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本会議

第328回本会議議案反対討論 入江次郎
2015年10月7日

【マイナンバー関連条例、地域創生戦略などに反対】

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の議案第106から議案第108号まで、議案第111号から議案第115号まで及び議案第119号に反対し、以下その主な理由を述べます。

 議案第106号 「県民緑税条例の一部を改正する条例」について反対します。県民緑税については、2006年度から5年を1期として、1期目は約105億円、2期目は? 億円、平成28年度から始まる3期目は120億円を見込んでいます。県民一人当たり年間800円、企業からは年額2000円から8万円を課税徴収しています。県民緑税は、県民への合意や周知が不十分なままスタートし、当時のパブリックコメントもわずか146件しか寄せられませんでした。対象事業には防災のための森林整備など必要な事業も含まれていますが、企業内の駐車場芝生化など本来企業が社会的責任として行うべき事業までもが含まれています。 昨今の消費税増税、社会保障負担増、物価高に加え、県民所得が低下しているもとでの制度延長にも賛同できません。

 議案第107号、「個人番号の利用、特定個人情報の提供等に関する条例」、及び議案第108号、「番号利用法及び番号利用法整備法の施行に伴う関係条例の整備に関する条例」に反対します。議案第107号は本年9月3日に国会で成立した、いわゆるマイナンバー法によって規定された社会保障、税、防災の法に関わる3分野98行政事務に類する地方自治体の事務について、地方自治体が条例を定める事によって個人番号を利用し、特定個人情報を提供することができるとしたものです。兵庫県では知事部局で9業務、教育委員会で5業務を本議案で掲げています。 議案108号は、マイナンバー法に係るいわゆる番号利用法の制定により、特定個人情報の利用・提供を受ける際の本人確認のため住基ネットワークを利用できるようにし、また、新たな事務を追加することや特定個人情報の開示・訂正・利用・停止できるものに任意代理人を追加することなどをできるよう条例を制定しようとするものです。私達は住基ネットにそもそも反対で、条例制定による住基ネット利用拡大にも反対です。本議案はマイナンバー法実施のための条例制定であり二重の意味で反対します。議案第107号、108号は法改正による同趣旨の条例制定であるため一括してその問題点を指摘します。

 ご存知の通りマイナンバー制度は、10月1日現在の全住民の登録情報を地方公共団体情報システム機構(J−LIS)に提供し、10月5日に全住民に番号通知が行われ、来年1月から利用が開始されます。 来年1月からのマイナンバー利用範囲は社会保障、税、災害の3分野に限定されていますが、2018年からは利用範囲が拡大され、プライバシー性の極めて高い個人の預貯金や特定健診情報なども利用対象にされます。

 反対の第一の理由は、県民一人一に原則不変の個人番号を付番し、個人情報をこれによって容易に照合できる仕組みをつくることはプライバシー侵害や成り済ましなどの犯罪を状態化するおそれがあるからです。マイナンバー法審議中の本年6月1日にも、日本年金機構から125万件もの年金情報の流出が発覚しました。日本でも世界でも情報漏えい事件は後を絶たず、防ぐ事ができていません。IT先進国と言われるアメリカや韓国でも政府機関から2千万人分、クレジット会社から1億人分など大量の個人情報が盗まれる事件が相次いでいます。こうした一連の事件からは、情報漏えいを完全に防ぐシステムを構築することはできないこと、完璧に近いシステムができたとしても、内部に悪意を持つ人間がいれば大量の情報流出がおきてしまうこと、一度漏れた情報は 流通し売買され取り返しがつかないこと、そして情報の質と量が集まれば集まるほど利用価値が高まり、攻撃される危険性も高まります。一つの番号で県民の個人情報を照合させるマイナンバーは情報漏えいや悪用の危険性を高めます。

 マイナンバー法では、条例で定めた業務に従事する民間委託業者や再委託業者も番号利用することができます。兵庫県では、県営住宅管理事務を指定管理者として民間委託しており、住宅管理業務は民間事業者が番号利用できる業務に含まれています。

