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2006年09月08日

2007年度予算編成にあたっての重要政策提言


  1. 高齢者・障害者など、社会的弱者の負担増の軽減を

  2. 少子化対策、とくに青年の雇用問題の対策強化を

  3. 県民のくらしと福祉を第一にする県政へ

  4. 憲法と平和を守る県政へ

  5. 住民本位の震災復興・防災対策強化のために

  6. 真の地方自治・地方分権のために

  7. 地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を

  8. 大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ

  9. 環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために

  10. 子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を

  11. 文化・スポーツの振興のために

  12. 警察行政について


小泉内閣がすすめてきた「構造改革」は国民に大きな負担増を押しつけ、くらしを直撃、県民は悲鳴をあげています。県・市民税、国民健康保険料、介護保険料の通知が県民に届けられて以来、各市役所、区役所、町役場には高齢者の方々が、2〜3倍はおろか10倍も負担が増えたとの抗議や問い合わせなどが殺到しました。さらに、年金、医療など社会保障制度の大改悪も加わりかつてない負担増となっています。
このような国民いじめの政治に対する県行政の役割は、防波堤となって県民の苦しみを取り除くために、国にはっきりとものを言うことが必要です。また、本県では「県民緑税」の新たな税収も含め132億円もの増収が見込まれているとき、県として各種の減免制度の創設など負担軽減を図ることが早急に求められています。
来年度予算編成にあたり、何より県民のくらし優先の予算に切り替えることこそ重要です。ところが、但馬空港の滑走路延長や播磨臨海地域道路建設などムダな公共事業を相変わらず進めようとしています。
これだけ県民が負担増に苦しんでいるときに、松下プラズマディスプレイへの補助のあり方、神戸製鋼(株)のばい煙等データ改ざん問題にたいする大企業優遇の甘い姿勢が続いています。
また、平和憲法を守るべき県が、先日3度目の米軍艦の姫路港への寄港を許可したことは、県民にとって許されない行為です。
いまこそ本来の地方自治体に課せられた役割を担う兵庫県政への転換を図るべきです。
以下、2007年度の予算編成に当たり、12本の柱、141項目による「重要政策提言」を行うものです。

なお、知事はじめ県幹部と与党県議の意見交換会などで会食費として、公費が使われ、住民監査請求がなされたとの新聞報道がありました。
県民に全容を明らかにし、税金の使い方をただしていくべきことを申し添えます。



第1.高齢者・障害者など、社会的弱者の負担増の軽減を

昨年から年金生活者世帯などの高齢者の所得税が増税され、今年度は市県民税が数倍から10倍の増税となっている。また、連動して国民健康保険料や介護保険料も値上げとなっている。「雪だるま」式とも言える負担増や県営住宅家賃値上げは、高齢者の耐えられる限度をはるかに超えたものである。
また、4月から施行された「障害者自立支援法」は、原則一割の応益負担による負担増で、サービス利用の中止する障害者が続出し、「自立を阻害している」「看板に偽り」と批判が出されている。
よって、県として以下の取り組みを行うことを求める。
  1. 県税の収入増分を、高齢者などの負担軽減や福祉の向上のために振り向けて使うこと。
  2. 高齢者の大増税を、今後も含めて中止するよう国に求め、県として以下の措置を行うこと。
    1. 急激な増税となる高齢者世帯に対する県税の減免措置を新たに創設すること。
    2. 介護保険料や国保料の急激な負担増を軽減するため市町への県費補助をおこなうこと。
    3. 県営住宅入居の高齢者への大幅家賃値上げを中止し、減免制度を拡充すること。
  3. 障害者自立支援法による応益負担の撤回と制度の見直しを国に要望し、以下の県独自施策を行うこと。
    1. 障害者自立支援法による影響の調査を行うこと。
    2. 利用者負担の軽減や施設の運営費補助を県独自に実施すること。
    3. 小規模作業所への県補助を継続・拡充すること。
    4. 自立支援医療の自己負担の軽減をはかること。

