おはようございます。尼崎選出、日本共産党の庄本えつこです。初質問を行います。
【地域創生について】
最初に「地域創生」についてお伺いいたします。
政府は昨年、人口急減社会によって「自治体が消滅」などとして国と地方の対策をまとめた「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を打ち出しました。
兵庫県でも、国の方針を踏まえ5年間の「兵庫県地域創生戦略」を策定しようしています。その中には医療・福祉・教育・買い物などの機能を拠点ごとに分散し、交通ネットワークで結ぶという
公共施設の統廃合や行政サービスの集約化を伺わせる内容も含まれています。これらは、国の基本方針の「都市のコンパクト化」「公共施設の再編」「交通ネットワーク」に沿ったものです。
この間の地方行政を振り返ると、市町村合併や「行政改革」による合理化・効率化によって公共施設の再編・統廃合等が進められ地域の賑わいの喪失、行政サービスの低下が顕著に現われています。
知事は今年4月国会で参考人として意見を述べられました。平成の大合併によって旧役場が支所へと機能が縮小された事について「周辺部の被合併住民の方は不便になった。地域の賑わいの核がなくなってしまって大変閑散とした実情にあります。平成の大合併の問題点はきちんと摘示して評価する必要があるのではないか」とおっしゃっています。さらに「コンパクトシティーとか小規模拠点とかいう
発想は一極集中のピラミッド構造を全国津々浦々にまではびこらせようとする発想だと思って反対しています」「行政を経済性とか効率性だけで考えるのか」とも、発言されております。
知事の言われる「行政を経済性とか効率性だけで考えていいのか」ということは、県「行革」についても、同様にとらえるべきではないでしょうか。
兵庫県は、「行革プラン」をすすめる中で、10年間に職員の3割削減を強行してきています。災害の際、最前線で重要な役割を果たす土木事務所は22箇所から13箇所へ、
人員は993人から756人へと削減され、健康福祉事務所は25箇所から14箇所へ統廃合、保健師数も206人から169人へと削減され、災害時など人的対応の後退が言われています。
農業改良普及センターは、農業改良普及センターそのものは22箇所から13箇所へと統廃合、農業普及指導員は、223人から180人へと削減されました。地域創生の新規就農者育成にも逆行するものです。
知事、「地域創生」というのであれば、地方が衰退した原因について掘り下げた検証が必要です。知事が国会でも述べておられる様に未だ「平成の大合併の問題点の摘示」もされていません。自ら行った「県行革」
による県事務所の統廃合・人員削減による住民サービス低下が地域の衰退を加速させる悪影響についても真摯に向き合って、総括と反省こそもとめられるのではないでしょうか。
地域創生の名で地方をさらに疲弊させる、さらなる「集約化」などは、ぜったいにさせないと約束してください。いかがですか。
○井戸知事:
まず、地域創生に逆行する地方機関の集約についてということでおたずねがありました。
県民の期待に的確にこたえる県政を推進していくには、時代の変化等をふまえながら効果的な組織のあり方を求めていかなければなりません。
地方機関については、地域課題に的確に対応するため、現地解決型の総合事務所として、平成13年度に6県民局から拡大して、10県民局に再編しました。他県では総合事務所を統合する方向もありますが、本県では県民サービスの主体として、再編したものです。現在、地域に定着していること等をふまえて、基本的にこの体制を維持してきています。行財政構造改革プランの見直しごとに、点検もしてまいりました。健康福祉、農業改良、土木等の事務所については、平成21年度に、1圏域1事務所に統合再編しましたが、
これは、幅広い課題への専門的な対応力を増すこと、緊急事案への機動的な対応力を強化することのために行ったもので、その効果は発揮されてきていると考えています。
また、統合・再編にあたっては、特に所管面積が広い、あるいは事業量が多い地域には、複数事務所を設置しています。農業相談、指導を行う地域普及所や、災害時の初動対応の拠点となる業務所などを
設置しているものです。このような結果、県民サービスの低下等を招くことのないように注意をしてきたと考えています。
