【マイナンバー関連の補正予算に反対】
私は、日本共産党県会議員団を代表し、ただいま上程中の平成27年関係、議案第195号、議案第197号、議案第199号及び平成28年度関係、議案第55号について、反対の立場から討論いたします。
まず、議案第195号「平成27年度兵庫県一般会計補正予算」についてです。
第1に、マイナンバー関連の繰越予算が含まれていることです。マイナンバーにより、県民一人ひとりに、原則不変の個人番号を付番し、個人情報をこれによって容易に照合できる仕組みをつくることは、プライバシー侵害やなりすましなどの犯罪を常態化するおそれがあります。
マイナンバーは、今年に入っても事故・事件が相次いでいます。公務員が職場から1万人分もの個人情報を不正に持ち出し、個人情報保護条例違反で逮捕されています。
レンタル大手ツタヤでは、新規会員登録の際の本人確認に、マイナンバー制度の個人番号が記載された通知カードを利用していました。地方公共団体情報システム機構――J−LISのサーバーでは、原因不明のシステム障害が1日1回のペースで発生していることが新聞で報道されています。
情報セキュリティクラウド整備事業で、市町ごとのインターネット接続を県で一つに集約したり、標的型攻撃の対策システムを導入したとしても、情報漏えいを完全に防ぐシステムを作ることは不可能であることを示しています。
仮に、完璧に近いシステムができたとしても、単純な人為的ミスあるいは内部に悪意を持つ人間がいれば、大量の情報流出が起きてしまいます。一度漏れた情報は流通し、売買されるなど、取り返しがつかないことになってしまいます。
また、東京商工リサーチが、1月16日から29日までインターネットで行ったアンケート調査で、74.6%の企業が自社にとってメリットがないと答えています。昨年6月から7月に行った同調査の65.9%から8.7ポイントも増加しています。デメリットについて、情報漏えいのリスクが40.5%、業務の煩雑化22.9%、業務の増加22.8%と続き、デメリットがないは、わずか4.4%です。今からでもやめてほしいとの意見もありました。
個人情報が流出したときの被害は甚大であるとともに、徴収強化が目的であるマイナンバー制度そのものに反対です。今からでもマイナンバーはやめるべきです。
第2に、青野運動公苑リニューアル事業があることです。
青野運動公苑については、日本共産党は、昭和62年から、この事業そのものに反対してきております。ゴルフ人口は年々減少、ピーク時より520万人も減り、今は500万人です。特に、若者のゴルフ離れが顕著です。ゴルフ最盛期は、団塊の世代が接待ゴルフなどでにぎわっていましたが、今は高齢化も進んでいます。
加えて、兵庫県は、北海道に次いでゴルフ場が多い県です。ゴルフ場で採算がとれるとは思われません。昨年の6月議会、今議会の討論でも指摘したように、今後のあり方を抜本的に再検討すべきであり、ゴルフ場リニューアルの繰越予算には賛成できません。
第3の理由は、道路関連などの繰越についてです。
今回の繰越には地域高規格道路として建設が進められている国道178号浜坂道路、東播磨南北道路が含まれています。これまでも繰り返し述べてきましたが、現道の改良やバイパス等の整備は必要ですが、費用対効果という点から見ても、事業そのものの見直しが必要です。
浜坂道路については、2月補正予算分も新年度に繰り越されています。これまでも指摘してきたとおり、浜坂道路は、全区間の7割を橋梁とトンネルが占める特殊技術を必要とする高規格道路です。その結果、これまでの工事契約額総額の約6割を県外企業が元請参入し、受注しています。
2月補正予算の目的は、地元企業地域人材活用となっています。巨額の費用を投入しながら、その目的を十分に果たせない事業と言わざるを得ません。
また、その他西武庫線については、十分な地元合意を得られないまま、工事が進められていることからも反対です。
また、一般現道川西インター線事業についても繰越が行われています。これは新名神高速道路の川西インターを国道173号と川西篠山線間をつなぐ道路で、日本共産党は、新名神高速道路について問題点を指摘してきましたが、その関連道路として3.3キロメートルに、事業費220億円の4車線道路を新たに作ることについても反対です。
また、1日1万9,400台の交通量を想定していますが、地元では車の流入により、今でも渋滞に悩まされている中、更に渋滞が悪化するのではないかとの懸念があります。
基幹農道整備事業の蔦沢菅野線は、道路やトンネルの工事のためのトラック車両が、騒音苦情を理由に経路を変更したことなどで7,300万円ほどの繰越です。延長1,830メートル、総事業費19億5,500万円の事業ですが、必要性に疑問があり、無駄遣いの批判が強い事業です。
以上、いずれも繰越してまで進める必要はありません。
第4に、ダム事業です。
平成24年に総合治水条例が制定されましたが、日本共産党県議団は、これまでもダムありきの時世を具体的にただし、河川の堤防補強や流域対策、雨水貯留などの必要性を議会でも一貫して取り上げてきました。
今回の繰越にも含まれている二つのダム、与布土、金出地についても、治水、利水、環境の面から見直しが不十分であり、認められません。
第5の反対理由は、まちづくりについてです。
都市開発事業の中で明石駅前南地区の再開発事業補助金が繰り越されています。今回の繰越額は、国の交付金と県の負担分合わせて約4億9,000万円となります。本事業は、組合施工で行われているものの、明石市の財政負担が大きいなどとして、住民の反対運動が起こり、十分合意が得られていない中、事業を繰越して推進することに反対です。
次に、第197号議案「平成27年度兵庫県営住宅事業特別会計補正予算」について反対します。
県は、今ある県営住宅管理戸数を約5万2,000戸から4万8,000戸まで削減する方針を示しています。本議案でも繰越がされる西宮浜松原県営住宅の建替整備は東町県住を統廃合し、現在の管理戸数を399戸から320戸へと削減しようとするものです。
非正規雇用率の高まりによって所得水準が低下し、県営住宅応募倍率も8倍台で高止まっています。低所得者に低廉な家賃で住宅を提供するという県営住宅の役割と期待とがますます高まっている中での統廃合、管理戸数の削減は認められません。
続いて、第199号議案「兵庫県地域創生戦略の変更」についてです。
安倍内閣の経済政策、いわゆるアベノミクスは、大企業のもうけを増やせば、それが国民に滴り落ちて、経済全体のよくなるという典型的なトリクルダウンですが、大企業の利益が増えても、経済の好循環は生まれず、アベノミクスの破綻は明らかです。今こそ県民の暮らしを温め、中小企業、小規模企業の振興による内需拡大、地域経済再生に転換することが求められています。
県は、経済成長率を政府見通しのとおり、実質1.7%、名目3.1%としていますが、今の経済状況を見れば、実現の見通しのない数字だと言わざるを得ません。このような数字を前提にすれば、必要な施策を見誤ることになりかねないため反対です。
最後に、第55号議案「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
これは国の平成28年度診療報酬改定で、一般病床500以上の地域医療支援病院において、紹介状なしで受診する受診患者などに一定額以上の料金徴収が、任意から義務に変更されることに伴う条例改正です。現行の初診の場合、2,600円が5,000円に、再診は負担なしだったものが2,500円に引き上げられるもので、県立病院では尼崎総合医療センターが該当します。
健康福祉常任委員会での質疑でも明らかにしましたが、県立尼崎総合医療センターでは、昨年7月開院以来、12月までの半年間で3,651件の紹介状なしの初診患者が来院されています。本来、病院を選ぶのは患者の自由のはずです。更なる患者の負担増につながるため反対です。
以上で、私の討論を終わります。
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