※知事、当局答弁は、未定稿です。
おはようございます。尼崎選出、日本共産党の庄本えつこです。6問一括方式にて質問いたします。
≪行財政構造改革について≫
まず、「行財政構造改革」についてです。
知事は、補正予算案提案説明の中で「個人消費は回復傾向にある」とおっしゃいましたが、産業労働部が2月16日に発表した兵庫県の経済・雇用情勢によると個人消費にかかわる百貨店・スーパー販売額は、対前年同月比17か月連続でマイナスです。県が2017年9月に行った県民意識調査では、不満のトップが「貯蓄などの金融資産」41.5%、続いて「所得収入」が35.5%です。アベノミクスにより大企業や一部の富裕層が大儲けする一方で、景気回復の実感が県民には全くないことが鮮明に示されています。
安倍首相は「安倍政権になってから貧困は改善した」と宣伝していますが、「貧困ライン」と相対的貧困率が下がっているだけです。国民全体の所得が低下し続ける中、収入や暮らし向きが変わらなくても、貧困の概念から外される層が増えただけで、貧困実態は改善されていません。先進国の中で貧困ラインが下がり続けているのは日本だけであり、世界の中でも異常な国になっています。
中小企業分野では、コスト増加を価格に転嫁できないことから、県内倒産企業件数が、リーマンショック翌年の09年以来、8年ぶりに前年実績を上回ったと1月末に東京商工リサーチ神戸支店が発表しました。倒産額こそ減少しているものの、中小零細企業の倒産は増えています。同支店は「中長期的に倒産件数は増えていくだろう」と、述べています。
新年度予算案では、兵庫高度IT起業家等集積支援事業として、ITカリスマの誘致事業、1人年額1000万円を支援する事業も挙げています。また「自治体の補助金支出が企業の投資動向に影響を与えていない」との調査結果もあるのに、従来型の企業呼び込みの補助金に前年度予算を上回る約16億円を支出する、不要不急の大型公共事業推進予算も含まれています。
新年度予算案については、11年間の「行財政構造改革」により収支均衡が図られる見込みということで、新聞各紙では一定評価されています。しかしそれは、11年間の「行革」によって、自治体の本旨でもあり、最も手厚く措置を講じなければならない低所得者や高齢者の福祉や暮らしをばっさり削減してきたものによるもので、とても評価できるものではありません。
県は、行革の検証と今後の財政運営についてさらなる検討をすると言いますが、これ以上の暮らし、福祉、教育削減の行革は中止すべきです。大企業、富裕層、不要不急の大型公共工事優先の予算案から、住民の福祉、くらしを重視し、行革によって削減された福祉予算の回復をめざすことを求めます。ご答弁をお願いします。
井戸知事答弁 本県はこの10年間、1兆3千億円の震災関連県債の償還を行いながら1,280億円の収支不足額を解消し、県民ニーズに的確に対応できる行財政基盤の確立を目指してきました。組織、定員・給与、事務事業、投資事業など行財政全般にわたり構造的な改革に取り組んできました。
一方、改革を行いつつ、元気な兵庫をつくること、これにも対応してまいりました。国の財政健全化のために地方一般財源が抑制される厳しい状況の中、こども医療費の拡充や保育料軽減事業の創設、24時間在宅介護の充実など県単独でも福祉の充実を図ってきています。今回も保育料助成のアップや授業料軽減補助の拡充など、県単独での措置に取り組んできました。人口減少下でも元気な兵庫をつくる地域創生にも取り組んでまいりました。
投資事業では、地方財政計画の伸び率を基本としつつ、山地防災・土砂災害対策や地震・津波対策などの別枠事業費を確保してきました。さらに、国補正予算を活用した総額8千億円を超える経済対策や台風等の自然災害からの復旧・復興にも対応してきています。
こういう取組が、県民意識調査でも、「住んでいる地域にこれからも住み続けたい」と答えた人の割合が、平成19年度から10ポイント増加しております。県民の県政への理解も得られてきたと思います。
平成30年度当初予算では、収支均衡など財政運営の目標を達成する見込みであります。構造改革は一つの区切りを迎えることになります。しかし、本県を取り巻く財政環境は予断を許しません。確かな基盤のもとに県民が豊かさを実感できる県政を推進していかねばなりません。
このため、平成30年度の行革検証の中で、新たな行財政運営の枠組みを検討してまいります。併せて、新たな兵庫づくりの姿を描く「兵庫2030年の展望(仮称)」を策定します。
