2019年度予算編成にあたっての重要政策提言(4)
第4.福祉・医療の充実で、県民の命を守る県政に
安倍政権による社会保障の大改悪のもと、医療や介護の負担増、介護「軽度者」の保険からの締め出し、生活保護費の大幅な削減、年金削減など容赦ない国民負担が続いている。安倍政権は「骨太方針」にもとづき、来年度の概算要求基準を閣議了承し、社会保障費の伸びを1300億円削減する大枠を決めた。 その上に、県は「行革」の名で、ひとり親家庭や、重度障害者・児、乳幼児・こどもの医療費助成の一部負担金の値上げ、所得制限強化を繰り返してきた。老人医療費助成にいたっては、2017年度に廃止をした。医療・福祉などの県民サービスを削減するのではなく、充実することが、求められている。 - 子ども・障害者・ひとり親家庭医療費助成事業の所得制限を撤廃し、窓口自己負担の軽減をはかること。老人医療費助成制度を復活すること。
- 国民健康保険・後期高齢者医療制度について
- 国保の都道府県化が今年4月から始まったが、構造的矛盾の解決どころか高すぎる保険料がますます引き上げられる危険性がある。保険料の賦課権限や免除規定は市町にあることをふまえ、市町独自の法定外繰り入れなど保険料抑制策を阻害しないこと。
県民のくらしと健康を守る国保制度再建のために、国庫負担の抜本的な増額を求めるとともに、高すぎる保険料を引き下げるため、法令に基づく県費負担だけでなく、独自の財政支援を行うこと。 - 滞納を理由にした保険証の取り上げや財産差し押さえが、悪質滞納者だけでなく支払い能力のない低所得者にも及んでいる。医療を受ける権利を侵すことをやめ、資格証明書や短期保険証の発行や財産差し押さえはしないよう、市町・後期高齢者医療広域連合に求めること。また、窓口留め置きによる事実上の保険証未交付はただちに解消すること。
- 自治体独自の医療費助成に対する国庫負担金減額調整措置を未就学児以外も廃止するよう国に引き続き強力に働きかけること。それまでの間、県から減額分全額の財政措置を行うこと。
- 後期高齢者医療制度を廃止することを国に求めるとともにそれまでの間、保険料を引き下げる県独自の減免制度をつくること。
健診費用に対する県の財政支援を行うこと。検診メニューをせめて国保並みにするとともに、20%台の検診受診率を引き上げること。
- 生活保護について
- 生活保護は、憲法25条が明記した国民の生存権を守る“最後の砦”であり、受給を恥と思わないように啓発に努めること。
- 申請書さえわたさない、「扶養義務者」への機械的な問い合わせなど、人権を無視する窓口対応や調査を改め、懇切丁寧な対応が行われるように、あらためて市町に徹底すること。また、ソーシャルワーカーを増やし、きめこまやかな生活支援体制を強化すること。
- 2013年度からの生活保護基準の引き下げや、2015年度からの住宅扶助、冬季加算減額などの影響を調査し、母子加算の見直しなど、これ以上の引き下げ中止を国に求めること。また、就学援助や基準額引き下げに連動した各種減免制度の実態を調査し、是正すること。エアコン設置を生活扶助費として認め、夏季加算を復活させ、冬季加算なども拡充すること。
- すでに廃止されてしまった老齢加算は、「正当な理由のない保護基準の不利益変更にあたり違法」との判決もでており、復活するよう国に求めること。
- 医療体制について
- 「地域医療構想」は、国から示された試算にもとづき病床を削減し、地域医療のニーズや在宅医療の現場の実態とはかけ離れたものとなっており、県民・市町や医療機関に押しつけないこと。療養病床の「介護医療院」への転換を押しつけないこと。
- 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院、県立西宮病院と西宮市立中央病院、県立柏原病院と柏原赤十字病院など公立病院の統合・再編については、県民・医療関係者等の意見をふまえ、地域医療の後退につながらないようにすること。
- 地域医療構想により、日高医療センターは診療所化により入院病床をなくす方向だったが、地域住民の要求で30床残ることになった。これ以上の削減をせず医療機能の強化を図るよう支援すること。
- 県立こども病院を成育医療センターとして拡充すること。災害時の備蓄を含め、防災体制に万全を期すこと。県立こども病院の跡地についても、患者・地元住民や医療機関等の意見を十分反映させること。
