社会保障削減、大企業優遇、不要不急の開発型予算では、県民の暮らしは守られない
それでは、日本共産党を代表し、議案第1号、第2号、第4号、第5号、第11号、第16号ないし第18号、第20号、第24号ないし第26号、第28号、第29号、第33号、第38号、第39号、第41号ないし第49号に反対し、討論を行います。
初めに、議案第1号「平成29年度兵庫県一般会計予算」、議案第16号「平成29年度兵庫県病院事業会計予算」、議案第26号「兵庫県職員定数条例等の一部を改正する条例について」、議案第39号「兵庫県行財政構造改革の推進方策の変更」について、まとめて反対をします。
消費税頼みの税収破たん
反対の第一の理由は、社会保障削減の予算だからです。
県はこれまで消費税の増税で地方財源を確保し、その引き上げた部分を社会保障の財源にするとしてきました。
しかし、地方消費税の減収や、地方交付税措置に充実、安定化の財源が十分見込まれておらず、県の社会保障関係費は昨年度からほとんど伸びていません。
社会保障の充実・安定化どころか、新年度から介護の要支援外しが本格的に進められ、地域医療構想に基づく医療病床の削減や医療費抑制を狙った国保の都道府県化に向けた予算も計上されています。
その中で、とりわけ県の冷たさを際立たせたのは、県行革による老人医療費助成制度の廃止であり、重度障害児、母子・父子家庭等医療費助成なども引き続き対象者を削減しています。消費税頼みの社会保障政策からの転換が必要です。
大企業優遇の産業集積条例の見直し、撤廃を
反対の第二の理由は、大企業優遇の逆立ちした予算となっているからです。
産業集積条例施行後、県が立地補助金を支出した企業数は117社、交付済額は203億円、このうちパナソニック姫路・尼崎工場だけで合わせて130億円もの補助金が支出され、姫路市の補助金と合わせると、約210億円もの巨額の県税、市税がパナソニック1社に支出されるということになります。
平成25年に姫路市包括外部監査は、企業誘致の補助金支出について、事業者の投資動向にどの程度影響を与えたかなど、効果の測定を姫路市に対し求めています。
姫路市はこの指摘を受けて、補助金を交付した企業61社に対し、ヒアリングやアンケート調査、その他統計等の数字を用いた実態調査を行い、報告書としてまとめています。
報告書では、投資の決定や立地の選定について考慮した点を見ると、大企業はインフラが充実していることを重視し、中小企業においては補助金の交付が受けられることが突出する形で考慮した点に挙げられており、大企業に比べ、経営基盤の弱い中小企業にとって補助金は投資、立地の決定に当たり、大きなインパクトとなっていることが分かるとあります。
つまり、大企業にとっては立地補助金が立地選定の決定的条件になっていないということです。
県の産業集積条例では、設備投資額が大きくなればなるほど、補助金額が大きくなり、青天井に支出されることになっています。
しかし、地方自治法では、予算の執行に当たって、最小の経費で最大の効果を発揮することを地方自治体に求めています。この立場に立てば、大企業に対する巨額の補助金支出が最小の経費で最大の効果を発揮していないことは明らかです。産業集積条例の見直し、廃止を求めます。
不要・不急の大型公共事業推進のストップを
反対の第三の理由は、播磨臨海地域道路や、名神湾岸連絡線、大阪湾岸西伸部の調査費を含め、東播磨自動車道、浜坂自動車道路など、不要不急の大型公共事業を推進してるからです。
公共事業については、不要不急の大型公共事業から、地元建設業者が直接受注のできる防災・減災老朽化対策などへの抜本的転換を求め、以下反対理由を述べます。
1つ目に、渋滞対策についてです。
東播磨自動車道路は南北交通渋滞の解消を目的に平成26年に供用開始されましたが、それによって南北交通量は7,500台増加し、南北から加古川バイパスに車を呼び込んだことによって、加古川バイパス東西交通の渋滞は以前に増して悪化しました。
交通渋滞の抜本的対策として、自動車から公共交通へ、陸上貨物輸送から海上・鉄道貨物輸送への交通対策の抜本的転換こそ推進すべきです。
2つ目に、地元業者の育成効果についてです。
高規格道路建設など、大型公共事業では、巨額の費用に対する地元建設業者の育成効果は限定的です。これまでも指摘をしてきましたが、例えば、浜坂道路整備事業では、約65%を県外企業、あるいは県外企業も含めたJVが受注しています。
大型公共事業から地域循環、生活密着型の公共事業に転換することを求めます。
3つ目に、高速道路沿線の影響についてです。
高速道路整備によって、一部の大型観光地こそ潤いましたが、沿線の地域衰退は深刻です。
北近畿自動車道路の一部開通によって、国道9号線の2月昼間の12時間交通量は3割削減し、スキー客などを対象としていた9号線沿いの大型飲食店が相次いで閉店しています。また、平成22年に姫路鳥取線大原・佐用区間が供用開始されましたが、現道沿いにあった道の駅ひらふくの入り込み客数は供用開始前の平成21年度には12万4,000人だったものが、平成27年度には9万5,000人へと激減しています。
地域創生というのであれば、高速道路整備を前提とした観光客や企業の呼び込み型から地域にある産業や企業など、今ある地域の力を支援し、伸ばす内発型に転換することが必要です。