今後とも、安定的な財政の運営と福祉、医療、教育など県民の要請に応える施策の展開が両立できる県政運営に取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
庄本再質問 行財政構造改革の問題ですが、決して県民の犠牲の上ではないとおっしゃいましたけれども、例えば、ひとり親家庭の医療費の問題で、所得制限を設けたことから、今まで無料だった子供の医療費が3割負担になるということで、私の知人の娘さんで2人のお子さんを育てている方から、「所得制限により無料ではなくなり、大変だ。」と聞いております。長男の方は持病をもっておられ、まだ小学生ですが、「2回に1回は病院にいくのを我慢させるようになってしまった。自分自身は、あれから病院に一度も行っていない。」とのことであります。「決して金持ちではないのに、県はそんなに冷たいのでしょうか。」と訴えられております。これは一例ではございますが、所得制限を設けられたり、行財政構造改革の中で犠牲になられている県民がたくさんいると承知しております。私はそのように思っているのですが、この行財政構造改革が県民の犠牲の上に成り立っていないと、まだお考えなのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
井戸知事再質問答弁 一連の見直しの中で、母子家庭に対する医療費の助成制度については、所得制限を設けて対応することにいたしましたが、一方で子ども医療、乳幼児医療につきましては、低額の医療制度にしていますので、その制度を活用するということも考えられます。それを勘案すると、十分に配慮しているということになると考えております。
≪国保都道府県化について≫
次に、この4月から兵庫県が市町とともに運営主体となる国民健康保険についてです。
国保加入者の8割近くが高齢者、非正規労働者、無職など低所得者です。保険料負担は、事業主負担を含まない割合でも組合健保の1.7倍、協会けんぽの1.3倍と高額になっています。「高すぎる国保料、払いたくても払えない」など、多くの国保加入者は苦しんでいます。2016年6月1日現在、兵庫県下の国保料滞納は、 加入者の約13%、113,750世帯となり状況は深刻です。
国保料を滞納せず払い続けてきた尼崎のある商売人の方は「娘が会社を辞めて実家に戻ってきたら、娘の昨年の所得と均等割りが適用され一気に国保料が倍になった。分納が認められず全額払えと言われ、払えず国保証が取り上げられた。そのため半年間病院に行けず、毎日飲まなければならない血圧の薬も飲まずにいた。再度市役所に、払う意思があるのに受け付けないのはおかしい。血圧の薬を飲めないままでよいのか」と訴え、その方はやっと短期証を発行してもらいました。国保料の高さを反映した、このような例は枚挙に暇がありません。
社会保障制度改革の中で議論された国保の財政上の構造的な問題とは、第1に加入者に高齢者の割合が多く一人当たりの医療費が高いこと、第2に加入者の所得が低い、保険料負担が重い、保険料の収納率が下がっている、市町村による法定外繰り入れが多いなど財政基盤が弱いこと、第3に保険者である市町村間の格差があることを指しています(2012年1月24日「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」資料)。この度の国保制度改革は、公費を拡充し、都道府県が財政運営を担い、都道府県と市町村が役割分担して運営することで、国保が抱える財政上の構造的問題を解決し、持続可能な医療保険制度とするためとされていますが、本当にそうなるでしょうか。
厚労省が今回の「国保改革」の目玉の一つとしているのが、「保険者努力支援制度」です。都道府県が市町村に法定外繰り入れをやめさせるよう指導しているか、市町村が滞納者への差し押さえなど収納対策の強化をしているか、都道府県が医療費抑制の取り組みを行っているかなどが重要採点項目とされます。この制度は2015年、安倍政権の閣議決定により、2016年から前倒しで現行補助制度に反映され、差し押さえ金額は全体として増加、差し押さえ件数は、尼崎市、伊丹市、三木市で増えています。
また、2018年度は、「国保運営方針」と「整合」させることがガイドラインで定められている「地域医療構想」による病床削減、「医療費適正化計画」で給付費抑制などがいっせいに発動されます。
