行財政構造改革特別委員会 事務事業
きだ結
■質問■ まずはじめに、第三次行革プランの基本的な考え方を、財政フレームにも関連して、お聞きします。 消費税率の引き上げ後の税収を収入に加えても、国の中期財政計画の据え置きなどで、本県の財政状況は依然としてきびしいと強調して、今回の行革プランで、歳出・歳入対策の追加対策をすると、平成26年〜平成30年までのフレームを見ますと、歳出面での追加対策として、総額219億円の削減して、そのうち144億円は事務事業の削減が占めています。一般財源でみると、144億円のうち65億円を事務事業の削減が占めていることになる。平年ベースでは、事務事業の削減総額は一般財源で44億円ほどになる。この44億円のうち、母子や老人の福医療助成制度と私学助成の合計だけで13億円ほどになる。つまり事務事業の削減額の実に3割を占めているということになる。これでは福祉や教育がねらい打ちされているという印象が、どうしてもぬぐえないですが、どうしてこのような検討になったのか。ご答弁ください。
▼答弁▼田村財政課長:今回の行革におきます事務事業の見直しにあたりましては、ゼロベースでの事務事業の評価をしまして、そのなかでの視点として、国制度改正等を踏まえた県単独施策の対象者とか負担割合、こういったものを検討であるとか、市町との役割分担、それから地方財政措置と照らし合わせまして、その水準がどうなのか、適正なのか、こういった視点で見直しをしました。その結果として、今回行革プランのほうにお示ししましたものは、見直しの効果額が30年度まで500万円以上のものにつきまして、個別事業として掲げさせていただきました。そういった視点で見直した結果として、大きな額としてでてきたものが、委員ご指摘の老人医療とか母子家庭等医療費助成、あとは私学の助成というものがでてきた。あくまで視点で見直した結果が、ご指摘の事業でございます。決してこれをねらい打ちしたというわけではございません。
■質問■ 「ねらい撃ちしたわけではない」とおっしゃるが、どちらにしても県民にとって、非常に厳しい内容になっています。井戸知事は就任直後の会見で、「県民本位、生活重視」というふうに言われました。今回の第三次行革プランは、どこにその視点があるのか、大変に疑問に思っております。むしろ財政優先で、これまでの借金のツケを県民や、特に高齢者、母子家庭など、社会的に弱いと言われる立場の人たちに、押し付けていることになるのではないかと思います。本当の意味で県民本位、生活重視の視点での行革の方向にすることを求めて次の質問に移ります。 次に長期保有土地、いわゆる塩づけ土地の問題についてお聞きします。今回のプランで、平成24年度末残高で、約3500ヘクタール、2566億円の土地が一覧となっています。これまでに簿価をおさえる対策として、宝くじ収益金から利子補給を行ってきていますが、これまでの合計でどの程度つぎこんでおられるでしょうか。
▼答弁▼法田資金財産室長:この対策は平成15年度からやっておりますが、これまでの累計で、約90億円でございます。
■質問■ 90億円というお答えで、これだけの多額の金額、県民のために使える収益金を、利活用の目途のない山林や土地に、つぎ込んできているということになります。先行取得債の償還期限が来る土地から、県が取得していくとしています。たとえば宝塚新都市の一部や小野山田、篠山小多田などは、今年度の補正予算対象になるのかなと思います。日本共産党は、これまでも議案の審議のときにも、指摘をしていますが、この問題には取得の経緯や、事業として失敗原因などの分析と総括など、すべて今後の県民負担になる以上、県民にたいする説明責任を果たすことが肝心だと思います。また知事を本部長とする、全庁的な対策本部をつくって民間売却処分もすすめると書いてあります。簿価だけでなく、時価評価での土地の評価なども検討して、売却も検討することになると思う。そこで、これまでの総括とあわせて、その時価評価などを県民向けにも明らかにして、公表すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
