保護者・生徒、地域住民の声聞いて!
県の「高校改革」に各地で住民が自主的とりくみ
(7月25日付け「兵庫民報」より)
芦屋市内から普通科高校がなくなる 兵庫県教育委員会がすすめる「高校改革」について各地で不安の声が起こっています。 県教育委員会は、来春に県立芦屋高校を普通科から単位制へ改編することを急きょ発表しました。 芦屋学区には、県立芦屋高校の他に市立芦屋高校、芦屋南高校に普通科が置かれていました。しかし、芦屋南高校は昨年春から募集停止し、中高一貫の国際学校と単位制の国際高校という新しい学校に改編されています。市立芦屋高校は来年春の募集を行わず、廃校となることが決まりました。芦屋市内の普通科高校は県立芦屋高校だけになり、二〇〇五年春から学区も神戸第一学区との統合が予定されていました。芦屋市の中学生と保護者の間には、学区の統合で普通科高校の選択幅が増えることへの期待もあるものの、競争の激化や遠方への通学などに不安の声がありました。
今年三月、県教育委員会は県立芦屋高校の単位制への改編を神戸・芦屋の両教育委員会に通知しました。単位制へ改編されれば、定員の半数の推薦入試枠が全県募集となり、神戸第一・芦屋学区の定員がその分減ることから、両市教委は再考、見直しを要望し、県教委は、改編時期ついては「早期に決定する」として、実施時期の発表をいったん控えていました。 しかし今回、県教委は七月十二日までに両市教委にたいし、単位制への改編はやはり来年春とするとともに、同年の推薦入試については神戸第一・芦屋学区に限定することを伝えましました。芦屋市では、市の藤原周三教育長が七月十二日にひらかれた市PTA協議会理事会で説明しましたが、PTA役員らからは、保護者の意見を聞いてほしい、推薦入試枠の限定は来年一年限りでなく再来年以降もつづけてほしいなどの意見が出され、市教育長らのと話し合いの場を設けることになりました。
いつどのように市教委が理解したのか 県教委は口つぐむ こうした不安の声を受け、日本共産党の芦屋市議団と県議団は十三日、県立芦屋高校の単位制への改編について、生徒・保護者の意見を十分に聞いて、再検討することなどを求める要望書を並川明子県教育委員長と武田政義県教育長宛に提出しました。 対応した県教委の青山善敬教育次長と岡本幸弘高校教育課長は「市教委や中学校長会から理解を得た」としながら、芦屋市の市教委がいつ、どのように「理解」したのか具体的なやり取りについては答えませんでした。 十四日にひらかれた県教育委員会でも、杉本健三教育次長らが、来年は推薦入試募集枠を学区内に限定することで「両市教委の理解は得られた」「保護者らへの説明は県市が一体となってすすめる」と報告。並川委員長らは「単位制のよさを認識してもらう努力を」などとのべ、武田教育長は「高校教育改革を現場に徹底していきたい」と発言しました。
西宮学区 総合選抜制度を発展させよう 西宮学区では県立西宮今津高校の総合学科への改編がねらわれています。昨年十月、校長が職員会議で総合学科への改編計画を発表しています。 西宮学区では現在、地域優先総合選抜制度が採用され、地域の中学生は地域の高校に進学しています。高校間の格差がほとんどなくなり、生徒どうしはもちろん、保護者どうしも子育てをお互いに支えあうなど親密な関係が育っています。 総合学科では全県募集となるためこうした地域との関係が失われると、西宮今津高校への総合学科導入の動きを知った、保護者や在校生、卒業生らは今年二月、「西宮今津高校を守る会」を結成して、県教委、市教委らに働きかけをはじめました。こうした活動もあり、いままで県教委が西宮学区で総合学科への改編をおこなう学校名を発表するのを押しとどめています。 七月十八日には、西宮今津高校の総合学科への改編や、複数選抜制度導入から総合選抜制度をいかし、さらに発展させようと保護者や教職員、卒業生や約百人が参加して「西宮の総選を活かす会」が結成総会をひらきました。
明石学区 安心して子育てのできるまちづくりにも また、明石学区でも総合選抜制度を守ろうと 「明石総選を守り発展させる会」が昨年十月に結成され、中学卒業生の公立普通科への進学率が県下二位の六二%、八五%が志望どおりの高校に入学、校区内の高校に序列がなく、のびのびと学習している、大学進学率も単独選抜制度の学区と変わりないなど総合選抜制のよさを積極的に市民に知らせるとともに、二割程度の生徒が志望以外の離れた地域の高校に入学する「飛ばし」問題の解決、地域と学校を結ぶ安心ネットワークづくりなど、総合選抜制度をいかして安心して子育てのできるまちづくりへの共同をよびかけています。
県民の声が届かない県教育委員会 十四日の県教育委員会には、加印学区へ二〇〇六年度入試から複数志願制度を導入することも報告されました。県立芦屋高校の単位制への改編や西宮今津高校の総合学科への改編などもふくめ、これらは、県教委の「県立高等学校教育改革第一次実施計画」に基づくもの。今回の問題も含め、計画の個々の項目の実施はすでに県教委事務局に委任された形で、定例の教育委員会では議事ではなく、「報告事項」となっています。 また、今回、県立芦屋高校についての日本共産党芦屋市議団と県議団の申し入れのやり取りの中で、県民から寄せられる様々な要望書も、個々の教育委員にはコピーを配る程度で、教育委員会には正式に報告されていないことが明らかになりました。 |