 県営住宅管理業務においては、2012年に翌年から県営住宅管理業務を委託した東急コミュ二ティーのフロント業務に従事していた社員が、民間分譲マンション管理組合名義の口座から複数回にわたり約1600万円を着服し国から処分を受けています。県は事件後、東急コミュ二ティーと指定管理者契約を締結したわけですが、西宮市や宝塚市では市営住宅の指定管理が東急コミュ二ティーだったので大問題となり議案が撤回された経緯もあります。当時、県は東急コミュ二ティーに対し、 文章による再発防止策すら求めておらず、県の危機管理にも危うさを感じます。悪意を持つ人間がいれば質の高い個人情報を大量に流出させる事は容易なことであり、重大なプライバシー侵害や犯罪に使用される恐れがあります。

 反対の第二の理由は マイナンバー制度の一番のねらいが国民一人一人の収入と財産を丸裸にし、税・保険料の徴収強化、社会保障の給付削減を押し付けていくという事にあるからです。。マイナンバー制度は県民にとってはほとんどメリットがありません。一方、行政サイドにとっては各自の収入・所得にかかわる情報が単一の番号で結ばれ、そこに預貯金などの情報が加わる事で、一人ひとりの所得と資産の実態を手のひらにのせることが可能となります。そもそも、社会保障と税の共通番号導入を早くから提唱してきたのが財界です。「給付に見合った負担」「負担に見合った給付」の名で、県民にとっては負担増、給付削減を推進する、 それにより社会保障にかかる国の財政負担、大企業の税、保険料負担を軽減するというのが財界の主張です。県民にはほとんどメリットがなく、徴税強化と社会保障削減を県民に押し付ける議案第107号、108号に反対します。

 議案第111号 「関西広域連合規約の変更」について反対します。

 本議案は、奈良県が防災、広域観光、文化及びスポーツに関する事務について新たに関西広域連合に加わるというものです。

 関西広域連合は、国の出先機関を廃止し、広域連合がその「受け皿」となることを推進しています。しかしこれは、憲法で掲げた国民の権利を保障する国の責任を後退させ、 小規模自治体の防災などにも大きな影響を与える恐れがあります。私達日本共産党は、行政事務を広域化する関西広域連合そのものに反対しており本議案にも賛同できません。

 議案第112号「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての負担額の決定」議案第113号「国営土地改良事業についての市町負担額の決定」に反対します。
 両議案は、国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について、市町と農家に負担を求めるものです。本事業はもともと広域的な事業で、本来、国で一元的、総合的に行うべきものであり、市町負担そのものに反対です。 さらに国営東播用水土地改良事業は昭和45年に着工がされ当時のかんがい受益面積は8360haだったものが現在では7313haにまで大幅に受益面積は縮小しています。 その他の農業用排水事業、農地改良事業も同様の傾向にあり、国策によって農業を衰退させ投資費用に見合った受益を得られていない市町や農家に負担を求める事は認められません。

 議案第114号「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」について反対します
 これまでもわが党は本議案と同趣旨の議案について、その事業が広範囲にわたって一般県民が利用するものや、急傾斜地崩壊対策事業の災害関連、危険箇所改修など県民の安全・安心に関わるものであれば事業費の一部を該当市町に負担をさせることに反対である事を表明してきました。
 また、災害関連事業等とは別の、街路事業等にある個別事業そのものにも賛同できない事業も含まれています。
 例えば尼崎市内を東西に走る園田西武庫線の街路事業は、三菱電機敷地内909メートルを174億円かけて整備するもので、このうち、三菱電機の敷地1万8千6百平米の用地買収費に4億1千万円、物件を移動する補償費と併せると事業費全体の約6割にあたる100億円を支出しています。過大な事業であり事業そのものに反対です。
 その他にも宍粟市の広域基幹農道は、市街地の渋滞を避けるとして、谷筋1.8キロメートルの農道を約20億円もかけて整備するものとなっていますが、県負担は約7億円で、平成27年度は約1億3千万円予算計上されています。計画段階では地元の反対もあり、必要性に疑問がある道路です。一番便利になるところでも、現在6キロ弱の距離が2キロに短縮されるだけです。しかも収穫期など利用時期は限られおり、一日の計画交通量もわずか940台しかありません。

