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2017年11月10日

2018年度予算編成に対する申入書《 産業労働部 》

  1. 神戸製鋼所によるデータ改ざん等の不正が明らかになり、深刻な影響が懸念されている。地域経済を支えるべき大企業が企業倫理に著しく反し、国民・県民の安全を損ないかねない事態になっている。
    1. 同社と関連会社に対し、第三者機関を設けて、事態の全容と原因の徹底究明を行うこと。県としても調査に入ること。
    2. 神戸製鋼の下請け企業や関連中小企業に対し、影響の実態調査をおこない、相談窓口を開設すること。

  2. 力のある大企業のための「産業立地促進補助」は、廃止すること。

  3. 中小企業支援について
    「中小企業の振興に関する条例」が施行された。中小企業・小規模事業所への支援を抜本的に強化し、地域経済の好循環をつくりだすこと
    1. 雇用の約8割を占め、本県経済を支えている中小企業の振興を図るため、「中小企業振興条例」にもとづいて、中小企業・小規模事業者への予算を大幅に引き上げ、地場産業や地域産業の支援を強化すること。
    2. 「中小企業振興条例」にもとづく計画策定にあたっては、市町と協力し、中小企業の悉皆調査を行うこと。また、中小企業者、関係団体が幅広く参画した「振興会議」を常設すること。
    3. 地元の中小建設業の仕事おこしと地域経済の活性化につながる「住宅リフォーム助成制度」「店舗リフォーム助成制度」を創設すること。「ひょうごすまいの耐震化促進事業」「人生80年いきいき住宅助成事業」の要件を大幅に緩和し補助額も増額すること。
    4. 県の官公需発注にあたっては、分離分割発注をさらにすすめ、小規模工事契約登録制度を確立し、県内中小企業への発注を増やすこと。
    5. 中小零細企業・個人事業所に対して、技能向上、技能継承など訓練への支援の拡充、試験研究機関なども気軽に活用できるようにして、ものづくり産業の振興を図ること。
    6. 中小企業の研究開発や技術の高度化など、中小企業のものづくり支援機関として重要な役割を果たしている県立工業技術センターの産業技術職の定員が、この間、約半数に減らされている。同センターの技術を継承、発展させていくために、必要な増員を行い、中小企業の技術革新を強化すること。

  4. 商店街の振興について
    1. 商店街に限られている店舗リフォーム(エアコン設置などの環境改善も含む)は、既存の制度の拡充とともに、商店街以外の店舗にも使えるようにすること。
    2. 商店街の活性化のため、こどもや若者、高齢者の居場所づくりを空き店舗を活用して行うなど、住民が楽しみながら買い物ができる商店街づくりに支援を行うこと。
    3. 商店街の空き店舗に県内の産地直送品を扱う店を増やしたり、「買い物難民」と呼ばれる地域の高齢者・住民への宅配サービスなど、商店街の取り組みへの支援を抜本的に強化すること。
    4. 地域の中小商工業や商店街に大きな打撃を与える、身勝手な大型店の出退店を規制する県の規則をつくること。
    5. 福祉や環境、まちづくりと商店街・市場対策を結合した地域振興対策をすすめること。そのため、公募による業者団体代表、経営診断士、学識経験者、行政担当者で構成する「市場・商店街振興審議会」(仮称)を設置すること

  5. 自営業の家族従事者として働く女性の実態調査を行い、地位向上の対策をこうじること。自家労賃を認め所得税法56条の撤廃を国に求めること。

  6. 皮革排水処理を事業者負担からはずれて公共下水道事業にくみいれた国と県の責任は重大である。原因者負担を基本としつつも、皮革関連業界の経営環境は大変厳しく、たつの市や姫路市等、自治体からの繰り出しが財政を圧迫している。県の助成をさらに増額し、国へは皮革配水処理経費に対する助成制度の創設を引き続き要請すること。

  7. 安倍首相は、消費税率10%の増税分の一部を「教育と子育てにまわす」といいだし、切実な願いを「人質」に10%への大増税を無理やりのみこませようとしている。消費税の8%への増税によって、家計消費は落ち込み、中小企業や商店も大きな打撃を受け、日本経済全体が冷え込んでいる。この上、増税が実施されると国民生活と日本経済、財政にさらに甚大な悪影響をもたらすことは明らかである。10%への消費税増税を実施しないよう国に求めること。

  8. 地域の特性や資源を活用した地産地消のエネルギー対策を中心とした、持続可能な新しい地域振興策をすすめること。そのため、中小企業や農林水産業、地域住民などが主体となる再生可能エネルギー発電施設設置への支援策を創設するなど、予算を大幅に増額すること。

  9. TPPの先行きは、不透明な状況にあるがこれまでの交渉で明らかになっているだけでも、大企業にはより利益をもたらし、中小企業や地域経済には大きな打撃をあたえるものである。TPP(環太平洋経済連携協定)から撤退するよう国に求めること。

  10. 自然災害で被災した中小零細業者にとって、生活と生業、店舗や住宅を一体として再建することが生活再建上不可欠であり、国に対し、被災者生活再建支援法を改正し、商店・店舗も対象にするよう強く国に求めること。また県としても、被災業者への独自支援を行うこと。