- 県立淡路医療センターの医療体制の充実を図ること。また、災害拠点病院としての機能が果たせるようさらなる対策をとること。
- 救急医療二次輪番病院への補助制度を創設するとともに、県の責任で三次救急の機能確立を図ること。
- 県立病院の独立行政法人化は行わないこと。
- 県立病院の一般外来看護師や事務職、技能事務職の削減をやめること。
- 難病対策について
「難病患者に関する医療等に関する法律」は、対象疾患、医療費の自己負担、小児慢性疾患の成人継続治療などについて課題が残されている。
- 人工呼吸器の使用など、低所得の重症患者の自己負担の無料化を継続するよう国に求めるとともに、県として軽減すること。
- 特定医療費の支給にかかる患者・家族の手続きを簡素化し、負担を軽減すること。
- 療養生活環境整備事業を患者の要望にそって拡充すること。
- 障害者総合支援法により新たに支援の対象となった難病患者に制度の周知を徹底するとともに、支援を必要としながら障害者支援にも難病対策にもあてはまらない患者の救済をはかること。
- 障害者手帳を保持していない難病患者も障害福祉サービスの利用が可能であることを、通知を郵送するなど市町に周知徹底すること。
- 障害者施策について
- 障害年金の打ち切りについて県内の実情を把握すること。
- 旧優生保護法による、不妊手術、堕胎などの実態を調査・公表し、謝罪、賠償すること。
- 障害を自己責任とみなし、「応益負担」を課す障害者自立支援法は、名称だけを変更した障害者総合支援法に変わった。訴訟団と国との「基本合意」に立ち返り、「骨格提言」にそった「障害者総合福祉法」へ改善されるよう国に求めること。
- 障害者差別解消条例の制定を検討し、県内の行政機関はもとより、事業者に対しても合理的配慮の提供を徹底すること。
- すべての透析患者が障害等級1級に認定されるよう、引き続き国に求めるとともに、県独自でも透析基準が1級に認定されるよう社会福祉審議会に積極的に諮問すること。
- 精神障害者保健福祉手帳2級まで重度障害者医療費助成事業の対象とすること。
- 低所得者に限定された在宅重度心身障害者(児)介護手当の支給対象を拡大すること。
- 法内施設に移行できない小規模作業所への県独自の支援は、引き続き行うこと。
- 移動支援などのサービスを実際には提供できない事業所が多く生じていることから、地域生活支援事業に対する県の財政支援を強め、事業所が確実にサービスを実施できるよう支援すること。
- 入所施設やグループホームを抜本的に増設し、地域での生活を保障すること。精神科病院の病棟・病床の一部を「居住系施設」に転換する国の方針には反対すること。
- ジョブコーチ制度や職業訓練や資格取得の支援を拡充し、企業等における雇用率の引き上げをはかること。障害者手帳を持たない難病患者等の就労を支援すること。
- ひょうごスマイル条例が成立したが、手話を言語として位置付ける「手話言語条例」の制定を独自にすすめること。
- 65歳以上の障害者および特定疾病者が、障害に対応するサービスが利用できるように、機械的画一的に介護保険利用を強要することのないよう市町の担当者やケアマネージャーに繰り返し周知徹底すること。
- 介護保険について
- 要支援者(要支援1、2)の訪問介護と通所介護の保険給付外しの撤回を国に求めること。総合支援事業については、現行相当サービスが維持できるよう県として市町支援を行うこと。要介護1、2の認定者についても、訪問介護と通所介護などのサービスの保険給付外しに反対すること。
- 介護・福祉労働者の処遇改善のための補助制度を復活し、人材養成事業を拡充すること。
- 現役並所得者の利用料3割引き上げ、補足給付申請にあたっての資産調査の中止を国に求めること。実施された利用料2割負担の影響を調査し、県として利用料減免制度を創設すること。
- 保険料高騰のため、滞納による差し押さえが増え続けている。保険料の抑制につとめ県独自の保険料の減免制度を創設すること。
- 保険料の滞納による「利用料の10割負担」「財産差し押さえ」等のペナルティー廃止を国に求めること。