第2.少子化対策、とくに青年の雇用問題の対策強化を


本県における合計特殊出生率は、昨年の1.24から1.20に下がるなど、少子化傾向は、いっそうすすんでいる。今こそ安心して子どもを生み、育てることのできる条件づくりが求められている。
なかでも、不安定雇用の増大が、「結婚できない」「子どもを産みたくても産めない」若年世代を拡大させている。しかし県は、松下プラズマディスプレイ工場への雇用補助にみられるように、むしろ不安定雇用を増やし、少子化対策に逆行している状況をつくり出している。
青年の雇用の改善をはじめ、少子化対策への本腰を入れた以下の取り組みを求める。
  1. 若い世代の雇用において、不安定雇用を減らし、正規雇用の拡大や仕事確保のための施策を抜本的に強化すること。
    そのためにも、県職員、教員等の採用にあたっては、正規雇用を増やすこと。
    非正規(パート・派遣など)の賃金や労働条件の向上を、県下の経済界や企業に働きかけること。
  2. 新婚世帯、子育て世代に対する民間住宅家賃補助制度を創設し、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。
  3. 子育て世代の経済的負担の軽減のため、乳幼児医療費公費助成制度を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
    また、保育料を軽減する制度を創設し、教育の無償化をすすめること。
  4. 産科医不足を解消し、出産費用を補助する制度を創設し、どこでも安心して出産できる医療体制を確保すること。
  5. 保育所待機児童を解消するため、保育所を増設すること。
  6. 認定こども園制度の条例化にあたっては、すくなくとも現在の保育水準を維持する基準を明確にした条例にすること。
  7. 学童保育(放課後児童健全育成事業)について、小学校高学年や障害児の受け入れ、施設の充実、父母の負担軽減などの取り組みをすすめること。

第3.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ

国の税制改悪の影響で、非課税世帯があらたに課税対象となるなど、課税強化が強行され、県民のくらしは一層苦しいものとなっている。県民が安心して暮らせるため、福祉・医療の充実を図ること。
  1. 安心してかかれる医療のために
    1. 診療科の閉鎖など、住民・患者の命と健康を脅かしている医師不足の解決のため、国に対して医学部の定員増など医師数を抜本的に増やすことを国に要望し、深刻な小児科・産科については、県として市町や大学病院と協力して、必要な医師数を確保できる特別の体制をとるなど、問題解決に全力をつくすこと。
    2. 1次・2次医療を、一元的に受け入れることができる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。
    3. リハビリを続ける患者の生活能力を奪うことになるリハビリの保険診療日数の制限について、国に中止を求めること。
    4. 今回の「診療報酬の改定」で、現在全国38万床ある療養型病床を15万床へと削減し、23万床を老健施設へ転換または廃床とし、介護適用療養病床は全廃することとなった。
      病院を追われても施設・在宅の受け入れ不可能な、行き場のない高齢者・「介護難民」が多数発生することが非常に危惧されている。
      国に療養型病床の削減は行わないことを強く求めること。
      また、介護難民を出さないために、特養ホームをはじめとする介護施設整備を抜本的にすすめること。
    5. 子育て支援の重要な柱である乳幼児医療費公費助成は、通院・入院とも義務教育終了まで無料化し、「こども医療費公費助成制度」として発展させ、所得制限もなくして完全無料化を図ること。(再掲)
    6. 老人医療費助成、母子家庭医療費助成、重度心身障害者医療費助成の各事業は2005年7月以前の助成水準を復活すること。
  2. 国民健康保険について
    1. 県の市町に対する国民健康保険の助成金を増額すること。
    2. 保険料の滞納を理由とした「保険証未交付」や「短期保険証」「資格証明書」の発行でなく、全ての加入者に正規の保険証を交付すること。
    3. 国保法第44条にもとづく医療費(一部負担金)の減免制度を県内全ての市町で実施するよう指導すること。
      また、医療費一部負担減免制度を周知徹底すること。
  3. 安心できる介護保険制度にするために
    1. 県独自の保険料・利用料減免制度を創設すること。
    2. 要支援1・2、要介護1の高齢者の介護予防福祉用具の貸与の打ち切りなどによる「介護とりあげ」をさせないよう、県独自支援を行うこと。
    3. 国の介護保険制度の改定による「要支援1」「要支援2」など予防給付事業において家事サービス等の利用が抑制、縮小にならないようにすること。ヘルパーの訪問介護を拡充し、負担の軽減を図ること。
    4. 予防給付における介護保険除外の事業を市町が実施する場合県の独自補助を実施すること。
    5. ホテルコスト、食費の全額自己負担の導入により支払い困難な施設利用者に対して支援策を講じること。
    6. 特別養護老人ホームの入所待機者の解消のため、必要な施設の増設を引き続き行うこと。
  4. 保育所待機児童を解消するため、保育所を増設すること。
    また、認定こども園制度の条例化にあたっては、すくなくとも現在の保育水準を維持する基準を明確にした条例にすること。(再掲)
  5. 児童の一時保護所を各子どもセンターに設置するとともに、子どもセンターの専門職員の増員をおこなうこと。また、民間児童養護施設への支援を強化すること。
  6. DV対策は、専門職員を増やすなど、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。同時に民間シェルターへの助成を拡充すること。

