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2003年09月11日

2004年度予算編成にあたっての重要政策提言

    1. 第1.真の地方自治・地方分権のために
    2. 第2.県「行革」をあらため、くらし・福祉・医療充実を優先させる県政への転換を
    3. 第3.地域経済振興のために、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化をはかること、並びに農林漁業を発展させること
    4. 第4.大企業本位の公共投資優先を改めること
    5. 第5.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
    6. 第6.住民本位の震災復興のために
    7. 第7.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を重視すること
    8. 第8.文化・スポーツの振興のために
    9. 第9.警察行政について
    10. 第10.憲法を守り、平和のルール確立を

 先日発表された内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、現在の日常生活の中で「悩みや不安を感じている」と答えた人が67.2%と過去最高にものぼる結果となっています。
 本県経済も例外ではなく、企業倒産は今年上半期で350件に達し、失業率も全国を上回る7.4%と最悪の状態が続き、自殺者も後を絶ちません。
 神戸新聞が行った井戸知事就任2年アンケートでも、県政で最も重点的に取り組んでほしいと答えたのは、「景気を改善し雇用を増やす」40.3%、また「国に対して積極的に発言し、必要なら国の方針と反する行動も取るべき」が45.8%と、多くの県民は、国が国民に耐えがたい痛みを押しつけている時に、その防波堤となって県民生活を守って欲しいと願っています。
 ところが、2年を経過した井戸県政の方向は、こうした県民の切実な願いとはかけ離れたものとなっていると言わざるをえません。
 国では、小泉内閣による「構造改革」のもと、不良債権の処理、リストラ、社会保障の切り捨てで景気は悪化の一途をたどり、さらに、「都市再生」と称し、規制緩和で民間活力導入をはかり、新たな大企業奉仕の仕組みづくりを強力に推し進めようとしています。また、「三位一体」の改革、市町合併による自治体リストラで地方自治の根幹が大きく揺り動かされています。
 井戸県政は、県民の不安を増大させるこの様な国の動きに追随し、経済特区づくりや市町合併を誘導するばかりでなく、従来型の公共事業は温存しながら、「県行財政構造改革」推進方策を抜本的に見直すとして、福祉・医療・教育など一層の県民サービス切捨てを行おうとしているのです。
 今こそ、地方自治の本旨にたちかえり、経済・財政再建のためにも県民の願いにこたえ、県民生活を守る県政への転換が求められています。以上の観点から、2004年度予算編成をおこなうよう10の柱80項目による重要政策提言をするものです。

第1.真の地方自治・地方分権のために

 小泉自公保政権は「三位一体」で、地方自治体の「構造改革」、自治体リストラを強行しようとしている。国庫補助負担金の「一般財源化」や「交付税の財源保障機能全般についての見直し」などで、国の支出の大幅な削減をはかろうとしているが、これは本来、憲法や関連法で規定されている国の責務を放棄するもので断じて認められない。
 小規模市町を強制合併させたり、権限の制限・縮小は地方自治の本旨に反するものである。
 真の地方自治・地方分権をすすめるためにも、情報公開を積極的に行い、県民参加を保障する県の役割が一層求められている。
  1. 法令で負担・支出が義務づけられている国庫補助負担金の削減に反対すること。地方交付税の財政調整機能と財源保障機能を堅持するよう国に強く求めること。
  2. 省庁縦割りの重複・類似事業や不要不急のムダな公共事業の国庫補助負担金は抜本的に見直し削減を求めること。「都市再生」型の公共事業を見直し、生活密着型の公共事業の拡充を国に求めるとともに、県としても実施すること。
  3. 市町合併については、合併推進や押しつけの立場でなく、真の住民参加、住民総意で決定できるよう市町や住民の自治権を保障すること。合併支援策の推進や「交付税削減」の誤った情報提供など合併誘導策をやめ、合併しない市町に対して新たな支援策を講じること。
  4. 地方自治の本旨に基づき、市町の団体自治、住民自治を保障すること。
  5. 現状の「パブリックコメント」の方法では真の県民参加は保障できない。期間や方法、内容を見直すとともに、事業の構想・計画段階から県民参加ができるよう、公聴会の開催なども含め、県民への周知、徹底をはかり真の住民参加を保障すること。審議会等への公募による住民代表を大幅に増やすこと。

