日本共産党議員団を代表して討論を行います。第125号議案、126号議案、128号議案、137号議案、143号議案、148号議案、149号議案及び第151号議案ないし161号議案に反対します。以下、その理由を述べます。
第125号議案平成29年度兵庫県一般会計補正予算、関連して第157号議案丹波市柏原駅南用地の取得、第158号議案 淡路市浅野神田用地の取得についてです。本議案は、県が土地開発公社に先行取得依頼した用地を一般会計で買い戻す議案です。丹波市柏原駅南用地については、JR福知山線複線化に伴うパークアンドライド方式の駐車場計画として、H7年〜H10年にかけて約29億8千万円で土地開発公社が先行取得した用地です。これまで発生した利息と管理費は併せて5億6千万円にもなります。当時、公社が29億8千万円で先行取得した用地を、これまでの利息と管理費併せて35億4千万円を支出して一般会計で買い戻すというわけです。時価評価も相当下がっており、含み損が多額になるのは明らかですが、時価評価はされていません。淡路市浅野神田用地についても、平成5年から平成8年にかけて無秩序な開発を防止する目的で先行取得したものですが、当時の用地買い取り価格は約42億円、この間の利息6億8千万円、管理費2億1千万円併せて、51億5千万円を支出して今回一般会計によって買い戻そうとするものです。ここでも用地の時価評価はされていません。
また、その他にも用地買取面積が議決条件を満たしていないため用地買取議案には挙がっていませんが、尼崎の森臨海道路用地取得費も一般会計で計上されています。この用地はもともと神戸製鋼などが所有していた用地でしたが、土地開発公社が臨海西部拠点開発計画として先行取得してきたものです。ここでもその目的が果たされていません。それぞれが駐車場計画や、秩序ある整備などを目的として先行取得してきた用地ですが、計画は履行されず、秩序ある整備は一部に留まり多くが放置されたままとなっています。本議案の狙いでもある一般会計によって買戻し、利子補給を行うことによって簿価を抑制すという方針そのものに一定理解はできるものの、莫大な経費を費やした過去の先行取得事業の総括や、今回買い戻す用地も含め、未だ特別会計にある用地の時価評価さえされていない点など、県民への説明責任が果たされていないため賛成できません。
第126号議案平成29年度兵庫県環境林等特別会計補正予算、関連して第128号議案兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計補正予算についてです。反対の第一の理由は、宝塚新都市用地を県有環境林として買い戻すことについてです。本議案は、宝塚新都市用地のうち、平成36年度に償還期限をむかえる玉瀬、境野用地を県有環境林として約102億円で買い取り、県有環境林として保有・管理し、その売却収入を借金返済のための財源として、公債費特別会計に繰り出しを行おうとするものです。 もともと宝塚新都市用地は、ゴルフ場開発など乱開発から県土を守るためと称して、約1200haの用地を当時981億円で先行取得したものです。しかし、用地の多くは活用されることなく、この間支払った利息は136億5千万円、管理費は48億2千万円にもなり簿価は1165億円にまで膨らんでいます。宝塚新都市用地はバイオ関連産業や、丘陵に邸宅を並べ、3万5千人が住むという計画が破たんし、利用見通しが立たず塩漬け土地となっています。
今回、宝塚新都市用地を県有環境林として取得する用地面積はその内の128haで102億円です。ここでも時価評価は相当下がっており、含み損が多額になるのは明らかですが、県民に十分な説明なく、県有環境林の名で、特別会計にあらたな借金を創ることは許されません。また、各所管部局からの環境林取得に係る元利償還に伴う公債費特別会計への繰り出しも認められません。
反対の第二の理由は、 淡路花さじき事業用地取得についてです。これまでも淡路花さじき事業用地の取得は進められており、今回の用地取得によって合計用地取得面積は約13,6ha、合計取得金額9億7千万円、64筆38名の方から100%の用地取得が完了する見込みです。当初、淡路花さじき事業は、時限的な事業だったため、事業用地は県と土地所有者との賃貸契約でした。しかし、当初見込みを上回る利用者の増加によって、恒久的事業へと変更するためこの間用地取得を行ってきました。あわじ花さじき事業は、利用者の増加を見ても、その役割が高まっていることは理解します。しかし、これまでも述べてきましたが、淡路花さじき事業用地周辺は投機目的と思われる用地売買も行われています。県は行革によって県有施設を市町に委譲するなど、県有地を減らしています。さらなる用地取得に賛成できません。賃貸料の引き上げを含め、賃貸契約の継続に努力を尽くすべきです。
第155号議案兵庫県地域創生戦略の変更について、関連して第137号議案平成29年度兵庫県基金管理特別会計補正予算、第148号議案地域創生基金条例、 第149号議案国民健康保険事業広域化等支援基金条例を廃止する条例についてです。
私たちは「兵庫県地域創生戦略」が策定されるとき「地域創生と言いながら中身は公共施設の集約・統廃合をすすめるものである」こと、「甘い需要予測による道路、空港、港湾などの大型公共事業を進めるもので後年度の借金を膨らませること」になるなどの理由から、反対をしています。今回の変更は、これまでの3つの目標(自然増対策、社会増対策、地域の元気づくり)に「健康長寿対策」を加えるとなどが主な変更点です。