第4.憲法と平和を守る県政へ

首相の靖国神社参拝問題は、中国や韓国などアジア各国だけでなく、アメリカ・欧米諸国からも厳しい批判の声があがっている。戦後日本の出発点を国際的に否定することになり、深刻な外交のゆきづまりに陥った。自民党は憲法改悪草案を発表し、民主党も歩調をあわせて先の国会に国民投票法案、教育基本法改定案を提出した。憲法9条を変えて、戦争する国づくりへと突き進むなか、日本国憲法を守り、憲法を生かした県政こそ重要になっている。
  1. 首相および閣僚の靖国神社の参拝について反対すること。
  2. 憲法9条を守り、国民投票法案に反対すること。
  3. 教育基本法の改定に反対すること。
  4. 市町の国民保護計画については自主性を重んじ、住民の人権を制限しないものとすること。
  5. 県として「非核兵庫県宣言」を行い、核兵器保有や核開発に反対する意思表明すること。
    イラク戦争などに参戦した米軍艦の姫路港入港は、県民の安全をいっそう脅かすもので、断じて認められない。非核「神戸方式」の役割を否定する発言を撤回し、県管理のすべての港湾に非核「神戸方式」を適用し、非核証明書のない軍艦の入港を認めないこと。
  6. 米軍ジェット機の低空飛行訓練の中止を国に強く求めること。
    伊丹でおこなわれる予定の違憲の軍事演習である日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」の中止を求めること。この演習への自治体危機管理担当者の参加をさせないこと。
  7. 日本香住沖での自衛隊のミサイル実験は、何の通知もなく、漁民は命の危険を感じて避難するほどだった。今後、漁業の操業区域での軍事訓練を行わないよう国に求めること。

第5.住民本位の震災復興・防災対策強化のために

震災からまる10年を経過したが、住宅再建への支援や被災高齢者、低所得者などに対する震災復興対策事業の継続が求められている。
また、防災計画は災害が起きたときの対策だけでなく、東南海、南海沖地震など今後の災害による被害を最小限におさえるための対策をより重視するものに見直すことが必要である。
  1. 災害援護資金貸付金の支払い免除要件について、借受人、保証人ともに破産している場合、または著しく生活に困窮し徴収が困難な場合も支払い免除対象になるよう国に要望すること。
  2. 震災復興対策事業の打ち切りや一般施策への解消は中止し、SCSや緊急災害復旧資金融資などの生活再建支援、中小企業支援の震災復興対策事業の水準を維持、拡充すること。
  3. 被災者生活再建支援法は、支給条件の緩和、支給金額の大幅増の抜本改正となるよう、国に働きかけを強めること。
    県単独の被災者上乗せ支援金を復活し、さらに充実すること。
  4. 民間住宅の無料耐震診断の復活と、耐震化補助を100万円程度に拡充すること。
  5. JR列車事故など交通安全対策について
    事故を起こしたJR西日本株式会社の「もうけ第一」の姿勢は、改まっているとは言えず、県民の大量輸送機関に対する信頼は回復できていない。今回の事故被害者対策に万全を期するとともに、再発防止策を早急に確立することを強く求める。
    1. 犠牲者の遺族や負傷者・家族が補償を求めて交渉を行う際、被害者の立場に立って誠意を持って対応すること。
    2. JR西日本に対して安全第一・人命優先とするよう、当面、以下を強く求めること。
      ア新型ATSを早急に全施設に設置するなど、安全対策を最優先すること。
      イ一部実施された「ダイヤ改正」はまだまだ不十分であり、全線にわたりさらに「ゆとりあるダイヤ」への改正を早期に実施すること。
      ウ人員削減計画を止め、安全第一のために必要な職員配置をおこなうこと。
      エすべての駅・ホーム、踏み切り等の安全点検と、障害者など「交通弱者」の声を反映した安全対策を実施すること。
    3. JR以外の県内すべての鉄道事業者に対して、踏み切り施設等の安全点検と、「安全第一」を実現するための具体的な対策を実施するよう強く求めること。