第2.県「行革」をあらため、くらし・福祉・医療充実を優先させる県政への転換を

 小泉内閣による医療改悪、介護保険料の値上げ、年金支給額の引き下げなど、連続した社会保障制度の改悪に加え、県「行革」による老人医療費公費負担助成の削減など福祉サービスの切捨てが、県民生活にいっそうの痛みを押しつけ、将来への不安を呼び起こしている。こうした県政の方向は、本来「住民の福祉の増進」を第一義的責務とする自治体のあり方にまったく逆行するものである。
安心できる県民生活のためにも、景気回復のためにも、県民のくらし・福祉充実を優先する県政へ転換し、県民の将来不安をなくすことが求められている。
  1. 「行財政構造改革推進方策」にもとづく県「行革」は、不要不急の公共事業の削減には手をつけず、本来優先すべき県民の福祉・医療・くらしに関わるサービスを切り捨てるものであり、中止すること。県民生活を守ることを最優先に財源を確保し、公共事業の見直しに正面から取り組む真の改革を行うこと。
  2. 健康保険本人の医療費3割負担を2割負担に戻すよう国に求めること。高齢者医療の限度額を超えた分の払い戻し申請の負担軽減を国に求めるとともに、償還払いの未払いをなくすよう市町に徹底するなど対策を講じること。
  3. 国民健康保険については、保険料滞納を理由にした「保険証とりあげ」をやめ、すべての加入者に交付するよう徹底すること。県の補助金を増額し、国庫負担の増額を国に求めること。
  4. 福祉医療は、老人医療費公費負担助成事業の所得制限を「行革」実施以前の水準に戻すこと。また、乳幼児医療費無料制度の創設を国に求めるとともに、乳幼児医療費公費助成事業の通院の自己負担をなくすこと。
  5. 介護保険は、だれでも必要な介護が受けられることを基本にし、県独自の保険料・利用料減免制度の創設を行うこと。
    住宅改造などの条件で、優先入所の対象から事実上はずすような「入所コーディネートマニュアル」を見直すとともに、特別養護老人ホームへの入所待機者の早期解消に見合う施設の抜本的な増設を急いで行うこと。
  6. 1次・2次医療圏にとどまらず地域の実情に応じた小児救急医療体制の整備を急ぐこと。また、そのための小児科医の確保・体制づくりへの財政支援を行ない、国に対しても診療報酬制度の改善を求めること。
  7. 県立病院への公営企業法全部適用を撤回するとともに、県立病院の独立行政法人化や機能縮小・民間移譲を行わず、公的医療機関としての機能を充実すること。
    また、県立病院運営に住民の意見を十分に反映させること。
  8. 政府の「待機児童ゼロ作戦」のもとで、つめこみによる保育園の定数増や「待機児童」をしぼりこむ策がとられたが、「保育所待機児童」はいっこうに解消されず、かえって増えている。抜本的解決のため新設を基本に保育所を増設整備すること。また、保育料の軽減をはかること。
  9. 一時保護所を各子どもセンターに設置するとともに専門職員の増員をおこない、児童養護施設を増設すること。

  10. 今年はじまった障害者支援費制度の現状は、障害者にとって必要なサービスが十分に受けられない実態となっている。専門のケアマネージャーなどの人的体制も含め、必要な基盤整備を行うこと。

第3.地域経済振興のために、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化をはかること、並びに農林漁業を発展させること