健康長寿対策は大事な事であり、それそのものに反対するものではありません。しかし、「取り組みの方向」として、病床再編で地域に必要な病床が確保されるのか懸念がひろがっている「地域医療構想」の着実な推進が挙げられています。また、医療費適正化計画、介護保険事業支援計画とあわせて医療費抑制が推進されます。これでは、健康長寿対策とはなりません。取り組みの方向に賛成できず、本議案に反対いたします。関連して、これまでの「公共施設整備基金」、「地域振興基金」、「国民健康保険事業広域化等支援基金」、「県債管理基金」を廃止・集約し、「地域創生基金」152億円を新たに創設する予算が含まれています。例えば、「公共施設整備基金」、「国民健康保険事業広域化等支援基金」などは廃止・集約するのではなく、その用途に限定した基金として活用すべきです。
第143号議案兵庫県地域整備事業会計補正予算についてです。
元県立鈴蘭台西高校跡地で、民間事業者を活用して地域介護福祉拠点整備を進めるため、地域整備事業会計の海洋体育館用地と、一般会計へ無償貸与している元県立鈴蘭台西高校跡地、元播磨ヘリポート用地を交換し、その評価額の差額1億40万円を特別損失として計上し、同額の企業債引き渡し額を特別利益に計上する内容が含まれています。
これは、企業庁の地域創生事業で新たに地域介護福祉拠点の整備に取り組むために、その事業用地として元県立鈴蘭台西高校跡地を整備する補正予算です。公共性の高い高齢者福祉施策は、県の福祉部局など専門職がかかわるべきです。介護施設万寿の家の老朽化に伴う移転建て替えに反対するものではありませんが、私たちは経済性の発揮を目的として設置された企業庁事業の縮小を求めており、企業庁事業を拡大することに反対します。
151号議案 兵庫県土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例についてです。改正された土地改良法では、農地所有者が農地中間管理機構に貸し出した農地を対象に、県が事業主体となって、農地所有者・耕作者の負担金なしでほ場整備を実施できるようにするものです。本議案は、法改正に伴って分担金を徴収しようとするものです。現行法制では、例え中間管理機構に貸し出した用地を整備する場合であっても、農業者の三分の二の同意がなければ整備はできませんが、改正案では同意が全くない場合であっても事業をすすめる事ができます。また、農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者からの申請によらず、県営事業として、農業者の費用負担や同意を求めないで行う基盤整備事業を創設することも要件として定めています。土地改良事業は、地域で話合いを進め、意見の違いがあっても合意を集める努力を積み重ねて民主的に行う必要があります。今回の同意要件の廃止、緩和等は慎重に行うべきです。
第152号議案 兵庫県立都市公園条例の一部を改正する条例についてです。本議案は都市公園法改正による条例の改正です。都市計画法では、民間事業者が都市公園施設管理者から設置管理許可を得た場合、公園内にカフエやレストランなどの公共還元型の収益施設を設置することができます。これまでは、建ぺい率の上限を2%としていたものを、改正案では建ぺい率を大幅に引き上げ上限を12%にしようとするものです。現行の都市計画法でも公園内にテーマパークを設置する事例が全国で相次いでいますが、周辺住民や都市公園を園庭代わりに利用していた保育園、また近隣の商店街などへの十分な説明や合意を得ないまま設置計画がすすめられ周辺住民から困惑の声が多く挙がっています。今回の改正法でも、建ぺい率が大幅に引き上げられ、周辺住民への影響がより広がるにも関わらず、民間事業者へ公募を募る際にも、民間事業者による事業計画策定の際にも、周辺住民の参画は法では明記されていません。こうなると、一体誰のための都市公園なのかとなります。都市公園を営利化してしまう都市公園条例の改正に反対します。
第153号議案 兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例についてです。本議案は中播磨医療圏域の医療機能充実のため、現在姫路循環器病センターで非稼働となっている20床の病床を返還・再配分するというものです。地域医療構想によって中播磨圏域では2014年度比で2025年までに294床の病床削減目標が打ち出されています。医療機能充実といいながら、圏域全体では病床削減を押し付けるもので反対します。
第154号議案 県が行う建設事業についての市町負担額の決定についてです。これまでも述べてきましが、県が行う防災目的の建設事業であれば地元負担を求めるべきでないことから賛成できません。
第156号議案 ひょうご子ども・子育て未来プランの改定についてです。 待機児童問題の根本的課題は「認可保育所が決定的に足りない」こと、「保育士の労働条件が劣悪なため、保育士が不足」していることです。「子ども子育て未来プラン」は、国の「子ども子育て支援新制度」に基づき策定されたものです。保育の質の低下を招く規制緩和と詰め込みでは、保育の質も保育士の労働条件も改善されません。
第159号議案 県営西宮浜松原住宅第5期建築工事請負契約の締結、第160号議案 県営明石舞子南住宅建築工事請負契約の締結、第161号議案 県営姫路書写住宅第二期建築工事請負契約の締結についてです。本議案は、県営住宅を建替え、もしくは集約化するものですが、いずれも管理戸数を削減するものとなっています。一般質問でも指摘しましたが、相対的貧困率が下がり続けるもとで「低廉な家賃で住宅を提供する」という県営住宅の役割がますます高まるもとでの県営住宅管理戸数削減は認められません。
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