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2008年08月20日

行革特別委員会 討論

杉本ちさと

県立塚口病院の廃止・統合の「白紙撤回」を


■杉本ちさと■ わたしたちは、県議団として、現場の事務所を訪問して、お尋ねして、現状とか、今回の案についての意見をお聞きして来ました。いずれも現場では、行革案についての情報はほとんどありませんでした。要するに、現場の意見や実情を踏まえたような提案になっていないと思います。
 人員の3割削減、予算削減を推し進めることが目的であり、「県民の福祉向上につとめる」本来の県の役割から遠く離れたこの「行革第二次案」だと思っております。
 何点かにしぼって、質問いたします。
 まず最初に、先ほどからでています、県立塚口病院についてお尋ねします。
塚口病院は、小児の2次後送、地域周産期センターなど重要な役割を果たしており、多くの住民のみなさんが利用しています。尼崎市なども「存続」を求めているが、県として、県として、二次救急や周産期センターの充実について、どのように考えているのか?
 たとえば、新生児集中治療室(NICU)、ほとんど満床状態ですが、このような機能を拡充することこそが必要だと思うが、これについて、どのように計画されていますか。

■中島病院局企画課長■ 現在の塚口病院のNICUにつきましては、稼働率が絶えず90%を超えている。非常に苦しい状況は認識している。つきましては、今回の尼崎病院と塚口病院の機能の統合のなかで、NICUの病床数についても、適正な規模について、検討をかさねたうえで、増床ということも考えてまいりたい。

■杉本ちさと■ 「増床ということも考えてまいりたい」ということだが、いま充実するとははっきり明言されていません。
 また、この二次案で、「総合診療機能を高めるために統合する」と書かれているが、もともと、平成17年2月に「県立病院の基本方向」で尼崎病院と診療科の再編をして、小児や産科を尼崎から塚口に、消化器、脳神経などを塚口から尼崎に集約化したものです。
 県みずからすすめた再編計画によって、塚口病院の全体的な診療機能を低下させておきながら、再編が実施されてから、まだ一年あまりしかたっていないのに、廃止する理由に「総合的な診療機能が弱まった」というのは、あまりに勝手な理屈ではないでしょうか。どのように思われますか。

■中島病院局企画課長■ 委員ご指摘の通り、平成18年10月に、尼崎病院より、産科、小児科を移管することによりまして、小児・周産期の充実を図る。そのかわり、呼吸器、脳神経外科等を尼崎病院に移した。ただ、その脳外等を移したことのみならず、現在、塚口病院のなかで、小児、周産期をささえる診療科であります、麻酔科、あるいは内科、整形外科等の医師の不足等によりまして、十分な救急への対応とか、合併症への対応とかができない、という状況が発生しており、これらの課題を解決するために、今回の統合ということを提案している。

■杉本ちさと■ 県みずからが、再編を1年半前にしたわけです。そのことを理由に弱まったわけですから、本当に勝手な理屈だと思います。
 それから、先ほどから質疑されている、統合後の病院の病床数ですが、いま塚口は300床、尼崎500床で、あわせて800床ですが、これを維持するのか、減らすのか、増やすのか、明確な答弁はありませんが、あらためて、どうゆうふうにしようとしているのか。

■中島病院局企画課長■ 病床数の問題は、尼崎病院が500床、塚口病院は、稼動病床ベースで300床です。塚口病院の300床につきましては、病床の稼働率が約70%程度であることを踏まえまして、必要な病床数は、これから設置いたします外部委員会で、ご検討いただいたなかで、適正な規模について、検討してまいりたい。

■杉本ちさと■ (二次案の)45ページに、各県立病院の経営目標が書かれている。この目標は、尼崎・塚口、西宮病院など、各病院ごとに書かれているが、この目標となる病床数はいくらですか?

■井上経営課長■ 平成19年現在、稼動病床数で3721床。平成30年度では3482床、トータルで。

■杉本ちさと■ 尼崎病院と塚口病院の合計で、いくらになりますか?

■井上経営課長■ 合計では、現在のところ、800床のところ、平成30年度には、700床で試算を行っている。

■杉本ちさと■ 700床ということが、いま明確にわかりました。
 県の「保健医療計画」によりますと、阪神南は、基準病床は8650、現在の病床は8657です。ほぼ同じ状態ですが、県が定めた保健医療計画にも矛盾するのではないかと思う。
 「総合診療機能を高める」と言っていますが、医療水準の低下になると思うのですが、その点は、どうですか。

■青木病院局長■ 病床数ですが、基本的に医療資源を有効に活用しなければならない。本来は400床あったんですが、結果的に入院患者がすくなくなって300床、300床でも結果的に病床利用率が70数%になっている状況。そのなかで、いま現在の医療の動向といいますと、平均在院日数が短くなってきて、入院の期間が短くなってきている。あるいは、病院の役割などを踏まえますと、現在、わたしたちは700床ということで想定していますが、「単純に500床と300床を足して、800床でいいのか」というのはどうなのかな、ということで、より効率的な規模で、現在700床にしているが、外部委員会で、検討項目とさせていただいております。そのへんの状況も、十分説明させていただきながら、すすめていきたいと考えている。

