第276回兵庫県議会を終えて
日本共産党県会議員団
9月26日から10月9日まで開かれた9月定例県議会において、県議団は公共事業依存型施策からの脱却、県民要求実現めざして、具体的提案を示して取り組むとともに、提案された110件の議案等について県民の立場から審議を行った。また、6月議会において各会派で改正することの合意がなされた費用弁償などの議会改革をめざして奮闘した。
1 今議会で特筆すべき変化が生まれたのが、住宅再建支援制度に関してである。政党では日本共産党だけが、住民とともに住宅再建への個人補償を求めて闘ってきたが、今県議会で「全額公費による自然災害被災者に対する住宅再建支援制度の創設を早期に実現」することを求める意見書が全会派賛成によって採択されたことは、県民の切実な要求を政府の方針として実現させる力と運動はどこにあるかを明確に示している。 また、国の年金改悪の動きに対して、はじめて兵庫県厚生年金受給者協会から年金を守れとの請願が出され、また、国の精神障害者社会復帰支援予算カットに対して、兵庫県精神障害者家族会連合会から予算復活と施策の充実を求める切実な請願が出されたが、県民の中で小泉自民党・公明党連合の悪政に反対する新しい動きが広がっていることは政治の転換を求める草の根の動きとしてきわめて重要である。
2 議会改革のうち、費用弁償問題については、県議団は、実費弁償の立場からの抜本的な条例改正案を提出した。自民党、連合(民主、社民)、公明党、21世紀クラブは、これまでの全域一律支給という点は見直すものの、12ブロックにわけてのブロックごとの一律支給に、さらに根拠のない雑費を上乗せする条例改正案に固執し、抜本的な改善には至らなかった。しかし、与党4会派の「中長期的課題」との姿勢を転換させたことは、いみじくも知事が「なんだかんだいっても共産党の条例提案が議会を動かしましたな」と語ったように、県民世論と一体となって、議案提案権を行使すれば、政治を動かせるということである。 また、政調費の領収書公開問題については、県議団の代表に対し、議長から「年度内に結論を得たい」という発言がなされたが、条例改正に向け引き続き取り組みを行うものである。議会派遣による議員の海外出張の議案が本会議に上程されたが、当初の趣旨であった小学校の復興落成式典出席だけでなく、4泊5日もの海外出張を行うことは不況下に苦しむ県民感情からも認められない。また、メンバーについても議会派遣の観点から厳密な検討がなされるべきである。
3 本会議代表質問では、県「行財政構造改革」、公共事業改革として学校や民間住宅の耐震化促進、県道の歩道整備・防犯灯設置、地域経済活性化として消費税増税反対、商店街支援、漁業、ノリの色落ち対策、若者の雇用拡大、サービス残業根絶、市町合併の押しつけ、30人学級実現などを取り上げ、県政の転換を求めた。 また、一般質問では、精神障害者社会復帰支援、小児救急医療、駅のバリアフリー化、生活ダムの見直しと公共事業審査の改革、武庫川治水、西宮南部治水、震災問題として、国の住宅再建への新たな財政支援措置にともなう家屋喪失世帯への県としての支援、シルバーハウジングなどの増設、高齢被災者への支援、災害公営住宅家賃滞納問題、神戸復興工場の入居業者支援、健康センターの民間移譲中止、自動車NOx・PM法による車種規制と県の流入規制に関わる業者支援、警察改革としてヤミ金融対策、警察の体質改善と国から県警に直接はいる40億円の公開をとりあげ奮闘した。 この中で、住宅耐震化助成制度、精神障害者社会復帰支援、小児救急医療、コレクティブハウジング、NOx・PM規制にかんする中小業者支援、ヤミ金対策などについて、一定の改善につながる答弁を引き出した。
4 議案では、外形標準課税導入を盛り込んだ条例改正や「都市再生」の名による土地の流通促進をねらった不動産取得税の税率引き下げなど、県民や中小企業に背を向けた議案や膨大なむだな投資を繰り返す六甲山グリーンベルト整備事業用地取得の議案など13件の問題ある議案に県議団は反対した。しかし、これら議案には与党4会派だけでなく、無所属議員全員が賛成した。
5 請願については、「年金制度の充実を求める」件、「精神障害者社会復帰施設などの整備充実を求める」件の2件が採択された。「消費税大増税に反対する」件、「年金改悪に反対し、最低保障年金制度創設を求める」件、「兵庫県障害児学校寄宿舎の居室にエアコン設置を求める」件、同じく「寄宿舎指導員の正規職員増員を求める」件、「浜岡原発震災を防止を求める」件の5件の請願が不採択になるとともに「18歳選挙権実現を求める」請願は引き続き継続審議となった。 また、国民の切実な願いである消費税大増税や年金改悪に反対する請願に、自民党、連合(民主・社民)、公明党、21世紀クラブがそろって反対した。さらに障害児や親の切実な要求である障害児学校の充実を求める請願に対してまでも、これらの会派が反対したことはオール与党政治の弊害そのものである。 今議会も、無所属議員が、県民要求に背を向けた議案に賛成するとともに、年金改悪反対の請願、障害児の寄宿舎指導員の正規職員増員を求める請願に反対した。 今後も県民の暮らしや経済対策問題などでも積極的議案提案などをおこない、県民の世論と運動と一体となってこれからも一層奮闘する決意である。
|