台風12号災害の調査
9月10日、県議団と県委員会
9月3日から4日にかけて近畿地方をおそった台風12号によって、兵庫県下でも1人が亡くなり、5千棟以上が床上・床下浸水するなど大きな被害が出ています。
日本共産党兵庫県議団と兵庫県委員会は、10日、北・東播磨地域で各市町議員とともに被害調査を行い、ねりき恵子・宮田しずのり両県議、森勇治副委員長らが参加しました。
北播磨を流れる杉原川では、辻誠一多可町議とともに、河川の状況と周辺被害を調査。 多可町では、50棟が床上浸水、民家1棟が流されて全壊しました。 数十メートルから百数十メートルにわたって護岸が大きくえぐられ、堤防が崩落し道路が通行できない箇所が何十箇所も生じています。 杉原川では、これまでも決壊が繰り返されており、そのたびに補修が行われていますが、部分的にとどまっているため、今回も、新しくなおした橋げた周辺だけを残してその前後が大きく崩れるなどの事態が起こっています。 西脇市では、野間川沿いの落方町で、農地の5分の4が浸水、土砂が流れ込むなどして、収穫寸前の山田錦や、特産のゴマなどが大きな被害を受けました。寺北建樹西脇市議とともに訪問した地区の区長・副会長・農会長が被害について説明。「シカ害を防ぐための囲いもしたばかりなのにふんだりけったり。個人ではどうしようもない」「この集落は裏が急傾斜地で、1本しかない橋がつかれば避難もできず孤立する。抜本的な河川改修を急いでほしい」などと要望が出されました。 西脇市では、160棟以上が床上浸水するなど、住宅にも大きな被害が出ています。 700棟以上が床上浸水にみまわれた高砂市では、小松みきえ・大塚よし子両高砂市議、地元の支部・党員とともに住家被害を調査し、住民から要望を聞きました。 小松市議の自宅のある高砂市阿弥陀魚橋では、50世帯あまりのほとんどが浸水。この地域は法華山谷川の下流5キロメートルほどにあり、従来から河川内の土砂のたい積が問題になっていました。 周辺住民が繰り返し県に浚渫を求め、昨年秋にも、県民局に要望を行いましたが、「行革で予算がない。待ってほしい」との返事だったといいます。 この地域では、水害で近隣の工場の油が流出し、浸水にともない住家が油でも汚染されました。住民は使い物にならない家財道具や畳の搬出など連日片づけに終われ、疲労の色が濃くなっています。
法華山谷川の上流、加古川市志方町では、避難誘導にあたっていた消防署員が流されて亡くなりました。 事故現場近くの、河川をせきとめてつくられたため池は土手が大きくえぐられ、周辺の田畑は土砂で埋め尽くされていました。 加古川市では、土石流も発生。志方町の長楽寺では、4日の夜中に裏山が崩れ、大量の土砂とともに本堂や阿弥陀堂が流され、住職らの住む建物も埋まりました。 岸本たてき加古川市議とともに、現場を訪れたところ、関係者が片付けをしていましたが、「今後どうすればよいのか」と途方にくれています。
■調査を通じて、様々な課題が明らかに
どの市町でも、本格的な被害認定はこれからで、災害救助法や生活再建支援法の適用申請も行われていません。従来から、水害では、浸水で1階が住めなくなったり、家財道具が使えなくなったりしても、被害判定が低くなる傾向にあります。被害戸数が少なく見積もられれば、法の適用もなく、現行制度ではなんの公的支援も受けられない被災者が多数発生する可能性があります。 農業・農地被害も深刻です。現時点で被害額は明らかになっていませんが、多くの住民から「個人ではどうしようもない」と公的支援を求める声が多く寄せられました。 避難のあり方も問題になっています。 夜中の避難誘導で消防署員が犠牲になったのをはじめ、「避難するにも濁り水で用水路が見えず危ない」「避難勧告が出たときには膝まで水がきていてもう出られる状況になかった」という声が各地で出されたほか、避難所になっている学校や体育館が浸水で閉鎖された例もありました。
宮田県議は、「被災の実態に見合った公的支援が必要です。計画的な河川改修をはじめ、災害から命とくらしを守るために知恵と力を尽くします」と語っています。 |