地域の衰退の要因はなにか、難しい課題でありますが、経済的価値や効率を過度に追究して東京一極集中をまねいてきた、国土構造が形成されてきたことにあると考えています。
だからこそ、本県の地域創生は、経済合理性の観点から各機能をコンパクトに集積するのではなくて、地域特性をいかし、多様性と連携を基本に、機能分散・連携型の地域構造を構築していくことをめざしているつもりです。
これをささえるのが行財政構造改革です。
来年度の行革の総点検においては、これまでの組織再編等の検証を行いつつ、地域創生など、地域課題への対応をはじめ、市町との役割分担、業務の効率性、専門性の向上などの視点から、地方機関等の整備を検討してまいります。
【住宅・店舗リフォーム助成】
次は住宅・店舗リフォーム助成制度についてです。
私達日本共産党は、これまで地域経済活性化・中小業者支援として住宅リフォーム助成制度の創設を繰り返し県に求めてきました。
この制度は、今では秋田、山形、静岡、広島、佐賀の5県を含む全国629自治体にまで広がっています。兵庫県内でも中核市の西宮市から新温泉町や
福崎町などの農山村地域にまで幅広く広がり県下41市町の内17の市町で実施されています。
秋田県では、4年間の制度活用件数は5万件を越え、補助金総額約68億円に対して工事総額は約1032億円、約1600億円もの経済波及効果が確認されています。
多くの自治体で「施行業者の70%以上が年間事業規模5000万円以下の中小企業・小規模事業者」「いずれリフォームをしなければと思っていたがこの制度で決断した」「建設業者を筆頭に16業種の多様な業種にも波及効果が確認できた」など、
アベノミクスの恩恵が行き届いていないといわれる小規模事業者への仕事おこしと、地域経済の起爆剤の役割を果たしている事は間違いありません。
さらに、群馬県高崎市では住宅リフォーム助成制度に続くものとして、商業の活性化を目的に店舗の改装や、店舗等で専ら使用する備品の購入などについて
20万円以上の工事につき、上限を100万円として二分の一を補助する「まちなか商店リニューアル助成制度」・店舗リフォーム助成を実施しています。
高崎市では2014年度に3億5千万円の予算を組み、すぐに100%執行で業者から大変喜ばれています。高崎市の市長は「高崎の街中を面白く、活気あふれるものにしたい。そのためには小さな店が元気になることです」
「一番大変なところを支援するのが自治体の役割」と語っています。兵庫県内では丹波市が住宅リフォーム助成制度に続き「店舗リフォーム助成」を実施しています。
「地域創生」と強調するのであれば、これまでのようなパナソニック等の大企業立地の補助金ではなく、既存の中小業者の支援を強めることが不可欠ではないでしょうか。今、兵庫県議会では、議員提案による中小企業振興条例の制定の議論がなされていますが、
地域経済活性化の起爆剤でもあり、中小業者支援策としても全国で試されずみの住宅リフォーム助成制度、店舗リフォーム助成制度の創設を求めます。ご答弁をお願いします。
○石井産業労働部長:
住宅・店舗リフォームの助成制度につきましては、その経費の一部を助成することにより、住宅・店舗の改善を容易にするもので、結果として中小業者の振興にもつながる制度であると認識しております。
本県におきましては、住宅や店舗のリフォームは、個人の資産形成や事業者の営利活動として行われるものでありますことから、特に必要性や公共性の高いものについて助成することとしております。住宅につきましては、耐震化やバリアフリー化を図る観点から、兵庫すまいの耐震促進課事業や、人生80年いきいき住宅助成事業を実施していますほか、地域振興に資する古民家の再生をはかる観点から促進事業等の支援制度をもうけているところです。店舗につきましても、地域のにぎわいやコミュニティなど多様な公共的機能を有している点に着目をいたしまして、ひとつには、空き店舗対策や事業承継、新規開業のための改装工事、ふたつには、商店街のリニューアル のための店舗の外観改装工事、三つには地域コミュニティや子育て支援拠点として活用するための改装工事等に助成をおこなっております。このほか、但馬、丹波、淡路地域など促進地域へのIT事業者の進出を促進いたしますために、空き家等を活用した建物改修費や賃料の一部の助成をしているところです。県としては、その必要性や公共性を的確に判断をし、必要に応じて県事業としての支援策の検討も行いながら、
