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本会議

第340回本会議請願討論 いそみ恵子
2018年6月13日

 私は、日本共産党県会議員団を代表して、請願第61号「国民健康保険財政への国庫支出金を増やすよう求める意見書提出の件」、請願第62号「働き方改革一括法案」の廃案と長時間労働の是正を求める意見書提出」の件について、不採択ではなく、採択を求め、以下討論をします。

 まず、請願第61号「国民健康保険財政への国庫支出金を増やすよう求める意見書の提出の件」についてです。

 この4月から兵庫県が市町とともに運営主体となる「国民健康保険の新制度」が始まりました。国保は、国保料(税)が協会けんぽや組合健保の保険料に比べて異常に高いという「国保の構造問題」をかかえています。例えば、現在、サラリーマンで協会けんぽに加入している年収400万円の給与本人が30歳代、妻も30歳代の専業主婦、子ども2人の4人家族の場合、保険料は、約20万円ですが、同家族が国保に加入した場合、年間の国保料は約40万円で2倍にもなります。

 国保料(税)が高い大きな要因は、「加入者の高齢化・貧困化」と国の予算削減です。現在の国保加入者は、年金生活者などの「無職」が4割、非正規労働者などの「被用者」が3割で、合わせて8割近くを占めています。また、国保加入者の平均所得は、1990年代前半には「270万円」を超えていましたが、2016年度には「138万8000円」にまで落ち込んでいます。

 しかし、国は1984年の国保法改定で定率国庫負担割合を引き下げたのを皮切りに、国保の財政運営に対する国の責任を後退させてきました。その結果、国保の総会計に占める国庫支出金の割合は、1980年代前半の50%から、20.3%(2015年度)にまで下がっています。その結果、国保の一人当たりの年間平均保険料(税)は、1990年代の6万円台から直近では9万4000円を超えるところまで来ています。

 「高すぎる国保料、払いたくても払いきれない」、多くの国保加入者は保険料(税)の支払いに悩み、苦しんでいます。2017年6月1日現在、兵庫県下の国保料滞納数は、10万5600世帯、加入者の13.4%となり状況は深刻です。国保は年金者が多く加入するなど、「社会的弱者の医療制度」です。だからこそ、だれもが払える国保料(税)にする必要があります。

 国民健康保険法第1条には「健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民健康の向上に寄与することを目的とする」とあり、第4条では「国は国民健康保険事業の運営が健全に行われるよう努めなければならない」と明確に国の運営責任を規定しています。
 全国知事会も昨年7月、「平成30年度国の施策並びに予算に関する社会保障関係の提案・要望」の中で、国保と他の医療保険との「負担格差」を解消し今後の給付費増大に耐え得る財政基盤をつくるためとして、第1に国保への定率国庫負担の引き上げを要望しました。

 「だれもが払える保険料」「いつでもどこでも必要な医療が受けられる」よう、国保への国庫支出金の増額するよう国に意見書の提出を求める本請願の願意に賛同し、採択を強く求めます。

 次に、請願第62号「働き方改革一括法案」の廃案と長時間労働の是正を求める意見書提出の件についてです。

 「働き方改革」一括法案が衆議院本会議で、強行可決され、参議院で審議中です。自民、公明、維新が法案の衆議院通過を押し通したことは、法案に不安と懸念を抱き、慎重審議・廃案を求める国民、とりわけ過労死遺族の声に真っ向から逆らうものです。

 何より法案の根拠となった労働時間調査で新たな疑念が発覚し、根本的な疑義が政府に突きつけられています。法案作りの「出発点」となった「労働時間等総合実態調査」は、2月に裁量労働制の拡大をめぐるデータがねつ造されていたことが発覚し、大問題となったものです。しかも再調査の結果、全データの2割以上に異常値が発見され、そのデータを削除せざるをえなくなり、その後もミスが見つかり訂正が行われたばかりです。また、労働政策審議会の資料についても新たな虚偽データが発覚しています。

 政府が「最重要」と位置付ける法案だといながら、基礎データがこんなに杜撰では、まともな法案審議は成り立ちません。この根本問題を不問に付したまま、採決を強行した安倍政権と与党のやり方に一片の道理もありません。

 衆・参両院での審議では、働くものの命と健康を危険にさらす法案の中身があらわになりました。その最たるものが「高度プロフェショナル制度」いわゆる「残業代ゼロ制度」です。労働時間規制を全面的に適用除外する同制度は、週休2日にあたる年104日の休みさえ与えれば、24時間労働を48日間連続させても、違法にならない、とんでもない仕組みです。
 労働者が長年のたたかいでかちとってきた「8時間労働制」を根底から覆すものにほかなりません。安倍首相は、「自律的に働ける」制度と美化しますが、労働者に裁量を与える規定もなく、業務命令も拒否することが出来ません。

 問題は、「高度プロフェッショナル制度」だけではありません。「残業時間の上限規制」も過労死ラインの残業まで容認するもので、厳しい批判が上がっています。「同一労働・同一賃金」も、正規・非正規の賃金格差を固定化するなど問題だらけの内容です。「健康確保措置」についても抜け穴だらけなのが実態です。また、「時間でなく成果で評価されたい人」に利点があるという言い分も成果と賃金を結びつける法的根拠はなく、破綻しています。歯止めのない長時間労働を蔓延させ、過労死を促進する法案は、到底認められないとの請願者の願意は、当然です。

 8本の法律を束ねて一括法案として提出し、審議しろということ事態が異常です。多くの論点が山積する法案を「日程ありき」の審議を行わず、慎重かつ徹底した審議を行うこと。特に、労働時間法制については、重要な統計の不備が発覚し、立法事実の再確認が必要となっており、「裁量労働制の拡大」法案と同様、いったん廃案とし、労働政策審議会からやり直すことが必要です。

 いま、求められているのは、請願に記されているように、「高度プロフェッショナル制度」を法案から削除し、労働基準法を改正し、時間外労働の法的上限について、「月100時間未満」「年間720時間」等とする政府案を修正し、大臣告示の「週15時間、月45時間、年360時間まで」とすること。適用猶予や適用除外のケースは、認めないものとすること。始業から24時間を経るまでに11時間以上の連続した休憩(勤務時間インターバル)の付与を努力義務でなく義務付けることです。

 国民が求める「働き方改革」とは、繰り返される「過労死」をなくし、増え続ける「非正規雇用」を規制し、誰もが「8時間働けば普通に暮らせる社会」をつくることでは、ないでしょうか。
 その実現を求める請願第62号「働き方改革一括法案」の廃案と長時間労働の是正を求める意見書の提出を求める本請願の採択を強く求めます。

 以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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