- 施設から在宅介護への移行を名目に2025年までの特別養護老人ホームの増床数を減らす県の方針を撤回し、市町ごとの実態に見合った新増設を行い、待機者(1万5千人)を早急に解消すること。そのために整備費補助単価を引き上げること。
- こども・子育て支援について
- 認定こども園「わんずまざー保育園」のような事件が二度と起こらないよう、無認可保育所のまま「認定こども園」として認定できるしくみを見直すこと。幼保連携型以外の認定こども園についても、認定前の事前チェックを強化すること。類型を問わず年1回以上の監査を行えるよう、人的体制を強化すること。
- 待機児童の解消は、認可保育所の増設を基本にすること。職員配置基準の改善を国に働きかけること。また、保育所や認定こども園等の運営費等について、従来の水準を下回らないように、国に財源確保を求めるとともに、県単独補助を維持・充実すること。
- 保育士の処遇改善のための財源確保を国に求めるとともに、県としても民間福祉施設運営支援事業の充実など財政支援を行うこと。保育士養成、研修制度、再就職支援などを充実すること。
- 保育料の第3子軽減制度は、所得制限を撤廃すること。また、第2子の保育料減免制度についても拡充すること。
- 学童保育については、対象が6年生まで広がり、子ども・子育て支援新制度の実施により、保育の量や質に格差が生まれないような県の支援が必要である。
ア.運営費について、国に財源増額を求めるとともに、県の補助を維持・充実すること。 イ.定員や職員配置、開設日数・時間など、運営基準に極端な市町間格差が生まれることのないように市町を支援すること。 ウ.放課後児童支援員の処遇改善事業が市町で予算化されるよう支援を強めること。 - こどもの健やかな育ちを支え、子育て世代応援の重要な柱である、こどもの医療費を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
- 1次・2次医療を一元的に受け入れることのできる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。また、ほとんど常時満床で出生数に照らしても不足しているNICUをさらに増床し、総合周産期母子医療センターを空白の但馬、丹波、北播、東播、淡路にも整備するなど、周産期医療を拡充すること。
- 小児救急医療電話相談(#8000)の民間委託後の検証を行い、「受診できる医療の紹介をしてもらえない」などが改善されなければ、臨床経験に富み、県内の実情をよく把握する体制での実施を検討すること。
- 妊婦健診は全額公費負担となるよう、県の補助を増やすこと。出産費用を補助する制度を創設すること。
- 新婚世帯、子育て世代、母子・父子家庭に対する民間住宅家賃補助制度を創設するとともに、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。
- 児童虐待の相談件数が統計を取り始めて以降、最多となっている。こども家庭センターの専門職員の増員や、一時保護所を各センターに設置するなど、市町との連携をより強化し、児童虐待を防止する対策をすすめること。一時保護所についてこどもの居場所にふさわしい設置基準をつくること。
- 県民への啓発をすすめながら、タバコ対策を総合的にすすめること。受動喫煙防止条例の見直しに当たっては、喫煙・分煙を認める施設の面積要件を厳格化して実効性を高めること。また、小・中、高校生に対する防煙教育を強化すること。企業検診と連携し、禁煙勧奨や経済的支援など禁煙支援を行うこと。
- DV対策は、専門職員を増やし、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。また、民間シェルターへの助成を拡充すること。
- 性暴力被害対策の強化のため、「よりそい」の機能、医療連携を強化すること。ワンストップセンターである「性暴力被害者支援センター・ひょうご」の運営費補助の増額など支援を強化すること。
- 物価スライドによる年金支給額の切り下げを中止し、低年金・無年金者をなくすよう国に求めること。年金の受給資格期間が10年に短縮されたことについて、国と連携しながら漏れのないよう県民に周知徹底すること。
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