中小企業支援に取り組むことで、地域経済の活性化をはかってまいりますので、よろしくお願いいたします。
【地域医療構想について】
次に、「地域医療構想」についてです。
「医療介護総合確保推進法」により、都道府県は「地域医療構想」を策定することが定められましたが、「病床削減が押しつけられるのでは」と懸念が広がっています。
県では、2次医療圏ごとの圏域検討会議と並行し、医療審議会保健医療計画部会で案の検討が進められています。
8月の審議会には、2025年に必要な病床数の推計が4つの機能ごとに示されました。推計方法により異なりますが、現行の病床数に比べ、2025年には合計で「最大597床が不足ないし最大1277床の削減が必要」となっています。
ところが、合計で597床が不足する場合の推計でも、圏域ごとに見ると、西播磨で357病床、但馬で362病床、丹波で281病床、淡路で376病床と、
高度急性期以外のすべての病床を削減すべきという数字になっています。ただでさえ医療資源の少ない地域の現実にまったくあわない、地域創生にも逆行します。
また、慢性期病床は、高齢者人口が大幅に増加する都市部も含め、県下、ほぼすべての圏域で「過剰」となり、全県で2542ないし4416床の削減が必要ということになっています。
例えば、私の地元阪神南圏域は、県下でも特に特養ホームなどが不足し、2025年の高齢者人口も増加の見込みです。にもかかわらず、慢性期病床は、現行から約15%ないし30%も減らすべき、という推計になっています。
病院にも介護施設にも入れず、行き場を失う高齢者が大量に出てくるのではないでしょうか。
医療関係者も、「在宅への移行というが、開業医が往診や看取りを含め365日・24時間待機して行えというのは非現実的だ」と話していました。
慢性期だけでなく、阪神南圏域では急性期と回復期の合計では不足する見込みですが、急性期だけで見ると1169床が過剰という計算です。
急性期病床を200床もつある民間病院は、「いざというときあの病院があるから安心」と地域での信頼も厚い病院ですが、いつくるかわからない救急患者のためにベッドをあけ技術をもつスタッフ体制を整えておくのは、並大抵のことではありません。仮に、このような病院に、
急性期は過剰だからといわゆる「回復期」などへの病床転換、低い報酬での経営が押しつけられれば、現在の体制を維持するわけにはいかず、地域の救急医療は破綻しかねません。
もともと、「必要病床数」を計算する基になった国の医療需要推計は、地域ごとに異なる実情や、潜在的な医療需要などをまったく考慮せず、削減することを前提としたやり方です。
このような数字は、知事も「国の一律なもの」と発言されましたが、県下の医療体制の実態を無視したものです。
このような国の推計に基づく病床削減ありきの地域医療構想でなく、医療関係者・患者はもちろん、
幅広い県民の意見を反映したものとすること、各病院の意向や地域の実情に即さない「病床転換や削減」を病院に押しつけないことをもとめますが、いかがですか。
○井戸知事: 地域医療構想についてお尋ねがありました。
地域医療構想は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年、平成37年にむけて、二次医療圏域ごとに、病床を4つのタイプ、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に機能分化させ、地域における医療提供体制を再構築しようとするものです。地域医療構想については、当初、一方的に病床が削減される計画という不十分な理解が広がっていましたが、
その後の説明により、医療介護推進基金などを活用して、2025年にむけて必要とされる医療提供機能を確保するしくみであるという本来の趣旨が理解されつつあると考えています。
病床数については、一定の推計値を示したものでありますが、今後圏域における機能別の医療充足度の現況などを踏まえた上で、まず、救命救急等高度急性期病床の増床、ふたつに、急性期病床からリハビリ等の回復期病床への機能転換などをおこなうほか、三つ目に、国が一定の削減を求めている、慢性期病床については、在宅医療の充実が前提となりますので、その充実等の状況をみながら、
