|
|
行革特別委員会 意見表明
杉本ちさと
県民負担増、開発優先に反省のない「新行革プラン」 日本共産党としての意見表明をいたします。 県は、財政悪化を理由に新行財政構造改革推進方策(新行革プラン)第一次案。平成20年から30年の期間に1兆1210億円を削減するとして、県民の福祉や教育、医療の削減、県職員の3割削減、市町への多大な負担贈など県民に大きな犠牲をしいる計画です。県民の暮らしの実態は、年金や給与所得は減少し続けているのに、定率減税の廃止や老年者控除、各種控除の廃止などによる大増税や、介護保険料、医療費負担の値上げなど社会保障費の負担増で、本当に大変です。その上に、原油高騰による影響で、広範な原材料・商品の値上げなどに広がり、県民の生活をいっそう脅かしています。国の構造改革による格差と貧困の拡大は深刻で、県内の企業倒産は、711件と2001年以来の前年比プラスとなり、中小の倒産が多発しています。大企業のみが空前の利益をあげ、一方、県民のくらしは悪くなるばかりです。地方自治体の県の役割は県民のくらしを守り、住民の福祉の増進にあります。しかし、新行革プランは、この県の役割を投げ捨て、逆に県民にいっそうの負担を増やす内容であり認めることはできません。
借金増の原因ー景気対策や震災での不要・不急の公共事業 そもそも何故県の財政が悪化したのか、その原因と責任はどこにあるのか充分な検証が行われていません。政府は、1990年代、内需拡大をせまるアメリカの圧力を受けて公共事業費に630兆円という「公共投資基本計画」を策定し、過大な公共事業による経済政策を行いました。これを受けて本県でも1兆円を超える公共事業を補正予算で積み増してすすめ、大型公共事業偏重の財政運営で、起債を大幅に増やしました。しかし県は、国の経済政策を「必要な事業を有利にできた」といって借金を増やした反省がまったくみられません。県は、ムダな事業をした認識はないといいますが、荒れ地で放置された宝塚新都市用地や播磨科学公園都市の2・3工区にみられるように、不要不急の大型公共事業があったことは明らかです。 さらに、阪神淡路大震災からの「創造的復興」のための財政支出が財政悪化をもたらしたと県民に説明していますが、16兆3000億円にものぼる震災復興事業の7割は、震災と関係ない一般の公共事業であり、被災者に直接支援にまわったのはわずか2%しかありませんでした。ちょうど明日が震災13年目となりますが、被災者は復興過程で行政の支援が乏しかったと43.2%がこたえています。被災者への支援をなおざりにして、神戸空港,関西2期工事、本州四国連絡道、山陽自動車道など震災を好機ととらえて大型公共事業を優先して推進し、借金をさらに大きく膨らませたのです。本県における、震災関連の起債残高8500億円の94%が「創造的復興」であり、災害復旧はわずか6%であることが明かとなりましたが、県は、「震災復興事業があったから県内の生産も元にもどった」といっていますが、戻ったのは、一部の大企業だけであり、被災者の生活と営業の実態は不況と震災の影響で元にもどっていません。 広島修道大学の豊田利久教授の分析が昨日の新聞に掲載されましたが、阪神淡路大震災は直接被害額の約10兆円を上回る14兆円の間接損失があり、被災地の経済が長期的に不況にみまわれたことや、橋や道路、港湾などハード中心の復興政策が長期的に被災地経済を支えられなかったこと、復興には中小企業などへのきめ細かい政策や、住宅再建を含む生活者の視点にたった復興政策が必要だと指摘しています。県が行った震災復興事業の失敗をうきぼりにしています。 わが党は、震災直後から、復旧第一で、被災者の生活と営業の再建支援を中心とした震災復興を求めるとともに、一貫して大規模公共事業偏重の財政運営の歪みを問題にし、大幅に削減することを求めてきました。また、予算編成時には組み替え提案も行い、くらしを守りながら大型公共事業の削減を提案してきました。 今日の4兆3000億円の莫大な県債残高をつくった責任は、大型開発公共事業偏重の財政運営をすすめた県当局と、これをチェックすることなく賛成して推進した県議会与党会派にあることは明らかです。 