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本会議

第327回本会議一般質問 入江次郎
2015年6月23日

 通告に基づき以下6項目について質問します。

【知事として、安全保障関連法案に反対を】

 1項目目は、憲法違反である安全保障関連法案の廃止を国に求める事についてです。
 5月15日に安倍内閣が国会に提出した一連の安全保障法案によって、今、日本の憲法と平和が壊されようとしています。

 本法案には4つの問題点があります。
 一つは、多くの憲法学者が指摘しているように立憲主義に反するということです。
 戦後日本政府の憲法解釈は一貫して「日本に対する武力攻撃がないもとでの武力の行使は許されない」というものでした。
 しかし、本法案では日本に対する武力攻撃がなくとも、政府が言う「新3要件」を満たしていると時の政府が判断すれば武力の行使を認めるものとなっています。従来の政府見解を180度転換する乱暴な解釈改憲を一内閣の判断で行い立法作業を強行したことは立憲主義の破壊であり断じて許されるものではありません。

 二つ目に、本法案が憲法9条が禁止した武力の行使そのものであり到底認められるものではないということです。
 これまでの海外派兵法では、自衛隊を海外に派兵できる地域として、いわゆる「非戦闘地域」に限定していました。ところが、本法案ではこの歯止めを取り外し従来の「戦闘地域」にまで自衛隊を派兵し、しかもこれまで禁じられていた弾薬や武器の輸送等の後方支援を行う事になっています。
 後方支援、つまり兵站活動は国際法上軍事目標の対象とされており戦争行為とみなされています。首相は自衛隊が戦闘地域にまで行き、相手方から攻撃を受けた場合には「武器の使用を行う」事を認めています。
 首相は「武器の使用」と「武力の行使」を使い分けていますが、国際法上では「武力の行使」とは別の「武器の使用」という概念や定義そのものが存在しません。自衛隊がアメリカ軍への兵站活動中に相手方から攻撃され、それへの反撃が「武器の使用」で「武力の行使ではない」、このような論理は国際法上も憲法上でも通用するものではなく憲法9条に違反する武力の行使そのものです。

 三つ目に、本法案は、本年4月27日に合意した、日米の戦争マニュアルである「日米軍事協力の指針」いわゆる「新ガイドライン」と一体のものとなっています。重大なことは「新ガイドライン」では、日本が集団的自衛権の行使を発動した場合に、地方自治体や民間は、それぞれが保有する権限や能力を「適切に活用する」と明記されており、兵庫県も協力を求められる可能性があります。米軍機や艦船による空港や港湾の全面利用、武器や物資の積み降ろし場所の確保など、自治体・民間を巻き込むあらゆる戦争協力の項目が盛り込まれており、場合によっては相手方からの攻撃の対象になることも否定できず、兵庫県にも大きく関わってきます。
 世論調査では、共同通信の81%、読売新聞の80%が政府の説明は不十分と回答しています。自治体・民間を巻き込むおそれもあり、しかもこれだけの重大法案にも関わらず国民の多くが説明不足と回答している中での強行採決は認められません。

 4つ目に世界にも例を見ないアメリカ従属の日本政府が集団的自衛権を行使し、アメリカとともに海外での戦争に踏み出すことがいかに危険かということです。
 戦後、日本政府はアメリカによる国際法違反、国連憲章違反の無法な武力行使であっても反対の意を表明したことがありません。このような世界にも例を見ない究極のアメリカ従属の日本政府が同盟国つまりアメリカから要請を受け集団的自衛権を行使することがいかに危険であり、アメリカの無法な戦争に加担する可能性が極めて高く断じて認められるものではありません。
 本法案は一内閣の専断で、従来の憲法解釈を180度転換する立憲主義の破壊であり、憲法9条を幾重にも蹂躙し、しかも自治体・民間をも巻き込むおそれがあるにも関わらず国民・県民に対する説明は十分に尽くされていません。県民の命と暮らしを守る立場にある知事として、本法案の廃案を国に求めるべきだと考えますが知事のご答弁を求めます。