病床削減に取り組んでいくことになると考えます。これらの結果、圏域によって、総病床数が減少することもあれば増加することもある、このように見込んでいます。
現在、二次医療圏ごとに医療関係者のみならず、福祉団体、住民団体、市町など幅広いメンバーを構成員として設けました検討委員会で、各圏域の現状と課題を共有しながら、
2025年の必要病床数をはじめとする医療提供体制を検討しているものです。公立病院、基幹病院のあり方等についてもあわせて議論を求めています。
地域医療構想策定後も、これらの議論を圏域で重ね、医療機関自らが当該圏域に不足する医療機能の充足をはかっていただくとともに、病床の機能転換等にとりくんでいくもの
です。これにより、どの地域の県民もその状態に即した医療が適切な場所で受けられる切れ目のない医療提供体制が再構築されなければならない、このように考えております。
【津波対策、河川堤防について】
次は河川も含めた津波対策についてです。
兵庫県は本年6月1日に「津波防災インフラ整備計画」を発表、その後、「南海トラフ地震・津波対策アクションプログラム」を策定しました。
ここでは、特に私の地元、尼崎地域についてお聞きします。
尼崎地域の浸水想定では、レベル2の最大クラス津波、津波水位4メートルで、海岸部から防潮堤を越流し、
浸水が広がるとされています。そのため防潮堤の越流対策や液状化による沈下対策などを実施して、981ヘクタールもの浸水面積を10分の1以下に抑えられるという説明です。
海岸部では、耐震診断を75カ所行い、防潮堤の越流対策、防潮堤の液状化対策など先行工事しているものもあります。
しかし、河川については、津波が遡上するが、地震による河川堤防の沈下はあるものの、越流はしないとして、堤防などの対策もなく、中島川と左門殿川に避難誘導スピーカーを設置するのみです。
東日本大震災後、国は「河川津波は、洪水、高潮と並んで計画的に防護対策を検討する」、「今後、河川管理においても海岸管理と一体として計画的に津波に対応するものとする」という通知を出しました。
2014年2月のわが党議員の質問で、尼崎地域の河川堤防について、「専門家の意見を聞きながら、必要な箇所について、詳細に解析を行い、沈下対策を検討」と約束しました。私は、今回、その詳細調査結果を見させていただきました。中島川、左門殿川、神崎川の3箇所の「静的解析」を行ったものです。たとえば、左門殿川は、堤防が約90センチ沈下(鉛直変位)し、河川側に94センチほどずれる(水平変位)という結果で、
堤防と堤防の間に、隙間があく状態になるとシミュレーションされています。6.12メートルの堤防高が、堤防のすきまの低いところで、3.57メートルまで下がり、遡上する津波高は70センチまで迫ることになります。
県当局は、この結果をうけても、越流して、河川側から浸水することはないと言われますが、津波浸水の想定がちがっていたり、予測を上回る沈下や変位をする場合もありえます。そもそも、調査した範囲も、河口から6キロの間に3地点とごく限られたものです。
一方で、大阪では、中島川で3箇所、左門殿川で2箇所、神崎川で7カ所の詳細な調査、「静的」あるいは「動的解析」を行い、どの堤防も「破壊」評価となって、「満潮時に直ちに浸水」とし2013年度補正予算、2014年度予算で堤防の補強工事を開始しています。
県は、「阪神淡路大震災後、河口から3.5キロまで、堤防を新耐震基準で復旧した」と言われますが、左門殿川の調査地点は4.0キロ地点であり、神崎川は6.0キロ地点で、復旧の対象になっていません。そもそも液状化被害は、同じ箇所でも繰り返しておきていることは東日本大震災の時に経験済みです。
さらに県は今回の「静的解析」の資料を含めて、河川堤防の地震被害、沈下予測について、根拠資料を示して、住民に説明をしたことは、一度もありません。大阪では、インターネットで調査結果をだれでも閲覧できるようになっているのとは対照的です。
昨年4月の神戸新聞で、「対岸で大きな被害が想定されているので、住民も不安に思っている」と報道されました。尼崎の住民は、調査結果や根拠も示されずに、「大丈夫」と言われても、納得できないでいます。
