2018年度予算編成にあたっての重要政策提言(8)
第8.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
防災・減災に名を借りた「国土強靭化法」は、財界の要望に沿った大規模開発の復活や拡大を進めるものであり、そのもとで浜坂道路や新名神高速道路などの建設、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路などの調査費など、高速道路網整備に多額の予算がつぎ込まれている。 いま公共事業政策で大切なのは県民の「いのち・安全・暮らし」に必要な事業はなにか、優先すべき事業はなにかを見定めることである。大規模災害から県民の生命・財産を守るために建物やライフラインの耐震化、地すべりなどの危険箇所の対策などの防災対策や、道路橋梁などの維持管理・老朽化対策に力を集中することが求められている。 将来の世代のためにも、莫大な費用を伴う高速道路などの新規建設を抑制し、維持管理・老朽化対策にシフトし、住民生活密着型の公共事業に転換し、中小企業への発注を増やすことが求められる。 - 気候変動の影響で集中豪雨が多発し、大規模な土砂災害が頻発している。土砂災害特別警戒区域の指定を急ぐとともに、砂防堰堤や急傾斜地対策など土砂災害防止対策を抜本的に進めること。
- 南海トラフ巨大地震に備える「津波防災インフラ整備5ヵ年計画」の実施に当たっては、住民への説明を丁寧に行い、県民の意見を広く反映したものとすること。その際、計画に伴う資料及び予算規模等を含めて公開すること。ひきつづき防潮門扉等の電動化、遠隔操作化をすすめること。
- 「ひょうご・インフラメンテナンス10か年計画」に基づく老朽化対策にあたっては、橋梁などの点検の際の専門家不足や、新規建設と同じ基準単価では、採算がとれないため事業所が補修工事に参入できない等の問題点も指摘されている。専門家の育成などで体制を確保し、補修単価の引き上げ等を行うこと。特に点検、調査、事業化にあたっては、民間依存を改め、第3次行革プランによる職員の削減計画を止め、総合土木職、建築職など技術職、専門知識をもった技術職員の養成も行い、十分な人的体制を確保すること。
- 新名神高速道路建設工事で、昨年から今年にかけて死亡事故が4件も発生した。工期を2年前倒しで進めていたことで工事が急がれていた事や、現場の安全対策が不十分であったことなどが指摘されている。
あらためて、2年前倒しの工期に問題がなかったのか、専門的な土木技術を持った作業員の確保など工事の安全対策をすすめるよう西日本高速道路株式会社へ働きかけるとともに、県としても建設工事の安全対策に万全を期すこと。
- 公契約条例を制定し、県発注工事については、県内建設業者への発注をさらに増やし、適正価格により、末端の下請け業者、建設労働者にいたるまで、営業と生活が保障される内容に改革すること。
- 住宅リフォーム助成制度の創設、耐震化補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など、中小建設業者の仕事を増やすこと。
- 鉄道ホームの転落事故防止のためホームドアについては、乗降客1万人以上という基準にかかわらず設置をすすめるよう、国や事業者に求めるとともに、県としても対策強化すること。
- 財政難を加速させる高速道路を中心とした6基幹軸優先の道路政策を転換し、通学路の安全対策や生活道路の改修など住民生活に身近な道路政策に改めること。東播磨南北道路の延伸、新名神高速道路、名神湾岸連絡線、大阪湾岸線西伸部、播磨臨海地域道路、紀淡海峡連絡道路など不要不急の道路計画を中止すること。
また、西宮北有料道路無料化のさらなる前倒しを実施すること。
- 空港事業について
- 神戸空港の運営権が関西空港・伊丹空港を運営する関西エアポート、オリックス、バンシ・エアポートの3社連合へ売却が決定し、3空港一体運営が進められようとしている。また関経連は、「関西3空港懇談会」を再開し「規制緩和」にもとづいて、3空港の役割分担を再検討する方向であるが、伊丹空港、神戸空港の運用制限と発着枠を厳守するなど、安全・環境対策に万全を期すこと。
- 神戸空港及び関西国際空港2期に対する県の補助金や出資をやめること。関西国際空港と神戸空港を結ぶ「海底トンネル構想」は、計画を中止すること。