  11. 雇用対策について
    1. 国の「働き方改革」は、過労死水準の残業を合法化し、高度プロフェッショナル制度「残業代ゼロ制度」の導入をめざすもので、長時間労働を固定化し、悪化させるものであり認められない。残業上限規制に例外を設けず、「週15時間、月45時間、年360時間」とする大臣告示の法定化とともに、勤務から次の勤務までの間に連続11時間の休憩時間を設けること、長時間労働の温床となっている裁量労働制等の規制強化を国に求めること。
    2. 「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」の実効性を検証するとともに、公契約条例を制定し、県発注の請負・委託を含め末端の下請け労働者にいたるまでの賃金・単価保障をすすめ、経営安定をはかること。
    3. 不当解雇、大リストラなどが自由にできないよう、解雇規制法の制定を国に働きかけるとともに、県においても企業に働きかけること。
    4. 労働者派遣法を製造業への派遣禁止など抜本改正し、有期雇用を規制強化し、非正規雇用を正社員化するよう国に働きかけること。
    5. 中小企業の正社員化をすすめるキャリアアップ助成金の周知とともに、県独自で上乗せをし、推進を図ること。正社員転換の県目標を持つこと。
    6. 最低賃金を直ちに時給1000円に引き上げ、全国一律の制度とするよう国に求めること。また、最賃引上げを日本経済全体を底上げする経済対策の一環として位置づけ、そのために中小企業の社会保険料負担を軽減するなど抜本的な支援策の拡充を国に求めること。また、県として独自の支援策を講じること。
    7. 川崎重工神戸工場での商船建造からの撤退、パナソニック姫路工場の縮小、神戸製鋼所の高炉廃止などにともなう、解雇、大リストラが行われないよう、企業に働きかけること。
    8. 企業の一方的なリストラで住む家を失った失業者に対して公営住宅や雇用促進住宅の活用を引き続き実施すること。
    9. 「離職者生活安定資金融資制度」を、再就職まで返済を据え置くなど、利用しやすい制度に引き続き改善すること。
    10. 「若者しごと倶楽部」で、カウンセラーなど相談員が安定して働けるよう入札制度をあらため、体制の強化を図ること。利用者に対し、憲法で保障された労働者の権利や雇用の義務をしらせるパンフレットの配布など、広報・啓蒙活動を強化すること。
    11. 障害者雇用を促進するため、法定雇用率を守るよう企業に指導すること。未達成企業名を公表するとともに、県の障害者雇用率向上の対策を強化すること。
    12. 女性労働者の社会的進出を支援するため、育児休業制度の取得率向上や、保育所や学童保育の拡充など、仕事と家庭の両立が可能な環境整備を、他の部局とも連携し、促進すること。
    13. 地方労働委員会の労働者代表委員の選任は、特定労働組合の独占でなく、労働組合の構成員数に比例した配分とし、公平な選任を行うよう抜本的に改善すること。

  12. 金融・融資について
    1. 中小企業信用保険法等改正で、業況が悪化している業種に100%の保証を行う制度のセーフティネット保証5号にも80%の部分保証が導入された。利用する中小業者に対する貸し渋り、追加融資等が厳しくなるなどの影響が懸念される。参議院付帯決議にもとづいて、資金繰りに影響が生じないよう万全を期すよう国と金融機関に求めること。
    2. 無担保無保証人融資などの小規模事業融資への利子補給、信用保証料の県独自の補助を行うこと。また、条件変更における保証料負担を緩和させる措置を講じること。
    3. 東日本大震災では2重ローンへの対応、債務の買い取り、免除等が政府で検討されている。県として、阪神・淡路大震災時の「緊急災害復旧資金」について、返済凍結・債務免除等の対策を検討すること。
    4. 県として、信用保証付きの自治体制度融資がまとめられるよう、借換貸付の内容を充実、改善させること。
    5. 「責任共有制度」で、県独自の直接損失補償施策を早急に実現すること。以前の100%信用保証協会保証に戻すよう国に要望すること。
    6. 緊急中小企業対策として、県独自の小口(50万円限度)直貸し制度を創設すること。
    7. 商工ローンやサラ金、ヤミ金、年金担保融資など不法行為、違法行為を警察と連携し厳重に取り締まるとともに、生活福祉資金融資制度の改善など被害者の生活再建になるよう救済をはかること。

  13. 観光施策について
    1. 地域の自然と歴史を生かし、伝統・技術が蓄積されている地元産業の振興と結んだ観光振興を図ること。また、農林水産業と連携し、地産地消の食物と観光をマッチングした対策をすすめること。
    2. 観光客誘致対策は、イベントや一過性のものを中心とするのでなく、世界遺産の姫路城や山陰ジオパークはじめ、地元の持続可能な資源を生かした対策を強化すること。

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