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本会議

第338回本会議請願討論 庄本えつこ
2017年12月14日

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、本会議に提出された請願第50号ないし請願第55号について、不採択ではなく採択を主張し、以下その主な理由を述べます。

福祉職場職員の大幅増員と処遇改善を

 まず、請願第50号「福祉職場の職員の大幅増員と賃金の改善の実現を求める意見書提出の件」です。
 本請願には、兵庫県福祉4団体の代表外264団体の署名が添えられています。
 尼崎の老人福祉施設や県内の民間認可保育園などで職員の状況を聞いていますが、定着が難しく、止めていく人の補充がなかなかできない、募集しても応募がないなど福祉職場の人材不足は深刻です。人手不足により、法定の休憩、休暇が取りづらく、時間外に事務作業を行ったり、持ち帰り残業などが蔓延している状態です。この背景には、福祉職場の賃金が低いことがあります。
 処遇改善の声を受け、政府は、2017年度、保育所の全職員の賃金を平均6000円引き上げ、また経験を積んだ職員には月4万円を上乗せする処置をしましたが、それでもまだ、全産業平均に比べると月約10万円も低い状態が続いています。しかも、4万円の上乗せのためには、7年以上の経験者で、その部署のリーダーであること、60時間以上の主任研修を受けなければならないなど条件が厳しく、人員が足りないため、研修に出せない保育園も多いとのことです。また研修費や交通費を出す保育園もありますが、個人の資格取得であるということから、すべて個人が負担しなければならないなど研修に行くことを見送っている実態があります。結局、賃金改善につながっていません。
 高齢者介護、障害者福祉の事業所の職員に対する月額1万円の引き上げも、抜本的な改善につながる額ではありませんし、さらに、相談員や調理職員など介護職員以外は支給の対象になっていません。
 福祉の仕事は、専門性と継続性が求められると同時に、大変やりがいがあるものです。しかし、今のままでは危機的な事態がますます深刻になります。この状態を改善するために、国庫負担金を抜本的に増やし、国の責任で職員の大幅増員と賃金引き上げが実現するよう、本請願の採択を求めます。

国民健康保険引き下げを

 次に請願第52号「国民健康保険都道府県移行にともなう保険料(税)や減免制度に関する請願」についてです。
 そもそも国保は戦後、国民皆保険計画の中で地域保健であったものが、国が責任を持つということで再スタートしたものです。ですから、国保法の第一条には、「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」とうたわれているのです。国保の現在の加入者は、自営業者のほか年金生活者など「無職者」が4割、非正規労働者などの「被用者」が3割を占めるようになっています。国保加入世帯の平均所得は、1990年代の270万円をピークに2015年度では137万円まで落ち込んでおり、国保料が高すぎて払えないなど加入者のくらし、いのちを脅かすものになっています。例えば、尼崎市の年収200万円、40代の夫婦と子ども2人の4人家族の国保料が年額49万円という事例もあります。各市町は、一般会計法定外繰り入れや独自の助成制度を設け、少しでも住民の保険料を抑えるために努力しています。
 そのような中、来年4月から始まる新制度により、県民は「自分が払う保険料がいくらになるのか、国保が将来どうなるのか」に大変関心を持ち、また心配しています。しかし県は、新制度スタート5カ月前になっても県民に具体的な説明をしておりません。
 まず、法定外繰り入れなどを除外した試算ではなく、各市町の法定外繰り入れなどを反映した試算を早く公表するとともに、市町が行ってきた保険給付や保険料の賦課決定、条例減免、法定外繰り入れ等を今後も継続できるよう、県として保障すべきです。
 また、国保財政の責任を持つ県として、高すぎる国保料引き下げのため、独自の繰り入れを行う必要があります。何よりも国保の財政運営に責任を持たなければならないのに、国保総会計に占める国庫支出金を1980年代の50%から2015年度20.3%までそれを後退させてきた国にこそ責任を問い、国保料引き下げのために国庫負担率を増やすことを求めるのは当然の要求であり採択を求めます。