 議案第115号「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」に反対します。

この整備事業は、神戸地区と淡路地区とあわせて総事業費約1千億円を投じて、330ヘクタールにおよぶ巨大な公園整備をすすめるものです。これまで国・県・市が3分の1づつを負担し県負担が196億円、神戸市などの地方公共団体が262億円を負担し、淡路地区では既に総額約376億円を投じて供用開始が始まっています。しかし淡路地区では、平成26年度実績で維持管理費約4億6千万円に対し、収入はわずか7千万円に留まっており、莫大な赤字補填が国費でされています。神戸地区はこれまでに412億円が支出され、今年度も県負担9千万円、神戸市負担で5億9千万円の予算計上がされ平成28年度に一部開園予定ですが、 神戸地区の東西にはしあわせの村という広大な公園があり、そもそも公園整備事業の必要性はなく、不必要な国直轄事業に地元負担を求めるべきでないことから反対します。

 議案第119号「兵庫県地域創生戦略の策定」に反対します。

 過去振り返ると、平成の大合併によって地域の拠点が縮小し、旧役場付近は賑わいが消え閑散とした状態へとなりました。さらには県行革によって、とりわけ地域の公共施設統廃合がされ行政サービスは後退しました。平成の大合併、あるいは行革による公共施設の統廃合などが地域にどのような影響を与えたかなど十分な検証もされないままさらなる公共施設の集約、統廃合は認められません。

 また本議案では、人口減少対策として「安定的な仕事の創出」を掲げています。しかし、これまで巨額の県税を投入し誘致したパナソニック尼崎・姫路工場では、正規での新規雇用はほとんどなく派遣や契約社員など不安定雇用ばかりです。尼崎工場はわずか数年で撤退し多くの若者が職を失いました。

 また、過去に行われた大型開発では、例えば但馬空港では当初需要予測が4万7千人だったのに対し平成26年度実績での利用者は2万9千人、姫路港広畑港区では需要予測が64万 tあるとして平成14年に水深14mの公共岸壁バースを整備しましたが平成26年度実績はわずか6万tに留まっています。甘い需要予測による大型開発が、巨額の投資費用に見合った効果を挙げていない事例が数多くあります。本議案では総額6000億円とも言われる播磨臨海地域道路の整備も掲げられています。播磨臨海地域網計画は昭和48年に原案的な計画が示されたものですが、当時は人口も経済も右肩上がりの時代です。過大な需要予測での大型開発はもう認められません。人口減少が急激に進む事が現実的な課題となっている今、本議案で推進されている道路、空港、港湾など不要不急の大型開発事業の整備・推進は見直すべきです。

 地方創生の名で、過去の検証もしないまま、さらなる公共施設の統廃合や集約化、医療拠点の再編統合、農地の集約化、インセンティブ型の企業誘致、甘い需要予測での不要不急の大型開発は認められません。以上の理由で議案第119号に反対します。

 最後に議案第110号「兵庫県水道用水供給条例の一部を改正する条例」について意見を述べます。

 本議案は、県水道料金の平均供給単価を現在の132円から127円に引き下げるというものです。県水道料金の引き下げは大いに歓迎すべきところですが、これでも全国で2番目に高い料金となっています。県水が高い原因は、過剰な水需要予測に基づいてダム建設などの過剰な設備投資を行ったため、その償却費用が料金にはね返っているためです。当初県は計画水量として75万tを見込んでダム建設などの設備投資を行ってきました。しかし、平成21年度には計画水量に対する市町の申し込み水量は  tとなり施設稼働率は  %にまで低下しました。県は市町からの申し込み水量があまりにも少ないため平成22年度からは計画水量を45万tにまで引き下げましたが、それでも平成26年度実績での施設稼働率は64%に留まっています。県の過剰な水需要予測による過剰な設備投資が全国で2番目に高い水道料金へとしています。二部料金制や長期責任水量などの契約方式を見直し、受水市町の水道料金を大幅に引き下げることを求めて私の討論を終わります。

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