県は都道府県化に伴って、将来、県下統一保険料をめざす、法定外繰り入れをなくすとしていますが、地域ごとに所得階層等が違っているのですから、ただでさえ高い国保料が上がることになり、ますます払えない状況となるのは必至です。
結局、このままの都道府県化では、高すぎる国保料(税)の問題を改善するどころか、更なる負担増と徴収強化を推進することになります。払える国保料(税)にしていくためには、国庫負担金を抜本的に増やすこと、均等割りなどの不合理な仕組みの是正、軽減・免除制度の拡充などが必要です。
国保は国民皆保険を支える、社会保障です。自助や相互扶助では支えることのできない人々の医療保障を図り、受診する権利、健康になる権利、生きる権利を保障するための公的医療保険です。新制度のもとで、だれもが払える制度にするために、県として、まず、国庫負担金を抜本的に増額することを国に要請すべきです。
新制度による国保料の激変緩和のため、財政支援する必要があることを県も認識しています。今後も市町の法定外繰り入れを妨げることの無いようにすること、4月から県も国保の運営責任を負うのですから、現行の「国保事業費補助」の継続はもちろん、県も法定外繰り入れを投入することを求めます。
当局答弁 将来にわたりまして国民皆保険制度を維持するためには、国を保険者といたしまして、現在、国保、協会けんぽ、健保組合等に分立しております医療保険制度を一本化することが不可欠でございます。その第一歩といたしまして、低所得者や高齢者が多く、医療費が高いという課題があり、地域格差の著しい国保について制度改革がはじまりました。
今回の制度改革では、同じ所得であっても市町毎に異なる保険料につきまして、昨年末に県内全市町が合意いたしました国保運営方針に基づきまして、医療費水準の適正化や保健事業の取組、収納率の平準化等を進めることによりまして、同一所得・同一保険料を目指してまいります。
このため、県では、地域格差の解消を目的とする保険者努力支援制度に定められました、1つには特定健診・特定保健指導等の保健事業の充実強化、2つにはレセプト点検等によります給付の適正化、3つには口座振替制度の推進等による収納率向上対策などによりまして、医療費や給付水準の平準化と財政の安定化を進めまして、保険料の市町間格差の改善を図ることといたしております。
また、制度改革による保険料変動の影響を最小限に抑えるため、適切な期間、激変緩和のための国補助金や県調整交付金を活用いたしまして、激変緩和措置を講じるとともに、福祉医療の実施に伴う国庫負担軽減措置に対する国保事業費補助金を継続いたします。
なお、国に対しましては、保険料軽減のための更なる財政支援や子育て支援策といたしまして、子どもの均等割保険料の廃止を提案しているところでございます。
市町では、県が激変緩和措置を行った後の保険料水準を踏まえまして、一般会計繰入の要否を適切に判断されるものと考えておりますが、新制度におきましても保険料の賦課決定権は市町にあるため、県による保険料軽減のための一般会計繰入は考えておりません。
県といたしましては、今後とも、新制度の円滑な施行に向けました取組を進めまして、国民健康保険制度の持続的で安定した運営に努めてまいります。
≪地域医療構想について≫
次に地域医療構想についてです。
2016年10月に県が発表した「地域医療構想」は、2025年までに2014年比で662病床の削減し、病院再編をすすめようとするものです。また、医療費適正化計画、介護保険事業支援計画をあわせ、全体として医療抑制を促すものとなっています。
県民からは「必要な医療が受けられなくなるのではないか」と大きな不安の声があがっています。
透析患者の団体の方からは、「医療費の自己負担がこれ以上あがると診療が受けられない」「淡路や但馬など、いまでも少ない慢性期病床が削減されてしまうと、透析病床が確保されるのか不安」など痛切な声が届いています。
ある地域で在宅診療を担う医師は、「人口約20000人の地域に、在宅診療を担う病院は1つしかなく、とても対応できない」と言っておられます。
病床の削減とともに在宅医療の確保も深刻です。県保健医療計画改定案では、在宅医療需要が2013年の5万1千人に対し、2025年には、8万1千人に、訪問診療医療需要2013年の3万1千人に対し、2025年には、5万1千人になると予測しています。この需要予測に対し、在宅、訪問を担う病院・診療所を2020年には2017年比の115%、2025年には、140%にするとしています。しかし比較できる2011年と2014年の在宅療養病院・診療所の数は、842に対して909で、目標の半分の8.0%しか増えていません。在宅・訪問医療が、24時間365日受け入れで、過酷な労働となるために、受け入れる院所が限定されるからです。
