行革特別委員会 意見表明
日本共産党兵庫県議団
第三次行革プラン3年目の総点検における課題と検討方向について日本共産党兵庫県議団の意見表明をします。
【職員給与・定員削減の影響の検証を】 1点目は、職員給与・定員削減についての影響の検証を求めます。 一つ目は給与減額の影響についてです。 兵庫県では行革による給与減額によって国家公務員を100とした場合のラスパイレス指数が98,5となり、県内の政令市、中核市と比較した場合でも低下しています。その上に兵庫県では行革によってラスパイレス指数には反映されていない、期末・勤勉手当、管理職手当、地域手当も減額してきました。減額された給与、手当の回復を求めます。 これらの影響も反映し、県職合格者の辞退者数、職員採用応募倍率は県内政令市、中核市と比較しても悪化の一途を辿っています。 公務員を志す若者には何よりも公務員としての高い使命感と倫理観が求められることは言うまでもありません。しかし、労働条件・待遇の悪い所に若い優秀な人材は集まりません。兵庫県政を担うにふさわしい優秀な人材を確保することは県民福祉増進にとって欠かせません。県職員への入職が敬遠されていることの検証を求めます。 二つ目は職員削減の影響についてです。 新行革プラン以降、県の定員削減率は26.8%となり、職員削減率は全国1位となっています。 行革プランでは「仕事と生活の調和」を掲げ、具体的には「超過勤務の上限目標に関する要綱」を策定し業務量縮減などを推進しています。 実態として、無駄な業務が縮減し、超過勤務が縮減するのであれば合理性があります。しかし、実態はそうはなっていません。一例を挙げると、昨年、県民局で、超過勤務手当未払いが明らかになり、過去2年分の超勤手当を「事後査定」して支払ったという事例がありました。その他にも、同様の相談が共産党議員団に寄せられています。 厚労省は平成12年に「・・使用者が講ずべき措置に関する基準」を策定し、その中で「労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて必要に応じて実態調査を実施すること」また「時間外労働時間の削減のための社内通達・・が労働時間の適正申告を阻害する要因となっていないか確認するとともに、当該要因となっている場合においては改善のための措置を講ずること」とあります。 要綱にある業務縮減の取り組みが行われているのかどうか、申告した労働時間と、実際の労働時間が合致しているのかどうか、超過勤務上限目標に関する要綱が労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかどうかなど、全庁的に超過勤務実態を把握・検証し、適切な措置を講じるとともに、必要な人員配置を求めます。 三つ目は指定管理者制度の検証です。 指定管理者制度は県民サービス向上を目的に導入されました。しかし、県民からはサービスが低下した等の苦情が多く寄せられています。例えば県営住宅窓口業務では「家賃減免制度の制度そのものを指定管理者職員が把握しておらず、減免制度を受けられなかった」等、制度そのものを指定管理者が理解していない等の苦情が多く寄せられています。指定管理者制度によって県民サービスが低下していないか検証を求めます。 また、指定管理者のもとで働く労働者の労働条件についても検証が必要です。指定管理者制度の多くが3年契約となっており、契約終了後には再度入札がされ、入札の度に落札価格が低下し、そのしわ寄せが労働条件の悪化へと直結する場合が多くあります。総務省自治体局長通達では指定管理者について「労働条件への適切な配慮がなされるよう留意すること」なっています。指定管理者制度の導入によってワーキングプアーを生み出すような事があってはなりません。指定管理者で働く労働者に対して、労働条件の適切な配慮がどのようにされているのか総点検を求めます。
【事務事業について】 2点目は事務事業についてです。 一つ目は医療費助成事業についてです。 第三次行革によって低所得者に対する老人医療費助成事業、母子家庭等医療費助成事業が削減され県民からは悲鳴の声が挙がっています。 兵庫県地域創生戦略では生産年齢人口を74歳へと10歳引き上げました。それに併せて行革の検討方向では、老人医療費助成事業について「65歳以上69歳以下を特別な年齢層として位置づけることの是非を検討」とし、事業そのものの廃止も伺わせています。低所得者は74歳まで働けと言わんばかりです。県はこれまで国の社会保障改悪に連動させ、県独自制度を相次いで後退させてきました。消費税増税、年金削減によって高齢者の生活は限界です。これ以上の老人医療費助成事業削減は認められません。 母子家庭等医療費助成事業については、第三次行革で対象外とされた児童扶養手当一部支給の所得制限基準の家庭では、これまでの医療費一部負担から、通常の3割負担へと大幅な負担増となりました。県制度後退による影響があまりにも大きいため県下27市10町では市町独自負担によって影響を緩和しています。しかし、9市3町では県制度そのままとなっており、子育てをしながら懸命に働く若いお母さん達の医療機関への受診抑制が懸念されます。お金がないために必要な医療を受ける事ができないということがあってはなりません。総点検というのであれば、児童扶養手当一部支給該当者の助成事業削減前と削減後の医療機関受診率こそ調査すべきです。 本来検討すべきことは、県民の生活実態などに寄り添って、これまでに削減された事業について、回復できるかどうかです。