第6.真の地方自治・地方分権のために

小泉自公政権は「三位一体改革」で、地方自治体の「構造改革」、自治体リストラを強行してきた。国庫補助負担金の一般財源化や「交付税の財源保障機能全般についての見直し」などで、国の支出の大幅な削減を図り、財源移譲を十分にしていない。
真の地方自治・地方分権をすすめるためにも、情報公開を積極的に行い、県民参加を保障する県の役割が一層求められている。
  1. 義務教育国庫負担制度や生活保護費など、住民の福祉や教育サービスの削減につながる国庫補助負担金制度の縮減に反対すること。
  2. 地方自治破壊につながる「道州制」に反対を貫くこと。
  3. 「三位一体改革」で交付税は5兆円も削減され、地方自治体の財政運営が大変厳しくなっている。国の自治体の人口・面積を基本に配分する新型交付税を来年度から導入し、いっそう交付税を削減しようとしているが、交付税の財源保障機能と財政調整機能を堅持し、削減でなく増額を国に要求すること。
  4. 県は「参画と協働」をすすめるとしているが、のじぎく療育センターの縮小・廃止問題で、父母・職員などの関係者や県民の意見を聞かずに一方的に廃止・縮小を強行したことは許されない。県の意向に沿った意見は取り入れるが、反対の意見は無視するなど、「参画と協働」とは程遠い姿勢を改めること。

第7.地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を

経済のグローバル化がすすむ中、国内の地域経済や雇用は厳しい状態が続いている。正規雇用数が過去最低に、非正規雇用数が過去最高になり、とりわけ、青年労働者や女性労働者の半数が非正規職員で、低賃金、無権利状態にある。労働者の生活と未来を脅かすだけでなく、技術の継続的な蓄積がされず日本経済の将来にも深刻な影響をもたらす。地域住民の生活に軸足をおいた持続可能な地域産業政策が強く求められている。住み続けられ、働き続けられる地域社会づくりこそ経済再生の土台である。

T 雇用対策について

内閣府の「労働経済白書」では、労働法制の「規制緩和」により、派遣・契約・請負・パートなど非正規雇用が急増し、若者の2割は年収150万円以下など、低賃金、無権利状態にある。「格差社会が固定化、再生化される」と懸念されている。職場では、成果主義賃金の導入で、競争があおられ、過酷な労働条件となっている。人間らしい労働、技術の継続的な蓄積や日本の将来にとっても重大な問題である。
地域に軸足をおいた中小企業を応援し、持続可能な地域経済振興策が強く求められている。

  1. 松下プラズマディスプレイ尼崎工場などへの「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」について
    1. 補助金に該当しない不安定な「請負」雇用への変更にたいしては、補助金の全額返還を求めること。
    2. 会社に対し、違法な雇用をやめ、期間を限定しない正規雇用を強く求めること。
    3. 補助金を抜本的に見直し、正規雇用や中小企業への手厚い支援をする産業政策を転換すること。
  2. 若い世代の雇用において、不安定雇用を減らし、正規雇用の拡大や仕事確保のための施策を抜本的に強化すること。
    そのためにも、県職員、教員等の採用にあたっては、正規雇用を増やすこと。
    非正規(パート・派遣など)の賃金や労働条件の向上を、県下の経済界や企業に働きかけること。(再掲)
  3. 県民生活と地域経済に深刻な影響を与える企業の一方的なリストラ・配転、工場閉鎖を行わないよう、県として企業に強く働きかけること。
  4. 成果主義賃金やサービス残業などをやめるよう企業に働きかけるとともに、生活を保障するため、最低賃金を大幅に引き上げることを国に求めること。
  5. 労働者に「働く権利」を周知するため、労働関係法をわかりやすく解説した「ポケット労働法」(仮称)を、配布すること。