したがって、財政悪化の原因である、過大な大型公共事業偏重を改めること、ここを抜本的に改革しなければなりません。ところが、今回の新行革プランは、投資事業の総額は一定減少させていますが、その事業のなかみは必要性が疑われる播磨臨海地域道路建設計画や大阪湾岸道路西伸部延長など6基幹軸がらみの高速道路の建設などは重点的に実施するとしており、大型公共事業偏重の姿勢は改善されていません。財政悪化をもたらした原因を抜本的に正す改革を行わず、収支不足のツケを県民生活におしつけ、いっそうの負担を負わせて財政再建をはかろうとする計画であり、認められません。
国に追随するのでなく、県民を守る県政を また、「構造改革」路線のなかで、地方分権と称した三位一体改革を国は推進しましたが、地方交付税の削減等で結局は国の財政再建のために地方財政が犠牲となり、兵庫県においても大きな影響をうけました。国は、さらに地方公共団体の財政健全化をめざすとして、新たな財政指標のもと、職員の大幅削減といっそうの住民サービス切り捨ての行政改革を強制しています。夕張ショックに乗じて自治体のリストラを促進しようとするものです。県は国の新たな指標で県民に危機感をあおっていますが、このような国の施策は、地方自治を疲弊させ、地域間格差をいっそう増大するものとなります。 アメリカの要求で実施された90年代以降の過大な公共事業による大量の起債、三位一体改革にみられた地方交付税削減、さらに今回の財政健全化にむけた行財政構造改革の強制など、地方自治体に多大な犠牲をおしつける国の悪政に対して、県民を守る立場を明確にしてすべきです。しかし、県はこれまで国の施策に無批判に追随し、むしろ先取りして国の政策を推進してきました。地方自治体は自主的に運営されるものであり、国の従属機関ではありません。国の悪政から県民を守る防波堤となって、県民のくらしを守り、地方自治体としての自主的な運営で県の役割を発揮し、県民の福祉向上に努める兵庫県政に抜本的に転換することを強く求めます。
県民、市町からの大きな反対の声 今回の「新行革プラン」に対して県下41市町すべてから意見がだされている。わたしの地元姫路市では、県行革によって、3億6000万円の影響がでると試算され、市独自で肩代わりすることはむずかしいと議会の質問に答弁し、県に対して行革プランの見なおしを強く求めています。 また、神戸市でも,福祉医療をはじめ、市民に負担増となることは許されないとして新行革プランの撤回を強く求めています。他の市町からも見直しや撤回を求める意見が数多くだされており、また、医師会や歯科医師会、薬剤師会、多くの市民団体などが、新行革プランの撤回を求め、署名運動も展開しています。県は、福祉医療制度の周知期間を1年間延長するとしていますが、これは見直しや撤回を求める市町や県民の意見を受け入れていません。実施延期だけでなく、きっぱりと撤回すべきです。また、パブリックコメントが県民に周知することなく終了しましたが、新県行革で県民の生活がどのようになるのかなど、県民への説明がなされていません。このような参画と協働の取り組みになっていないなかで、一方的に新行革プランを推進するべきでないと強調したいと思います。
県民サービスの切捨ては許されない 次に、各分野、事業ごとの問題についてです。 まず、県の「組織」については、削減ありきでなく、県民のくらし、「住民の福祉の増進」にとってどういう役割が求められるかという視点で、考えるべきです。特に、土木を中心に過大な公共事業などの対策への人員配置こそ見直すべきであり、健康福祉事務所など、現場に置かれている事務所と人員については、統廃合や仕事・人員の削減は、安易にすべきではありません。 定員・給与については、行革特別委員会の場で、福祉関係の職員数が全国最低水準の低さであることや、人件費1600億円のカットが実施されれば、県内経済を437億円ものマイナスの影響がでる問題も指摘しました。法律や人事委員会勧告を尊重し、福祉の増進を図るべきです。 次に、「事務事業」など、具体的な各分野の問題についてです。 見直し案38項目以外に一般事務費の3割カット、超過勤務手当(残業手当)を15%カットと大きな削減となっています。県民サービスを悪くし、県職員に一方的なしわ寄せを押し付けてはなりません。
