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2018年09月05日

2019年度予算編成にあたっての重要政策提言(5)

第5.すべての子どもの命、成長発達を支える教育への転換を

 世界から見ても高すぎる学費、不十分な給付制奨学金制度などで、異常な教育費負担が、若者の未来を奪っている。憲法と子どもの権利条約を生かし、教育予算を増額し、教育の無償化・負担の軽減、行き過ぎた競争教育からの脱却、上からの統制≠やめて、子どもの権利と自主性を保障する立場から、豊かな教育環境を確立することが求められている。

  1. 教育費の負担軽減・無償化をすすめること
    1. 義務教育は、無償が原則である。しかし、無償の対象は、授業料や教科書代などに限られ制服代、修学旅行費の積立などの負担が家計を圧迫している。義務教育に相応しく家計負担の解消を求めること。
      また、就学援助の国庫負担制度を元に戻し、対象や支給額を拡充するよう国に求めること。学校給食費の無償化へ向け、減免制度の創設など市町を支援すること。
    2. 公立高校の就学支援金の所得制限を撤廃し、公立授業料の無償化を復活するよう国に求めること。
    3. 私立高校の完全無償化のために、私立高校就学支援金制度の所得制限を撤廃し、対象者すべてに授業料、入学金、施設整備費などに相当する補助単価に引き上げるよう国に求めること。
      また、県の授業料軽減補助についても、低所得者世帯にしぼったものでなく、対象者すべてを軽減するとともに、県外通学者についても県内と同額に戻し、専門学校・外国人学校にも適用すること。
      私学経常費補助については、国庫補助制度を堅持し、拡充を図るよう国に求めること。県としても拡充すること。
    4. 県独自の給付制の奨学金制度の創設を行うこと。

  2. 教育条件の整備をすすめること
    1. 小学校4年生まで実施されている35人学級を、ただちに小学校5・6年生まで、拡大すること。
    2. 中学校でも35人学級を実現すること。中学1年の少人数学級を実施していないのは、全国で兵庫、大阪、広島、熊本の4府県だけとなっている。少なくとも中学1年の35人学級は、ただちに実現すること。
    3. 地球温暖化がすすみ、夏は35℃を超える暑さが続くなど熱中症対策がこれまで以上に求められている。
      ア.県立学校では、特別支援学校含めて、特別教室等すべての教室にエアコン設置できるよう財政措置をおこなうこと。
      イ.市町立学校では、特別支援学校も含め、すべての普通教室、特別教室に早急にエアコンが設置できるよう市町への支援制度をつくり、国に予算措置をもとめること。
      ウ.「(教室などの環境は)、17℃以上、28℃以下であることが望ましい」とする学校環境衛生基準などをふまえ、子どもの健康安全の維持のために、エアコンを適切に使用できるよう、予算措置をおこなうこと。
      エ.「暑さ指数」にもとづく「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)「熱中症予防運動指針」(2013)などをふまえた、熱中症対策を学校でも徹底すること。
      オ.体育館などの学校施設にも、エアコン設置をすすめること。
    4. 公立学校の耐震化の予算を大幅に引き上げ、早急に耐震化を100%にすること。
    5. ブロック塀など学校、通学路の専門家による徹底した安全点検を早急に行うこと。危険箇所の撤去、改修をおこなうために、国交省の防災・安全交付金などを活用し、撤去・改修を促進すること。
    6. 安全で豊かな完全給食を全ての小・中・特別支援学校で実施し、学校給食を柱とする食育を推進すること。未実施の中学校での給食導入に県の補助制度をつくるとともに、「全員喫食」を基本とし、「自校、親子、兄弟方式」など充実した「実施計画」とするよう市町に強くはたらきかけること。また、すでに給食を実施している市町に対する運営費補助制度を創設すること。
    7. 「行革」により学校運営費が年々削減されてきた結果、「エアコンがあっても使えない」「図書も含め学校備品の購入ができない」など、学校教育に大きな支障がでている。県立学校の運営費を増額すること。
    8. 事故が多発している組体操については、危険を伴う高さを競うアクロバット的なものを見直し、安全な指導ができる専門性をもった指導者を育成するとともに、内容についても、安全確保を第一に、慎重に検討すること。