尼崎の地域包括支援センターの方のお話では、ある総合病院から、入院されていたターミナルケアの方を2、3日後に退院させるとの連絡があり、相談に行くと翌日退院だと告げられました。しかし患者さんの状況は、一人暮らしでもあり、とても在宅に戻せるような状態ではなく、受け入れる病院を見つけるのは、本当に苦労したとのことでした。
在宅での受け入れ態勢も十分ではないのに、診療報酬によって、まだ退院できる状況ではない患者を、在宅へと追いやる地域医療構想は、必要な医療を受けたいという県民の願いからは、全くかけ離れたものです。
地域医療構想というなら、地域の医療需要の正確な把握をおこない、必要な医療が受けられるよう十分な医療人材、医療資源を確保するのが、県の役割だと考えます。不十分な地域医療構想の見直しも含めて、検討が必要です。
病床削減という数あわせの計画ありきではなく、地域の需要や実情をふまえた医療資源を確保するための計画に変更し、病院、診療所、介護保険施設など必要な医療・介護資源確保と、医師、看護師など医療人材の確保が十分に行えるように必要な措置をとること、県民が安心して医療・介護が受けられるよう知事の誠意ある答弁をもとめます。
当局答弁 高齢化の進展による医療・介護の需要拡大に対応し、限られた医療・介護資源を適正・有効に活用するため、@医療機能の分化・連携、A在宅医療の充実、Bそれを支える医療従事者の確保を推進方策とした地域医療構想は、保健医療計画の一部として、策定されたものでございます。
この構想では、現状の入院受療率、将来推計人口、機能別の病床稼働率等から、各圏域の2025年の医療需要を推計し、不足と見込まれる病床機能へ充実を図ることとしており、病床削減を前提とした計画ではございません。
また、次期計画案では、地域医療構想の推進から生じる在宅医療等の新たな需要に対応するため、県や市町、郡市医師会等から構成される各地域の「医療と介護の協議の場」において、需要見込みの調整を行い、保健医療計画と介護保険事業支援計画との整合性を確保しながら、需要に応じた在宅医療提供体制の充実に係る推進方策などを記載しているところでございます。
具体的には、平成30年度に、@として、ICTを活用した在宅医療・介護の情報共有化の推進、Aとして、24時間対応が可能な機能強化型訪問看護ステーションの整備促進、Bとして、主治医不在時でも当番医で看取りが可能となる医療連携システムの開発など行い、在宅療養支援医療機関等を確保し、医療と介護が一体的に提供される体制を整備して参ります。
今後、市町と連携し、地域包括ケアシステムの深化・推進を図るとともに、県民が住み慣れた地域で生活しながら、適切な医療・介護サービスを切れ目無く受けられることを目指し、地域医療構想を推進して参りますので、よろしくお願いいたします。
≪神戸製鋼石炭火力発電所増設計画について≫
次に神戸製鋼による石炭火力発電所増設計画についてです。
パリ協定締結以降、世界では「脱炭素」「脱石炭」の流れが急速に広がっています。昨年11月に開かれたCOP23では、英国やカナダ、フランスなどが、「先進国では2030年までに、その他の国でも2050年までに石炭の使用を段階的に停止する必要がある」と訴え、これらの国々は、2030年までの石炭火力発電の廃止に向けた政策方針を示しています。
しかし日本は、安倍政権のエネルギー基本計画にもとづき、石炭火力をベースロード電源に位置づけ、約40基の石炭火力発電所の新設計画をもつという、世界のCO?低減の努力に、重大な逆流を持ち込んでいます。その一つが神戸製鋼の石炭火力発電所増設計画です。
神戸製鋼の石炭火力発電所増設計画は、現在、環境影響評価準備書の審査がおこなわれています。新たにCO?を年間約700万t排出しますが、CO?削減計画は明確ではありません。