削減された事業を元にもどすことは全く検討されておらず、カットありきの行革と言わざるをえません。 二つ目に、私学助成については、国の就学支援金制度ができて、生徒の授業料軽減補助の充実が図られる一方、従来からの県予算が削減され、経常費補助についても据え置きをしました。検討方向として、「両制度の関連性を踏まえ、見直す」とあり、さらなる削減の危険性があります。私立高校の授業料・学費の無償化へ、経常費を含めた私学助成全体の充実こそ必要です。 三つ目に、待機児童問題については、保育士の処遇・給与が低いことから保育士不足が一因として指摘されています。国の加算によって、県制度を後退させることがあってはなりません。 その他にも、多自然地域アンテナショップ運営事業、老人クラブ活動強化推進事業、山腹崩壊対策事業、鳥獣被害対策事業費、バス対策補助費について県と市町の負担のあり方等が検討されていますが、地域創生に関わる事業も多くその旗振り役である県として財政的負担についても役割を果たすべきです。
【公共事業・投資事業について】 3点目は投資事業についてです。 一つ目に、一例として高規格道路建設について意見を述べます。 平成26年東播磨道南工区が供用開始され、南北交通については渋滞解消の一定効果があったとされています。しかし、供用開始後、加古川バイパス東西交通は日常的に大渋滞となっています。県の調査では、供用開始後、南北交通総量が日量56,700台から64,200台へと7,500台増加しています。つまり、渋滞が解消すればさらに車を呼び込み新たな渋滞を発生させるという悪循環になっているのではないでしょうか?これでは、県民の利便性、快適性は低下してしまいます。 今回の行革の検討方向では、播磨臨海地域道路などの高規格道路建設推進が挙げられています。従来型の渋滞が起これば高規格道路を整備するという発想は止め、モーダルシフトの一層の推進、渋滞情報を伝える電子看板の増設、IT技術を活用した渋滞時の迂回ルート推進策等、新規の高規格道路建設ありきでなく、幅広い視点での研究・道路改善こそ行うべきです。また、投資事業については、未だ全国平均より高い水準となっています。維持管理や老朽化対策、生活密着の事業に思い切って重点を移すべきです。
【県営住宅について】 二つ目に、県営住宅について3点意見を述べます。 貧困が広がる中、県営住宅の役割と期待はますます高まっています。管理戸数削減は認められません。 次に家賃減免制度の改悪についてです。 行革による県営住宅家賃減免制度の改悪が行なわれました。多くの世帯で家賃が事実上の値上げとなり、入居者からは悲鳴の声が挙がっています。物価の上昇に年金、賃金は追いついておらず県民の暮らしは疲弊しています。削減された減免制度の回復を求めます。 次に借り上げ復興住宅についてです。 兵庫県弁護士会は借り上げ公営住宅に関する意見書を発表し、住み替えにあたっては個々の入居者の健康や生活状態、コミュ二ティ形成状況等の事情を十分に配慮するべき。と述べ。借り上げ問題は被災入居者との協議による解決が好ましい。としています。 画一的な住み替え推進ではなく、個々の事情に応じた十分な協議による解決を求めます。
【公共施設等総合管理計画(仮称)について】 4点目は兵庫県公共施設等総合管理計画(仮称)についてです。 国は「公共施設等総合管理計画(仮称)」について、「公共施設の着実な集約化・複合化を進める事が必要である」としています。公共施設は地域コミュ二ィ−の核となっている施設が多く、老朽化、利用者減少のみをもって安易に集約化することはさらに地方の衰退を加速させるもので認められません。
【企業庁、地域整備事業について】 5点目は企業庁の地域整備事業についてです。 これまでわが会派は、各プロジェクトごとの収支を明らかにすることや、計画を縮小することを一貫して求めてきました。 今後の検討方向では、進度調整地について「環境林としての利用を検討」とあります。進度調整地の多くが、播磨科学公園都市のように開発計画がとん挫した土地です。目的が果たされないまま、計画が破たんした総括・反省を含め県民への十分な説明が必要です。また、環境林として取得するのであれば、これまで環境林がどのような効果を発揮したのかを検証し県民に明らかにすべきです。
【県立病院、地域医療構想について】 6点目は病院局、地域医療構想案について3点意見を述べます。 県立病院の独立行政法人化については、採算性優先のため医療サービス後退が危惧されます。また、職員の身分の問題などもあり適用すべきでないと考えます。 二つ目は県立病院の統合再編についてです。中播磨地域では県立循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編が進められています。住民に対し丁寧な説明会を開催すべきことを求めます。また地域バランスを欠く、住民合意のない無理な統合再編は中止すべきです。 三つ目に、地域医療構想についてです。但馬地域では兵庫県地域医療構想(案)によって118床ものベッド削減が示されました。その結果、公立日高医療センターから99床の入院機能撤退が突如として発表され、地域医療を支えてきた日高医療センターの医療機能縮減に対し地域住民からは不安と怒りの声が挙がっています。 県は地域医療構想による機械的な病床削減の押しつけをやめ、地域医療の充実にこそ役割を果たすべきです。 最後に、県民・職員に痛みを押し付ける行革は延長でなく、終了すべきことを申し上げて私の意見表明を終わります。 |