U 中小企業支援について

  1. 企業誘致への莫大な税金投入など大企業偏重でなく、地域に根ざした中小商工業や地場産業の「ものづくり」などを抜本的に支援する施策を産業施策の中心にすえること。
  2. イオン伊丹西ショッピングセンターなど、新まちづくり3法の改定趣旨に反して、旧法にもとづく「かけ込み出店」に対して、地域住民、自治体の声を聞き、出店反対を表明すること。
  3. 住宅リフォーム助成制度、小規模工事登録制度を創設し、中小建設業者の仕事おこしを進めること。
  4. 金融機関からの貸し渋りのため、やむなく高利のまち金融に手を出した被害者が後をたたない。県として、中小企業への融資を促進し、地域経済活性化を推進する立場で支援を強化するともに、信用保証協会を指導し、金融機関にも強く要望すること。
  5. 出資法の上限金利を、例外なく利息制限法の制限金利まで早急に引き下げるよう国に求めること。
  6. 地域経済を支える中小企業の果たす役割を明確にするため、中小企業・地域経済振興条例を制定すること。

V観光施策の充実

  1. 兵庫県で唯一の世界文化遺産「姫路城」をその値打ちにふさわしい位置づけを行い、国際観光対策を行い、国内はもとより国外からの観光客誘致をすすめること。
  2. 観光振興の取り組みにあたっては、地域の魅力を最もよく知っている地域住民の人たちの声を良く聞いてすすめること。

W農林水産業について

今年3月に策定した「ひょうご農林水産ビジョン2015」は、輸入自由化を前提として、大多数の家族経営を切り捨て国内農業を市場万能主義に全面的にゆだねる国の「担い手経営安定新法」を容認し、無批判に追随したものである。西日本随一の農業県である本県において、多くの県民と農家が求める農政の立て直しと食糧自給率向上のために、根本的な農政の転換を国に求めるとともに、県としても「ビジョン」の見直しを行い、具体的施策を講じること。
  1. 外国依存の食料政策をやめ、日本の米を自由化対象から外すなど農業協定を改定させ食料主権を回復し、当面食料自給率50%実現を農政の中心課題とするよう国に求めること。
  2. 農林水産業を県の基幹産業にふさわしく位置づけること。また、土木事業偏重を改め、農産物の価格補償に重点を置きすべての農家の所得保障を行うこと。
  3. 米価を最低でも60キロ2万円で下支えする制度の確立や、主な農産物の再生産を補償する水準での農産物価格を実現すること。地域農業を守るために、担い手を大規模経営などに限定せず集落営農や家族経営など大多数の農家を支援の対象にすることなどを国に求めるとともに県としても独自に施策を講じること。
  4. 地産地消をすすめるため、すべての小中学校で給食の実施や、地元産の農水産物利用のため支援の拡充、早期に米飯給食を週3回以上にするための補助金増額など教育委員会や関係団体などと連携すること。
  5. 米国産牛肉の輸入再開が強行されたが、米政府にあらためて全頭検査、危険部位の除去を強く求めるとともに、輸入された牛肉すべての厳格な検査と情報の徹底した開示をあらためて政府に要請すること。県は全頭検査は堅持すること。
  6. 畜産・酪農農家の後継者不足や経営の安定強化に向けた支援を強化するとともに、畜産公害抑制と堆肥利用の有機農業推進のため、施設改善や技術・資金の支援策を講じること。
  7. 一昨年の台風による被害の復旧事業を早期に完了すること。また、被害がさらに拡大していることから、単なる「復旧事業」にとどまらず、災害防止の観点から、農地やため池の崩壊や風倒木の被害を未然に防ぐ万全の措置を視野に入れ、治山、治水、ため池の管理など自然災害への対策を日常的に強めること。
  8. 林業の振興と森林の多面的な機能発揮のためにも、林業政策の抜本的転換を国に求めること。徐伐・間伐など森林整備の支援や県産材の活用促進のため、課題解決の実践的な研究やとりくみを拡充すること。
  9. イノシシ、熊、シカなど野生動物の被害をくい止めるための研究を強め、生態系をとりもどす根本的な対策をとること。またアライグマやブラックバスなどの外来種の駆除・防止対策を抜本的に行うこと。
  10. 水産物の自給率も低下し、輸入魚介類の増加は漁業経営を圧迫している。資源の枯渇解消、休漁補償と資源管理対策の強化で水産物の自給の向上をはかること。
    豊かな瀬戸内海をとりもどすため、ノリの色落ち対策や、漁場の荒廃・破壊につながる産業廃棄物の海上不法投棄防止のため万全の対策を取るとともに、干潟・藻場の再生など総合的な再生事業を目標を明確にしてすすめること。