○井戸知事:
 日本共産党議員団の入江次郎議員のご質問にお答えいたします。
 まず、安全保障関連法案についてのおたずねについてです。
 安全保障関連法案は、わが国をとりまく安全保障環境がいっそう厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るためにあらゆる事態を想定して切れ目のない備えを行うための法制の整備を行うとして、この5月に閣議決定され、現在国会で審議中です。
 もともと安全保障政策は、防衛外交に関する事項であり、国際社会における国家の存立にかかわる事務として、国において対応がなされるべきものであります。今回の法案に対しては、憲法との関係も含めて国会をはじめ、識者、国民の間でさまざまな意見があることは承知しています。それだけに、国権の最高機関である国会において、国民の納得が得られるよう、十分かつ慎重な論議がなされるべきだと考えます。
 昨日、95日間という、通常国会の延長がなされましたが、これも、国民に十分理解がえられるように、国会において慎重審議を期そうとされたものだと考えております。それだけに、国会での審議を見守りたいと考えております。

【こども医療費も完全無料化を】

 2項目目は、子どもの健やかな育ちを支え、子育て世代を応援する、こども医療費無料化を求め質問します。

 子どもの医療費の窓口負担を無料にする助成制度が全国の自治体に広がっています。兵庫県でも、これまでわが会派は、何度もこの問題を議会で取り上げてきました。同時に署名運動など住民の世論が高まる中、兵庫県は通院にかかる医療費助成制度の対象年齢を2007年に小学3年まで2011年に小学6年まで、2013年には中学卒業まで拡充しました。

 そして、この県制度の前進を基礎に、各自治体が上乗せをし、今年度は県内自治体の四分の三にあたる30の自治体で中学卒業までの無料化が実施されることになりました。私の地元姫路市でも今年7月から始まります。

 県内の自治体が、ここまで医療費助成制度を進めているのですから、県はさらなる拡充で市町の取り組みを応援すべきではないでしょうか。

 これまで県は、乳幼児・こども医療費助成制度の対象年齢を引き上げてきたものの、「持続可能な制度にするため」「受益と負担のバランス」が必要だと、窓口自己負担の無料化を否定し、所得制限を強めて対象者を削減してきました。

 このため、無料化していない自治体が残されていることだけでなく、中学卒業まで医療費無料化を実施している自治体間でも、所得制限がある所とない所など自治体ごとにバラバラで、基礎となる県制度のさらなる拡充が求められています。

 子育て世代を応援する医療費助成は、少子化や地方の人口減少に歯止めをかける重要な制度であるだけでなく、「子どもの貧困」が広がるなか、いよいよ緊急課題になっています。

 私の地元姫路市では、小中学校で年1回実施される定期健康診断で「要受診」と診断された子どもたちの受診率が平成2年度と平成24年度を比較すると検診5項目すべてで低下しています。若い子育て世代で非正規雇用が広がる中経済的事情が未受診の一因になっている傾向も見られます。

 子育て応援施策の一環として、また親の経済的事情によって、同じ県内に居住しながら子どもたちに医療格差が生じるような事があってはなりません。子育て世代を応援し、こどもたちの健やかな育ちを支えるため、兵庫県の乳幼児・こども医療費助成制度の所得制限を撤廃し、窓口負自己担の無料化を求めますがご答弁をお願いします。

○大田健康福祉部長:
 子育て世代の経済的負担の軽減は、重要な課題でございます。本県では平成20年4月に中学三年生までを対象に、こども医療費助成事業を創設いたしました。たいへん厳しい財政状況のなかではありますが、選択と集中を行いながら、制度の充実に鋭意取り組み、平成25年7月から、通院の対象を中学三年生までに拡大いたしましたのはご案内の通りです。
 この結果、助成の対象年齢は、全国トップクラスの水準となっております。乳幼児・こども医療費助成事業は、子育て支援策として、若い世代が安心して子育てできる環境の整備に大きな役割を果たしていると考えております。
 自己負担は、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定したものにするためにも必要と考えております。低所得の方々には、負担軽減の配慮を行っています。
 また、この制度は支援を必要とする方に対して、医療保険制度の自己負担を軽減することを目的としております。所得制限は必要と考えております。なお、市町の独自措置は、それぞれの地域の実情に応じて、市町の判断により実施されるものと認識しております。

 福祉医療制度は、県民の安全安心の基盤の制度として大きな役割を果たしておりますため、今後も社会情勢の変化に的確に対応しながら、将来にわたり持続的で安定した制度として維持していくことといたしております。ご理解くださることをお願いします。