 小泉内閣による不良債権処理の加速策や、大企業のリストラ競争がつづくなかで、県下の中小企業倒産は今年に入っても負債1000万円以上だけでも毎月平均60件、失業率も最悪の状況が続き、特に若年者の失業は大きな社会問題となっている。
 地域経済の振興をはかり、県民のくらしを守るためには、中小企業支援、雇用対策の抜本的強化が最重要課題となっているが、県のすすめる「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」は、短期雇用・就職紹介などの事業が中心で、不十分なものである。
 また、21世紀の日本の「食」の基盤を守るため、農業と農家経営を守るルールをつくり、農業を再生させることも急務となっている。

雇用対策について

  1. 新規学卒者をはじめ、若年層の雇用拡大をはかるために支援策を強化すること。
    1. 若年層の正社員数が大幅に減少している大企業に対し、新規採用の拡大を強力に働きかけること。
    2. 地元中小企業に対し、若年者雇用への補助金を一定期間支給する制度を創設すること。
    3. 県の職員採用に当たっては、高校卒業者の採用枠の拡大をはかること。
  2. 大企業のリストラ・人減らしにたいし、雇用を守り社会的責任を果たすよう、強く要求すること。
  3. 違法な「サービス残業」を早期に根絶させるため、すべての企業が労働者の出退勤の実状を正確に把握・管理し、残業については、正当な賃金が支払われるよう、県としての対策を講ずること。
  4. 賃下げなしの労働時間の短縮を実現し、あらたな雇用拡大を図る真のワークシェアリングを推進すること。
  5. 福祉・医療、教育などの各分野の施策を充実し、不安定雇用でなく、常用の公的分野での雇用拡大を図ること。

地域経済・中小企業支援について

  1. 消費税増税は、県民の家計をますます苦しくするとともに、中小商店にとっても打撃となる。不況のもとで増税を行えば、個人消費を冷やし、景気回復をますます遅らせることになる。地域経済をたてなおすためにも、国に対し、消費税増税を行わないよう求めること。
  2. 中小企業・地域経済振興条例を制定し、県の重要施策としてふさわしい中小企業支援施策を展開すること。そのために、中小企業予算を大幅に増額すること。
  3. 「資金繰り支援貸付制度」を、返済期間の延長や据え置き期間をつくるなど、さらに拡充すること。中小企業向けの金融の改善と拡充を図り、「貸し渋り・貸しはがし防止条例」を制定すること。
  4. 中小企業への技術、経営指導、情報提供、人材育成、商品開発、販路開拓などの支援を強化すること。特に弱点となっている、販路拡大のための営業指導を強化すること。
  5. 中小企業向け官公需発注を工事部門を含め80%以上に高めるとともに、教育、医療、福祉分野などの施策を拡充し、中小企業の仕事を増やすこと。
  6. 大型店の出店、撤退を規制するため、必要な法律の制定を国に求めること。大規模小売店舗立地法を活用して、環境、交通、教育、非行問題などと合わせて、市場・商店街の持つ「まちづくり機能」を重視して大型店の事実上の出店規制を行うこと。

農林水産業を発展させること

  1. 県民の食生活、環境、県土を守るうえで、重要な役割をもつ農林水産業を県の基幹産業として位置付け、土木偏重ではなく、ふさわしい支援を強化すること。緊急の問題として冷夏の影響による米の収穫減に対し、補償を含め対策を講じること。
  2. 農産物の自給率を高めるとともに、国に対し、主食であるコメの価格・需給安定に責任をもち、生産費を償う米価保障制度づくり、ミニマムアクセス米の廃止・縮小などを進め、農業再生をめざすことを強く求めること。
  3. 農村社会の伝統や歴史を生かした様々な規模・形態の農業が共存できる農業政策をすすめること。そのために、農業への企業参入や大規模化をすすめる農業政策をやめ、圧倒的多数を占める家族営農や集落営農への支援を強化すること。特に、「農業改良普及員」を削減せず拡充すること。
  4. 地元産の農水産物を取り入れた食生活、農水産業全般において、地産地消を全県規模ですすめること。また、学校給食に積極的に取り入れるよう支援すること。
  5. 森林整備対策を強めるとともに、国産材自給率20%に落ち込んだ林業の再生のため、外国産木材の輸入規制を国に求めること。
    県として住宅建設や公共投資への県産材利用促進をはかり、間伐への助成と間伐材の有効利用をすすめること。また、大工や工務店などが協同組合で組織化できるよう支援を強めること。
  6. 神戸市漁協の漁業補償費に関する簿外処理問題について、真相の徹底解明と県民への情報公開を行い、「法」にもとづく適切な指導・監督を行なうこと。