- 一番の問題となっている、福祉医療助成制度については、
「周知期間をもうけて、1年間の実施延期」という措置がされることになりますが、市町や県民の意見・願いは、計画案そのものを撤回することです。 特に、老人医療費助成が低所得者のみに限定され、65歳から69歳の対象者のカバー率が49%から7%にまで大きく縮小される大改悪の計画です。県は「他府県の多くは廃止している」「制度を維持するための見直し」と説明しますが、これまで無料制度から有料化、1割から2割の負担増、所得制限の強化などで改悪をつづけ、今度はついに7%(2万5千人)しか対象にならない制度にまで縮小する計画です。その上、さらに在宅老人介護手当や長寿祝い金、100歳の祝い金制度の見直しは認められません。 また、「福祉医療間のバランス」と言って、重度心身障害者や乳幼児医療費助成を、自立支援医療制度の所得基準にあわせ、約4万5千人を助成対象からはずしています。「同じ福祉医療」だからと一律基準にするのは、市町から「根拠がない」と強く批判の声がだされているのも当然で、理解をえられるものではありません。 さらに重大な問題は、井戸知事は、先の知事選挙の「10の約束」で、「老人医療費助成の対象者率50%を堅持して、助成水準を確保します。」と県民に約束されました。県民への「公約」です。今回の案は、まぎれもなく「公約違反」と言えるのではないでしょうか。知事は県民への約束をどう考えておられるのでしょうか。公約を守る立場で、福祉医療制度は少なくとも現行水準を堅持し、改悪案の全面撤回を強く求めます。 - 民間社会福祉施設の交付金についても、福祉施設の人材確保が困難となっているとき、施設まかせでなく、以前の処遇改善補助のような人件費に着目した支援が必要です。
- 次に、障害者への施策で、重症心身障害児指導費交付金を、報酬単価の引き上げのなかで、交付金を削減する計画は、重症の障害児施設のきびしい状況に悪影響をあたえるもので、反対です。
重度心身介護手当は廃止せず、継続すべきです。 また、小規模作業所への県補助についても、法制度に移行できない施設に対して「平成25年度以降の県補助の廃止」でなく、知事が県民に約束したとおりに県補助を「継続」し、あたたかい支援をするべきです。 - 次に、教育分野における問題です。
- まず、県単独の教職員の削減計画によって、大変な教育現場に新たな負担をと子ども・生徒に被害を及ぼすことが懸念されます。知事の約束している35人学級は今年4月から小学校4年生まで実施するとしていますが、小中全学年での少人数学級などを県民は強く求めています。教職員は削減でなく、拡充こそ求められています。また、臨時職員の勤務条件や給与引き下げはおこなわないことを求めます。
- 次に、特別支援学校の「再編」や「適正配置」を言われていますが、特別支援学校については、その施設の過密さや、長距離通学などが問題となっており、各地域で増設を県民は強く要望してきた経過があります。今後の学校建設においても、県民の要望を十分によく聞いて取り組みをすすめることが不可欠であり、県単独で上乗せ配置されている教職員についても、3割削減などは絶対にするべきではないことを強く主張します。
- 次に、スクール・アシスタントについても、国の基準は各小中学校に1人分しかなく、その単価も84万円と低いものです。軽度の発達障害児は、6%と言われており、各クラスに1人か2人いる計算です。国の措置と県による現行の支援だけでは対策が全く不十分です。県事業の廃止は撤回すべきです。
- 私学の問題では、私立高等学校や幼稚園の補助については、これまでも地方交付税増額分を削減するなどして、支援を弱めてきました。そのうえに、さらに補助を削減する計画は、公教育における私立学校の役割を低下させるものであり、支援の強化こそ必要です。