【高すぎる国民健康保険料の引き下げを】

 3項目目は、高すぎる国民健康保険料の引き下げを求めてお伺いします。

 国民健康保険料が高くて、払いたくても払えない世帯が県下で16.4%にまで及んでいます。私の地元姫路市では、資格証明書の発行、保険証の窓口留め置きなど保険証が手元にない世帯が約2900世帯にもなります。

 必要な医療にたどり着けず重度化し、亡くなる痛ましい事態なども全国各地で報告されています。また、行政による一方的な差し押さえなどで最低限度の生活さえ営めない深刻な事態も発生しています。「高すぎる国保料を引き下げてほしい」との県民の願いは、切実です。
 そのような中、「医療保険制度改革一括法」が本年5月27日成立しました。国民健康保険制度の財政運営を市町村から都道府県に2018年度に移すことを目玉にした大改変を行おうとしています。

 また、都道府県は医療費適正化計画の中で医療費削減の目標を持ち、毎年その進捗を検証することが求められます。地域医療構想とセットで、病床機能の再編・削減等を促進することとなり、必要な医療を公的保険で受けることが出来る国民皆保険制度縮小につながるものとなっています。

 今後、県は、国民健康保険制度の都道府県化によって医療給付費等の見込みを立て、市町ごとに「納付金」の額を決定し、市町は、県に「納付金」を納めることになります。しかし、今でも県内の保険料収納率は、約91%となっていますが、収納状況に関係なく100%納付が義務づけられることになります。さらに県は、市町決定の際の目安となる「標準保険料率」を示していくことになります。

 県は都道府県化にすることによって「国保料が地域ごとの医療水準に応じた低廉なものに」といいますが、今回の改定は、将来的な保険料負担の平準化をねらったものであり、いっそうの保険料引き上げや徴収強化につながりかねないものとなっています。

 一方で国は、全国知事会の緊急要請にある「極めて重い保険料負担率を可能な限り引き下げる」という要請や、国民の声におされ、今年度から都道府県化を前提としながら低所得者対策として1700億円、2018年度以降はさらに1700億円の国費を投入するとしています。
 国は今年度の財政投入で被保険者1人あたり5000円、2018年度以降は1万円の保険料引き下げ効果があるとしています。
 しかし、私たち日本共産党県議団の調査によりますと、県内の主要自治体では今回の新たな国費・県費の投入によってこれまで行っていた一般会計からの繰り入れ額を減少しています。その結果、国保料の引き下げは限定的なものに留まっています。
 県民の暮らしと健康を守る国保制度再建のため、さらなる国庫負担の抜本的増額を国に求め、県としても高すぎる保険料引き下げのための補助金制度を創設することを求めますがご答弁をお願いします。

○井戸知事:
 国民健康保険制度についてのお尋ねもありました。国民健康保険制度は低所得者や高齢者が多く、一人当たり医療費も高いという課題があります。単に保険者を都道府県に移行するだけでは問題は解決されない、このことを強く主張してきました。県としましては従来から、分立している医療保険制度を一本化し、制度設計と財源の責任・権限を有する国が保険者として運営することを主張してきました。このたび国において、国保の財政基盤の強化と、県を保険者とすることを主な内容とする国保法の改正法が成立しました。この法律では、まず、医療保険制度の一本化への道筋や、具体的な財政支援策、制度運用の詳細が示されていません。また、都道府県には医療費適正化や医療提供体制の整備に対する権限と手段が与えられていません。そのために県としましては、一本化への道筋を明らかにすること、将来にわたる医療費の増嵩に対応するため国の責任においてさらなる財源を確保すること、地域ごとの医療水準に応じた保険料設定のルールをつくること、基準病床数の総量規制の弾力化や、保険医療機関の指定権限等の移譲等を提案しています。
 これらの提案が実現できますと、国民皆保険制度の堅持がはかられ、地域ごとの医療水準に応じた保険料になるものと期待しております。
 今回の1800億円の保険者支援制度の拡充は、現状の国保料徴収を前提にしても、市町から相当の一般会計繰り入れが行われている現状から、保険者の財政基盤強化を目的として、支出されたものであると承知しています。なお、県では、すでに国から税源移譲された住民税所得割を財源とした保険基盤安定負担金約190億円を支出していますが、このほか、22の府県が行っていないにもかかわらず、県単独事業である国民健康保険事業費補助制度約6億円の支出を行っています。このように、市町の国保事業の支援も行っています。
 県としては、平成30年度の県営化を円滑に進めるための国保制度の改革について、さらに国に対して要請してまいります。

