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2007年12月17日

行革特別委員会 質疑

杉本ちさと

多額の借金の原因、国追随の県政


■質問■杉本委員:日本共産党を代表しまして質問をいたします。
 「新行革プラン」の目的には、震災から創造的復興をすすめるために本県の行政運営は相当無理を重ねてきたことが原因、と記述していますが、多額の起債の原因や責任が示されていません。真の原因を明らかにして、ここから教訓を導き出すことこそが重要だと思います。その角度から質問を行います。
 まず一番目ですが、国に対する県の姿勢についてです。
 小泉内閣が推進した「三位一体改革」が「分権改革」といいながら、実は、地方交付税と国庫補助金・負担金を削減し、国の財政再建をすすめるものであったことが明白となりました。わが党は、一貫してこれまで三位一体改革は国による地方への歳出削減が狙いであり、国に交付税など財源保障を強く求めるよう繰り返し提案してまいりましたが、県もようやくこれを認めました。
 財政難となった原因の一つは国による地方交付税削減にあることを明記すべきだと思います。そして現在、「第2次改革」として「地方財政改革」がすすめられていますが、フロー面とストック面の破綻リスクの重要性があげられています。フロー面の財政収支の悪化は、国の地方交付税削減によるところが大きいといえますし、ストック面については、さきほどからのご答弁にありますように、90年代以降国の過大な公共事業による経済対策に地方財政が動員され、これについては先日の決算特別委員会で我が党の質問で、本県でも1兆円を超える事業が行われて、多額の起債を発行したことを答弁されていますが、これはこれで県独自の責任をはっきりしないといけないと思いますが、これに伴う累積債務の償還に関しては、政府の責任も大きいのではないか。そのように思います。
 今日の財政悪化の原因、地方財政の悪化の原因は、国による責任もかなり大きいと考えます。新たにストック指標を導入して地方自治体の財政再建計画の策定を義務づけ、国の統制を強化し、地方分権改革とは全く逆の国の関与を強化するものであると思うのですが、県はどのように考えていますか。

▼答弁▼小谷財政課長:ご指摘いただきましたとおり、確かに国の地方財政に対する政策も、強化といいますか変更の財政に与える影響は大きい。これは午前中からも例えば交付税の削減でありますと三位一体前と今年度、税収が増えて減った分を除いても、15年度と19年度の比較で700億円削減されたということがございます。また国の方では地方歳出全体を厳しく抑制するという政策をとっておりまして、地方財政計画の規模自体を落としてきておりますが、委員ご指摘ありました通り、地方公共団体、国の経済対策につきあいましてかなり全国的に起債を発行して事業にとりくんでまいりました。1990年代まではそうしてまいりました。その関係で大量の起債を発行しておりましてその償還がかなり財政を圧迫している。これ全国的な傾向でございます。このように様々な地方歳出については2つの要素があるにも関わらずそれを抑えてきておる。これは委員ご指摘の通りかと思います。
 こういった中で全国的にそういった事業が多いということで公債費がプラスになっておるところに、さらに震災からの復旧復興ということで事業をしてまいりました。本県は他県にない事情として、今年度でいいますと震災関連公債費700億円の発行でございます。まあこういった厳しい状況でございまして、われわれも何もせずに見ておったわけではございませんで、16年度の「三位一体改革」等がありました時には、県会の先生方それから市町、市町議員の先生方、地方6団体が、こぞって政府に対してこういった窮状を訴え、地方交付税の復元ということを強く求めてきておりまして、その結果残念ながら16年度以前の姿に戻っておりませんが、さらなる悪化というものは何とか防いでやってきております。
 ただ、我々としてはこの交付税の削減等の国の政策により厳しくなっておるということがまぎれもない事実でございますので、引き続き今後とも国に対し強く訴えていきたいと思いますのでご協力をお願いいたします。

震災復興の口実でムダな事業をすすめた


■質問■杉本委員:それであるならば国の責任をしっかりとこの推進方策に明記をすべきであると思います。これまで、地方自治体の財政再建は、あくまで地方が自主的に行うことが大切であろうと思います。
 県は、これまで国の政策に追随するどころか、むしろ先取りして大型開発事業やハコ物建設などを、他県に比べても過大な投資を行い、今日の財政難を引き起こしてきました。その反省が全く見られない。この推進方策に書かれていないということを指摘したいと思います。
 そして、その角度から次に、震災からの「創造的復興事業」について質問いたします。
 県は、震災を口実に高速道路や空港など大型開発を中心に公共事業を推進し、多額の起債発行で借金をさらに重ねてきたことをわが党は指摘し、反省を求めてきましたが、県は相当無理はしたことは認めていますが、「無駄な事業はしていない」と言っていますが。本当でしょうか。
 例えば、宝塚新都市建設計画は、震災前(1990年)から用地買収をして震災後も400億円以上をつぎ込んで買収をし、簿価で1200億円近くに達しています。今も事業計画もなく荒れた土地のまま無駄な事業ではないのですか。
 また淡路島の交流の翼港でも、70億円以上投資しましたが船の入港はなく数年来釣り堀になっています。三木防災公園に建設したビーンズドーム、最近完成しましたが、9面のテニスコートに40億円、土地代を入れるとさらに増えます。これらも震災復興事業になっていますが、あまりにも過大な投資ではないでしょうか。「ムダ遣いはない」といえるのでしょうか。お答え下さい。