また、生徒の授業料の軽減補助は、低所得者・生活保護受給世帯に絞り込む案となっていますが、それ以外の2640人(18%)は対象外にされ、補助金を減らされる人もいます。兵庫県の私立高校の初年度父母負担は、公立と7倍以上の差で、滞納者が1校あたり約25人と全国3番目に多い状況のなか、より父母負担を増やすことには反対です。
- 県は、「国が措置していること」や「定着した」などといって、県補助を削減し、市町との負担割合を見直す計画が提案していますが、これは「三位一体」改革で、ナショナルミニマムはもう達成された、地方への支援から手をひくとの考え方によるものと言えます。
しかし、実際は、国で措置されるといっても、予算を組むのは市町であり、地方交付税が全体として5.1兆円も削減されるなかで、必要な事業の予算を組むのにも困難をかかえているのが実態です。そのなかで、県が事業の下支えをする補助を削減することは、県下どこでも標準的な最低限のサービスを提供したり、市町が全国を上回る事業をすすめていくことを困難にしてしまいます。ひいては、県民サービスの大幅な後退になってしまいます。 結局、県のしていることは、国が三位一体として地方財政切捨てでやっていることと同じことを市町や県民に対して行うということです。このようなやり方は、市町を支援すべき広域自治体の責任を投げ捨てるものであり、やめるべきです。 具体的には- 妊婦健康診査費補助については、国が5回まで措置するからと兵庫県の支援を減らすとしていますが、救急搬送の拒否問題でも「かかりつけ医がない」妊婦が最近増えて、受け入れがむずかしくなっていることが指摘されており、また、出産にかかる検査の費用を支払うのが困難な家庭にたいする支援として、全国では14回までの公費負担する自治体もあるというのに、兵庫県は全国の流れとも逆行しています。削減でなく拡充こそ必要とされています。
- バス対策費補助についても、基準を見直して、神姫バスの5路線、全但バスの6路線を補助対象をはずし、上限をつくって県補助金を削減しようとしています。特に、全但バスは、会社としても、24路線、91系統の「路線休止」について表明し、地元では大問題となっています。このままでは、大切な住民の足、公共交通がなくなり、限界集落が増える危険性もあります。削減するのでなく、拡充こそ求められています。
- 市町ボランタリー事業についても「定着した」からと、市町負担を増やすのは、貴重な県民の自主的な活動維持が困難となるところもでてきます。削減でなく支援水準を維持すべきです。
- 新産業創出支援事業については、貸付だけにするのでなく、中小企業向けの補助事業として、使いやすいものに見直して継続すべきです。
- 農林土木事業については、農家の実態にあわない無駄や過大な土木事業のチェックが必要です。その上で、県随伴補助率の見直しで市町や農家の負担を増やすことは認められません。
- また、県民交流バス、高齢者大学、県民小劇場などは、県民に喜ばれている事業であり、削減や負担増、廃止などはしないこと。
- 交番相談員については、56人の削減のうえ、配置を変える計画ですが、警察全体で、現場を重視し、派出所への人員配置を増やすべきです。
- 全国で例のない、破格の大企業補助金の見直しを
また、見直し項目にはあがっていないなかで、県民の立場から見直しが必要な事業があります。 大企業向けの上限なしの企業誘致補助金などは、見直しをせず、継続する考えですが、わが党は、これまでも尼崎の松下プラズマディスプレイの違法な偽装請負をはじめ、行き過ぎた企業誘致補助制度のあり方を指摘してきました。増税などに苦しんでいる県民には、医療費など負担増を求めながら、一方で、国の減税や開発補助で優遇を受けている大企業に対する企業誘致の補助金を見直さないというのでは本当に逆さまです。今年の補助の予定企業には、姫路の臨海部に工場を新設した新日鐵広畑やダイセル化学などがありますが、自社の土地に新産業の工場を建設することにも補助金を出すなど新たに制度を作って、企業誘致だけでなく既存の大企業にも支援を拡大しています。県民には「自己責任」や「自立」といって支援を削減しながら、空前の利益をあげている大企業には手厚く支援する、これは納得できません。大もうけの企業は、「自己責任」で立地してもらうべきであり、聖域とすることなく、全国一番の破格の補助金制度は見直すべきです。 また、不公正な同和行政や情報保護の観点で不安のある住民基本台帳ネットワーク関連の事業なども、きっぱりと見直すべきです。