【建設業者の実態把握、公契約条例の制定を】

 4項目目は公契約条例の制定を求めてお伺いします。
 今回は公共工事の下で働く建設労働者についてお伺いします。
 国交省が平成25年3月29日に建設業団体の長に宛てた通知「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」によると建設業界の深刻な状況が報告されています。
 一部を読み上げます。「ダンピング受注が激化し、そのしわ寄せが労働者の賃金低下をもたらし、若年入職者が減少している。このままでは、熟練工から若手への技能継承がされないまま技能労働者が減少し、将来の建設業界の存続が危惧されるに至っている。・・・ここで適切な対応を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラの維持・更新にも支障を及ぼす恐れがある。若年者が建設業への入職を避ける一番の理由は全産業の平均を約26%も下回る給与水準の低さであり・・」とあります。
 兵庫県県土整備部が平成25年度に発注した低入札価格調査対象工事は13件あり約150億円の予算が執行されています。その内の9件、約117億円の工事で「工事が契約通り履行されないおそれがある」として調査対象工事となっており、兵庫県発注工事でも低入札価格競争による、労働条件へのしわ寄せが懸念されます。

 一方で、公共工事の積算時に用いる公共工事設計労務単価の全国平均額は、平成24年度の13,072円を底に平成27年度までの3年間に16,678円へと約29%も上昇しています。近年にない上昇率です。
 設計労務単価については、労働市場の実勢価格を適切、迅速に反映されたものであるとされています。しかし、実際に公共工事で働く建設労働者の実質賃金は低入札価格競争のしわ寄せによって設計労務単価には遠く及ばない低賃金となっています。

 私達、日本共産党議員団は平成27年度の中播磨県民センター管内で県発注の公共工事で働く建設労働者に直接聞き取りを行い建設労働者が実際に受け取っている賃金の実態調査を行いました。
 例えば、普通作業員、設計労務単価16,600円に対し、勤続18年で実際に受け取っている日当は11,000円。とび工、設計労務単価21,100円に対して勤続10年で15,000円。警備員に至っては設計労務単価9,200円に対して6,300円。警備員の方は最低賃金が上がったら日当がようやくあがると言っておられました。

 平成26年度に、姫路市も公共工事現場で働く建設労働者の賃金実態調査を行っていますが、設計労務単価引き上げによる、賃金の引き上げは確認できなかったという事でした。
 設計労務単価の算出は「元請・下請けを含め労働市場の実勢価格を適切、迅速に反映されたものである」とされていますが、私たちの調査、姫路市の調査によっても、概ね設計労務単価の6割〜7割程度しか支払われていません。

 そこでお伺いします。
 公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針では、都道府県知事宛に「低入札価格競争による下請け業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化等の防止の観点から建設業許可行政庁が行う下請け企業も含めた建設業者への立入調査との連携を図るものとする」とあります。まずは、県自らが建設労働者の賃金等の実態把握を行う事を求めます。
 下請け業者へのしわ寄せ、労働条件悪化等の防止、公共工事の目的でもある地域建設業界の健全な発展を促進するため、公契約条例を制定する自治体が広がっています。兵庫県においても公契約条例の制定を求めますがご答弁をお願いします。

