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本会議

第333回本会議補正予算、条例反対討論 ねりき恵子
2016年10月6日

【不要不急の事業を含む補正予算に反対】

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、議案第74号、第75号、第77号、第79号、第83号ないし第86号、第91号ないし第93号の計11件に反対し、以下、その理由を発言します。
 議案第74号「平成28年度兵庫県一般会計補正予算」についてです。
 今回の補正予算は、国の28兆円を超える大規模な経済対策を受けたものです。日本経済の6割を占める個人消費が戦後初めて2年連続マイナスとなるなど、大企業がもうかれば、いずれは国民の暮らしに回ってくるというアベノミクスの破綻は、誰の目にも明らかです。
 安倍政権発足以来、最大規模の経済対策を打たなければならないほどの経済状況にも関わらず、その中身は、相変わらず巨額の公的資金投入をはじめ、借金頼みの大型公共事業を進めるという破綻が証明された対策中心で、県の補正予算を見ても同様に、不要不急の公共事業が含まれており、問題です。
 一つは、地域高規格道路である国道178号浜坂道路、県道加古川小野線東播磨南北道路の整備工事が含まれていることです。
 浜坂道路は、高速道六基幹軸の日本海沿岸を構成する山陰近畿自動車道の一部区間として整備されるものですが、我が党は、もともと六基幹軸について、これ以上の高速道路は必要ないとの立場から反対です。
 現在の国道178号の事情からバイパス等の整備は必要と考えますが、わずか6分の時間短縮のために、浜坂道路全体で総延長9キロを総事業費370億円もの莫大な費用とを投入して建設することは、認められません。
 東播磨南北道路については、平成26年に南工区が供用開始され、南北交通については渋滞解消の一定効果があったとされています。しかし、供用開始後、東播磨南北道路と加古川バイパスの合流地点である加古川バイパス中央ジャンクションを起点に、加古川バイパス東西交通は日常的に大変な大渋滞となっています。
 県の調査では、供用開始後、南北交通総量は、日量5万6,700台から6万4,200台へと7,500台増加しています。東播磨南北道路の建設が、更に車を呼び込み、新たな渋滞を発生させるという悪循環になっているのが実態です。これでは、県民の利便性、快適性は低下してしまいます。渋滞が発生すれば新たな高規格道路を整備するという発想から、交通量を減らす対策への転換が必要です。
 また、浜坂道路、東播磨南北道路のような高規格道路整備工事では、地域企業活性化の効果が限定的だからです。
 浜坂道路は約70%、東播磨南北道路南工区は約75%が高架区間となっています。高架区間の工事は、特殊技術を必要とする橋梁上部工事を伴う工事が多く、地域企業の受注率は限定的です。
 国土交通省が示した第2次補正予算の基本的な考え方では、一億総活躍社会実現の加速などを具体化し、予算の執行に当たっては、地域企業の活用に配慮しつつ発注等に取り組むとしています。浜坂道路整備事業では、特殊技術を必要とする橋梁上部工事は7件ありましたが、その全てを県外企業が受注し、契約額は約27億円となっています。
 さらに、県外企業も参加可能である契約額15億円以上の工事は5件あり、契約額総額は153億円にもなっています。15億円以上の大規模工事については、県内・県外企業の共同企業体、いわゆるJVとの契約がされていますが、どの工事を取ってみても、出資割合の5割以上を県外企業が占めています。結局、工事契約総額280億円のうち全体の約65%、契約額にすると約180億円の契約工事に県外企業が参入する一方、県内企業の受注件数は55件、契約額は100億円にとどまっています。
 今年2月に緊急経済対策として組まれた補正予算428億円のうち、地域企業活性化を名目に約116億円、27%を土木費が占めています。さらに、その土木費のうち約45億円、38%が浜坂道路整備事業として執行予定です。
 本補正予算案でも総額約514億円のうち53%、273億円を土木費が占め、個別の事業箇所ごとの予算額は、まだ明らかにはされていませんが、土木費の大半が浜坂道路、東播磨南北道路に充てられることは明らかです。
 橋梁上部工事などを伴う高規格道路整備は、予算の大半がコンクリートと鉄、重機に使われ、地域企業や地域人材の活用はわずかです。砂防・治山・河川整備事業など、地元業者が直接受注のできる緊急防災事業にこそ重点を置くべきです。
 国直轄事業の道路、街路の13億円をはじめとする県土整備関係の負担金と国営土地改良事業、東播用水三木地区の前倒し分としての負担金7,400万円は、国の責任で行うべきであり、反対です。
 また、放課後子ども教室整備事業については、新たに開設する一体型放課後子ども教室への設備備品やICTを活用した学習支援の補助であり、設備の充実は反対するものではありませんが、性格の違う学童保育と放課後子ども教室の一体的な運用をなぜ推し進めるのか、一体型放課後子ども教室を行っているところでは、大規模な教室になるなど、子供たちの関係、居場所づくりが困難になる、学童保育の役割の低下、配慮や支援の必要な子供の環境の後退などが指摘されており、設置基準のない放課後子ども教室が学童保育の代替に使われる問題点があることを指摘しておきます。