そこで知事にお伺いいたします。河川堤防については、中島川から神崎川の区間について、3箇所だけではなく、箇所数を増やしてより詳細な調査を行い、専門家の意見も含めて、インターネットにも公開して、住民に真摯に説明する機会をつくるべきです。その上で、必要な堤防補強工事も検討すべきと考えます。お答えください。
○田中県土整備部長:
河川堤防におけるレベル2レベルの津波対策につきましては、まず簡易検討をおこなって、津波の越流の有無と堤防の沈下量、この二つを調査し、堤防の機能が維持できないと判断される場合に詳細検討等を行い、
沈下対策の必要性を検証いたします。堤防機能の維持につきましては、学識者とも相談いたしまして、越流があり、かつ、沈下量1メートル以上等の場合には、機能維持困難と判断いたしております。
ご指摘の大阪との府県境にある河川は、堤防構造物の規模が最も大きい下流の中島川断面で、堤防形式と露出条件をもとに、簡易検討を行った結果、津波高は、TPプラス3.8メートルに対して、沈下後の堤防高さは、TPプラス5.56メートルでありまして、越流しないことが確認されました。しかしながら、背後地が、ゼロメートル地帯であることから、念のため、中島川、左門殿川、神埼川のそれぞれ構造の異なる断面で堤防の形状、寸法、露出の流形、密度等をもとに、詳細検討を行いました。その結果、越流しないこと、及び、堤防機能が維持できることを確認しました。具体的には、中島川では、鉛直方向に1センチ沈下、水平方向に51センチ移動、左門殿川では、それぞれ91センチと94センチ、神埼川では、27センチと2センチでありました。詳細検討における代表断面の選定、解析手法、沈下量、水平移動量の評価等につきましては、兵庫県海岸保全施設、耐震対策整備、計画検討委員会におきまして、複数の学識者から妥当であるとの意見をいただいています。こうしたことから、沈下対策工事は不要であると判断いたしました。公表につきましては、津波防災インフラ整備計画におきまして、堤防の沈下対策の必要性、検討対象、検討手順、越流対策や沈下対策が必要な区間と、その対策による浸水範囲の縮減効果につきまして、わかりやすく記載しています。今後とも津波防災インフラ整備計画に基づき、南海トラフ地震による津波への備えに万全を期していきます。
【35人学級・少人数学級について】
次に、少人数学級の拡充についてです。
日本共産党は今年3月に、必要な国の予算も示しながら小中学校の全学年を8年計画で35人学級にすることを提言しています。
日本共産党県議団は、一貫して実現を求め続け、現在、兵庫県では小学4年生まで35人学級が実施されていますが、さらに中学3年生までの35人学級の実現を求める声はますます大きくなっています。
子どもを取り巻く環境はますます厳しさを増し、一人ひとりに目の行き届いた教育の充実が早急に求められている中で、全国では小学校全学年で35人以下学級の実施が広がっています。
しかし国は、このような地方の努力を強く後押しするのではなく、むしろ、足を引っ張っています。2012年度からは小学2年生を35人学級にする予算がつき、5ヵ年で中学3年生まで進められようとしていたのに、
安倍自公政権になって「費用対効果」などと、35人学級への移行をストップしてしまいました。
さて、今の教育現場では、これまでのように、年度ごとに国が定める定数を全国に割りふる加配教員にたよったやり方は限界にきています。教員の増員こそ必要です。
教員の多忙化は深刻で、全日本教職員組合が2013年におこなった調査結果によると、過労死の危険があるとされる80時間以上の時間外勤務をおこなっている教諭が35.8%と
全体の3分の1以上を超え、また、「授業の準備をする時間がない」とこたえたのは75.8%にも上っているのが実態です。
県教委が調査した教職員の勤務実態調査でも、勤務1日あたりの残業時間が小学校で1時間58分、中学校で2時間33分と小・
中学校とも全国平均よりもそれぞれ18分、20分も長く、教職員の多忙化について「大変忙しい」「やや忙しい」と答えたのは、小学校97.7%、中学校94.6%にも上っています。
文部科学省によれば、公立小中学校には「1時間の授業に1時間の授業準備」ができるように教員が配置されることになっているにもかかわらず、国の教員勤務実態調査(2006年)でも「60分の授業に23分の授業準備」と3分の1しかありません。