また、準備書データの一部が、神戸製鋼製品のデータ改ざんをおこなった「コベルコ科研」提供によるものであったことで、この環境影響評価準備書データの信ぴょう性が問われています。県は審査会と公聴会を延期して、データの検証をおこなったものの、県は、1月22日、県の審査会はデータ検証について総括審議をおこない、「検証範囲内においては特に問題はない」との結論を出しました。しかし、実際の測定値を記す分析野帳のデータについては、自主検証に任せ、行政や第三者による検証がされていないことが審査会の中で指摘されるなど、データの信ぴょう性はあいまいなままです。
さらには、2月1日の神戸市環境影響評価審査会では、145カ所の環境データミスがあり、神戸市審査会会長は、「神鋼の対応は不誠実に感じる。データがいい加減だと審査できない」とし、審査会の答申は延期されました。
しかし、神戸製鋼は、県審査会の「特に問題なし」とする結論を受け、経済産業省に検証終了を報告。経産省は、神戸市の審査会答申をまたず、神鋼石炭火力発電所増設計画の環境審査顧問会火力部会を開催するという異常な対応をおこなっています。このことに、多くの県民からは「地元の意見を無視するのか」と怒りの声が起こっています。県として、神戸製鋼と経済産業省に、抗議すべきではないでしょうか。
現在、国内でも石炭火力発電の見直しをもとめる動きが起こっています。
仙台市は、「杜の都・指導方針」で、「石炭火力発電所の立地について、自粛するよう強く求め」ています。環境大臣は、島根県の三隅発電所2号基建設変更計画に対して、容認すべきではないとの意見書を経産省に提出しています。これこそが「パリ協定」の方向です。
2月3日の県公聴会、昨年の神戸市の公聴会では「CO?や大気汚染物質の排出を考えれば、容認すべきではない」との意見が圧倒的に多く、計画の見直しを求めています。
まず、第三者により検証された適正なデータを再度提出させ、環境影響評価審査をやり直すべきだと考えます。地球温暖化防止対策、地域の環境対策、環境影響評価準備書を見ても、神戸製鋼の石炭火力発電増設計画を容認できる理由はありません。知事は、この現状をふまえ、計画は「容認できない」とする意見を国と神戸製鋼に主張することをもとめますが、いかがでしょうか。
当局答弁 環境影響評価制度の目的は、事業者が当該事業に関し、適切に環境調査・予測・評価を実施し、その結果を住民等に十分に説明することにより、情報共有、意思疎通を図った上で、環境保全に、より配慮した事業が行われることとされています。
しかし、神戸製鋼石炭火力発電所増設計画の環境影響評価準備書については、昨年10月、事業者の社会的責任が損なわれる事態となったことから、県は神戸市と連携し、環境調査・予測・評価に関する詳細な数値、予測値の算定条件等を事業者に提出させ検証を行いました。
検証では、まず、大気汚染防止法等に基づく届出値や県・市等による測定結果等との比較、そして、計算や予測の妥当性の確認を可能な限り行い、その結果、その範囲内において、不適切なデータ処理は確認できませんでした。
本計画の大きな課題である二酸化炭素については、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法による国の方針を踏まえた上で、この火力発電所の建設に伴い、事業者や関係者トータルとしては、総排出量が増加することがないよう、十分な対策を求めることが必要です。窒素酸化物等の大気汚染物質についても、この施設が都市部に設置されることを踏まえ、最高レベルの低減措置を求めるなど厳しい対応が必要であると考えています。
今後、審査会答申を踏まえ、神戸市長及び芦屋市長の意見、公聴会の意見等も勘案し、適切な知事意見を形成し、発電所の許認可を行う経済産業大臣に提出することとしています。
≪公立高校学区拡大について≫
次は、公立高校学区問題です。
2015年の学区拡大により、私の地元、第2学区の尼崎の子どもたちは、全日制で、2015年度232人、2016年度213人、2017年度278人が尼崎市内の公立高校に入学できませんでした。第2学区で唯一公立高校への進学者が減っています。
第3学区の明石市は、尼崎と同じように15年度299人、16年度262人、17年度274人が明石の公立高校へ入れませんでした。
一方、尼崎は、学区再編後の3年間を、再編前と比較すると、私立高校への進学率は18%から21.2%で3.2%上がっています。