第8.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ

 不要不急の大型公共事業は、抜本的に見直し「つくるからつかう」を文字通り実施し、公共事業優先の県政を改めること。

T 公共投資の抜本的見直しを行うために

  1. 来年度の予算編成に当たっては、3400億円の優先確保枠を廃止し、予算を大幅縮小するとともに、生活密着型中心の事業に転換すること。
  2. 「談合防止」のための入札の改善
    1. 中町土木における「官製談合」の教訓を踏まえ、入札担当者と業者の癒着を起こさない再発防止策を行うこと。
    2. 流域下水道事業における落札率・平均97%、最高99.8%にみられるように、県の発注した公共事業の高落札の事例については、直ちに談合の有無などの調査を行うとともに、内容を県民に明らかにすること。
    3. 県幹部職員の天下りを全面禁止すること。
  3. 「公共事業等審査会」は、本来の役割を果たすことができるよう、公募委員の参加や傍聴など県民に公開するとともに、住民からの対案提出の機会保障と検討の義務付けなど抜本的改善を行うこと。
  4. 企業庁地域整備事業は、県民誰もが理解できるような会計制度とするため、各プロジェクトごとの収益収支状況の公表を行うこと。これ以上の拡大をせず、播磨科学公園都市、ひょうご情報公園都市、宝塚新都市等は抜本的見直しを行うこと。

U ムダで環境破壊につながる大型公共投資事業は中止すること

  1. 道路事業について
    1. 高規格道路偏重の道路行政をやめ、第2名神高速道路は建設中止すること。
    2. 投資規模が莫大で採算見通しもない紀淡海峡連絡道路建設計画を中止し、その建設推進をめざす「大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会」への参加や税金負担をやめること。
    3. 費用対効果や採算性、環境問題などの多くの問題点のある播磨臨海地域道路計画は中止し、現行道路の渋滞箇所の調査、対策をすすめること。
  2. 空港事業について
    1. 神戸空港や関西国際空港第2期工事など、採算の見通しもなく環境に甚大な影響を与える空港建設への補助金支出や出資をやめること。
      また、神戸空港と関西国際空港を結ぶ海底トンネル構想は中止をすること。
    2. 開港から12年前を迎えた但馬空港は、毎年4億円を超える税金を赤字補填や維持・管理に費やし、県民負担を強いている。これ以上の無駄を重ねることなく、滑走路の付け替え・延長計画を中止すること。
  3. 河川整備・ダム事業について
    1. 武庫川治水に対して、武庫川流域委員会が提言した内容を尊重し、「武庫川ダム」ありきの県の姿勢を改めること。
    2. 但馬・丹波地域で進めている「生活貯水池ダム」や西播磨の金出地ダムなどの計画は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不十分であり、計画を見直し、中止すること。
    3. 河川整備のあり方については、堤防の補強、危険箇所を改修して治水レベルをあげる、生態系の保全など、環境と安全に配慮した事業とするなど、抜本的に改めること。
  4. 県営住宅について
    1. 「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画(改訂)」による2000戸削減計画でなく、県民のニーズに応じた増設を、民間借り上げを含めて行うこと。
    2. 県営住宅の家賃の急激な値上げに対する激変緩和対策を行い、減免制度の充実などの拡充を行うこと。
    3. 明舞団地でのはじめての指定管理者による県営住宅の管理によって、改修の要望にこたえないなど、住民サービスが後退している。指定管理者による管理運営の拡大について再検討を行い、県が公的な責任を果たすこと。
    4. 県営住宅空家補修予算を大幅に増やし、県住応募者や当選者が入居できるようにすること。また、快適な入居環境を確保するため改築・改修など積極的に行うこと。
  5. 高齢者や障害者も住みやすいバリアフリーのまちづくりの促進
    1. 生活道路を整備するための予算を大幅に増額すること。特に、都市部を中心に安全な歩道整備など交通安全対策やバリアフリー対策を中心とした道路行政を実施すること。
    2. 鉄道駅舎のバリアフリー化の年次計画を早急に策定し整備すること。