兵庫県の少人数学級などは、加配教員の活用を中心にしていますが、教員の多忙化を解決し、少人数学級などの教育条件を向上させるには、加配の活用中心でなく、教員の抜本的な増員を国に強くもとめるべきと考えますが、いかがですか。
○高井教育長:
35人学級・少人数学級についてです。本県では、児童・生徒の成長段階や、教科の特性に応じまして、少人数学習集団の編制などを行うために、国の加配定数と、県単独定数を活用しまして、新学習システムを推進しています。具体的には小学校1年生から4年生では、基本的な学習習慣、生活習慣の定着をはかるために、35人学級編制を実施しています。一方小学校5年・6年では、基礎学力の向上、中学校への円滑な接続をはかるという観点から、
科目に応じて教科担任制と少人数学習集団を組み合わせた、兵庫型教科担任制を実施し、さらに中学校でも決め細やかな指導の推進の観点から、少人数学習集団の充実をはかっています。
そのような中、国による少人数学級の拡充については、ご指摘がありましたように、平成24年度に、小学校2年生の35人学級編制にむけた加配措置が行われて以降、教職員定数は改善されておりません。こうしたなか、文部科学省は、来年度以降にむけた取り組みといたしまして、平成36年度までの教職員定数改善計画案をもとに、アクティブラーニング等の充実にむけた教職員定数の戦略的な充実というものを打ち出しておりまして、具体的には、効果的な指導方法の研究等に対する加配の拡充を平成31年度まで行う、そして、32年度以降にその検証を踏まえて、加配ではなく基礎定数そのものを改善するという、
二段構えの概算要求を行っているところです。これについては相当きびしい折衝が見込まれますので、その行方を見守っていく必要があろうと思います。
35人学級編制のさらなる拡充につきましては、本来、義務教育の機会均等とその水準確保等の責務を有する国において、必要な措置を講じるべきものでありますことから、本県では、従来から毎年の国の予算編成に対する提案、全国都道府県教育委員会連合会を通じての要望をしてきましたところですが、さらに本年6月には、知事、県議会議長をはじめ、
県内地方六団体から、教職員配置の充実に関する緊急提案を行ったところです。引き続き教員の負担軽減をはかり、教育の質を高めるために、定数改善計画の策定を強く要望してまいります。
【日米共同指揮所演習 「ヤマサクラ」について】
次に、安保関連法案の成立に伴う2つの問題についてです。
安保関連法案の成立によって、日本が自衛だけでなく、海外で戦争するようになるという不安が広がっています。「危険な場所に行ってほしくないのが本音」など自衛隊員の家族の声も聞かれます。
特に、今年、11月下旬から12月中旬にかけて行われる「日米共同方面隊指揮所演習」、「ヤマサクラ」略称YSと呼ぶこの訓練が、安保法制の成立をうけて、より危険な方向へ拡大することが大変に懸念されています。
ヤマサクラは、日米共同訓練としては最大規模で、陸上自衛隊と米陸軍等が共同対処行動を実施する場合の指揮幕僚活動をコンピューター・シミュレーションで図上演練するものです。回を重ねるごとに規模が大きくなり、最近は6000人を超えるものとなっています。
今年8月、日本共産党が国会に提出した自衛隊統合幕僚監部の内部文書では、安保法が成立する前から、伊丹などの中部方面隊が派遣されるPKOで、駆けつけ警護などの、新法制にもとづく運用の実施が先取りして計画されていました。国会審議をないがしろにするものです。
さらに、内部文書では、平時から、自衛隊が米軍の指揮下にはいるかのような「軍軍間の調整所」の設置が書かれており、新ガイドラインにも書いていない日米間の協力をすすめようとしています。
また、陸上自衛隊特殊部隊員が米軍のヘリコプターに「対テロ訓練の研修」という名目で同乗、さらにアメリカ本国での上陸作戦訓練に参加しています。すでにアメリカの指揮の下に戦争の訓練をしているのです。
このようななかで、開催される最大規模の日米共同訓練がヤマサクラなのです。
住民にとって重大なことは、中部方面隊が発表したプレスに「本演習の場を活用し、関係機関の参加(一部はオブザーバー)を得て、国民保護訓練を実施予定」とあることです。
