、というふうに今でもそのことをもっと強く主張しなかったことを反省しとるんです。
確かに若い人は新天地開きますからどこへ行ったっていいんです。高級官僚の方が転々と替わられて、渡り鳥のように替わっていかれるのはよくありますが、若い人も替わっていってそこで新天地を開くことはできるんです。
しかし、高齢者にとってはそれはできないですね。閉じこもりやいろんなことがあります。自治会活動に活発に参加していない人たちは増々帰りたいという希望になるんですね。いまだに高い電車賃を使って元の家の付近をうろうろしている人もいるんです。地元の商店街はもちろんスーパーの影響やいろんな影響がありまして、不況も影響があってさびれてますけれども、それだけじゃないと言うんです。聞いたらもう知らん人ばっかりお客やと。前によくいろいろ話をしながら冗談を言うたりしながら負けたりなんかして相対で売っていた人たちがいないんですと。こう言うんですよ。街のにぎわいはないんだと言うんですね。これを考えますとね、私は後で問題にいたしますけど住み替えの問題も含めて元のところへ希望する者を戻してやるようなコレクティブハウジングとかあるいはシルバーハイツといった、あの震災が高齢社会を先取りしたんだと。だから創造的復興をやるんだという創造的復興の中身を人間の復興ということから考えてですね、そういうものを建設をするというようなそういう意味も含めて新築を県営で被災地にやっていく必要があるんではないかとこれは被災者にたいする県の義務ではないかと思うんでありますがその点はいかがでしょうか。住宅の創造的復興という点でのご所見を伺いたいと思います。 ▼答弁▼山口県土整備部長:震災復興にあたりましては、市町と一体となりまして災害復興公営住宅の供給に努めてまいりました。
県といたしましては災害復興公営住宅を借り上げも含めまして約9700戸供給いたしました。被災者の方々には高齢者の方が多いことからコレクティブハウジング等を供給する等数多くの先導的な施策を推進して、復興には大きく貢献できたのではないかと考えております。
また、入居者の募集におきましてもできるだけ以前住んでいたところに戻っていただきたいという気持ちがございまして、被災地域に応じましたブロック別の募集また仮設住宅入居者優先枠の設定などできるだけ従前居住地に帰れるような配慮もしてまいったつもりではございます。今後の県営住宅の整備にあたりましては、震災の教訓を深めまして委員のご意見もございました。創造的復興という観点から高齢単身者から多家族世帯まで多様な家族構成に対応できます型別の供給また市町の福祉事業と連係いたしましたシルバーハウジングまた入居者相互の方が触れ合える、また福祉活動の拠点となりますコミュニティプラザの整備、また福祉施設の併設などの施策をさらに推進したいと考えておりますし、コレクティブハウジングにつきましても一般県営住宅についても導入を図っていきたいと今検討しております。こうした施策を着実に推進してまいりまして創造的復興に努めてまいりたいと考えておりますのでよろしくご理解をお願いいたしたいと思います。 ■質問■筒井委員:そのコレクティブハウジングやシルバーハウジングというようなものはこの建て替えを中心にやる、この計画と別に考えておられるのですか。それともこの計画の中にそれは入っておるんだと。実際にはそういうものは県としては別枠で増やす気持ちはないんだということでしょうか。もう1回お答え下さい。
▼答弁▼松尾住宅整備課長:建て替えを中心にやっておりますけれども建て替えする場合もですね、やはり地域の事情等を踏まえまして計画しておりますので、そういった面で若干少なく建てる場合もあるしですね、その団地内で工夫してですね、そういった用地を作ってそれを併せてまあコレクティブをつくるとかですね。それは大規模団地になりますけれどもそういうところではですね、そういうことをやって工夫してですね、新しい政策住宅をつくりたいと考えております。
■質問■筒井委員:今のお話を聞きますと600戸の建て替えの戸数の中に入っておって結局そこの建て替えに必要な人たちの中でそういう高齢者を入れてあげる。これはこれで私は非常にいいことだと思っております。しかしそれではね、県外から帰ってきた人もあります。遠いところへ行っている人もあります。こういう人たちが戻りたいという希望にはなかなか応えられないと。