第9.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために


持続可能な経済・社会のために、温暖化ガス削減を実現する対策など地球環境の保全とともに、深刻な社会問題となっているアスベスト対策をはじめ自動車公害等による大気汚染やPCB対策、公害被害者対策などに真剣に取り組む必要がある。
  1. 神戸製鋼のばい煙等のデータ改ざんについては、再発防止のためにも厳正な処分を行うとともに、企業負担で生活被害や健康被害の調査と、希望者全員の健康診断を行うこと。また県・市の監督とを抜本的に強化し、行政の役割を果たすこと。
  2. 石綿(アスベスト)被害対策について
    1. 石綿新法によるきわめて不充分な救済内容を改善するため、まず国・企業の責任を明確にすること。
      また、国・企業の責任と負担ですべての健康被害者に対し、充分な補償と救済を行うよう国に要望すること。
    2. 公共施設、特に学校施設に使用されている石綿の完全撤去を徹底するとともに、除去作業にあたっては飛散防止対策に万全を期すこと。
    3. 除去および石綿使用施設の解体、撤去作業等における被害発生防止対策について県民に完全徹底・実施を義務付けること。また、解体時は、作業従事者はもとより、周辺住民にも作業内容を周知徹底すること。
    4. 民間建築物にかかるアスベスト除去費用に対する補助制度を県としてつくること。
  3. 地球温暖化対策について(京都議定書)
    地球温暖化防止のための「京都議定書」を実践するためには、温暖化ガス排出量の8割を占める産業・公共分野の思い切った削減対策を国だけでなく地方においても実行すること。とりわけ本県においては削減の総量を明確にした上で、開発事業の抑制を行うこと。また、すべての事業において総合的環境アセスメントを実施するなど実効ある対策を行うこと。
  4. 自動車NOx・PM法対策について
    1. 対象地域への排出不適合車の流入規制をさらに徹底すること。大型車流入制限のためのロードプライシングをさらに強化・実施すること。
    2. 国道43号、阪神高速神戸線における大型車の通行台数削減を強化するため、国との協議を行っている地元公害患者の意向が十分に反映され、早期に削減目標や実施方法が確立できるよう、国・阪神高速道路公団に強く働きかけること。
    3. 中小事業者に過大な負担がかからないよう、車の「買い換え」への財政支援や「後付装置」の開発促進などの支援対策をさらに強化すること。
  5. 猪名川流域、北但馬広域、西播磨広域ゴミ処理施設等の建設計画を凍結し、広域ごみ処理計画を住民本位に見直すこと。
  6. 「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」を厳格に実施すること。とくに、排出事業者の責任の明確化、監視・指導体制の強化、企業責任を明確にしたリサイクルの徹底など環境を守るための抜本的な対策を講じること。
    また、条例施行前の不法投棄についても、条例に準じた対策をすること。