2012年10月31日、仙台での日米共同演習に際して行われた陸上自衛隊主催の国民保護訓練に東北6県の自治体職員が参加しました。室内で行われる図上訓練でしたが、国民保護法に係るものでとして、見学ではなく「プレーヤー」として自治体が初めて参加しました。また昨年12月の東部方面隊で行われた「YS67」に際しては、
11月26日に朝霞駐屯地において、関係機関として管内の地方自治体、民間からはバス、鉄道、トラック、佐川急便、ヤマト運輸などの参加を得て「国民保護に係る図上訓練」を実施しています。
毎日新聞によると東北での演習では、「高速道路は米軍が使用」「住民避難は国道4号と鉄道」とされたのに、同年12月の2回目の演習では「国道4号は自衛隊が優先使用。鉄道はミサイルの標的になる」として「予備的手段」とされ、自衛隊の避難警護も「戦闘対応に人員が割かれる」と難色を示したとあります。
結局、国民の目が行き届かないところで地方自治体が軍事演習に組み込まれ、災害から有事へ、住民避難の重い責任を負わされるのです。
そこでお尋ねいたします。伊丹でのヤマサクラは、「安保関連法」や日米新ガイドラインに沿った、自衛隊が米軍と一緒に海外で戦争する訓練になる危険性があります。
明白に憲法違反の訓練です。ましてや演習の場を活用して、地方自治体、民間を巻き込んで「国民保護に係る図上訓練」をするなど許されません。兵庫県として、参加しないことを求めます。知事の明瞭な答弁を求めます。
○井戸知事:
自衛隊の実施に伴います国民保護訓練についてのおたずねがありました。国民保護は国の法定受託事務であります。県の役割として、弾道ミサイル攻撃等の武力攻撃事態や、大規模テロ等の緊急対処事態が発生した場合、県は、国民保護計画に基づいて、県民の生命、身体及び財産を保護するため、関係機関と協力して、県民の避難や、被災県民への救援等の措置を的確に実施しなければなりません。このため、県は日頃から自衛隊等の関係機関と密接に連携する必要があります。県計画の策定・変更等について、諮問する県の国民保護協議会への委員への参画を求めておりますし、
県が実施する、国民保護訓練への参加なども求めています。今年度も、内閣官房と消防庁と共同して実施する、大規模テロを想定した図上訓練に参加をいただく予定としています。
ご指摘の国民保護訓練は、本年9月2日に、第一回が実施されました。この秋中には、第2回の実施が予定されています。これは、日米共同演習とは別の日時、想定で行われますので、米軍の参加はないと承知しています。
また、陸上自衛隊中部方面隊管内、これは2府19県ありますが、この多くの府県、市町、指定公共機関等が参加して住民の避難実施等について、関係機関の連携のあり方を検討する、また意見交換をすると聞いております。
県は、これまでどおり参加を予定しています。今後とも自衛隊をはじめ、関係機関と連携を深め、万一緊急事案が発生した場合の対応がきちんと行えるようそなえることが必要だと考えます。
なお、日米共同演習について、どのような形態でどうするかは、防衛に関する事項であります。国において適切な対応がなされるべきものと考えております。
【トライやる・ウィークの自衛隊参加】
もう一つの問題は、「トライやるウィーク」の自衛隊参加についてです。
自衛隊が「安保関連法」の強行成立により質的に変化したことは、先ほどの指揮所演習のところで申し上げた通りです。
以前から、防衛大学の卒業生の自衛隊入隊が少なくなっていると指摘されていますが、自衛隊が、入隊の勧誘をしにくくなっており、広報活動に力を入れているのは明らかです。
この「トライやるウィーク」の自衛隊体験が、自衛隊に親しみを持たせ入隊を促す、自衛隊の広報活動の一環となっているのではないでしょうか。
そもそも、「トライやるウィーク」は、1995年の阪神・淡路大震災、1997年の神戸連続児童殺傷事件を機に中学生様々な体験活動を通して、豊かな感性や創造性などを学習させようとする趣旨から、県内の中学2年生を対象として実施されている職場体験です。
初めて全県一斉で実施される時に私の次女がちょうど中学2年生に当たり、私もPTA役員として推進委員会に入っており、いろいろ議論したものです。