▼答弁▼小谷財政課長:創造的復興の中身について、何回もご質問いただき何回も答弁しておりますが、われわれは、阪神淡路大震災、あれだけの災害からの復旧復興という中で県民のいろいろな方々のご意見、提案に基づいて策定したフェニックス計画に基づき、復興に努めてきたところでございます。
 この間、事業はいろいろとやってまいりましたけれども、これだけの取組をしまして、ようやく県内の生産が震災前を越えたというのが平成17年度でございますし、もし仮にそれだけの事業をしなければ、財政状況ここまでにはなっていなかったと思いますけれども、逆に復興がここまではできなかった、と認識しております。

住民のくらしを守る県政を


■質問■杉本委員:財政難を引き起こした過大な投資事業が、やはりそれへの反省が今だになされていない。その点を改めて求めていきたいと思います。
 次に、「新行革プランの視点」についてお聞きをします。地方自治体の大事な役割である「住民の福祉の増進をはかる」という点が明示されていません。
 県民は定率減税の廃止や介護保険、医療保険の値上げ、年金の引き下げなど、国の増税・社会保障削減・負担増政治のもとで、くらしが本当にたいへんになっています。さらに原油高騰による深刻な影響もでています。
 格差が拡大して貧困が大きく広がる中で、県が県民のくらしを守ることをまず示すべきではないでしょうか。
 しかし。「行革プラン」には、「国と地方を通じた歳出・歳入一体改革」、「持続可能な制度を目指す社会保障改革」など、国における様々な改革との整合をはかるとなっています。
 後期高齢者医療制度や消費税増税の検討など、今後さらに国民負担増の方向が打ち出されている中で、「整合性」と言って、県が国の負担増の上にさらに県民の負担を負わせることは、痛い傷口に塩をなすりつけるようなもので、県民の痛みは本当に絶えられないものになります。
 このような視点ではなく、県民のくらしをまもる防波堤の役割を果たすために、「住民の福祉の増進」という視点を明示すべきだと思うのですが、どうでしょうか。

▼答弁▼小谷財政課長:今回深刻な財政状況でありますので、まさに県政の各分野、聖域なく見直しをしてきたところでございます。県民のくらしを守る福祉事業についてのご質問でございますけれども、福祉医療制度等につきましても様々な観点で一定見直しておりますが、基本的になんとか福祉制度、これまでサービス続けてまいりました。
 例えば老人福祉医療費の助成などは、全国的にはもう廃止されている団体がほとんどで存続しているのは数少ない、そういう状況ですが、なるべくサービスの提供そのものについては維持したい。維持するなかでどのような見直しが考えられるか等について、見直したもので、ひとつ提言をさせていただいたものでございます。

県民や市町の声を聞かない


■質問■杉本委員:福祉の増進という県本来が果たすべき地方自治体本来の役割、「住民の福祉の増進」という言葉を明記すべきだということを改めて主張しまして、次に県民の「参画と協働」についてお聞きをします。
 ます、市町の意見についてです。県下41市町すべてから「新行革プラン」についての要望や意見が出ています。
 私の地元姫路市からも、「医療費助成事業」について、また「乳幼児医療費助成は少子化対策としてきわめて有効であり、また重度障害者は医療費助成も弱者対策として重要な施策であり、再考を」もとめています。
 また神戸市も、「福祉医療については、現行制度を堅持する必要があり、対象者の縮小や利用者負担増など、市民負担の増加につながる見直しは撤回すること」など、強い調子で要望が出されています。西宮市をはじめ他の多くの市町からも制度の堅持を強く県に求めています。
 この市町の意見は無視されていると思いますが、これでは「参画と協働」と言えないのではないか。
 また、県民への説明についても、全世帯にお届けする「県民だより・12月号」が、つい最近発行されましたが、県民の生活にどのような影響が生じるのか、例えば福祉医療削減で、重度障害者や乳幼児・老人医療の負担増がどのようになるのか、具体的には何もわかりません。「県民の理解を得る」といいますが、具体的な説明が必要ではありませんか。くわしくはホームページを見てくださいと言っても、多くの県民はホームページを見るような生活をしていません。
 またご意見を募集していると言いますが、パブリックコメントはすでに11月29日から募集しており期限は12月28日までです。期間が半分以上も経過してからの発行では県民の意見を聞いて検討するということになっていないのではないか。
 またそもそも「県民だより」には、パブリックコメントのことが書かれていません。ご意見を募集していますと言いますが、期限が書かれていません。パブリックコメントの期間が過ぎてからの県民の意見もきちっと計画に反映されるのでしょうか。この2点についてお答え下さい。

