私は、日本共産党県会議員団を代表して、上程中の議案中、議案第64号ないし第70号、第77号、第79号の9件に反対し、以下主な理由を討論します。
はじめに第64号議案「『農村地域工業等導入地区における県税の課税免除に関する条例』を廃止する等の条例」についてです。
本議案は、「農村地域工業等導入促進法」(以下「農工法」)が、「農村地域への産業の導入の促進等に関する法律」へ改正されたことにともない、『農村地域工業等導入地区における県税の課税免除に関する条例(農工地区課税免除条例)』を廃止するものです。
これにより、これまで農村地域への導入促進は、工業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業の指定5業種に限られていたものが全産業に拡大されます。
進出する企業に対しては、これまでの農工地区課税免除と産業立地条例に基づく課税免除の併用不可規定を削除し、産業立地条例にもとづく法人事業税や不動産取得税の軽減など優遇を行うことを可能にするものです。
法の目的には、農地の集団化が明記され、国がすすめる農業の構造改革、農地の集積、集約化に従うことを条件に税を優遇し、企業誘致を進めようとするものです。
しかし、2015年に農水省が全市町村に行ったアンケートでは、雇用機会の創出として重視するのは、過疎地域では、地域外からの工場等の誘致より、地域の資源を活用した内発的な産業の育成を求める声が7割を超えており、農地の集約化を条件に企業誘致への支援を強化することは農村地域の希望にも合わず、「農業と導入された産業の均衡ある発展」をむしろ妨げるものになりかねません。
全国で撤退による工業跡地が増加する中、新たに企業誘致のための農地の転用を進める必要もなく法の本来の目的である、農業と導入された産業の均衡ある発展が妨げられる恐れがあり反対です。
議案第65号「使用料及び手数料徴収条例の一部を改正する条例」の件についてです。
これは、不動産特定共同事業法を改正し、小規模不動産特定共同事業の特例を設けることに伴う登録料を新設するものです。
不動産特定共同事業は、もともと1990年代のバブル期に投機的な不動産取引で投資被害が多発したことから、投資家保護を目的としており、事業者の資本金は1億円以上で、国や県の許可を必要としています。
今回の改正は、空き家や空き店舗の再生事業に地域の不動産事業者が参入し、小口投資家を募ることができるようにするもので、事業者の資本金を1千万円以上と大幅に引き下げ、参入事業者も許可制から登録制にするなど規制緩和するものです。
空き家や空き店舗の再生は、地域活性化の課題ではあるものの、再生事業は投資家にとって判断が難しくリスクも高いなど被害がでることが懸念されています。
最大の参入規制である許可制を登録制にすることで、投資家保護の目的を後退させること、地域住民不在の開発事業を促進することにつながりかねず反対です。
議案第66号「個人番号の利用、特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
これはマイナンバーに関連し、生活保護の決定・実施に関する事務に身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳に関する情報を付け加えること。また、特別支援学校への就学のための経費支弁の事務にマイナンバー制度による生活保護関連の情報連携を追加するもので、マイナンバーの利用範囲の拡大となり認められません。
今年2017年7月からマイナンバーを通じ、個人情報を国や地方自治体の機関との間でやり取りできる「情報提供ネットワークシステム(NWS)」の実用に向けた試行運用が始まりました。47都道府県、約1700市区町村、日本年金機構、税務署、医療保険者など5000を超す公的機関をつなぐ巨大な情報連携システムの構築をめざすものです。約3か月後に本格的に運用する計画ですが、早くも会計検査院から、情報システム整備などを契約した国の6機関の内、厚生労働省、文部科学省の3システムで契約後に改修や変更が必要になっていたなど不備が指摘されました。
このマイナンバーは制度が始まった当初から事故・事件が繰り返され、情報漏洩を完全に防ぐシステムは不可能です。そもそも、個人情報をマイナンバーによって容易に照会できるマイナンバー制度は廃止すべきです。
第67号議案「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定、第68号議案「国営土地改良事業についての市町負担額の決定」については、国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について市町と農家に負担を求めるものですが、本事業はもともと公益的な事業で、本来、国で一元的、総合的に行うべきものであり、市町負担そのものに反対です。
