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2018年09月05日

2019年度予算編成にあたっての重要政策提言(6)

第6.県民の所得を増やして、内需主導の経済政策を

 本県の経済は、「個人消費や企業の生産活動が持ち直し、輸出の増加に支えられ緩やかに拡大している」とされているが、県内中小企業・小規模事業所の直近の業況判断は、悪化、先行きは横ばいの見通しとなっている。また、大多数の県民は増税と社会保障の改悪などの負担増で、ますます苦難を強いられている。
 本県経済の景気回復、財政再建を図るためには、労働者の賃金を引き上げ、中小企業支援をいっそう強め、雇用の安定を保障するなど、県民の所得を増やし、内需主導による地域循環型の経済政策への転換がいよいよ不可欠である。


(労働・雇用対策について)


  1. 国の「働き方改革一括法」は、過労死水準の残業を合法化し、高度プロフェッショナル制度「残業代ゼロ制度」の導入により、長時間労働を固定化し、悪化させるものである。廃止を国に求めること。

  2. 残業上限規制に例外を設けず、「週15時間、月45時間、年360時間」とする大臣告示の法定化とともに、勤務から次の勤務までの間に連続11時間の休憩時間を設けること、長時間労働の温床となっている裁量労働制等の規制強化を国に求めること。

  3. 最低賃金をただちに時給1000円に引き上げ、全国一律の制度とするよう国に求めること。また、最賃引き上げを日本経済全体を底上げする経済対策の一環として位置づけ、そのために中小企業の社会保険料負担を軽減するなど抜本的な支援策の拡充を国に求めること。また、県として独自の支援策を講じること。

  4. 若者を違法な労働条件で働かせ、使い捨てにする、いわゆる「ブラック企業」・「ブラックバイト」の根絶に向けて、引き続き労働局と連携し取り組むこと。憲法や労働法で保障された権利や雇用者の義務を、労働者や学生に知らせる広報、啓発活動を強化すること。長時間・過密労働、「サービス残業」をなくして雇用をふやすよう、県下の経済団体、企業に働きかけること。

  5. 過労死防止法にもとづき、啓発や相談体制の整備、民間団体が行う過労死防止に関する相談活動の支援策を講じること。

  6. 2018年4月から改定労働契約法による無期転換が始まった。ところが、労働条件は従前の有期契約のときと同じでよいとされ、しかも5年を前にした「雇い止め」を防止する措置がなく、雇用契約が5年になる以前に、「雇い止め」にしようとする動きが、多発している。正社員化を促進するという労働契約法改定の趣旨にもとづき、こうした「雇い止め」をやめさせるよう国に求めるとともに、県内の企業に対し無期転換ルールを守る指導を徹底すること。

  7. 地元中小企業の人材確保を支援し、若者の安定した雇用を促進するために、地元中小企業にたいし、賃金(初任給)を引き上げる助成制度、新規の正規雇用に対する税の優遇、福利厚生面でのさらなる支援策など、具体的な支援策を実施すること。

  8. 離職者などの職業能力開発事業は、民間教育訓練機関まかせにせず、県が責任をもって行い、正規雇用につながる実効あるものにすること。

  9. 出産・育児、その他の理由で離職した女性の雇用・就労支援を強化すること。産休・育休、介護休暇など、求職した労働者が不利益なく復職できるよう企業に働きかけること。中小企業へは特別の配慮をすること。

  10. 県契約からワーキングプアをなくし、公共工事、公共サービスの質を将来にわたり確保するために、賃金条項を入れた公契約条例を制定すること。また、「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」の目的を果たすために、労働者の賃金実態調査を行うこと。

(中小企業対策について)


  1. 雇用の約8割を占め、本県経済を支えている中小企業の振興を図るため、中小企業振興条例にもとづいて、中小企業・小規模事業者への予算を大幅に引き上げ、地場産業や地域産業の支援を強化すること。

  2. 中小企業振興条例にもとづく計画策定に当たっては、市町と協力し、中小企業の悉皆調査を行うこと。また、中小企業者、関係団体が幅広く参画した「振興会議」を常設すること。

  3. 県の官公需発注にあたっては、分離分割発注をさらにすすめ、県内中小企業への発注を増やすこと。

  4. 「兵庫型奨学金返済支援制度」をさらに活用しやすいものにするために、県の負担金額を倍にすること。本人と中小企業の負担を軽減すること。

  5. 基盤技術の担い手である町工場への支援を強めること。
    1. 単価・工賃水準の実態調査を行い、工場の家賃や機械リースへの支援、雇用維持への支援を強め、廃業の増加に歯止めをかけること。
    2. 新たな事業展開や新分野進出を支援すること。

    3. 温暖化、省エネ対策への支援を行うこと。

  6. 中小企業の研究開発や技術の高度化など、中小企業のものづくり支援機関として重要な役割を果たしている県立工業技術センターの産業技術職の定員が、この15年間に約半数の50人に減らされている。中小企業のニーズにこたえ、同センターの技術を継承発展させていくために、必要な増員をおこなうこと。

  7. 中小企業への融資審査で、税金完納要件を廃止するとともに、業種、年齢、性別、経験年数による差別をやめること。無担保・無保証人制度を拡充すること。

  8. 阪神・淡路大震災時の「緊急災害復旧資金」については、返済期限である2020年をもって、これ以上の延長をせず、債務返済を免除すること。その間、実態に即した返済凍結・債務免除等、特別対策を取ること。

  9. 地域経済に波及効果の大きい住宅リフォーム助成制度は、全国で多くの自治体が実地している。兵庫県でも住宅リフォーム助成制度を創設すること。

  10. 店舗リフォーム助成制度を創設すること。

  11. 商店街の空き店舗に県内の産地直送品を扱う店を増やしたり、「買い物難民」と呼ばれる地域の高齢者・住民への宅配サービスなど、商店街の取り組みへの支援を抜本的に強化すること。

  12. 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を飛躍的に促進するため、地産地消のエネルギー対策を地域住民と地域の中小企業、農林水産業などが連携して地域振興策として推進できるよう県として支援すること。

  13. 大企業に有利な「産業立地促進」制度(補助・税軽減)を廃止し、地域経済をささえる中小企業に、融資だけでなく直接支援を行うこと。

  14. 住民参加で、地域の食材や地域資源など地域振興とあわせた観光対策を強化すること。

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