尼崎市のある受験生のお母さんは、「家計から考えて、どこでもよいから公立へ行ってほしい」と言っていました。現在小学校6年生の子どもを持つ方は、「中学に入ったら、公立高校に入れるように塾に行かせなくてはならない」と嘆いていました。また、神戸市の受験生の親御さんが、「お宅の子は、私立専願ですね」と言われ、「初めから公立受験をさせない進路指導でつらかった」とその思いを語っています。成績や合否を左右する内申書を気にする学校生活、私立専願入試の許諾などをせまられる、こうしたことが、思春期ただなかにいる中高生をどれだけ傷つけているでしょうか。
「学校の選択肢が広がった」といいますが、それは一部の成績上位の生徒が主ではないでしょうか。偏差値による高校の順位付けの傾向がますます強まっており、学区が広がった分だけランク分け、スライス化が、中学生の過大な負担になっています。進路指導も、広い範囲でランク分けをし、行ける高校を選んでいるのが現状です。2017年12月の「高等学校通学区域検証委員会報告」によると、中学校では、「より多くの高校の情報を収集しなくてはならず、進路指導が難しくなったことが教職員の多忙化の一因になっており、負担が増加した」、高校では、「高校の魅力・特色づくりについて他の高校との差異が明確になるような工夫を求められている。説明会の開催、中学校への訪問増加が教職員の多忙化の一因になっている。また入学者選抜にかかる事務作業量が増え負担が増加した」などの問題が浮き彫りになりました。「学区拡大」により、子どもたちには受験競争、中学校の教師には多忙化による負担、高校は「特色づくり」による学校間競争を強いられるなど弊害がより具体的に現れています。このようなことは、教育の本来の姿ではありません。
今、高校は進学率98.8%に達し、準義務教育化しています。
県は、2018年度、全日制の課程を16学級減らすとのことですが、少子化が進んでいるのですから、毎年学級数を減らし、競争型教育を続けるのではなく、希望する子ども全員が公立高校に入れるように開門率を上げ、子どもの教育権を保障すること、またこれ以上の学区拡大を行わないことを求めます。
当局答弁 全日制公立高等学校の募集定員につきましては、これまでから、国公立中学校卒業者の増減を基本に定めております。中学校卒業者に対する募集定員の割合は、学区の再編前後で同程度となっているところであります。特に複数志願選抜におきましては、尼崎市内の中学生が、尼崎市内に所在する高校に合格した割合は91.6%となっています。もとより交通がさほど便利でない地域、但馬、北播磨あるいは旧丹有学区では95%を越えていますが、その他の県内の各地区は7割8割といったあたりでありまして、その中では、尼崎の91.6%というのは他地域と比べて高い割合となっているところです。
新通学区域については、学区再編後に行いました入学者対象のアンケートでは、旧学区外の高校に入学した生徒を含めまして、全体の約9割が現在の高校生活が充実していると答えて、3年間連続して高い率を保っていますことから、円滑に導入できたものと考えています。ご質問の中で、競争型教育に過ぎるのではないかというご指摘がありましたが、月曜日に発表した今年の入試でも、競争倍率は現在でも1.1倍に過ぎません。特に著しい競争型かというと、そうではないと認識しています。今後も引き続いて中学校卒業者の減が見込まれますけれども、引き続き地域ごとの進学状況や流動状況等を踏まえて、適切な募集定員の設定に努めてまいります。
改編後3年を経過した新通学区域につきましては、昨年設置いたしました検証委員会において学区ごとの状況分析をもとに議論いただき、12月に報告を受けたところです。ご質問で、今後の学区の在り方について言及がございましたが、この報告の中で、短期的には、「当面は現在の5学区を維持する」とした上で、「隣接区域の柔軟な設定などの具体的な検討については、地域や高校の意見を踏まえながら進めるべき」との方向性が示されました。そして、中長期的な方向性として、仮に今後更なる通学区域の再編を検討する場合には、生徒の流動状況など、各地域の状況を踏まえた検証を行う必要があると示されたところです。また、現行の複数志願選抜制度のもとで、仮に更なる学区拡大を行いますと、合否判定にかかる事務量の著しい増加も予測されますことから、これらについては慎重に対応していく必要があると考えてございます。
≪県政150年と日本国憲法について≫
最後は、県政150年と憲法についてです。
今年は、1868年兵庫の津に兵庫県庁がおかれて150年。「五国の魅力を磨く」「交流の輪を拡げる」「兵庫の未来を創る」をテーマに、7月12日の記念式典をはじめ県内約100の関連行事が計画されています。