■杉本ちさと■ いろいろおっしゃいますが、700床が経営努力目標の基準となっている。計算のもとになっています。これは、あきらかに今よりも機能を、サービスを低下させることは明確だと思います。
 結局のところ、財政削減が目的であることがはっきりしている。
 この二次案では、県立病院全体で平成28年までに「黒字」をめざすとして、「赤字」の病院を問題視していますが、塚口病院の赤字は、尼崎病院との診療科の再編がきっかけによって、起こっています。不採算の診療科を担っているうえに、麻酔医などの医師不足があります。要するに、診療報酬の引き下げなど、国や県自身の責任が大きいと、思いますが、どのように思いますか。

■青木病院局長■ 病院経営というのは、公益性と経済性、地域住民の福祉の向上、一方、やっぱり企業経営という観点で、自立した経営をしなければならない。一般会計の適正な繰り入れをもらった上で、黒字といいますか、それほど黒字を出す必要もないわけでありますが、やっぱり黒字化が目標。
 そのなかで、塚口病院の統合は、経営の問題というのではなくて、基本的に、塚口病院の診療機能がこのまま行ったらだめになりますよ、政策医療であります周産期医療が、なかなかうまいこと行かないですから、この医療を充実させるために、統合する。赤字が出ているのは事実だが、けっして、主として赤字ではなく、県立病院の義務・役割であります、高度専門医療の政策医療であります、小児・周産期医療を提供する、充実するために提案している。ご理解いただきたい。

■杉本ちさと■ ご理解はなかなかできない。塚口病院の「赤字」は、県民に必要な不採算な医療を担っている。大切な役割を担っている。それを一般会計から繰り入れて支援するのは当然であり、県民の理解も得られると思う。
 いま、国の医療費抑制政策、医療構造改革の流れにそって、すさまじい医療崩壊が各地で起こっています。県は、このようなときこそ、県民の医療を守る県立病院がその役割を果たす先頭に立つことが求められている。
 ところが、今回のプランは、どうやったら医療にかける税金を削減できるかをめざしたもので、国の「公立病院改革ガイドライン」に沿ったものであり、方向自体が間違っていると思います。
 いま、医師会をはじめ、多くの国民が社会保障費削減の政府の路線をきびしく批判しています。県のプランは、県民の医療をささえる県の責任、県立病院の役割を果たすことにはつながっていないばかりか、逆に地域の医療崩壊を加速させることにつながりかねません。県民の願いに背くものと言わざるをえない。
 塚口病院の廃止、尼崎病院との統合は白紙撤回をすべきということを指摘して、次の質問に移ります。

県民の命に関係する環境調査は、公的な機関で


■杉本ちさと■ 次は、健康環境科学研究センターについて伺います。
 県は、「安全・安心」「環境」とよく強調していますが、水、空気、有害物質などの試験研究を担当する、公的な試験研究機関、健康環境科学研究センターを、民間の財団法人、環境創造協会に移管する計画です。先ほども質問がありましたが、このセンターの調査には、企業に関係した、水質・大気などの立ち入り調査などをしていますが、これが今後、どういうふうになるのか、大変に問題だと思っています。先に「従来どおりで支障がない」「行政権限は同じだ」と答弁されたが、この調査を行うのは、県自身が行うのですか。移管するのですから、環境創造協会が行うということになるのではないのですか。詳しく説明を。

■菊井環境管理局長■ 立ち入り調査ですが、研究部門が創造協会に移管されても、実際の立ち入り検査権限の行使は、現在もいっしょで、本庁の担当者、県民局の担当者が権限を行使している。そのうえに、分析をいまの環境部門の方々にお願いをする、という仕組は変わらない。

■杉本ちさと■ 調査をした報告書は、どこが書くのですか。責任を持つのはどこですか。

■菊井環境管理局長■ 調査結果の報告書は、環境創造協会が書いていただく。出していただくわけですが、それを根拠にして行政権限を行使していくのは、あくまでも本庁の担当部局、もしくは県民局の担当課が、企業にたいして権限を行使していく、という形になります。

■杉本ちさと■ 環境創造協会は、神戸製鋼なども役員になっています。このような状況では、調査の公平性、中立性が保てないのではないか。その点については、どのように考えていますか。

■菊井環境管理局長■ 中立性については、全く問題がないと考えている。今回、環境創造協会のなかで、センター部門をつくって、そこで現在の県関係の環境部門の方が移行していく。結果については、中立性、信頼性については、全く問題ないように対応していく。