▼答弁▼法田資金財産室長:これら長期保有土地の簿価でございますが、先行取得用地は、兵庫県が土地開発公社に買い戻すという約束をもとに、取得価格およびその事務費で買い戻すという約束をして買っておるものでございます。したがいまして、土地開発公社において、時価評価をする必要はまずないと考えています。また先行取得用地につきましては、基本的には、それぞれ地元の市町から要望等があり買ったものでございます。一概に売却ありきというものではなく、まず地元市町とどのような活用があるかということを検討していく必要もございますので、その売却をするということが決まった場合は、それぞれにおいて、時価ということを検討する必要があると思いますが、現時点では必要ないと考えております。
■質問■ 「公表する必要がない」ということだが、新都市計画など、県としての計画が失敗したツケが、これだけのものになっているということに、本当に胸を痛めないといけないことだと思います。 このようなことも十分に県民に説明できないまま、先ほどもあげました福祉医療などの予算を削るというのは、今回の行革プランだけでなくて、県政そのものについて、県民から到底納得や信頼が得られないのではないということを指摘して、私の質問を終わります。
老人クラブ関連部分 ■質問■ 具体的な事務事業の見直し内容に関わってお聞きします。 まず、母子家庭等医療費助成事業についてです。今回、所得制限を児童扶養手当の所得制限基準から、自立支援医療の低所得基準T、これは市町村民税非課税世帯とほぼ同じということで、所得制限としては一番厳しいランクにするものです。現在10万人の対象者を5万7000人削減して、4万3000人、つまり半分以上を対象外にする非常にきびしいものです。お聞きしますが、全国的には、同様の所得制限で行っている府県はあるのでしょうか。
▼答弁▼福田医療保険課長:山口県などは、非課税世帯ということで実施しております。全く同じというところは、承知をしていない。児童扶養手当の基準以外のところもございます。
■質問■ 市町民税非課税世帯と同等ということなので、全国的に山口県だけ。ゆるい順から、「所得制限なし」「遺族基礎年金」や「児童扶養手当」、そして「所得税非課税」、それから、一番厳しい「市町村民税非課税」となる。今回、一番きびしい所得制限を採用するということです。 これまで、母子家庭等医療費助成事業は、議会答弁でも明らかなように、「生活経済基盤の弱い母子家庭の経済生活」に、「日常生活の安定と経済的自立の促進を図る母子福祉施策の一環」であり、こどもだけでなく、親・養育者も含めた世帯・家庭全体の支援として進められてきました。今回の見直しは、この趣旨に逆行し自立を妨げるものになるのではないかと思います。こういったことから、現行の所得制限を継続すべきであることを強く求めておきます。 次に、単位老人クラブへの活動強化費の削減、単価の引き下げについてです。地元のある単位老人クラブ会長さんに、日常どのような活動をしているのか、お聞きしました。思いつくだけでも、と言って教えていただきましたが、たとえば、小学校の授業として行われている昔遊びへの会員の派遣とか、ふれあいまちづくり協議会主催の盆踊りへの協賛団体として踊り子の派遣とか、地蔵盆として子どもたちに配るお菓子の準備とか、介護予防としての運動・体操教室・同好会、3世代輪投げ大会、各種研修会への会員の派遣などなんです。こういった地域のコミュニティとか、あるいは、元気でなるべく人の世話にならないようにと自らの健康作りを地域の仲間と行うのが老人会の趣旨でもある活動です。 なにかをしようと思えば、最低限のお金が必要になる。交通費の支給、お茶代などの手当など。単位老人クラブにとって、今回の削減対象の補助は、活動の最低限の保障となっていると言われます。 昨日も、神戸市老人クラブ連合会と知事のさわやかフォーラムでも、4人発言のうち、3人が「補助を継続してほしい」と訴えられていました。その場で、要望書を知事に直接手渡されました。そのなかでは、前回の「行革」での削減に引き続く、「補助金削減は、単位老人クラブにとって、大きな財源であり、これを狙い打ちするかのような削減は、老人クラブの役割を否定するものであり。