国において、安倍首相が先の施政方針演説で「明治維新150年」が強調されました。
いま、県政150年、明治維新150年の歴史をどうとらえて、いかに今日に生かすのかが問われています。
明治維新は、近代国家へと移行する重要な転換点でした。その明治の幕開けとともに兵庫県政が歩みだしたことは、私たち兵庫県民の誇りでもあります。
しかし、幕藩体制から明治新政府へと体制が変わっただけでは、身分差別のない、だれもが豊かに暮らせる社会にはなりませんでした。政治の実権は藩閥勢力にあり、初代兵庫県知事の伊藤博文も中央政府の任命制で、県政に県民が参加する道は、まだ閉ざされたままでした。
また、明治から昭和にかけて、日清・日露戦争から第二次世界大戦まで、アジアを侵略し、植民地支配をおこない、アジアの人々、そして国民に無数の犠牲をしいてきたことを決して忘れてはなりません。
そして戦後、日本国憲法が定められ、日本は新たな歴史を刻むことになりました。@国民主権と国家主権 A恒久平和 B基本的人権の尊重 C議会制民主主義 D地方自治の5原則がうたわれ、この時初めて女性参政権も認められ、男女の差別なく県政に参加する権利が認められたのです。
こうして、新しい憲法のもと、73年間、一度も戦争の犠牲者を出すことなく日本社会が発展してきました。県政150年、明治150年を記念し、今後の日本、県政の発展を考えるならば、日本国憲法の原則、とりわけ恒久平和と主権在民、基本的人権を守り抜く決意がなければなりません。
ところが、安倍首相は、この節目の年に憲法9条の改悪を中心とする改憲案を国会発議し、国民投票にかけることに並々ならぬ決意を示していますが、決して許されるものではありません。
昨年のNHKの世論調査では、憲法9条が「日本の平和と安全に役立っている」と答えた人が初めて8割を超えるなど、国民も憲法9条を重んじています。
また、日本世論調査会の年末の調査では、憲法9条の改正について「必要ない」と答えた人が53%と過半数を超え、改憲の国会論議を「急ぐ必要ない」と答えた人が、67%にものぼっています。
知事は、県政150年にあたり、県民一人一人がこれまでの兵庫の歴史を振り返りながら、将来像を考える機会にするとし、「兵庫2030年の展望」をまとめるといわれますが、県民は、兵庫県政の主人公として、未来に希望を持ち、安心して働き暮らせる県政を望んでいます。
県政150年の歴史の発展に逆行し、平和と民主主義を破壊する安倍改憲、とりわけ恒久平和の原則を踏みにじる憲法9条改憲をやめるよう国に意見を言うべきです。
県民の願いを受け止め、県民が生き生きと暮らし、豊かな兵庫県政のさらなる発展のため、知事が日本国憲法、憲法9条を守る立場を表明することを強く求めます。
おはようございます。尼崎選出、日本共産党の庄本えつこです。6問一括方式にて質問いたします。
井戸知事答弁 日本国憲法前文及び9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理の一つであります。また、戦後の日本が世界に誇る崇高な理念でもあります。この理念のもと、我が国が積極的に世界平和の確立に貢献すべきであることは、全ての国民の願いであると承知しています。
憲法9条の改正については、議員ご紹介の日本世論調査会や NHKの世論調査のほか、改正に肯定的な意見が過半数を超える新聞社の世論調査もございます。このように、国民の間でも様々な意見があると承知しています。今後、改正の発議権を持っている国会をはじめ、投票により承認を行う国民の間において、50年、100年先の未来も見据えながら、憲法9条に加えまして、地方自治の条項も含めて、憲法改正につきまして十分に議論がなされることを期待しています。
県議会におかれては、昨年の12月に、全会一致で「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を決議されています。県としましては、これまでから自治体・草の根レベルの地域間交流を進めることで、地域から国際平和に貢献してきたと考えています。県政150周年を迎える今年は、記念事業として姉妹・友好州省サミットをはじめ交流の輪を拡げる取り組みを行います。
今後とも、次の時代に平和で安心な兵庫を引き継いでいくため、弛まぬ努力を重ねていきますのでよろしくお願いいたします。
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