第4.大企業本位の公共投資優先を改めること

 「公共事業のあり方」が国・地方すべてにわたって大問題となっている。莫大な借金を生み出す無駄、環境破壊、住民監視のシステム、公共事業依存の経済対策からの脱却など、様々な改革の課題がある。
 県民の立場に立った真の「改革」に踏み出すことが切実に求められている。

公共投資の抜本的見直しを行うため

  1. 「行財政構造改革推進方策」の見直しにあたっては、公共投資予算の大幅削減を基本方針とすること。
  2. 旧来型の大型公共事業依存型から脱却し、福祉・医療、教育、環境、地場産業など県民生活に直結した事業に転換すること。
  3. 事業評価制度については、住民代表も加わった第三者機関による客観的な県民が誰もが納得できる評価が出来るよう抜本的改善を行うこと。

無駄で環境破壊につながる大型公共投資は中止すること

  1. 第2名神高速道路、高速道6基幹軸など高規格道路偏重の道路行政を改めること。
  2. 調査中の大阪湾横断鉄道構想、紀淡海峡連絡道路構想、阪神疏水構想など超大型公共事業は中止すること。
  3. 神戸空港建設や、関西国際空港2期工事など、「採算の見通しもなく環境に甚大な影響を与える」と多くの住民が反対している空港建設への県の補助金支出や出資をやめること。
  4. 武庫川ダムの中止を明確にした上で住民参加の下「治水計画」を策定すること。但馬・丹波地域で進めている西紀ダムや八鹿ダムをはじめ「生活用水ダム」の建設計画見直すこと。
  5. 進度調整を行っている播磨科学公園都市2・3工区をはじめ、分譲見通しのないひょうご情報公園都市、将来見通しのない宝塚新都市など、巨大な「公園都市」づくりはただちに凍結・中止すること。
  6. 有馬富士公園2期工事、播磨中央公園2期工事など広大な「県立公園」づくりを中止すること。身近に利用できる都市公園の整備とともに利用しやすい公園管理のありかたを地域住民とともに確立すること。

県民生活に直接役立ち、中小業者の「仕事づくり」になる公共投資を充実すること

  1. 住宅困窮者が希望すればすべて入居できるよう県営住宅を大幅に増やすため新設を基本に建設計画を見直すこと。また快適な入居環境を確保するため改築・改修など積極的に行うこと。
  2. 高齢者・障害者福祉施設や保育所・児童施設など福祉関連施設の新・増設を大幅に行うこと。
  3. 既設県道の整備や、都市部を中心に安全な歩道整備など交通安全対策を含めた道路行政を実施すること。
  4. 環境と安全に配慮した中小河川整備を行うこと。
  5. ユニバーサルデザインの「まちづくり」を目指し、当面バリアフリー化を促進すること。