▼答弁▼太田課長:市町意見が全く反映されていないというお話ですが、これは推進方策第1次案で、それらの意見を踏まえまして、「今後の検討課題等」という欄を設けて、それぞれご意見について明確に課題として記載させていただきます。
 これを踏まえて、この特別委員会あるいはパブリックコメントのご意見を踏まえて、正案を得たいと考えておりますので、決してそれを無視しているわけではないことはご理解いただきたいと存じます。
 県民のみなさんに対する意見につきましては、先ほどご指摘のあった「県民だより兵庫」のほか、ホームページすでにパブリックコメントでもたくさんの意見をいただいております。こういうことを踏まえまして、今後もいろんな機会を通じましてこれは周知をはかっていきたいと思いますけれども、決してわれわれ説明責任を果たしてないと考えていませんのでご理解いただきたい。

■質問■杉本委員:「今後の検討課題」ということで設けられていますが、例えば、福祉医療制度を堅持することなどが強く求められている意見は、全く無視されているというふうに再度指摘をしたいと思います。
 そして、多くの県民のみなさんからの意見とか要望等も、きちっと計画に反映されるようにということをお願いしたいと思います。
 県民にもっと具体的に影響するのか、わかりやすく説明してほしいというこの声を充分と聞いて応えていくことが、「参画と協働」という精神だと思います。「行革」にあたっても「参画と協働」の精神を貫くべきだというふうに思っております。

教育現場に悪影響およぼす職員削減


■質問■杉本委員:次に、定員給与についてお聞きをします。教育分野でも420人を削減する計画です。教育委員会にお聞きをしますと、県単独の教職員は今年度807人で、そのうち474人が高校の事務職員で、校務や実習を担当されています。
 この人達がばっさりと3割も削減されると、教育現場は本当にたいへんなことになります。仕事を減らして職員を減らすということではなく、教職員の場合は、仕事は減らないのにただでさえ忙しい教職員現場にさらに仕事が増えるばかりになり、生徒にも影響するのではないかと思いますが、どうでしょうか。

▼答弁▼阿山課長:県単独教職員定数の見直しこれにつきまして具体的な内容は今後検討をしてまいります。法定数の動向、これをきっちりを見極めながら検討してまいりたいと考えております。もちろん学校現場の教育活動と言ったようなことを進めていく、そのあり方についてはしっかりと考えながら、進めてまいりたいと思っております。

■質問■杉本委員:ということは、削減をしないこともあるということでしょうか。

▼答弁▼阿山課長:さきほど高校の事務員というお話がございましたが、これは、いわゆる校務員さんのことを事務員・技術員というふうに言っておりますが、この事務員・技術員につきまして、従来より定年退職の動向もみながら計画的な削減に努めているものでございます。またその削減によって別途必要となる業務この実施方法につきましては、外部に発注できるものにつきましては発注する等の業務執行方法の見直しこういったようなことも含めて対応をしていくこととしたいと考えてございます。また、具体的な内容は今後検討をしてまいりたいと考えております。

35人学級を約束どおりに実施を


■質問■杉本委員:だだでさえ忙しい教職員の現場です。削減ありきではなくて削減をしないということで是非要望をしておきます。
 それから、小学校や中学校は県単独で170人ということですが、国の加配教員と合わせて教育を支える大事な担い手となっています。
 私達は少人数学級、35人学級を全学年に実施するように求めて来ましたが、知事が約束している小学校4年生までにも今回の計画による影響がでるのではないか、と心配されます。35人学級は国加配と県担の両方の教員を配置をして実施しているようですが影響が出ないと言い切れるのでしょうか。

▼答弁▼阿山課長:これまで35人学級編成の導入順次1年生から3年生まで今年度進めてところでございますが、その殆どは国の法定数を活用しながら拡充に努めてきておるものでございます。現在国の方におきましても、今朝も新聞報道でございました、内容は詳細は分かりませんが、定数改善への取組、これがあるならばそういうことも活用しながら、またその適正配置に努めながら35人学級編成の着実な拡充と教育活動の充実といったようなことにつきましては取り組んで、引き続き適切に取り組んでまいりたい、と考えております。

■質問■杉本委員:35人学級は来年度4年生は確実にやるというふうにお答えいただいたと思います。
 最後に、定員給与などの削減は、県職員だけの問題ではなくて県民のサービスの質と量、切実な教育の現場、子どもたちの教育がどうなるのかという、そういう問題に結びついております。一律のカットをすべきではないことを強く強調したいと思います。質問を終わります。

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