2019年度予算編成にあたっての重要政策提言(8)
第8.大型公共事業優先から、地域循環・生活密着型の公共事業へ
高度経済成長期に建設された多くのインフラが、寿命を迎えつつある状況のもとで新規建設を抑制し、維持・更新事業へ公共事業政策を転換することは、待ったなしとなっている。人口減少や危機的な財政状況、大規模災害、社会資本老朽化が進行する時代に、大規模開発事業のために、公共事業予算を増額すべきでない。新規・新設の大型開発事業を中止・抑制し、防災・老朽化対策など維持管理・更新事業へ予算の使い道を切り替えていくことが必要である。 - 土砂災害防止対策の強化について
西日本豪雨により大規模な土砂崩れ等が発生している。
- 市町と協力して、危険箇所の総点検を行い、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域の見直しを行うこと。レッドゾーンに指定した区域について、整備・移転費用など県の独自支援を行うなど速やかに対策を講じること。
- 土砂災害によって、居住困難となり、移転を希望する被災者については、移転費用についても、県独自の支援を行うこと。
- 急傾斜地崩壊対策事業の受益者負担について、市町や住民負担の軽減を行うこと。
- 砂防堰堤や急傾斜地対策など土砂災害防止対策を抜本的に進め整備すること。また、指定に至る前でも既存住宅の構造強化に対する支援を行うこと。宅地開発を規制・抑制する開発指導を進めること。
- 河川整備・治水事業について
- 県下すべての水系における河川整備基本方針・河川整備計画を策定し、河川整備を速やかに行うこと。
- 河川維持管理費が県「行革」で削られている。河川維持管理費を増額し、防災・減災対策を強化すること。
- 毎年被害が増加している記録的豪雨対策について、調査・研究を進め、調整池や下水対策など予算を大幅に増やすこと。
- 河川整備については、下流からの改修だけにこだわらず、堤防の補強や危険箇所の改修を優先して安全を守ること。また、生態系の保全など、環境を守る事業も重視すること。
- 武庫川水系河川整備計画とダムについて
- 今後20年間、ダムに頼らない総合的な治水計画がつくられたが、その後においても、武庫川流域のダム計画はきっぱりと中止すること。
- 総合治水対策のなかで、将来の分担量目標が極めて低く設定されている。千刈ダムの治水活用へ向けての取り組みが始まったことは大きな前進だが、流域対策の目標量を引き上げ、抜本的に強化すること。
- 河床掘削や堤防補強など、武庫川の安全対策は十分にすすめること。その際、住民合意を重視すること。
- 天然鮎の遡上できる川に再生するための対策をすすめること。
- 南海トラフ巨大地震に備える「津波防災インフラ整備計画」の推進に当たっては、住民への説明を丁寧に行い、県民の意見を広く反映したものとすること。その際、計画に伴う資料及び予算規模等を含めて公開すること。ひきつづき防潮門扉等の電動化、遠隔操作化をすすめること。
- 耐震化補助の予算を増額し、民間住宅の耐震診断を無料にし、住宅耐震化を抜本的に促進すること。公的施設や社会福祉施設の耐震化を早急に100%にすること。
- 「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」に基づく老朽化対策にあたっては、橋梁など点検の際の専門家不足や、新規建設と同じ基準単価では、採算がとれないため事業所が補修工事に参入できない等の問題点も指摘されている。専門家の育成などで体制を確保し、補修単価の引き上げ等を行うこと。特に点検、調査、事業化にあたっては、民間依存を改め、総合土木職、建築職など技術職、専門知識をもった技術職員の養成も行い、十分な人的体制を確保すること。
- 新名神高速道路は、開通したが今も周辺の環境整備事業が行われている。建設工事で、昨年から今年にかけて死亡事故が6件も発生した。工期を2年前倒しで進めていたことで工事が急がれていた事や、現場の安全対策が不十分であったことなどが指摘されてきた。
あらためて、2年前倒しの工期に問題がなかったのか、専門的な土木技術を持った作業員の確保など工事の安全対策をすすめるよう西日本高速道路株式会社へ働きかけるとともに、県としても建設工事の安全対策に万全を期すこと。
- 公契約条例を制定し、県発注工事については、県内建設業者への発注をさらに増やし、適正価格により、末端の下請け業者、建設労働者にいたるまで、営業と生活が保障される内容に改革すること。
- 住宅リフォーム助成制度の創設、耐震化補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など、中小建設業者の仕事を増やすこと。