- 但馬空港については、毎年5億円以上の県の財政支出に加えて、但馬地域の各市町も多額の負担を強いられている。今後の需要拡大の見通しもない中で、空港のあり方について、抜本的に見直すこと。
- 港湾について
- 姫路港管理整備計画については、広畑港区での需要見込みのない大水深岸壁整備はやめること。悪臭・粉塵が舞い散るバラ貨物の拠点化を広畑港区で行わないこと。
- 県内すべての重要港湾に「非核神戸方式」を採用し,核艦船の入港を拒否すること。
- 路線バスやコミュニテイーバスへの県単独補助の削減するのではなく拡充し、県民の生活権を守ること。
- 神戸電鉄粟生線については、住民の足・公共交通を守るため、路線存続のための支援を継続し、運転本数などを利用者のサービス向上になるよう働きかけること。
- 武庫川水系河川整備計画とダムについて
- 今後20年間、ダムに頼らない総合的な治水計画がつくられたが、その後においても、武庫川流域のダム計画はきっぱりと中止すること。
- 総合治水対策のなかで、将来の分担量目標が極めて低く設定されている。千刈ダムの治水活用へ向けての取り組みが始まったことは大きな前進だが、流域対策の目標量を引き上げ、抜本的に強化すること。
- 河床掘削や堤防補強など、武庫川の安全対策は十分にすすめること。その際、住民合意を重視すること。
- 天然鮎の遡上できる川に再生するための対策をすすめること。
- 河川整備・治水事業について
- 国は、水防法を改正にともない国管理河川のハザードマップ見直しを行った。県管理河川についても新たにハザードマップの見直しを早急に行うこと。
- 毎年被害が増加している記録的豪雨対策について、調査・研究を進め、調整池や下水対策など予算を大幅に増やすこと。
- 河川整備については、下流からの改修だけにこだわらず、堤防の補強や危険箇所の改修を優先して安全を守ること。また、生態系の保全など、環境を守る事業も重視すること。
- 県営住宅について
- 安全で低廉な家賃の県営住宅の建設はさらに必要度を増している。「ひょうご県営住宅整備・管理計画」にある管理戸数削減・住宅集約化計画をやめ、新規の県営住宅建設や民間住宅を借り上げるなど対策を拡充すること。
- 減免制度の算定が課税所得から世帯の年間収入に基づく計算に変更がされ、家賃が大幅に引き上げられた入居者が多数発生している。家賃引き上げにつながる減免制度改定を撤回すること。
- 一般会計の繰り入れにより、外壁補修などの計画補修、空家補修等の予算を大幅に増やし、部分補修や改築、エレベーターの設置など計画を立て、積極的におこなうこと。
- 民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスが低下している。県が管理運営に責任を持つようにし、指定管理制度をやめること。入居者が低所得者であることに配慮した駐車料金にすること。
- 介護や在宅療養が必要な入居者について、居住面積などを配慮すること。
- 公営住宅の入居承継基準をもとに戻すこと。
- UR借上住宅住み替え問題については、希望者全員の継続入居を認めること。
- 青年や新婚世帯、子育て世代、高齢者、障害者、低所得者向けに「民間賃貸住宅家賃補助制度」をつくること。
- 企業庁の事業について
- 地域整備事業については、事業ごとに過年度も含めて収支、資産負債状況、事業内容がわかるようにする事。また、先行取得用地をはじめ、用地全てについて時価、含み損も含めて県民に明らかにすること。
- 安すぎる工業用水料金を改定し、大幅に値上げするとともに、将来見込まれる水道料金減、工業用水不足対策として、企業庁(工業用水道事業者)が供給する工業用水については、飲料用水としての使用を禁止すること。
- 高い県水を市町に押し付けないこと。水道事業の市町連携にあたっては、市町の自己水源を確保するための技術支援、財政支援を行い、安易な広域化は進めないこと。
- (株)夢舞台事業を抜本的に見直すこと。天下り役員ポストをなくすこと。
- 国の直轄事業負担金の全廃を国に強く求めること。
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