議案第69号「県が行う建設事業について市町の負担額決定の件」については、これまでも、この事業が広範囲にわたって一般県民が利用するものや急傾斜地崩壊対策事業などの災害関連、危険個所の改修など、県民の安全・安心にかかわるものであれば、事業費の一部を市町に負担させることに反対であることを表明してきました。
また、街路事業の園田西武庫線は、尼崎市内を三菱電機敷地内をふくめ東西に走る道路で、総事業費198億円をかけて整備するものです。このうち三菱電機の敷地1万8600uの用地買収に約24億円、物件移動の補償費を合わせると100億円にものぼり、事業費の約6割が充てられるなど、事業そのものにも反対です。
議案第70号、「国営明石海峡公園整備についての神戸市負担額の決定」についてです。
この事業は、神戸地区506億円、淡路地区452億円、あわせて総事業費958億円を投じて、330haに及ぶ広大な公園整備を進めるものです。
国が3分の2、県と神戸市で3分の1を負担し、県負担200億円、神戸市負担73 億円と総額273億円がすでに支出されています。
淡路地区では、すでに県負担金127億円が投じられ供用開始がはじまっています。残された未整備区域のうち海岸ゾーンの整備について、平成28年度には基本計画検討委員会から20億円に上る整備計画が提案され、平成29年度も基本実施設計などに2500万円が計上されています。
神戸地区では、すでに県と神戸市で総額146億円も投じられ、平成29年度も上下水道整備などで7900万円づつの事業費が計上されています。残された事業費は70億円といわれますが、未整備区域は広大な山林であり事業計画の見直しも検討すべきです。
そもそも神戸地区には、隣接してしあわせの村という広大な公園が整備されており、公園整備の必要性は乏しい国直轄事業に地元負担を求めるべきではなく反対です。
第77号議案「あわじ花さじき用地の取得」の件についてです。
淡路花さじき用地については、平成29年2月議会において、2年間で38人の土地所有者から約9億円を掛けて用地取得するという議案が可決されました。本議案はさらに追加で1名の相手方から約2万2千uの用地を、約1億9千8百万円で取得しようとするものです。今回の取得によって、花さじき用地の約90%の用地取得が完了するとの事です。
当初、花さじきは時限的な事業だったため、事業用地は土地所有者との賃貸契約でしたが、恒久的な事業に変更するため用地取得を行うこととなったものです。
あわじ花さじき事業は、利用者の増加を見ても、その役割が高まっていることは理解します。しかし、花さじき事業用地を含めその周辺用地は、もともとは山林だった用地を農家の安定的収入を確保するという目的で、国営農地開発事業として昭和45年から平成元年に約170億円をかけて約400haを開墾・整備し、兵庫県からも事業費の13,6%、約23億円が支出され、みかん畑などの栽培が行われてきた農業用地です。しかし、国自らの農業政策の転換によりオレンジ価格などが急落し、現在では整備された農業用地のうち約100haが農業用地としては活用されていません。
また、淡路花さじき用地とその周辺地は、昭和25年神戸市長が初めて明石海峡大橋構想を打ち出し、昭和32年度には明石海峡架橋調査費350万円を市議会に提案、その後も昭和44年には関西国際空港建設予定候補地として名が挙がるなど、投機目的と思われる買収も行われ土地価格は上昇しました。
今年3月に県が用地取得を行った花さじき事業用地の登記簿を見ると、所有権相続した用地もありますが、少なくない用地が昭和40年代前後に繰り返し売買され、島外在住者所有の用地も買取りを行っています。また、本議案にある用地も含め、全ての用地について登記が途中閉鎖されており、花さじき用地全ての用地取得の経緯がわかりません。
行革によって県は県有施設を市町に委譲するなど、県有地を減らしている中で、国営農地開発事業の目的でもある農家の安定収入確保という目的が十分果たされず、さらに2億円を掛けて購入することには賛成できません。賃貸料の引き上げを含め、賃貸契約の継続に努力を尽くすべきです。
最後に、議案第79号「県営明石長坂寺住宅建築工事請負契約締結の件」についてです。
県営明石長坂寺住宅は、昭和47年建設から45年経過し、老朽化が著しく建て替えが必要です。
しかし、今回の建て替え計画は、近隣の県営明石金ヶ崎住宅の現地立替が困難だとの理由で集約化し、合わせて750戸あった管理戸数を563戸へと大幅に減らすものです。低廉な家賃で安心して住める県営住宅を求める県民の需要は依然高いのに、管理戸数の削減は認められません。
以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。
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