さて県教育委員会による今年度の「トライやる・ウィーク」の重点項目は、「原点をふまえた活動」を協商し、また、指導の手引では、生徒の安全確保について「危険を伴う活動における配慮」という一文があります。
「トライやる・ウィーク」の趣旨、また今年度の重点項目などから見て、自衛隊での体験活動は、相応しくないと考えます。
県としては、「トライやる・ウィーク」の行き先として自衛隊をリストに入れるべきではありません。また各市町にやめるように助言すべきと考えますが、ご答弁をお願いいたします。
○高井教育長:
次に、トライやるウィークの自衛隊での体験活動についてお答えします。
中学校では社会科の公民的分野で、自衛隊がわが国の防衛、国際社会の平和と安全の維持のために果たしてきた役割を学習しておりますのに加え、平成26年1月に改定されました学習指導要領解説では、
地理的な分野の中で、災害時における地域の人々やボランティアと連携をした自衛隊の救助活動などの対応等の学習をするように示されているところです。そうした理解のうえにたって、平成26年度でみま
すと、トライやるウィークで自衛隊で活動した生徒は、自衛隊駐屯地近隣の学校32校、228名でございます。活動内容につきましては、テントの設営体験、ロープの結索の訓練、地図の判読、人命救助の体
験、止血法や心肺蘇生法等の救急法、災害時に自衛隊が活動する状態を映したビデオの鑑賞などと聞いておりまして、また、安全の面でもご懸念が示されましたが、各学校でも現場を巡回して、安全面を含めた活動
の確認をしていただいています。体験をした生徒は、地味で目立たない仕事がたくさんあるけれども、目立たないところでがんばっている人たちに感謝をしたい、といった感想をもち、体験を通して社会にかかわること
の大切さ、感謝の気持ちなどを学んでいます。これらのことから自衛隊も有益な活動場所のひとつとして認識しておりまして、リストから削除する、あるいは、助言をするといったようなことは必要ないものと考えている
ところです。トライやるウィークの活動場所については、従来から各中学校区に設置をしています学校、保護者、地域団体の代表などで構成された校区推進委員会が、危険をともなう活動への配慮も含め活動内容を検討した上で
必要な場所を確保していただいているところですが、
今後とも、県民の参画と協働を基盤に、子どもたちが地域でよりよい体験ができますよう、市町推進協議会でも内容のご議論をいただきながら、トライやるウィークの充実に努めてまいります。
【再質問】
○庄本:
尼崎の地盤は6千4百年前の縄文時代の海進時の超軟弱地盤からなっています。南海トラフ地震は地震動が長いため、液状化の規模が大きく被害が桁違いに大きくなると予想する学者もいます。神埼川の堤防は、上下流で構造が大きく異なっていますから、本来なら色々な地点で解析をやっていただきたいし、
アクションプログラムの策定の背景として、東日本大震災の教訓をふまえ想定外は許されないという一文が入っています。命を守る行動の徹底ということが掲げられているので、ぜひその立場で対処していただきたい。
○県土整備部長:
調査地点についてお話があったが、大阪側は12箇所、兵庫県側が3箇所という違いをご指摘されていたと思います。が、地形の状況がかなり異なります。府県境にある川の大阪側をごらんいただきたいのですが、佃島と中島という島が二つございます。したがってその島をはさんで両サイドに川があります。ですから、川が1つであれば、兵庫県側が1箇所、大阪側が1箇所、調査します。でも川が島をはさんで二つございますので、兵庫県がわが1箇所に対して、大阪側が単純にいうと護岸が3つございます。ですから、1:3の割合で調査する形になります。また、国道43号のすぐ南側では、神埼川が大阪側に分岐していますので、非常に短い区間ですが、川が3本ございます。したがって、3倍以上の調査箇所が必要になります。したがって3箇所と12箇所、調査の密度は同程度だと考えております。また、兵庫県側で3箇所検討しておりますが、いずれの区間につきましても、
既存のボーリングデータの中で液状化層の一番厚いところ、かぎりなく厚いところを想定して危険度の高い箇所で調査を行っておりますので、その結果は安全であると考えております。
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