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2004年01月14日

県「行革」案に怒り広がる

医師会や市町からも批判、今後の運動がカギ

 昨年12月に発表された兵庫県の「行革の後期5ヵ年の取り組み」案。高齢者・障害者など116万人の命綱である医療費助成をはじめ、福祉・医療をバッサリと切り捨てる改悪を短期間で強行しようとしていることに、県民の怒りが急速に広がっています。

医師会が反対署名

 今回の「行革」案が発表された翌日には、「福祉四団体」が抗議の座り込みを行い、「県民いじめの『行革』ストップ!要求実現連絡会」は早速団体署名に取り組みました。従来になく幅広い団体からも、反対の声があがっています。神戸市医師会は、「受診控えで症状が悪化する可能性もあり、健康に与える影響が大きい」と医療費助成削減反対署名を開始。また、神戸市三師会(医師会・歯科医師会・薬剤師会)名で、福祉医療の現行存続を求める要望書を県会議員などに提出しています。
 県下の自治体からも異論が続出。神戸市議会は全会一致で県への意見書を可決し、尼崎市は老人・障害者などの医療費助成存続を県に要望しています。
 県が第三者からの意見聴取を行う「行革推進委員会」でも、「特定の階層に負担が偏る」「県民の理解を得られない」などと批判が相次ぎました。

「無駄な開発見直せ」と日本共産党県議団が追及

 日本共産党県議団は、こうした県民の声を取り上げ、県の改悪案と対決する県議会内の唯一の野党として奮闘。12月に三回行われた行革特別委員会で、宮田しずのり県議は、今回の県「行革」案は、「財政が厳しい」といって県民に大幅な負担増を求める一方、公共事業を優先確保し、大きなムダを温存し続ける道理のないものであることを明らかにしてきました。
 例えば、県の「案」は、投資事業を従来の3700億円から3400億円に300億円減らすとしていますが、これは、公共事業のコスト削減による縮減分をも下回るもの。実質の事業量は全く減らしていません。その中には、具体的な目的も計画も定かではないのに今後600億円もかけて用地買収を行おうとする「六甲グリーンベルト事業」や、全国的に見直しがされているダム建設をまともな検討もなく続けるなど莫大なムダが含まれています。また、主に公共事業の借金返済にあてる「公債費」は、「行革」を行った場合の方が行わない場合よりも120億円も多く見積もられています。事業見込みもないままかくれ借金となっている「塩づけ土地」も5000ヘクタール、3700億円もあります。宮田議員は、投資事業を毎年1割ずつ減らせば、5年間で1184億円の財源が生まれ、福祉・医療の400億円削減をせずにすむうえ、借金も減らせるではないかと追及。県民への影響についても、医療費の負担増や、看護師が実際には不足しているのに3年課程の看護師養成を廃止しようとしている問題、民間福祉施設処遇改善費の廃止などについて、関係者からの聞き取りを重ね、それに基づいて質問。初めて傍聴した関係者から「よく取り上げてくれた」と感謝されています。

自民党県議も困惑する県民の運動の広がり

 こうした県民の運動と連携した議会内での日本共産党の追及が、県を揺さぶり、変化を作り始めています。県立総合衛生学院の助産師学科の廃止は、計画が明らかになった11月から、学院出身の助産師さんたちを中心に、各会派への働きかけ、議会の傍聴などねばりづよい反対運動が繰り広げられました。要請を受けて、日本共産党県議団はこの運動を励ますとともに、現場の声に学び、つづき研二議員が決算特別委員会教育委員会審査で議会内ではじめて質問。引き続き決算委総括質疑、行革特別委員会でも存続を要求してきました。この中で、12月22日の行革特別委員会では、「行革」案推進の立場をとる他会派もそれぞれ「慎重に審議を」などと発言、県も「話し合っていく」と言わざるを得ませんでした。
 県は、年末・年始をはさんだ実質わずか20日間で県民からの意見募集を打ち切り、1月15日の各党態度表明を経て今回の「行革」計画を決定しようとしています。自民党議員が「毎日抗議や要望のハガキが来て弱っている」ともらすなど、改悪に待ったをかけるのはこれからの運動がカギ。日本共産党は引き続き議会内で奮闘するとともに、「福祉・医療を守れ、と力をあわせよう」と呼びかけています。(2004年1月11日付け「兵庫民報」より)

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