第5.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために

 地球環境保全が叫ばれる中、県のあらゆる施策の根本として環境保全を位置づけ、その立場からの施策のあり方の見直しが必要。また、環境を破壊してきた原因と責任の明確化が不可欠である。
  1. 自然破壊、地球温暖化を防止する点からも、すべての開発事業において代替案の検討も視野に入れた総合的な環境アセスメントの実施を原則とすること。
  2. 環境問題に関わる県の「審議会」のすべてに住民代表を加えること。
  3. 自動車NOx・PM法対策地域への排出基準不適合車の流入規制については、車の「買い換え」への財政支援や「後付装置」の開発促進など中小業者への具体的支援対策を確立するとともに、流入規制地域は法に指定されている市町を対象とすること。なお、環境基準の達成状況を毎年検討し、必要な場合は時機を失することなく規制強化策を講じること。
  4. 「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例(2003.12.施行)」を厳格に実施すること。とくに、排出事業者の責任の明確化、監視・指導体制の強化、企業責任を明確にしたリサイクルの徹底など環境を守るための抜本的な対策を講じること。
    また、条例施行前の不法投棄についても、条例に準じた対策をすること。

第6.住民本位の震災復興のために

 阪神淡路大震災から復興計画の終了となる10年目を目前にして、県の各種調査でも県民の暮らしと生活の厳しい実態がつづいている。
 住宅再建への公的支援の制度化の動きなど、県民の声と運動がようやく国を動かす状況も生まれてきたが、兵庫県が住民本位の震災復興に全力をつくす立場にたつ事が求められる。また、せまる南海沖地震に対しても被害予防の観点から同様の確立が必要である。
  1. 「生活再建支援法」の見直しにむけて、支給条件の緩和、支給金額の大幅増の抜本改正となるよう、国に働きかけを強めること。
  2. 住宅再建支援法の制定にあたっては、支給金額を最高500万円とするよう国に強く求め、阪神・淡路大震災への遡及適用を求めるとともに、被災者の実態に即して県単独の支援策を講じること。
  3. 復興基金事業を見直し、期間の延長を行い、被災者の実態に即して事業内容の拡充を図るとともに運営に被災者の代表を加えること。
  4. 防災計画は災害が起きたときの対策だけでなく、南海沖地震など災害による被害を未然に防ぐための対策をより重視するものに見直すこと。
    特に、震災の教訓を生かして、住宅や学校・病院など建物の耐震化を急ぎ、目標とその目標達成のための具体的な手立て・計画を立てること。
    また、防災行政は、東部新都心や三木防災記念公園など大規模施設づくりに偏重するのではなく、防災体制や消防力の強化のために市町への支援を強化すること。

第7.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を重視すること

 12才の少年が長崎・男児殺害事件を起こした事は、全国に大きな衝撃を与えた。あいつぐ凶悪な犯罪をはじめ子どもたちをとりまく環境は、「新たな荒れ」、学力の低下や「いじめ」「不登校」「引きこもり」などあらゆる問題が山積しており、日本の未来にかかわる大問題となっている。
 今こそ憲法と教育基本法、子どもの権利条約を生かし、子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育むための教育に転換する事が切実に求められている。
  1. 義務教育国庫負担金の削減は憲法に規定された「義務教育に対して国が負うべき責任」を放棄するものであり、国に対して国庫負担金の削減反対をもとめること。
  2. 山積している教育の諸問題を解決し、子どもたちひとりひとりが学ぶ喜びを持てるための教育条件整備の最優先課題として、「30人以下学級」を早急に実施すること。
  3. 教育基本法「改正」の中止を国に求めること。
  4. 「兵庫の教育改革プログラム」は、「21世紀兵庫長期ビジョン」の一面的な概念を導入したもので、深刻なこどもの問題や教育課題に応えていない。これまでの兵庫の教育の問題点に反省がない「プログラム」の見直しをすること。
  5. 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。
  6. 県立高校は希望者全員入学を基本とすること。複数志願制については、神戸第3学区での実施結果に現れているように、エリート校の特化を進めるものであり不本意入学は解消されておらず直ちに中止すること。また、姫路・福崎学区への導入もとりやめること。
  7. 不況が一層深刻になる中、経済的理由で苦しんでいる児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めること。県奨学金制度については、手続きの簡素化と給付制度の創設など拡充を行うこと。また、私学助成の増額を行うこと。
  8. 全ての学校施設の耐震診断を行い、耐震工事を早急に実施するとともに、老朽化し危険な状況となっている学校施設の改修や、エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。
  9. 障害児教育の在り方検討委員会は、生徒の増加により深刻な問題となっている養護学校の教室不足や長時間通学を解消するため、新設養護学校の整備計画をつくるなど、すべての障害児の教育権を保障するための教育環境整備を基本にすえること。
  10. 「新県立大学」の運営については、独立行政法人化の考えではなく、公立大学本来の役割を発揮し、学問と研究の自由を守り充実させること。
  11. 人権教育は、憲法にうたわれた基本的人権と人間の尊厳を基本にすること。県の人権教育基本方針は廃止し、事実上の「解放学級」は直ちに中止すること。