第10.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を


いじめや不登校、学級崩壊など、学校教育の現状は引き続き深刻である。要因は様々だが、根底にはゆき過ぎた競争と教育のゆがみがある。
今こそ教育基本法と子どもの権利条約を生かし、子どもの発達と成長を中心にすえる教育が求められている。
  1. 教育基本法を「改正」しないよう国に求めること。
  2. 35人学級を、小学校3年生以上、中学校に広げること。また、少人数学級による効果を一層発揮できるようにするための研究、交流の取り組みを行うこと。国に少人数学級実施の予算を要求すること。
  3. 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。
  4. 「高校改革」について
    1. 地元住民の合意も無い、一方的な統廃合や、総合学科や単位制導入、学級数減の強行を白紙撤回すること。
    2. 阪神間および明石学区の総合選抜制度を堅持すること。
    3. 県立高等学校長期構想検討委員会には、公募委員や県民推薦の委員を加えるとともに、会議そのものは県民が傍聴できるように公開して行い、傍聴者の発言や意見書提出を認めること。
      また、地域ごとに公聴会をおこない、十分に県民の声を反映させる取り組みとすること。そのためにもわずか5回で審議を終えるような審議日程を変更すること。
  5. 入試制度の変更、学区の変更など、重要テーマについては、法の趣旨通り、県教育委員会会議の議決事項に改めること。
    また教育委員会への請願は、教育委員会議の場にはかり審議するよう、ただちに改めること。
  6. 日本の教育の異常な高額費は、国連からも世界の流れに逆行するものとして改善が求められている。
    1. 経済的理由で就学困難な児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めること。
    2. 県奨学金制度については、外郭団体への委託は中止し、手続きの簡素化と給付制度の創設など拡充を行うこと。
    3. 定時制高校への給食費の予算削減は復元し、より充実したものにすること。
    4. 私学助成の増額を行うこと。
  7. 全ての学校施設の耐震工事を早急に実施すること。期日・目標を明確にして学校施設の改修をすすめること。エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。
  8. 障害児教育については、生徒の増加により深刻な問題となっている養護学校の教室不足や長時間通学を解消するため、養護学校、特に阪神間での建設を急ぐこと。
    また、「特別支援教育」への移行に当たっては、専任の教員の配置などを含めて教育条件の向上を図ること。
  9. 兵庫県立大学の運営については、独立行政法人化をすすめるのではなく、大学の自治を守り、公立大学本来の役割を発揮し、学問と研究の自由を守り充実させること。
  10. 成果主義賃金につながる教員評価制度を今後も導入しないこと。

第11.文化・スポーツの振興のために


文化・スポーツの振興のためには、県民が生活の中で文化・芸術を楽しみ、スポーツに親しむことができるような県の支援が必要である。
  1. 県民の文化・芸術活動を保障し、発展させるため「文化・芸術振興基本条例」を制定すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。
  2. 県下各地域の歴史的・文化的遺産の調査・保存と県民鑑賞の保障をはかること。
  3. 低廉で使いやすい文化・スポーツ施設を数多く設置するとともに、障害者が気軽に使える施設整備をすること。
  4. 学校プールや公営プールの排水口安全点検における取り組みを反省し、安全最優先の立場から全施設の再点検を行うこと。

第12.警察行政について


県民の安心・安全を保障するべき県警察への要望がいちだんとたかまっている。県民の生活を守り、信頼を得るために絶えざる検証と改革を実行し、警察刷新を進めることが求められる。
  1. 大学院生殺害事件、姫路2女性殺人事件はじめ、全国的にも警察の初動捜査の誤りが重大な犯罪につながっている事件が連続している。あやまりを反省し、教訓化して再発防止を図ること。
  2. 明石花火大会歩道橋事故をめぐる裁判は終結したが、雑踏警備についての第1義的な責任は警察にあることは明らかであり、今後も引き続きその責務を果たすために全力をあげること。
  3. 交通事故対策の強化について
    1. 信号機のない交差点に信号機を設置し、事故をなくすため予算を抜本的に増額すること。
    2. 歩行者安全エリアを全県に拡大していくため、今後の計画を早期につくり実施すること。
  4. 県下の「山口組」を始めとする傘下暴力団員および同準構成員数はこの10年来最大になっており、傷害・暴行、覚せい剤、窃盗、恐喝など、暴力団犯罪も依然として多発し、治安悪化の最大の要因となっており、平穏な県民生活を脅かしている。徹底して取り締まりを強化し、根絶すること。
  5. 依然として発生している県民の行うビラ配布や署名活動に対する警察の干渉、妨害する行為は「言論・出版の自由」を侵害するものである。
    警備公安偏重から県民の基本的人権を守り、市民生活を守る本来の警察行政にたちかえること。
  6. ますます被害が拡大しているヤミ金・振り込め詐欺・架空請求など経済事犯やDV・児童虐待・ストーカー犯罪など生活安全に関わる対策を人的体制も含め充実、強化すること。
  7. 廃止された交番所については解体は急がず住民の要求をきくこと。
  8. 公安委員会が県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすすめること。
  9. 改正道路交通法にもとづく駐車違反取締りにあたっては、配達業など5分以内にもどることができないなどやむをえない事業がある場合は、配慮を行うこと。
  10. 交通安全協会等にたいする警察幹部の天下りをやめること。

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