○石井産業労働部長:
 公契約条例についてご答弁いたします。
 将来にわたる建設労働者の確保育成のためには、適切な賃金水準の確保が重要であります。このため、設計労務単価につきましては、国とともに、普通作業員など51職種の賃金の支払実態を毎年10月に調査し、その結果をもとに設定しているところです。
 この単価には毎月の賃金には実感しにくい社会保険料、税、賞与等の臨時給与を含んでいます。建設労働者の賃金の実態については、従業員5人以上の事業所から抽出して行う毎月勤労統計調査を利用して、賃金動向の把握に努めています。なお、建設業許可行政庁が行う下請け企業を含めた建設業者への立ち入り調査は、元請企業が下請企業に具体的な見積もり条件を提示しないで下請金額を決定するなど、建設業法に違反する恐れのある場合に適正な見積書に基づき下請契約を締結するよう指導するなど、法令遵守を目的に行っているものです。
 賃金等の労働条件につきましては、最低賃金法など労働関係法令の遵守を前提として労使が自主的に決定することが原則です。
 また、公契約条例につきましては、県発注の契約のみが対象で効果が限定的であることや、賃金報告を下請業者も含め受注者側に求めるため、事務負担の増加などの課題がございます。
 県内では、三木市、加西市、全国では17市区で制定していることは承知していますが、都道府県では奈良県が最低賃金を遵守させる内容で制定しており、その後、他府県への広がりは見られないところです。これらの点をふまえ、兵庫労働局と連携して、労働関係法令の遵守について徹底をはかりますとともに、公契約条例につきましては引き続き国の動向を注視しつつ条例制定自治体の運用状況など情報収集に努めてまいりたいと思います。

【石油コンビナート地域の液状化対策について】

 5項目目は石油コンビナート地域の液状化対策についてお伺いします。
 兵庫県は6月1日「津波防災インフラ整備」を策定し、平成35年度までの概ね10年間で約620億円の概算事業費を見込んでいます。
 津波浸水想定区域の縮減効果として津波対策前の4,555haから対策後は1,175haへと浸水面積が74%縮減されるとしています。

 一方で、兵庫県石油コンビナート地域の対策はまだまだ不十分だと言わざるを得ません。
 東日本大震災では地震の揺れや津波により被害を受けた危険物施設数は岩手県、宮城県及び福島県を含む16都府県の対象地域で3341施設あった事が明らかになっています。
 ご存じの通り兵庫県内には38の危険物等の特定事業所があり、全国有数の危険物集積地域になっており、とりわけ私の住む姫路市は石油及び高圧ガス等を大量に扱う特定事業所が15事業所もあります。その上に、姫路市石油コンビナート地域は液状化の危険度が極めて高いPL値15以上の軟弱な地盤となっています。
 兵庫県石油コンビナート等防災計画では、南海トラフ地震の特性について「長周期地震動による揺れや液状化によって危険物施設等・・の基礎に不等沈下が生じ危険物等の流出を招く恐れがある」「流出した危険物等に引火し、火災又は爆発が発生する恐れがある」としています。
 東日本大震災後に出された平成24年1月31日付危険物保安室長通知では、地震や液状化により建築物や配管に破損が発生していることを踏まえ、「危険物施設ごとに配管や建築物等の耐震性能、技術基準の適合状況及び液状化の可能性等を確認し、結果に応じて必要な措置を講ずる事」とありますが、危険物施設における液状化の可能性と適合状況及び液状化の可能性のある事業所で講じられた措置についてお答え下さい。

○杉本防災監:
 石油コンビナート地域の液状化対策についてお答え申し上げます。
 本県の石油コンビナート地域は、瀬戸内臨海部の埋立地に立地をしておりまして、地震発生時の液状化が懸念されております。平成26年6月に本県が公表いたしましたマグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震の想定でも、そのほとんどについて、危険度が高いとされております。本県では、この被害想定の実施に先立ちまして、ご指摘の平成24年の国の通知に基づきまして、関係市町の消防本部を通じ、前38の事業所に対しまして、液状化による影響の確認と、課題がある場合の対応を求めているところです。
 平成25年4月の時点では、21の事業所は、液状化の想定を行うとしております。そのほかは検討中との回答をいただいております。その後、本県が先ほど申し上げました被害想定を公表いたしましたので、あらためて再度、事業所の液状化への対応状況を調査いたしました。全事業所において影響についての確認作業を行っているということを、当方として確認しております。このうち、14の事業所では、ボーリング調査等の結果に基づきまして、対策は不要としております。2つの事業所は施設の基礎の改良等を実施中でございます。13の事業所、これは改修の必要があるという判断ですが、現在未着手でございます。残る9の事業所は、確認結果をなお評価しているという状況でございます。
 なお、危険物施設のうち、対策が法によって義務化されている1千キロリットル以上の特定タンクにつきましては、全事業所で改修を完了しておりますし、500キロリットル以上の準特定タンクにつきましても、157基中107基が改修を完了し、残りも期限とされている平成29年3月までに改修を完了するということでございます。県としては今後とも、関係消防本部と連携して、定期的な報告聴取、立入検査等を行いまして、必要な液状化対策が実施されるよう、指導してまいります。