創造的復興というのならですね、その辺のところを考慮してですね、将来に備えていく上からも別枠でね、ぜひ考えていただきたいということを要望として申し上げまして次に移らせていただきたいと思います。 被災者がもと住んでいた地域にすむための住宅交換制度を
■質問■筒井委員:次は、住宅交換の要件緩和ということでございますが、住宅交換制度というのがあります。これを見ますと、だいたい親がおるところに子どもが接近していくとか、その逆という場合とかですね。まあ階段を上がって5階におる人が足がどうにもならないから下が空いたら下に移してあげるとか、その程度の交換であって、本当の意味での交換にはなってないんじゃないかなというふうに思うんですね。
公営住宅から公営住宅を申し込む、県営住宅から別の県営住宅に申し込むということができない以上はね。例え空家があっても帰ってこれないということになるんではないでしょうか。この交換条件というものをそういう意味から広く運用するというようなことをお考えになる、そういうことはないでしょうか。その点をお尋ねしたいと思います。 ▼答弁▼田中住宅管理室長:公営住宅入居者につきましては法律上、入居資格上重要な要件である住宅困窮という問題はすでに公営住宅に入居されておりますので、一応解決されているということになっております。ということで同じ公営住宅に応募はできないということになっておるわけでございますけれども、シルバーハウジングと身障者用そういう特殊な住宅につきましては、公営住宅入居者であっても今現在住んでいる住宅そのものに求められる住宅が困窮しているというような解釈から、平成11年の10月募集から、通常仕様の住宅に入居されている方がシルバーハウジングや車椅子住宅等へ入居を希望される場合について、それから、平成13年の10月募集から、現在の県営住宅が世帯の人員にくらべまして著しく狭い場合、そういう場合についは公営住宅入居者であっても応募を認めてきたところでございます。
被災地の従前の住宅に住むということで住み替え制度ということでわれわれも一応考えてはおるんですけれども、東灘区とか長田区をはじめとする神戸市内の災害復興公営住宅の最近の応募状況を見れば、被災者からの応募が相当数ありまして、それから一般県民からの入居希望者もかなり多いことから住み替えの希望者のすべてのニーズに応えることは困難な状況にございます。
このために、いろいろ住宅交換の斡旋とか情報提供とか以前から取組んできたところでございますけれども、今後とも個々の実状に併せたきめの細かい対応を行ってまいりたいと考えております。 ■質問■筒井委員:きめ細かいのは結構ですけれども、非常にこまごましたわずかのことしかできない。これが私はおかしいと言っているんです。
被災者が元のところへ戻れたと、あと3カ年でもう新事業も終わりますし「復興は終わった」ということになって、「被災者」という言葉が消えていくんです。
この時期に、私は思い切って「住み替え制度」というのを被災者が希望するなら元のところへできるだけ多く戻してやるということが、住宅を単なる「箱モノ」と考えないで、本当に福祉の基本であり、人間生活の基礎だとそのことが健康にもあらゆる点で影響がある問題なんだという立場から、これはさきほど申しましたようなそういう新たなシルバーハウジングやコレクティブを別枠でつくって、できるだけ戻してやると。それから空家の募集についてもそういう公営住宅からの被災者が元の土地へ帰るんだという目的があれば認めていくというぐらいの勇断をですね、この際やっていただけないかと震災特例というのがありますからそういうことも含めて一つぜひこういう点を考えていただくことをこれも強く要望しておきたいというふうに思います。考えて下さい部長。部長だけのお考えではそんな簡単にいかん問題でしょうけれども、これは県政の基本の問題にかかわるということで声を上げていただきたいんです。
実際に、県営住宅の整備すら計画通りいっていないと思います。これは予算的なものがあると思いますけれども、これは公営住宅の重要性ということを認識をしていただいておるこの担当部局がですね、財政課に対しても強く予算を要求していっていただきたいと。
