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2016年08月17日

行革特別委員会 質疑

入江次郎

【県職員の削減の影響の検証を】


入江:県は阪神淡路大震災からの復旧・復興として県債発行1兆4千億円、基金活用として4000億円の多大な財政措置を図ってきました。
 ご存知の通り、災害復旧事業の起債は95%の交付税措置が得られます。しかし県は、それとは別に創造的復興事業として関西国際空港2期事業、神戸空港建設、本州四国連絡道路、山陽自動車道路など一般公共事業として多くの起債をし、県財政に多大な負担を強いてきました。そのしわ寄せを、「行革」と称して県民の福祉をばっさりと切り捨ててきた事に県民からの厳しい批判と悲鳴の声が挙がっていることを最初に指摘しておきたいと思います。
 まずはじめに、職員の定数削減・給与減額等の影響についてです。
 県は、平成20年〜30年の10年間で職員定数30%削減を進め、平成28年度現在で概ね8割から9割の進捗率となっています。土木事務所、農業改良普及センター、保健所など、ますますその役割が期待され必要とされている中で事務所の統廃合、現場職員の削減が行われてきました。
 その結果、兵庫県では平成19年から28年の間に一般行政職員を2.216人削減し職員削減率は26.8%で全国1位、人口10万人当たりの職員数は全国平均182.9人のところ、111.1人へと全国43位となりました。
 さらに、行革による給与減額によって国家公務員を100とした場合のラスパイレス指数が兵庫県では98.5となり都道府県別では36位、県内指定都市、中核市と比較した場合でも、兵庫県98.5に対し、神戸市101.6、姫路市101.7、西宮市101.6、尼崎市97.2となっています。その上に兵庫県ではラスパイレス指数には反映されていない、期末・勤勉手当、管理職手当、地域手当も行革によって減額してきました。
 定数削減と給与減額が職場・職員にどのような影響を与えているかの検証を求めて、以下質問します。
 県職採用試験合格者の辞退者数は平成23年度11人だったものが年々増加し平成27年度には50人の辞退者となっています。辞退者の多くがその他の地方公務員、国家公務員へと就職しています。また、兵庫県職員採用試験の競争倍率は行政職大卒Aで平成23年度には15.8倍あったものが、ここでも年々低下し平成27年度には7.8倍へとなっています。
 公務員を志す若者には何よりも公務員としての高い使命感と倫理観が求められることは言うまでもありません。しかし、労働条件・待遇の悪い所に若い優秀な人材は集まりません。兵庫県政を担うにふさわしい優秀な人材を確保することは県民福祉増進にとって重要な課題です。
 そこでお伺いしますが、行革による極端な定数削減と、他府県、近隣他都市と比較しても低い給与が兵庫県職員への入職を敬遠させる一つの要員となっているのではないでしょうか。検証作業が必要ではないでしょうか。ご答弁を求めます。
 定数削減による業務多忙によって職場のコミュ二ケーションが低下していないか、給与削減によってモチベーションの低下を招いていないかなど、この間の極端な行革の影響について全職員を対象とした無記名のアンケート調査を行うなど、職員の意識や、職場の環境を現場の職員から直接聞き取る検証作業を求めます。ご答弁をお願いします。