  3. 障害児教育をもっとゆたかにすること
    1. 特別支援学校や特別支援学級に在籍する子どもたちが急増している。「分教室」の設置など安易な対策でなく、設置基準を設けるよう国に求めるとともに、新たな施設整備を含め早急に改善すること。特に急がれる阪神間、神戸市東部に、分教室や既存学校への仮設校舎の設置で対処するのではなく、知的障害特別支援学校の新設を行い、過大・過密・長時間通学を解消すること。
    2. 特別支援学級を大幅に増設・充実し、一クラス6人以下の少人数にし、一人ひとりに応じて丁寧に対応ができるようにすること。
    3. すべての学校に通級指導教室を置き、自分の学校の通級指導教室で学べるようにすること。
    4. 特別支援学校の寄宿舎への正規教員の適切な配置と夜間警備体制をつくること。
    5. 安全な通学を保障するため、スクールバスの増車とともに、添乗は民間委託せず公的な介助員を配置すること。

  4. 「いじめ」対策の強化について
    1. いじめの兆候があれば様子見せずただちに全教職員、保護者に知らせ連携するなど、いじめの対応を絶対に後回しにしないこと。学校現場では子どもの自主的活動の比重を高め、いじめを止める人間関係をつくる学校づくりをすすめること。被害者の安全を確保したうえで加害者にはやめるまで対応する、被害者・家族の知る権利を尊重すること。
    2. いじめによる重大事態が発生し、調査等を行う場合、子どものプライバシーを守りつつも、隠ぺいなどにつながらないよう調査の透明性を十分補償するよう留意すること。
    3. いじめ・不登校を多発・深刻化させている受験競争など過度の競争と管理の教育をあらため、子どもの声をききとり、子どもを人間として大切にする学校をつくること。子どもの権利条約の普及に努めること。
    4. 学校で困難をかかえる子どもたちへの支援を一層強化するため、スクールカウンセラーの増員を図り、小学校での全校配置をすすめること。また、スクールソーシャルワーカーの人材確保のため、市町支援の強化を図ること。
    5. 教員の多忙化は、子どもたちと接する時間や授業の準備をする時間を奪っている。共同して問題解決にあたる教師集団作りのために、教員の多忙化解消を図り、教員評価制度をやめること。
    6. ネット・SNS(LINE等)を通じたいじめへの対策を強め、ネット上の言葉の暴力について、家庭まかせにせず、学校教育でもルールやモラルを教えること。

  5. 競争とふるいわけの教育をあらためること
    1. 公立高校入学試験の学区統合により、「地元の高校に行けず、遠距離が大変」「初めから『私立専願』の進路指導をされた」などの声が聞かれる。学区拡大における生徒の進路に影響を及ぼし、地域の高校を残そうと地域をあげた取り組みに逆行している。すべての中学卒業生の進路状況に関する調査を行い、検証をおこなう。全県1学区等の学区拡大を行わないこと。
    2. 業者テストである「進路選択支援機構」の中学生統一模試、および同内容の学習到達度テストを学校教育に持ち込ませないこと。
    3. 全国いっせい学力テストを廃止するよう国に求めること。

  6. 教育の自由と自主性を保障し、子どもの豊かな成長をささえるために
    1. すべての子どもに基礎的な学力を保障することを学校教育の基本的な任務として重視すること。暗記ではない自然や社会のしくみがわかる知育、市民道徳の教育、体育、情操教育などバランスのとれた教育をおこなうこと。
    2. 市民道徳の教育を、憲法にもとづき、基本的人権の尊重を中心にすえ、子どもたちが自らモラルを形成できるようにすること。子どもの納得を無視して「規範意識」を叩き込むようなやりかたは、反人間的・反道徳的なものであり強制はやめること。
    3. 教育振興基本計画については、教育の内容に介入するのではなく、行政は教育条件や教育環境の整備を責任もっておこなうこと。
    4. 18歳選挙権の実施にともない、主権者教育、政治教育を充実させること。
      行政が「政治的中立性」の名目で、教育内容への不当な介入をおこなわないこと。高校生に対する政治活動を制限させる憲法違反の通知を撤回させ、高校生の政治活動の自由を保障すること。
    5. トライ・やるウィークで自衛隊での職場体験は行わせないこと。
    6. 軍事教練として発展し、自衛隊の訓練中に二人の死亡者をだしている「銃剣道」を中学校の保健体育の「武道」の選択種目に入れるのはふさわしくない。県内で取り入れないこととあわせ、文科省の通知を撤回するよう国にもとめること。

  7. 教職員の「働き方改革」
    1. 少人数学級を促進し、教員の多忙化を解消するためにも、教職員定数を抜本的に増員し、教職員を増員することをただちに国に求めること。
    2. 業務改善、部活動の改善などで、業務量を見直すこと。
    3. 教職員も労働法を適用し、超過勤務手当などを保障すること。
    4. 臨時教職員、非常勤講師など非正規の処遇を改善し、早期に正規雇用に切り替えるようにすること。
    5. 教師間の連携・協力を妨げ、教師の管理統制を目的とした主幹教諭制度をやめること。また教員免許更新制を廃止するよう国に求めること。

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