 次に、議案第75号「平成28年度兵庫県営住宅事業特別会計補正予算」についてです。
 反対の理由は、県営住宅の管理戸数削減と集約化を推進する議案となっているからです。
 伊丹野間県住は、建替えによって390戸から364戸へ、豊岡一本松県住は、117戸から96戸へ、宝塚御所の前県住は、100戸から85戸へと管理戸数が削減されます。姫路御国野県住は、姫路御着県住に集約化し、これまで両県住を合わせて386戸あった管理戸数を342戸へ削減します。
 また、柏原春日石才県住と柏原第3県住は、柏原南多田県住へ集約化し、これまで3県住を合わせて224戸あった管理戸数を180戸へ削減します。
 宝塚山本県住は、本補正予算による建替えによって、300戸から333戸へと管理戸数が増えますが、これは、現在、管理戸数310戸ある宝塚小林県住を将来的に宝塚山本、宝塚安倉、伊丹西野へ集約化することを見込んだものです。
 非正規雇用率の高まりによって県民所得は低下し、県営住宅への期待と役割がますます高まっている中での管理戸数削減は、認められません。

 次に、議案第77号「使用料及び手数料徴収条例及び警察手数料徴収条例の一部を改正する条例」についてです。
 都市再生特別措置法、都市計画法及び建築基準法の一部改正によって、市町が立地適正化計画を作成し、特定用途誘導地区を設定した場合に、地区内に誘導すべき施設については、容積率及び用途の制限を緩和できるとし、併せて建築物の容積率及び建築面積の最低限度を定めることができるとしました。最低限度については、特例として、学校、駅舎、卸売市場、その他これらに類する公益上必要な建築物については下回ってよいこととされました。
 本議案は、最低限度を下回った場合、これに伴い、特例許可申請に係る手数料について所要の整備を行うものです。
 特定用途誘導地区の設定については、医療施設、商業施設などの都市機能増進施設を誘導地区へ集約化するものであり、医療、福祉、教育、買い物などの機能を拠点ごとに集約・分散し、コンパクト化するものです。コンパクトシティ化による都市機能の集約化は、地方をより疲弊させてしまうことから反対です。

 議案第83号「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定」、議案第84号「国営土地改良事業についての市町負担額の決定」については、国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について市町と農家に負担を求めるものですが、本事業はもともと公益的な事業で、本来、国で一元的、総合的に行うべきものであり、市町負担そのものに反対です。

 第85号「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」についてです。
 これまでも、我が党は本議案と同趣旨の議案について、この事業が広範囲にわたって一般県民が利用するものや急傾斜地崩壊対策事業などの災害関連、危険箇所改修など、県民の安全・安心に関わるものであれば、事業費の一部を市町に負担をさせることに反対であることを表明してきました。
 また、事業そのものに賛同できないものも含まれています。例えば、尼崎市内を東西に走る園田西武庫線の街路事業は、三菱電機敷地内909メートルを174億円掛けて整備するもので、このうち三菱電機の敷地1万8,600平米の用地買収費に約24億円、物件を移動する補償費等と合わせると、事業全体の約6割に当たる100億円を用地買収と物件補償に充てています。不必要な物件補償などもあり、平成27年度も5億2,400万円の予算が執行されました。
 宍粟市の広域基幹農道は、市街地の渋滞を避けるためとして、谷筋1.8キロメートルの農道を約20億円も掛けて整備するものとなっていますが、これまで繰り返し指摘しているように、利用目的の収穫期は短く計画交通量も少ないなど、その効果や必要性に疑問があります。市町負担にも反対です。

 次に、第86号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。
 この整備事業は、神戸地区と淡路地区と合わせて、総事業費約1,000億円を投じて、330ヘクタールに及ぶ巨大な公園整備を進めるものです。
 これまで、国、県、市が3分の1ずつを負担し、総額で267億円が支出され、内訳は、県負担196億円、神戸市負担が71億円となっています。淡路地区では、既に総額約126億円が投じられ供用開始が始まっています。平成27年度実績で、維持管理費約4億6,000万円に対し、利用料収入はわずか1億4,800万円にとどまっており、膨大な赤字補填が国費で賄われています。
 神戸地区では、これまでに約141億円が支出され、27年度実績でも、県負担9,900万円、神戸市負担も同じく9,900万円の支出がされ、平成28年の5月に一部開園されました。しかし、神戸地区には隣接して、しあわせの村という広大な公園があり、そもそも公園整備事業の必要性は乏しく、不必要な国直轄事業に地元負担を求めるべきでないことから、反対します。

 最後に、議案第79号「公立大学法人兵庫県立大学の設立等に関する条例の一部を改正する条例」、議案第91号「公立大学法人兵庫県立大学定款の一部変更」、議案第92号「公立大学法人兵庫県立大学に対する出資」、議案第93号「公立大学法人兵庫県立大学が定める附属高等学校及び附属中学校の料金の上限の認可」については、公立大学法人兵庫県立大学に関わるもので、まとめて討論いたします。
 日本共産党県議団は、3年前の県立大学の法人化に反対しました。もともと公立大学の法人化は構造改革路線の一環で、経済的利益を生むかどうかを物差しに大学予算の削減と一部の大学だけを残すという競争を押し付けたものです。県立大学の法人化も、教職員と予算の削減を目標とした県行革プランに位置付けられています。
 教員の身分は、非公務員化となり評価制度が持ち込まれ、不安的な身分となることや、人員削減で学術研究にも支障が出ることが懸念されています。大学運営費も、授業料、入学料、外部資金等の大学の独自財源と県からの運営交付金で賄いますが、外部資金の調達が思わしくないなど、運営が不安定になる懸念があります。
 法人化で経営のため、理事長と学長を一体化していたものを、今回、学部再編など、大学改革を加速化するため分けるというのは、道理がありません。また、附属高等学校、附属中学についても、県立学校から公立大学法人へ移管し、それに伴う出資と授業料の上限設定への変更であり、認められません。
 今年のノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さんは、数年後に役立つ実益を重視する最近の傾向について指摘し、基礎研究の重要性を強調され、科学を文化として認めてくれる社会にと訴えておられます。
 県立大学についても、同じような視点が大切であることを指摘し、私の討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。

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