渡瀬人事課長:まず一点目の職員の新規採用にかかります行革の影響ですが、いま民間の景気動向がいいということで、職員の採用のいろんなファクター、応募に対するファクターも変わってきています。そんななかで、おそらく併願の状況で結果的に兵庫県以外の国・他の地方公共団体の方に、最終的に採用される人は、たしかに年度によってばらつきがありますが、一定数あります。ただそれが、行革が理由なのか、それとも、たとえば、より転勤のすくない単身赴任の恐れのない市町の方がいいという意見があったのか、いろいろな事情があると思いますが、それを聞いて、次の行革にどう反映するのか、かならずしも意味があるのか、判断しかねる。いずれにしても、兵庫県が行革をとりくんでいる中になっても、その兵庫県で働きたい。あえて兵庫県を選んでいただく。そういう職員をわれわれとしては歓迎したいと考えております。
 全職員を対象とした無記名のアンケートは、人事当局としましては、常日頃からそれぞれの現場・各職場で、職員がどんな思いで働いているかということは、いろんなチャンネルで把握をしている。例えば、春先には、各部総務課長から県民局の総務担当室長が、各職場を巡回して、それぞれ所属長と意見交換をしてその内容を人事課に報告している。行革がはじまって以降は、人事課長と管理局長が県下くまなく回りまして、それぞれの所属長と自由闊達な意見交換をしている。職場の把握をしている。人事課への直行メールを各職場の課題も直接その職場に言えないようなことでも人事課で直接メールでいろんな意見をいただくチャンネルも設けている。されには職員団体との情報交換ということで、職場の代表のみなさんと職場の実態・状況について、つぶさに意見交換をする場も設けている。それらのことによりまして、それぞれの職員、・みなさんがどんなふうに考えて、どんなふうに行革にとりくんでいただいているか、把握していると理解しています。

【超過勤務について】


入江:次に、超過勤務についてお伺いします。定数削減と、出先機関の統合再編によって職員の事務量及び管轄範囲が広がりました。
 本来残業時間が増えると思われるのですが、県は行革で推進している「超過勤務の上限目標に関する要綱」を定めて、業務量の縮減、事務の効率化、職員の意識改革等々を掲げて超過勤務の抑制に努めています。
 業務縮減によって超勤を縮減する事が要綱の一つの狙いだと思われますが、実態は、業務を減らすことなく、人事評価の導入も含め、いつのまにか「これまで以上に仕事を加速しろ」という職場の雰囲気や、「業務縮減努力は実質的に行われていない」などの声が現場職員から寄せられています。このため、「要綱」の主旨が徹底される体制が現状では無く、サービス残業や持ち帰り残業をしている職員もいると聞いています。超勤管理を行うのは管理者の責任であり、職員が超勤申請しないから超勤は発生していないというのは通用しません。実質の超勤と帳簿上の超勤が違うケースもあるという認識はありますか?お答えください。また、その場合その違いを把握する努力はどのようにしているのかお答え下さい。
 昨年、組合からの指摘によって超過勤務の未払いが明らかになり、過去2年間に遡って未払い分の超過勤務代を支払った事案があったと思う。それ以前の超勤分については、2年という賃金債権の時効によって未払いになっている。追給できないため調査もされていないと聞いている。このような体制が以前から常態化していた様に思われるが、なぜ超過勤務の未払いが発生したのか?お答えください。
 他の所属でもこのようなことが起こっているという話も寄せられている。他の所属でも超過勤務の未払いが発生し、過去に遡って支給した事案はないか?お答えください。

渡瀬課長:いまご指摘の内容について、わたしとしては、把握しておりません。

入江:「把握していない」ということですが、実際にあったんです。残業代の管理というのは、ご存じの通り、労働基準法で管理者が労務時間を管理しなければならないことになっている。県の場合は自己申告によって職員が労働時間を申告すると。実際の労働時間と把握した労働時間について合致しているかいないかについて、実態調査を実施することは労働基準法で定められている。ですから、行革によって極端に職員が削減され、実際に残業しているけれどもそれが把握されていなかった、こういう実態が実際にあるんです。これは法にもとづいて、実態調査をすることを強く求めておきたい。