障害児者の豊かな教育と生活を

 請願第51号、第55号「障害児者の豊かな教育と生活を求める件」についてです。
 本請願には、兵庫県の障害児教育をゆたかにする会の代表者外1万3,329名の署名が添えられています。
 障害者権利条約につづき昨年4月から施行された障害者差別解消法により、合理的配慮の提供(不提供の禁止)が国や自治体に義務付けられ、すべての人が住みやすいインクルーシブな共生社会の実現に向けて、社会全体の意識は変わりつつあります。その一方で、障害者の命や尊厳を奪った相模原の事件が起こるなど、まだ多くの課題が残っています。
 教育では、一人ひとりを支援する多様な学びの場を求めて、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童・生徒は増え続けていますが、依然として過大・過密化や長時間通学を余儀なくされている学校が少なくありません。
 今年度、新たに西神戸高等特別支援学校が開設されたり、分教室の新設が進められているにもかかわらず、阪神間、東播地域の学校は教室不足と過密による教育条件の悪化が深刻になっています。新設校以外の学校施設の老朽化や多様な児童生徒の入学による設備不足は、安全安心な学校生活や教育活動に支障をきたしている現状です。
 劣悪な教育環境が改善されないのは、そもそも特別支援学校には、小中学校や高等学校にある面積など施設の設置基準がないために、過密であっても容認されている、このことが問題です。
 また、通級学級の拡充や高等学校での障害を持っている生徒への支援も求める声は大きく、早急に改善が求められます。
 憲法並びに障害者権利条約にあるように、個人として尊重され、等しく教育を受ける権利が守られ、地域社会において質の高い教育を受け卒業後も質の高い生活ができるよう、重度の障害者のための社会参加の場、卒業後の就労支援、放課後や長期休業中の支援態勢、高等部卒業後など青年期の学びの場を拡充することは当然のことであり、本請願の採択を強く求めます。

35人学級の前進、教育の無償化を

 次に、請願第53号「全ての子供たちへの行き届いた教育を目指し、35人学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求める件」についてです。
 本請願には、ゆきとどいた教育を求める全国署名兵庫県推進委員会代表、ほか2万5081名の署名が添えられています。
 35人学級については、全国で40府県が中学校まで少人数学級を導入しており、中一にかぎれば、43都道府県で実施しているにもかかわらず兵庫県では、小学校4年生で止まったままです。そのことによって1学級の平均人数は、公立中学校でワースト5位、公立小学校でワースト7位となっており、教育環境の悪化の要因になっています。少人数学級は、生活面からも、学力向上にも効果があることは明らかです。
 全国都道府県知事会からも教職員定数改善の要望を国にもとめていますが、政府は、来年度、小学校の英語授業の増加に伴う必要な教員の確保すらおこなおうとしておらず、教職員定数の改善充実をはかろうとしていません。国に教職員定数改善を引き続きもとめながら、県の責任で、教職員定数改善をおこない、早期に、小学校5,6年生の35人学級の実現、中学、高校へひろげることをもとめます。
 また学費をはじめ、教育費の負担は重く、教材費、制服、教科書、部活など、家庭への大きな負担になっています。政府は、国連人権規約の中等・高等教育の無償化条項の留保を2012年に撤回しましたが、いまだに、その制度的保障をおこなっていません。憲法の教育の機会均等の立場からも、教育費の負担軽減、無償化へかじをきるべきです。公立私立問わず高校の学費無償化は、国の制度的保障をもとめながら、県として予算を保障し、実現させると同時に、お金の心配なく学べる教育環境を整えることは喫緊の課題です。
 私学助成の拡充、返済不要の給付型奨学金制度の創設、特別支援教育の充実も非常に重要な課題です。全ての子供たちに行き届いた教育環境を求める本請願に賛同し、採択を強く求めます。

私学助成の増額を

 次に、請願第54号「教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。
 本請願には、兵庫私学助成をすすめる会会長ほか9万6296名の署名が添えられています。
 私学は、建学の精神を生かした特色ある教育を行うと同時に、県下の公教育の一翼を担っています。2010年から始まった就学支援金制度や就学のための給付金により、学費の公私間格差は一定縮まったものの、私学の学費の負担は重いものとなっています。
 兵庫県では、入学金も含めた私立高校の初年度納付金の平均額は2016年度で約83万円あまりで、全国4番目に高く、国の就学支援金と県の授業料軽減補助を合わせても、生活保護世帯でさえ、授業料以外の納付金をカバーすることができません。2016年度の学費と施設整備費による納付金の負担平均約59万6000円で、国の就学支援金や県の授業料軽減補助を引いても学費負担が引き続き残ります。
 また、各都道府県の授業料減免制度にも大きな格差があり、近隣の大阪府、京都府に比べても兵庫県は低い減免制度となっており、同じ私立高校に通う生徒でありながら居住する場所によって学費負担が大きく違うと県民の大きな負担、不満となっています。
 県は私学の経常費補助について行革で抑制を続けてきましたが、増額こそ求められています。公教育の一翼を担う私学への助成を求める本請願の採択を強く求めます。

以上で私の討論を終わります。

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