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2005年12月20日

遊就館パネル展示の「戦争展」
日本の侵略礼賛のパネルずらり
後援した県・神戸市の責任重大

クリックで大きな写真を表示 日本の侵略戦争を礼賛する靖国神社・遊就館(軍事博物館)の展示物や主張などをパネル化して展示した「もうひとつの戦争展」が、16日から18日まで、神戸市中央区の県民会館で開かれました。



 同戦争展は、「靖國神社遊就館が、パネルになってやって来る!」「移動遊就館」(チラシ)というふれこみ。この遊就館パネルが、初日33枚、2日目は32枚展示されました。「支那事変」のパネルでは「盧溝橋事件後も日本は事件不拡大の方針であったが、日本軍への挑発・襲撃が続き、…逐次北支那全体を戦場とする北支事変となり」、「大東亜戦争」のパネルでは「米国は日本を敵視して…ABCDラインで日本を圧迫した」「経済封鎖で自活の道を断たれた日本は、…対米英開戦を決断した」など、日本の侵略を正当化した鴃靖国史観鴆が、随所に記述されています。
 これらは、「靖国神社の許可をいただいて、『遊就館図録』(遊就館の展示の中身を紹介した本)を拡大パネル化したもの。ことし、全国十会場で展示された」(関係者)といいます。
 ほかに、「南京の真実」のコーナーでは「南京の三十万虐殺説は偽り」と主張したパネルを、「アジアの開放」のコーナーでは日本軍がアジア諸国の独立を助けたとするパネルを展示。「大東亜戦争は自存自衛の戦争だった」などと鴃靖国史観鴆を宣伝する映画『私たちは忘れない』などのビデオも随時放映されました。

●高校校長に案内文

 主催は、「戦争パネル展実行委員会」。連絡先の電話番号は兵庫県神社庁のもので、同庁は、「ここに事務局がある『日本会議』(改憲団体)兵庫県本部の会員の何人かが『戦争展』を催している。『日本会議』は応援しようということで、ここを連絡先にしている」と説明しています。実行委の代表は川崎重工業顧問の人物で「日本会議」会員とのこと。実行委は、事前に県内の高校校長あてに、教職員や生徒に知らせるよう案内文を送付しました。
 兵庫県、同県教委、神戸市、同市教委は、同戦争展を後援しました。
 開催直前に事態を知った日本共産党や労働組合、平和・民主団体は16日朝から、県などに、後援したことに抗議し、後援取り消しを求めました。これを受けて県などは、会場を視察したうえで、同日夕刻に後援申請の企画書などになかった、靖国神社について記載されたパネル七枚の撤去を主催者に要請。県や市の担当者は、「後援する際の遵守事項である『宗教活動にかかわりがない』に違反する。申請内容と違っている」としています。しかし17日の展示では「靖国」のパネルが依然あり、県の指示に反して主催者が再び展示したものとみられます。

●大部分の展示を容認

 重大なのは、県などが、あらためて展示物をみたにもかかわらず、後援を取り消さずに、「靖国」を記述した七枚のパネル以外の展示を認めたことです。県当局は、安保破棄県実行委など四団体の申し入れに、「問題のあるものは外させた。あとは、後援を取り消すほどの瑕疵はない」(17日)と回答しています。
 これでは、前述した「支那事変」や「大東亜戦争」などのパネルや別のコーナーは公認されたことになります。遊就館が存在し侵略戦争礼賛論を発信する靖国神社への首相の参拝が国際問題にまでなっているのに、憲法を守るべき自治体や教育委員会が、靖国神社の主張そのものである『遊就館図録』などの展示を公認し後援することなど許されるのか県や市の責任が強く問われています。

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