不要・不急の公共事業の見直しを 次に「投資事業」についてです。 はじめに触れたように、借金増の原因が投資事業であることは明らかです。したがって、財政悪化に到った大きな原因である不要不急の大型公共事業や箱物建設を大幅に削減することがなによりも重要です。 投資水準については、全国との比較では、1999年から2005年の普通建設事業を、ほとんどの府県が減らすなか、兵庫県は逆に113%に増額し、全国3位の増額をしています。類似府県に比べても異常な高さです。全国が削減しているのに高止まりした要因についても、「震災復興途上であり、区切りのついた国体までは維持する必要があった」と理由にならないいいわけをしています。投資事業は全体として1500億円から1600億円規模にまで削減する必要があります。 また、今も播磨臨海地域道路など、「渋滞解消」という必要論の根拠に疑問点が浮かび上がっているような自動車専用の高速道路建設に固執していますが、過大な公共事業は削減すべきです。過大な公共事業が借金を増やしたことへの反省がなされていません。 そのほか、本来国が負担すべき国直轄事業の負担金や、大規模林道、神戸空港や関空2期、但馬空港、武庫川ダムや但馬・丹波地域の生活ダムなど、見直しすべき公共事業がたくさんあります。 不要・不急の大型公共事業偏重を正すには、公共事業評価を、住民参加や、代替案の十分な検討を含めた改革と、県幹部の天下りを全面禁止することです。公共事業を受注するゼネコンや調査するコンサルタント会社が県幹部の天下りの受け皿となっており、公共事業の削減をすすめる上で、障害になっています。井戸知事を含めて、「職業選択の自由」という天下り容認の認識を根本的に改めるべきです。 そして、中小企業の官公需発注率を高めることやリフォーム助成制度の創設、耐震補助の制度の拡充、生活関連の公共事業など、投資事業全体を減らしならがらも中小企業の仕事を増やしていくことが必要です。 また、県営住宅の管理運営を、民間の指定管理者に移行する流れが強まっていますが、入居者にたいする福祉的対応が不十分となり、指定管理者の導入をすべきではありません。県住の建替え戸数の削減も問題です。 危険な道路への信号機の設置は、県民から強い要望がありますが、県単独事業にあわせて、来年度から年間30の枠になるといわれていますが、これでは、県民の命を交通事故から守ることはできません。
公的施設ー疑問のある施設の見直し、県民に必要な施設の維持を 公的施設については、利用者数だけを理由に、安易に市町に負担を押し付けるような移譲はすべきではありません。 しかし、設置目的やその利用についいて、県民からみて疑問のある施設が県立施設のなかにもあります。三木のビーンズドームと呼ばれる9面の豪華すぎる屋内テニスコート、淡路国際会議場、ひと未来館や広大な面積を有する各地の都市公園など、目的からすれば過大すぎる箱モノや、利用見込みと実績とが乖離している施設などは見直す必要があります。 また、小さくて、県民の役にたち、全国的にも先駆的として知られる西播磨・佐用町の昆虫館のような施設は、県立として維持すべきです。