修繕補修につきましてもですね、県住特会の枠内ではとてもダメだというふうに思います。今の仕事のない零細な建築業者の仕事も確保して景気の上でもいい影響を及ぼすという意味からも、その点もひとつぜひやっていただきたい。ご答弁はもう結構でございますが、そのことを申し上げたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 近隣府県や神戸市並みの家賃減免を
■質問■筒井委員:それから第3のテーマに移りますが、家賃減免の制度です。これまで私どもは家賃の減免ということについて、たびたび指摘をさしていただきました。
今日はここで本当は表を見せれば一目瞭然なんですがそういうことは許されておらないようでありますんで、他府県の状況を口で説明するのは難しい。分位をいろいろと違いがありますんでね。
しかし、兵庫県のように5万円から8万円の分位のところで5%しかしていないようなことはないんですね。大体10%あるいは20%、他府県にしても滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、神戸市ですけれどもね、10%あるいは20%を減免しているんです。
それから、次の分位2万7501円から5万円の定例月収の場合もですね、兵庫県は15%でありますが、他の府県では60%とか40%とか50%とかそういう滋賀県なんか80%やっているところありますね。そういうことでやっているんですね。
これはね、収入の低い人たちにたいしてはそのくらいの配慮をせなあかんと。幸い今度は、今までは家賃体系に併して減免も考えると審査会で審議するということになっとったんですが、今度の新しい法によりましてね、家賃改訂しなくても基準がビシッと出とるわけですから、ぜひこれだけでも審議会にかけていただいて、他府県の例も示してどのくらいが妥当であるかというをぜひ諮っていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。 ▼答弁▼田中住宅管理室長:家賃の減免制度につきましては世帯主が失職して収入が得られなくなったとかそれから病気によって、委員ご指摘のとおり、まあ他府県の状況、それから今までのずっと制度を改正してきたわけですけれども、過去5回ほど家賃改訂に併せてやってきておりました。
平成10年の4月から応能応益制度ということになりまして、こういうことを受けまして社会情勢の変化とかそういうたぐいで、一般減免につきましては今後とも検討はしていきたいとは考えております。
ちなみに、先程各府県の率、減免基準、実はこれは適用率がかなり兵庫県は高いということで、滋賀県あたり、それから京都あたりはかなり適用がものすごく低いような状況になっております。先ほどの例も同じなんですけれども、我々この一般減免につきましても申し入れがあるときには、かなりきめの細かい対応をやっているようなことで今後ともいろいろ課題に向けて検討してまいりたいと考えております。 ■質問■筒井委員:ぜひ検討していただきたいと思います。特に、震災特例の家賃補助がなくなっていくわけで一般減免に移るわけですから、このままであれば大変な問題が起こってくるというふうに私は思います。
まあ家賃が安くなったから生活がどうこうというようなことではないと思うんだけれども、しかし最近の自殺者3万人というような、「生活苦」によるものが警察庁の調べでも相当あるんです。減免制度というのは非常に有り難いものなんです。これは是非検討していただかないといけない問題だと思います。
もう時間がありませんので最後に一言だけ申し上げておきます。「出訴」がされております。私たちは心を痛めながら住宅供給公社が丁寧に対応しているのを知っているから賛成せざるを得ないということになっています。
しかし、最低の生活を保証する福祉に役立っている公共・公営住宅から、さらにそれが最低のセーフティネットであるはずのところから外してしまっていいのかと。後はどうするのかと、これはもう皆様方の部局は関係ありません。「うちはきちっと法を守ってやっているんです。丁寧に対応しとるんです」というんですが、社会問題としてこれでいいのかと、ぜひその点を今後どうしていったらいいのかという点を考えていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。 |