老人医療費助成事業廃止など最終2カ年行革プランは中止を
反対の第四の理由は、最終2カ年行革プランなど、県民の暮らしを削る行革を推進する予算となっているからです。
最終2カ年行革プランでは、老人医療費助成事業を廃止し、老人クラブ助成事業、鳥獣被害対策事業、バス対策費補助事業など、低所得の高齢者や財政力の弱い市町ほど負担増となり、高齢者、市町からは負担割合を維持してほしい、財政状況にも配慮した負担割合とすべき等々、切実な声が多数上がっています。
これ以上の医療費助成削減、市町負担増は到底認められません。
教育分野では、私立高校の経常費補助の県税相当部分の削減が続けられてきました。経済的な理由から、奨学金を借りても返済に困窮する若者が増加し、社会問題となり、国も不十分ながら返済不要の奨学金制度を創設する動きです。
県としても給付性の奨学金を創設することに踏み出すとともに、私学助成の拡充など、教育予算を増やし、教育の無償化へ進むべきです。
次に、行革による職員削減についてです。
新行革プラン以降、県の職員削減率は、26.8%となり、削減率は全国1位となっています。無理な職員削減によって、県職場の長時間労働は過酷を極めています。平成27年度は幸いにも大きな災害等はなかったにもかかわらず、一月当たりの超過勤務が290時間にもなる職員や、過労死ラインといわれる一月当たり80時間を超える超過勤務を8ヵ月連続で行っていた職員もいました。
また、県が目標とし、厚労省が健康維持ラインとしている年間360時間を超過した職員は、全職員の約1割にもなっています。
さらに、平成19年度からの行革によって、職員が1,254人から960人への大幅に削減された土木事務所などでは、平成26年度から平成28年度の間だけを見ても、全ての事務所で労使協定を上回る違法な超過勤務が漫然と行われていたことが予算委員会で明らかになりました。
病院局でも平成27年度に労使協定を上回る違法な超過勤務の実態が明らかになっています。
ところが、新年度も一般職、教育委員会、警察、病院局で更なる職員削減が進められようとしています。
長時間労働による過労死、過労自殺が社会問題化し、ブラック企業問題など、職場のコンプライアンスが社会全体で厳しく問われている中で、民間のモデルとなるべき県職場で異常な長時間労働や違法な超過勤務を放置することは許されません。
職員の健康管理とともに、県民サービスを低下させないためにも、行革による無理な職員削減を止め、違法状態を直ちに是正し、適切な職員配置を求めます。
以上の理由で議案第1号、議案第16号、第26号及び第39号に反対します。
本予算以外の議題への反対意見表明
続いて、議案第2号「平成29年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」、議案第4号「平成29年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」に反対します。
本議案は、それぞれ長期保有地の取得費用償還のための交際費を繰り出すとともに、更なる取得目的に積み置いています。
環境林の取得については、有利な交付税措置のある地域活性化事業債が充てられていますが、地域活性化事業債の起債については、財政対策を目的とした起債は認められておらず、あくまでも本県での起債目的は環境林として取得し、低炭素社会の実現に資することとなっています。
しかしこれまでの環境林取得費用は1,170億円にもなり、本県最大の環境事業にもかかわらず、環境基本計画にも位置付けられていなければ、低炭素社会実現への効果の検証さえされていません。
当初の開発計画の破綻について、県民に説明することなく、環境林事業などと事業を正当化し、失敗のツケを県民に押し付けようとするもので、認められません。
次に、議案第5号「平成29年度兵庫県営住宅事業特別会計予算」に反対します。
反対の理由は、県営住宅管理戸数削減と、借上復興住宅からの退去を求める予算となっているからです。
非正規雇用の増加によって、県民所得が低下し、県営住宅平均応募倍率は高止まりしています。低廉な家賃で住宅を賃貸するという県営住宅への期待と役割がますます高まっている中での管理戸数削減は認められません。
また、UR借上住宅推進費を計上し、震災から20年目を迎える高齢者に対し、一定の基準で線引きをし、退去を求めるやり方は認められません。
入居可否判定については、知事答弁でもあったように、きめ細かな柔軟な対応こそ必要です。
議案第11号「平成29年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算」についてです。
福祉的な貸付の償還金の改修を民間に委託していますが、福祉的な貸付の徴収については、民間委託による機械的な徴収強化ではなく、債権者の生活実態に見合った丁寧な対応が必要なことから反対します。
次に、議案第17号「平成29年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」は、過去の過剰な水需要予測や二部料金制等により、全国でも有数の高い県営水道料金を市町に押し付けていることから反対します。