試験研究機関について 県立の試験研究機関については、生活科学や健康科学研究センター、福祉のまちづくり工学、工業技術センター、農林水産技術センターの見直しが含まれていますが、これまでの「行革」でも退職者不補充による人員削減で、研究者がすくなくなり、蓄積された研究を継承することが困難になっている研究機関も出てきています。今後、基礎的な研究や人員の一層の削減がされれば、従来の研究水準が維持できません。 これらの試験研究機関は、県民の健康や福祉、ものづくり、農林産業などにとって、重要な役割を担うものであり、受託研究や成果主義などに偏重しないことを求めます。
企業庁、病院局など- 企業庁の地域整備事業については、一般会計や基金なども含め、合計1593億円の負債をかかえながら、用地売却など、その借金返済・償還の目処が全く立っていません。逆にこの10年間で借金を2.4倍に増やしています。簿価を公表し、事業ごとの決算を県民に明らかにし、見通しのない事業は早急に見直し、地域整備事業の全体についても縮小したり中止することも含めた抜本的な改革が必要です。
- 病院では、昨年の12月に姫路で19の病院に断られて亡くなられた救急搬送患者の問題は誰にでも、どこにでもある問題です。各病院が「専門」に特化し、診療科目の再編をしてきたことが、今回3次救急の役割を県が果たせないことにつながっています。県の責任で救急医療体制の強化が求められています。さらに、国の「公立病院のガイドライン」にもどづき「平成20年度に改革プランを策定する」としていますが、これによって、県立病院をはじめ県下の公的病院の再編・統廃合がすすめば、県民の命をまもる医療体制を崩壊させる危険性をもっていると指摘しておきます。
- 水道事業における、水道料金の改定、二部料金制度や長期責任水量制度などは、水あまりのなかで、市町に負担を押し付ける仕掛けであり、市町負担でない見直しが求められています。工業用水道についても、企業が自分で設備投資している部分があるとはいえ、県民からの「あまりに安すぎる」との声を受け止めて、契約の見直しを求めるべきです。
公社などについて 公社等においては、全体として2935億円もの債務保証がありますが、以下個別の問題を述べます。- 広大な塩漬け土地をかかえる土地開発公社や、造林事業などで多額の借金をかかえるみどり公社などは、まず経緯や現状の情報公開を十分に行い、事業の縮小・廃止、見直しをすべきである。
- また、ひょうご震災記念・21世紀研究機構は、震災とは乖離した研究が大半を占めるようになっており、震災関連のみを残して事業を縮小すべきです。
- ひょうご情報教育機構について、カーネギーメロン日本校は当初から県がしなければならないのか疑問であり、契約期間前に早急に廃止すべきです。
- 夢舞台株式会社については、赤字をうめるための支援や委託事業などをしていますが、これ以上の赤字補填はするべきではありません。
- 外郭団体などに共通して指摘したいのは、県の幹部職員の天下りやその過程のポストとして、席が用意されている問題の改善が必要です。天下りと再就職先などの調査と公表、天下りポストの給与・退職金を、県民の目線から是正を行うことが必要です。
自主財源など 現在の法人県民税の超過課税については、現行5.8%を6%の上限に引き上げること、そして、その使途について、CSRや交流広場事業だけでなく、福祉や少子化対策などにも使えるようにすべきです。 また、県民緑税については、温室効果ガスの排出量の多い企業へのより大きな負担を検討し、地球温暖化対策を強めるべきです。充当事業など、県民の合意を得るための説明責任を果たす努力がいっそう求められることを指摘しておきます。
以上、のべましたが、県政運営の悪化の大本の反省なくして、兵庫県の未来、県民のための県政運営はできません。アメリカいいなりになった国の誤った経済対策と、その国にいいなりになって推進した兵庫県の責任、誤りを助長した震災復興計画、構造改革、三位一体改革による地方切捨てにどう対決するか、「新行革プラン」は、兵庫県の役割、県はなんのためにあるのか、を問いかけています。国の悪政に従うのでなく、地方自治体として、県民が主人公、「住民の福祉の増進」に専念してこそ、道が開かれます。こうした県政への抜本的な転換、改革が必要であることを最後に訴えて、終わります。 |
|
|
|
|