到底承諾できるものではない」、「兵庫県におかれては、現行の補助制度を継続していただきたい」、「老人クラブ連合会及び486単位老人クラブの総意として要望する」と、非常に重たい要望書だと思います。 先ほどの老人クラブ会長さんは、今でも会員からの会費(月100円)と補助金、月9000円で、110人の大所帯の運営をしている。いまでも旺盛に活動しようとすれば、どうしても自分の自己負担、持ち出しで活動を続けている。なんとか社会貢献したいが、これまでも行革で補助金が5000円から4000円、さらに3000円と減らされると、これ以上活動が維持できない。縮小せざるをえないとおっしゃっていました。効果額を見ますと1400万円です。せめて現行の水準を維持すべきではないですか。いかがですか。
▼答弁▼伊沢高齢社会課長:委員もご指摘をしていただいたように、兵庫県の老人クラブは非常に活発に活動されており、これまで他府県に比べても大変手厚い支援をさせていただいてきた。昨日のフォーラムで知事自らもみなさんに説明したが、現在支払っている補助単価4400円につきましては、全国唯一の県単独制度としては、国庫補助の単価3500円よりも900円高いということもあり、今回の行革の見直しのなかでは、大変恐縮ながら、国庫補助の単価と同額の3500円にさせていただく。他方、県としましては、今後の高齢社会を見据えて老人クラブの活力を生かしていきたいと考え、クラブのみではなく、他の高齢者の方も参加していただけるような、健康体操・健康づくりという形で、別途事業を展開していただきたいということで、500円分の新規補助事業を別途つくらせていただいた。
■質問■ 健康体操の500円をいただいても400円の減額となる。十分に当事者の声を尊重していただきたいと申し上げて、次に移る。 第三次行革プラン案の中の、老人医療費助成事業、母子家庭等医療費助成事業、老人クラブ活動強化事業の見直し、削減について、それぞれ市町からはどのような意見があがっているのか。
▼答弁▼伊沢高齢社会課長:すべての市町から意見はいただいていないが、もちろん今回の案にたいしまして、賛成する意見から、反対する意見まで、様々でございます。具体的に、実施時期のこともございますが、現在パブリックコメントを実施中でございますので、これらの意見も踏まえまして、慎重に検討をして対応をさせていただきたいと考えております。
■質問■ わたしがお聞きしたところ、聞き方としては、それぞれの事業についての案の是非を聞いているわけではないのですが、ただ自由記載欄に、たとえば「母子家庭医療費助成事業については、10市町、神戸市、姫路市、西宮市などの10市町が、「現行制度を維持してほしい」という意見。あるいは老人クラブ活動強化事業についても、11市、神戸市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、こういった11市が明確に継続してほしいと主張されていたと聞いています。 2つの市の具体的な意見を紹介したいと思いますが、神戸市からは、母子家庭等医療費助成事業について、市議会の福祉環境委員会の答弁ですが、「所得制限がかなり厳しくなる。これによって現行の適用者の半数以上が適用除外になることも予想され、非常に厳しいので賛成しがたい」、と。老人クラブ活動強化事業についても「老人クラブの活動実態があり、県においては実態を踏まえて現行程度の支援継続を求める」。 西宮市からは、老人医療費助成事業について、「今回なくす低所得者Uは低所得者Tの対象外となる低年金者の救済措置であることから、行革の見直しによる低所得者Uの廃止はやめ引き続き受給対象とすることを要望する」と聞いています。 いずれの事業も県市協調事業です。福祉医療にしても老人クラブ活動強化事業にしても、市町はその趣旨を十分に理解するから、財政負担もして、県と共同して住民福祉に寄与してきたのではないでしょうか。そういう点からも、事業を一緒に進めてきた市町の意向をくみとっていただいて、先ほどの事業の見直しの再考をしていただいて、削減はやめていただきたいということを求めて、私の質問を終わります。 |