第8.文化・スポーツの振興のために

 文化、スポーツ施策の強化は、県民の豊かな人間性と健康保持・増進にとって重要である。
  1. 県民の文化・芸術活動を保障し、発展させるため「文化・芸術振興基本条例」を制定すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。
  2. 宝塚ファミリーランドの跡地を、ひきつづき文化・芸術の拠点、県民の憩いの場として整備できるよう県としても支援を行うこと。また、全国的にも貴重な宝塚映画撮影所を有する県として、映画文化を守り継承するための支援を行うこと。
  3. 低廉で使いやすい文化・スポーツ施設を数多く設置するとともに、障害者が気軽に使える施設整備をすること。
  4. 国民体育大会の準備にあたっては、市町の負担をなくすよう配慮するとともに、国に必要相当の負担を求めること。

第9.警察行政について

 警察官の不祥事に県民の不信が増している。高い検挙率と警察職員のクリーンさが県民の信頼の基準である。警察刷新のため、絶えざる点検と改革を実行することが不可欠である。
  1. 明石花火大会歩道橋事件・西区大学院生殺害事件等の教訓を真摯にうけとめ、地域警察活動を抜本的に強化すること。
  2. 公安委員会が県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や、委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすること。
  3. 警備公安中心から市民生活の安全を守る方向に切りかえること。そのために外勤の比率を高めると共に、地域警察官が勤務に誇りを持てるよう試験制度や教育内容、処遇改善などの改革を行うこと。
  4. 暴力団対策は、準構成員が増えて組織の実態がつかみにくくなっている状況を踏まえて強化すること。また、中止命令で終わらせず、徹底した捜査と地域部、生活安全部などとの連携を強めること。
  5. ヤミ金融対策を重点取締りとし、県当局・弁護士会・司法書士会や被害者団体等との定期的連絡会をもち解決のための緻密な相談を行うこと。また、同時に知事部局も含む全庁的な取り締まり本部を新たに設置し、その根絶をはかること。

第10.憲法を守り、平和のルール確立を

 井戸知事のもと、核搭載可能な米艦船ヴィンセンス号が姫路港に入港したり、県内で米軍の低空飛行訓練が度々実施されるなど、県民の平和の願いにそむく危険な事態が繰り返されている。日本政府が、大義もなく平和のルールを踏みにじる暴挙であったアメリカのイラク戦争に協力し、その後も自衛隊派兵を決定したり、小泉首相が改憲を指示するなど、平和憲法を蹂躙する動きが強まっている。憲法を守り、平和と住民の安全を守る地方自治体としての役割発揮が県に今ほど求められているときはない。
  1. 平和と基本的人権、地方自治を踏みにじる有事法制の発動に憲法を守る立場から反対すること。国民保護法制は、住民の安全を守るものでなく、住民の基本的人権を制限し戦争に住民をまきこむものである。県として制定に反対すること。
  2. 非核「神戸方式」をしっかりと守り、県管理のすべての港湾に適用すること。
  3. 非核平和条例を制定すること。
  4. 大阪国際空港への米軍機の飛来、県内での米軍低空飛行訓練、IDDN中継などの即時中止を国や米軍に求めること。

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