【福祉医療、私学助成などのカットでなく回復・拡充こそ】


入江:次に、事務務事業についてお伺いします。
 第三次行革によって、私立学校や、私立学校に通う生徒への補助、老人医療費助成事業、母子家庭等医療費助成事業などが見直しによって縮減されました。
 とりわけ心配されるのが老人医療費助成事業、母子家庭医療費助成事業については対象人数、削減額ともに影響が大きく、低所得者を対象としていた医療費助成制度であっただけに助成制度削減による受診抑制が懸念されます。
 母子世帯の収入は全世帯平均と比較しても低く、その下で暮らす子どもの医療受診抑制は社会問題にもなりました。子ども医療費については市町の努力もあって無料化が広がりましたが、心配されるのが母親です。助成制度の削減によって、体調が悪くても医療機関への受診を控える受診抑制が起こるようなことがあってはなりません。事は命と健康に関わる問題です。
 行革の総点検というのであれば、削減対象者の削減前の受診率、削減後の受診率を把握するなど、行革による影響によって受診抑制を起こしていないかなど、県民の痛みに寄り沿った検証こそ必要です。ご答弁をお願いします。

四海福祉監:まず老人医療費は、国の制度見直しで70歳以上の自己負担の額というものと、65歳から69歳までが逆転するということで前回見直しを行わしていただきました。これにつきましては、受診件数で見ますと、制度の見直し前の平成24年度は、年間平均24.8件だったものが、見直し後平成26年度に24.5件と、ほぼ同水準で推移しております。見直しの影響は出ていないと考えております。
 母子家庭等につきましては、乳幼児・子ども医療の充実を踏まえて一般世帯との不均衡を是正するために行ったものでございます。低所得者に重点化をした。ご指摘の親に対する他の一般世帯と親と同様に、現在のところ、把握しておりません。ただ、親に関しましては、特定健診やがん検診などの予防事業のとりくみの充実に努めて健康づくりに取り組ませていただいている。制度を元に戻すということは、現在のところ考えていない。

入江:母親については「把握していない」ということでした。財政上の総点検では「平成30年度に収支不足の解消を達成する見込み」となっているが、その一方で県民の福祉がばっさりと切り捨てられている。「総点検」というのであれば、行革の影響による県民の暮らしこそ総点検するべきです。
 次に今後の検討方向についてお伺いします。
 県は不断の取り組みとして、平成31年度以降の行革の取り組み方針を検討課題として掲げ、見直しの視点として「国の制度改正による代替措置が講じられたもの」「他の地方公共団体と比較して均衡を逸している事業」「地方財政措置を上回って本県独自に措置している事業」等について、見直し、廃止・縮小を検討する。としていますが、とりわけ県民生活に直結している見直しについてお伺いします。私学助成や、65歳以上69歳以下の医療費助成制度、民間社会福祉施設運営支援事業についても、新たな削減や廃止を含めた検討をしているということか。お答えください。

谷口管理局長:授業料軽減補助については、29年度、国の制度である就学支援金制度の検証が行われます。その国の検証を踏まえる必要があると考えている。それと経常費補助を勘案しながら、総合的に踏まえて支援のあり方を検討する。

四海福祉監:65歳から68歳までの老人医療費の関係と、民間社会福祉施設の関係ですが、あくまでも国あるいは社会情勢の変化をとらまえて、いま何が必要かという観点から見直しをしていきたいと思っている。限られた財源のなかで、どう軽重をつけていくかということをこれから検討していく。廃止ありきという議論をするわけではありません。

【大型公共事業や大企業呼び込みの縮小を】


入江:最後に要望です。県が掲げる「見直しの視点」は「住民福祉増進」という地方自治体の役割を否定するもので、認められるものではあいません。
 見直しというのであれば、名神湾岸連絡線や播磨臨海地域道路など、不要不急の巨額の大型公共工事こそ見直すべきです。またパナソニック工場にみられるように、巨額の税金を投入しながら全面撤退、規模縮小がされました。奨励金制度が企業の投資動向にどのような効果があったのかの効果の検証さえされていません。大企業呼び込み型施策こそ行政改革の対象として廃止、縮小を検討すべきです。
 先にふれたように、第三次行革による職員や県民への影響についても十分に検証しないまま、「行革」という名のもとに、さらなる福祉削減を進めることは許されません。
 これまで削減された福祉医療などの事務時事業回復と職員の補充を求め、さらなる福祉切捨てとなる行革の延長に反対して、私の質問を終わります。

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