第281回兵庫県議会を終えて
県議団は、11月24日から12月17日まで開かれた11月定例県議会において、台風被害対策、福祉医療制度存続、少人数学級実現など県民要求実現めざして、具体的提案を示して取り組んだ。
1 今議会では、9月議会に引き続き、台風被害対策が大きな課題となり、議員団として被災地各地の調査を直ちにおこなうとともに、被災者と被災地の要求実現に奮闘した。床上浸水住宅への支援や住宅再建支援金の上乗せ、被害判定を改善し全壊半壊対象の増加、住宅応急修理の弾力的運用、地場産業・中小企業支援の強化、風倒木被害の調査の徹底、復旧への財政支援、越流対策も含めた堤防補強の検討を実現した。今後の課題として、洪水を理由にしたダム建設の新たな動きがでるなどダム中心の施策や森林施策の抜本的見直し、また住宅再建支援金の増額などがあり、県議団として引き続き取り組んでいくものである。
2 県行革に対しては、9月以来福祉医療制度存続の署名運動に取り組むとともに、議会でも我が党のみが追及した。また、森林事務所の統廃合は、今回の台風被害からも中止すべきであることを要求した。県は、議会終了後、若干の手直しをしただけで福祉医療制度の改悪を2005年7月に実施することを表明し、県民の声に挑戦する姿勢を示した。
3 35人学級の拡大や総合選抜制堅持などの県民要求実現に奮闘するとともに、DV被害者の県営住宅優先入居、鉄道駅のバリアフリー化で県自ら具体案をつくること、東六甲一帯の大坂城採石場跡地の調査などを約束させた。また、精神障害者の医療費助成制度が、一定の自己負担や障害1級に限定の問題を含みつつもはじめて実現へ動いたこと、また、義務教育を受けられなかった重症心身障害者などの公教育保障について県が先進県の調査をするなど一歩前進させることができた。
4 議案については、決算認定議案、市町合併に関わる議案、漁港関連や高規格道路建設に関わるトンネル工事議案などについて、1100億円にのぼる塩漬け土地問題、自動車警ら隊の文書ねつ造腐敗事件、有馬富士公園2期用地の不要な土地取得問題などを追及し、県民の暮らしを守る、住民自治、ムダな事業の見直し等の観点から反対した。
5 請願については、教育基本法を守ることや教育条件の整備を求める教育関係の7本に対して、自民、公明、連合がそろって反対し、また、イラクへの自衛隊派兵の撤退について、民主党が自民、公明とともに採択に反対したが、オール与党政治のゆがみを改めて示した。また、「人権」を名目にした部落解放同盟の利権と糾弾を許す危険をもった請願がわが党以外のすべての議員の賛成で採択される事態が生まれたが、看過できない問題である。
6 意見書については、北朝鮮拉致問題について、県議団は、経済制裁の検討を否定するものでないが、北朝鮮側交渉相手に責任ある人物を据えること、調査権限の保障などを求めることが拉致問題解決の当面のカギとして独自に意見書案を提案した。自民、連合、公明など他会派は、経済制裁の即時発動を求める事だけをうたった意見書の採決を強行したが、今求められている交渉の抜本的強化が一切入っていないため、県議団は棄権の態度をとった。
7 他会派は、台風被害の被災者の住宅再建支援や福祉医療制度堅持について、今議会で具体的に取り上げなかった。また、憲法改正や国民保護法の実行を求める発言がでるなど右傾化を促進する危険な動きが県議会の中でも現れており、暮らし守る闘いとともに平和と民主主義の取り組みの一層の強化が必要になっている。 |