- 鉄道ホームの転落事故防止のためホームドアについては、乗降客1万人以上という基準にかかわらず設置をすすめるよう、国や事業者に求めるとともに、県としても対策強化すること。
- 財政難を加速させる「高速道六基幹軸」からさらに2050年に向け、新たに「基幹道路八連携軸」として高速道路整備が進められようとしている。道路政策を転換し、違法なブロック塀などを撤去・補修するなど、通学路の安全対策や生活道路の改修など住民生活に身近な道路政策に改めること。東播磨南北道路の延伸、新名神高速道路、名神湾岸連絡線、大阪湾岸線西伸部、播磨臨海地域道路、紀淡海峡連絡道路など不要不急の道路計画を中止すること。
- 空港事業について
- 神戸空港の運営権が関西空港・伊丹空港を運営する関西エアポート、オリックス、バンシ・エアポートの3社連合へ売却が決定し、3空港一体運営が進められようとしている。また関経連は、「関西3空港懇談会」を再開し「規制緩和」にもとづいて、3空港の役割分担を再検討する方向であるが、伊丹空港、神戸空港の運用制限と発着枠を厳守するなど、安全・環境対策に万全を期すこと。
- 神戸空港及び関西国際空港2期に対する県の補助金や出資をやめること。関西国際空港と神戸空港を結ぶ「海底トンネル構想」は、計画を中止すること。
- 但馬空港については、毎年5億円以上の県の財政支出に加えて、但馬地域の各市町も多額の負担を強いられている。今後の需要拡大の見通しもない中で、但馬空港ターミナル(株)に運営権実施契約が締結されたが、空港のあり方について、抜本的に見直すこと。
- 港湾について
- 姫路港広畑港区での需要見込みのない大水深岸壁整備はやめること。悪臭・粉塵が舞い散るバラ貨物の拠点化を行わないこと。
- 県内すべての重要港湾に「非核神戸方式」を採用し,核艦船の入港を拒否すること。
- 路線バスやコミュニテイーバスへの県単独補助の削減するのではなく拡充し、県民の生活権を守ること。
- 神戸電鉄粟生線については、住民の足・公共交通を守るため、路線存続のための支援を継続し、運転本数などを利用者のサービス向上になるよう働きかけること。
- 県営住宅について
- 安全で低廉な家賃の県営住宅の建設はさらに必要度を増している。「ひょうご県営住宅整備・管理計画」にある管理戸数削減・住宅集約化計画をやめ、新規の県営住宅建設や民間住宅を借り上げるなど対策を拡充すること。
- 減免制度の算定が課税所得から世帯の年間収入に基づく計算に変更がされ、家賃が大幅に引き上げられた入居者が多数発生している。家賃引き上げにつながる減免制度改定を撤回すること。
- 一般会計の繰り入れにより、外壁補修などの計画補修、空家補修等の予算を大幅に増やし、部分補修や改築、エレベーターの設置など計画を立て、積極的におこなうこと。
- 民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスが低下している。県が管理運営に責任を持つようにし、指定管理制度をやめること。入居者が低所得者であることに配慮した駐車料金にすること。
- 介護や在宅療養が必要な入居者について、居住面積などを配慮すること。
- 公営住宅の入居承継基準をもとに戻すこと。
- UR借上住宅住み替え問題については、希望者全員の継続入居を認めること。
- 青年や新婚世帯、子育て世代、高齢者、障害者、低所得者向けに「民間賃貸住宅家賃補助制度」をつくること。
- 企業庁の事業について
- 地域整備事業については、事業ごとに過年度も含めて収支、資産負債状況、事業内容がわかるようにすること。また、先行取得用地をはじめ、用地全てについて時価、含み損も含めて県民に明らかにすること。また、「地域介護福祉拠点整備事業」は、民間事業者の運営・ノウハウ・人材等を活用するもので、公共性の高い高齢者福祉施策をすすめるうえで、県の福祉部局などの専門職がかかわることが重要であり、企業庁の新たな事業として拡大しないこと。
- 安すぎる工業用水料金を改定し、大幅に値上げするとともに、将来見込まれる水道料金減、工業用水不足対策として、企業庁(工業用水道事業者)が供給する工業用水については、飲料用水としての使用を禁止すること。
- 高い県水を市町に押し付けないこと。水道事業の市町連携にあたっては、市町の自己水源を確保するための技術支援、財政支援を行い、安易な広域化は進めないこと。
- (株)夢舞台事業を抜本的に見直すこと。天下り役員ポストをなくすこと。
- 国の直轄事業負担金の全廃を国に強く求めること。
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