議案第18号「平成29年度兵庫県工業用水道事業会計予算」については、主に新日鐵広畑製鉄所など、大企業に供給している工業用水は、1トン当たり4円30銭で、50年前より2円10銭しか値上げしていません。工業用水道事業法による著しく不適当な状態と言わざるを得ず、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。
議案第20号「平成29年度兵庫県地域整備事業会計予算」についてです。
平成26年度から会計制度の見直しによって、進度調整池を除く時価評価処理が行われたことにより、平成26年度決算では、69億9,000万円もの純損失となりました。
利用目的なく、土地を買い集めたツケが一部ではあるものの明らかになりました。
進度調整池については、これまでの約30年間、企業庁の最大の使命とされる経済性が一切発揮されないままの保有が続いています。
しかし、企業庁は会計制度の変更にもかかわらず、進度調整池については、時価評価を保留しており、プロジェクトごとの収支も明らかにしていないことから反対します。
次に、議案第24号「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」について反対します。
県立職業能力開発校、県立但馬技術大学校の設置及び管理に関する条例の一部の改正は、今まで徴収していなかった初年度の授業料や入校審査料、入校料、証明手数料を徴収し、19万9,000円から24万5,000円へと4万6,850円もの負担増となります。
当局の説明では、授業料や諸費用の徴収は、現在受講生の多くが失業者ではなく、新卒の生徒が多くなったからとの説明でしたが、職業訓練を必要とする失業者の門戸を更に狭めることになります。
また、近隣府県では、授業料の無償化などを継続しているところもあり、兵庫県もできるだけ安価で受けられる環境を継続すべきとの立場からも賛同できません。
議案第25号「兵庫県税条例の一部を改正する条例」について反対します。
軽油引取税についてですが、もともと船舶は軽油に関しては非課税で、自衛隊艦船にも適用されています。
今回の税制改正は、平成28年に平和安全法制が施行されたことに伴い、自衛隊の後方支援活動等の際、米国などの艦船に給油をした場合にも非課税にするというものです。自衛隊の海外での活動を推進するものであり、反対です。
また、県税に関する犯則調査手続の規定が地方税法に規定されること等に伴う所要の整備も含まれていますが、県の税務調査の際、パソコンだけでなく、外部のサーバーに保存されている電磁的記録やレンタルサーバー業者が管理している電磁的記録、郵便物の差し押さえ、日没後の強制調査も可能にするなど、納税者の人権侵害につながりかねない内容で賛同できません。
次に、議案第28号「特別職に属する常勤の職員の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例」については、県が行革により県民に福祉切り捨てを押し付けている中、知事等特別職の報酬を引き上げることは、県民の理解を得られないため反対します。
次に、議案第29号「附属機関設置条例及び委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
これは、国保の都道府県化に向け、県と市町の事業の運営方針を定めるとともに、市町ごとの標準保険料率を策定するための国保運営協議会を設置し、委員の報酬と費用弁償を設定するものです。
国保の都道府県化は、国が医療費抑制を狙って行おうとするもので、市町が地域の実情に応じて保険料を設定することが困難になり、今でも高過ぎる保険料が更に高くなる可能性があり、反対です。
議案第33号「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」に反対します。
神戸市への税源移譲に伴う教職員の減、県立大学附属中学校、附属高等学校の教職員を県立大学付けにするための定数減はやむを得ませんが、学級減や学校統廃合に伴う定数減は、少人数学級の拡充に取り組むべきであることから認められません。
議案第38号「阪神高速道路株式会社が行う兵庫県道高速大阪池田線等の事業の変更についての同意」に反対します。
本議案では、阪神高速道路の料金改定案が提案されていますが、その値上がり分は新たな高速道路の財源となります。これでは、いつまでたっても高速料金無料化とはなりません。
阪神高速神戸線は、交通量の約半数が市街へ出ていく車、市外から入ってくる車、あるいは通過交通です。中国道や山陽道への振り分けや、抜本的な対策として自動車から公共交通へ、陸上貨物輸送から海上・鉄道貨物輸送への交通対策の抜本的転換こそ推進すべきです。
次に、議案第41号ないし議案第49号「公の施設の指定管理者の指定」についてです。
議案にある施設については、県の施設でありながら、議会の承認なく一定の範囲内で料金を決定することができる利用料金制を含むことから、反対します。
また、青少年の育成に関わる施設や県民の健康を守る施設については、いずれも県が直接責任を持って運営すべき施設です。
指定管理者に運営を委ねることそのものに反対します。
以上で、私の討論を終わります。
議員の皆様方のご賛同を心よりお願いを申し上げます。
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