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2003年01月01日

兵庫県議会で明らかになった同和問題

11月25日開会の定例11月県議会の、01年決算特別委員会で、日本共産党の友久ひろみ県議、ねりき恵子県議が、兵庫県の同和行政の完全終結を求めて、県政の各分野で質問を行いました。

(「兵庫人権交流」03年1月、2月号より転載)


 「同和問題は、貝原から井戸知事に変わって、悪くなった施策の一つ」という声が以前から聞かれましたが、この議会での論戦のなかで、兵庫県の同和問題への取組の問題点と過去の不公正な同和行政が残したツケの多くが明らかになりました。


「方針を転じたことを強く印象づけた」県幹部の部落研の講師参加


 兵庫県の幹部はこれまで、解放同盟主催の集会への参加を見合わせてきました。それは、一九七六年、当時の坂井知事が県庁の全部局あてに出した「通達」が「県政の基本方針」としてあったからです。
 その「通達」は、一九七三年に県が関わり被害者への損害賠償まで経験した「八鹿高校事件」の後、その反省として出されたもので、「行政と運動との相互関係に問題が生じ、県民の不信を招く自体が見られた」として、「運動行為そのものへの参加」や「行政がすべきものを運動に依存しすぎ、理解のないまま運動側の一方的な主張を受け入れる等」「行政が主体性を失する事態」があったと認め、結論として「行政と運動との立場を区別し、それぞれの責任を明確にする」となっています。
 この「通達」の意義を掘り崩す歴史的な出来事がおこりました。今年の十月に城崎でおこなわれた解放同盟主催の「部落研」(テーマは「地対財特法後の同和行政」)に県の幹部である松原参事(人権担当)がパネリストとして参加したのです。
 十月七日付、神戸新聞は「兵庫の同和行政に新しいページ」解放運動に距離を置き続けてきた県が「連携と協調への方針を転じたことを広く印象づけた」と報道しました。
 

県は解同との「連携を評価」


 この重大な問題が県議会で取り上げられました。十月九日の決算特別委員会(県民生活部審査)で、日本共産党の友久ひろみ県議は「これまでの基本方針と明らかに矛盾する」と追及し、総括審査でねりき恵子県議が「今後解放同盟の集会に参加しないことを明言せよ」と迫ったのに対し、県は「基本方針は変わらない」としつつ、解放同盟との「新しい連携と協調は評価したい」「主体性は確保されている。今後も積極的に参加する」と矛盾する姿勢を改めようとしませんでした。
 さらに、解放同盟や兵庫県人権・同和教育研究協議会を含めた「人権関係機関・団体のネットワーク」を来年度立ち上げる予定を明らかにし、今後、新しく連携をつよめる方針を打ち出しました。
 「人権啓発・教育」のため、民間の人権団体の一つとして解放同盟を位置付け、連携するということで、形をかえて同和行政の逆流を残していくことが懸念されます。


滞納、焦げ付きで巨額の公金が回収不能に


 不公正な同和行政は、たとえ終結しても、貸付滞納、回収の大変さなどでツケが残っていきます。
 なかでも同和地域の高度化資金と住宅新築など貸付の返済滞納は群を抜いています。
 地域改善対策高度化資金では、滞納が三七億円にもなり、その内七組合が解散あるいは操業停止で、貸付時の担保を競売しても十五億三千万円も未回収が生じることが明らかになりました。
 また、住宅新築資金等貸付助成は、市町がおこなてきた事業ですが、昨年末で、七八〇億円の必要な償還のうち、約三六億円、四・六%が滞納となっています。国と県は、市町支援として「償還助成事業」、事務費の分と「回収不能分」の補助を行っています。兵庫県は、貸付「回収不能分」を二〇〇〇年からはじめ、昨年度は四市八町で、七千六百万円の補助をしています。
 今回、日本共産党は、この補助を受ける際に「貸付債権の放棄が条件ではないのか」との市町の不安を指摘し、「債権放棄を要件としない。会計で不能欠損処理しなくても補助金返還は求めない」との県の答弁を引き出しました。


廃止された同和地域への加配教員の実態


 今年度、国の同和地域への教員の特別配置制度が「児童生徒支援」制度に改組されました。
 当然、あたらしい基準で学校に配置すべきところ、兵庫県は全国トップの三五六人の加配を受けながら、以前の「同和加配」とほとんど同じ学校のままであることが明らかになりました。
 例えば、西播地域では小学校三六校、中学校三二校のすべての学校にそのまま配置され、新たな配置は一校だけです。
 県当局は、「児童・生徒の問題の背景に、同和をはじめとする様々な人権課題がある」「同和は全て解決されていない」など、依然として同和課題に対し特別な対策を続ける答弁で、「同和施策の終結」とはかけ離れた認識を示しました。


いじめ・不登校など、真に困難な児童生徒支援に


 日本共産党は、いまの学校のかかえている「いじめ」や「不登校」、ゆとりの無さ、学力の問題などを多くの問題解決のため、これまでの同和加配と変わらない「人権課題にかかる児童生徒支援教員」をやめ、真に困難な児童・生徒向けの配置ができる制度に改組するよう提案しました。


これからの世論と運動が肝心


 十一月決算県議会では、産業・雇用問題や医療問題、大型開発の問題など様々な議論がされましたが、日本共産党が展開した「同和行政の完全終結」も一つの柱となりました。
 この問題で、県当局の姿勢が、特別措置法廃止後にもかかわらず、確実に逆流、後退していることがはっきりし、今後も不公正な同和行政の解決が県政の重大問題であることが明らかになりました。
 解放同盟の集会への参加にしても、教員の配置の問題にしても、県当局が固執している立場は、誰の目から見ても矛盾が明らかで、県民からの批判をかわすことはできません。世論と運動、それに応えた県議会での論戦によって、追い詰めていくことは十分可能です。
 「不公正は同和行政の完全終結へ」今後の取組みがますます求められていることを最後に指摘したいと思います。

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