■杉本ちさと■ 「問題ない」とおっしゃいますが、現実はやはり民間に委託していく。この民間の中身がやはり問題だと思います。すこし前には、神戸製鋼のデータ捏造の問題がありました。「官から民へ」と言って、建築確認申請を民間の検査機関に移して、耐震偽装事件も起こり、破綻した例もあります。「県民の安全・安心を守る」「環境を守る」大事な役割を果たすためには、公平で中立な公的な機関が、責任を持って、最後まで調査を行うことが必要だと思います。利潤を目的とした民間では、県民を守る立場に立てません。県の公的責任を放棄して、健康環境科学研究センターを民間に移管する計画は、撤回すべきですが、どうですか。

■京環境創造局長■ 環境創造協会の方に、兵庫県環境研究センターとして移したいと考えている。財団法人ですので、一定の公的な役割を果たしている。産業公害、都市生活型公害、近年の地球環境問題へと、環境問題が変遷してきており、環境行政も地球温暖化対策、また循環型社会の構築、そして生物多様性の保全等、こういった課題に重点的にとりくんでいくことが必要である。こうした新たな課題に的確に対応するために、効率的、効果的な研究体制が必要であることから、ひょうご環境創造協会内に、環境研究センターとして設置する。原因究明や対策等は、センターと連携して対応していく・

県民の安心・安全を守れない 保健所統廃合等


■杉本ちさと■ 「役割を投げ捨てたわけでなない」とおっしゃいますが、それならば別に統合する必要がないと思います。民間に委託すること、公平でなくなることが非常に危惧をされることを改めて指摘しておきます。
 次に、健康福祉事務所や保健所、土木事務所について聞きたい。
 健康福祉事務所、保健所は、母子保健、難病や精神保健などに大きな役割を果たしています。
 わたしたちもお話を聞いてきましたが、難病などは、保健師さんが「支える会」などと連携し、講師や支援などを継続して行って、大変喜ばれている。
 また、精神疾患でも、地元の市などと連携し、相談業務に来たときだけでなく、「最近連絡がないな」という場合でも、気になる人のお宅に市の担当者といっしょに訪問し、様子を定期的に見に行く仕事をされている。
 このようなきめの細かい仕事が、集約化されて、人員を削減することになると、できにくくなるのではないか。

■崎山総務課長■ ご指摘のございました、難病や母子、精神疾患、こういう方々に決め細やかな対応をするために、保健支援センターを設置させていただいて、市町といっしょに、ケアをしていただきたい。

■杉本ちさと■ 「保健支援センター設ける」と言われるが、地元の市と遠く離れたところになる方もたくさんある。また人員も減らされる。結局、県民サービスは確実に低下する。多くのみなさんが非常に心配されること。
 さらに心配なのことは、緊急対応の場合。
 SARSや鳥インフルエンザなど、新型の感染症などの対策には、保健所が大事な役割を果たしています。県の対応指針でもそうなっている。
 以前に、鳥インフルエンザのとき、移動制限の区域を設定したりしましたが、保健所が土地勘があり、住民と日ごろから結びついて、地域の状況をよくつかんでおるということで、緊急時の対応にも、非常に不可欠であると思うのですが、そのことについて、事務所がすくなくなるというもとでは、きちんと検討されているのか。県の対応指針などにも影響があるのではないかと思いますが、その点はどうですか。

■崎山総務課長■ このたびの健康福祉事務所の再編にあたりましては、いまご指摘のありました保健業務につきましては、県民局の設置にあわせて、35万人、あるいは1000平方キロ、こういう面積要件、あるいは人口規模、こういったものに応じまして、それぞれの地域事務所としての健康福祉事務所を設置する、こういう体制でのぞましていただきたいと思っております。
 いまご指摘の感染症、あるいは食中毒、危機管理事案につきましては、設置します健康福祉事務所に配置します職員の高度・専門的な対応を集中的に強化する。こういう体制で、危機管理事案に的確に対応できる体制をつくりあげていきたい。

■久保参事■ 補足をさせていただきます。現在の体制のなかで、SARSとか、食中毒、そういった健康危機管理につきましては、25の健康福祉事務所ではなく、再編統合の数になる13の圏域事務所で、もうすでに行っておりますので、今回の再編によって、健康危機管理とか、そういったものに直接的な影響を及ぼすようなことは生じないと考えています。

■杉本ちさと■ 直接影響ないとおっしゃいますが、これまでの教訓で、やっぱり地元の実態をよく知っている。そういうことが非常に大事。組織がつくられても、鳥インフルエンザのときは、移動制限区域を設定しましたが、どの道を行けば、どこに通じるなど、そこにはどんな人がいるとか、そういうことも含めて、保健所の大切な役割があったと思う。そういう点は、県の対応指針にも反映されていると思う。あらためて、この保健所の統廃合には、県民の安全・安心が守れないのではないかと指摘して、質問を終わります。

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