【産業廃棄物行政について】

 6項目目に産業廃棄物行政についてお伺いします。
 ご存じの通り、中播磨から西播磨にかけて姫路市で1箇所、赤穂市で3箇所の産業廃棄物最終処分場建設計画が進められています。播磨地域で計画されている最終処分場の処理能力は安定型処分場が2箇所で約550万m3、管理型処分場が2箇所で約500万m3となっており、4箇所合計で約1000万m3の処理能力にもなります。現在、兵庫県内では13施設の最終処分場が稼働していますが、13施設の合計処理能力は約550万m3です。
 つまり、現在全県で稼働している約2倍の処理能力にあたる最終処分場建設計画が播磨地域で集中して進められています。
 それぞれの建設予定地は、断層破砕帯の真上であったり、漁場、あるいは生活用水を取水する浄水場の周辺であったり、天然記念物のオオサンショウウオが生息する自然豊かな地域もあります。現地調査を行った大学教授や専門家などからは「最終処分場としては不適格な場所であることは明確である」と、指摘されている処分場計画地も複数あります。
 また、計画を進めている事業者の中には産廃処理業を行う上での適正に欠けている事業者もあり、それぞれ地元では「不適格な計画地で、不適格な事業者による産廃最終処分場建設計画を認めるな」と大きな反対運動が起こっています。
 さらにそれだけではなく、産廃行政に対する根深い不信も住民の中には広がっています。
 過去、多くの自治体では、重大且つ明白な違法行為を把握した場合であっても、原状回復措置を講じた事を理由に行政処分を怠り事実上違法行為を追認し、悪質な事業者の営業を認める事例が数多くありました。その結果、違法行為がさらに拡大したり、同一事業者が再び違法行為を引き起こしたりするなどし、住民からの産廃行政と産廃事業者への不信は増大しています。

 兵庫県の産廃行政も例外ではありません。一つ例を挙げます。
 平成20年2月19日に兵庫県環境整備課に8000m3もの産業廃棄物を加西市の造成地に不法投棄したとする情報が寄せられています。10トンダンプに換算すればおよそ1300台分に相当します。兵庫県は事実確認後、不法投棄を行った産廃事業者・成臨興業に対して始末書及び改善計画書を提出させていますが、法的根拠のある行政処分は一切行っていません。
 その後、成臨興業は引き続き営業を認められ、再び姫路市内で大規模な不法投棄を引き起こし、その上に新たな産廃処分場建設計画まで進めていました。その結果、住民からの産廃行政に対する信頼は失墜しています。
 環境省通達・行政処分の指針では「重大且つ明白な違法行為に対しては・・躊躇することなく取り消し処分で対応すること」とありますが、加西市造成地での大規模不法投棄に対する県の対応は適切なものであったのか、また重大且つ明白な違法行為に対しては厳格な対応が求められますが指針に基づく県の決意をお聞かせ下さい。

○梅谷環境部長:
 産業廃棄物行政についてお答えいたします。
 不法投棄を未然に防止し、不適正処理に的確に対応するため、環境整備課内に県警の出向者による監視班を設置し、各県民局にも県警OBの不適正処理監視員を配置するなど、監視体制を強化した結果、近年、不法投棄は減少傾向にあります。平成20年に判明した葛西市の事案につきましては、行為者および搬入事業者が自ら県に違反行為を申し出て、速やかに原状回復に着手しており、生活環境保全上の支障を招く恐れもありませんでした。その後立ち入り検査を適宜実施し、廃棄物の撤去状況を確認しておりまして、平成25年7月11日に廃棄物の撤去が完了いたしました。環境省の行政処分の指針をふまえまして、不法投棄や違法行為を繰り返すなど、悪質な事業者に対しては、厳格な処分を行っております。平成25年度は、生コンクリート汚泥を敷地内に大量に不適正保管していた事業者に対して、改善命令を発し、その命令の不履行による告発を行いました。同様に、26年度も告発1件、27年度も改善命令1件を行っております。今後とも、廃棄物の適正処理の確保に向けて、市町、県警などの関係機関と連携し、行政処分を含めて積極的かつ厳正に対処してまいります。

【再質問】

○入江議員:
 安保関連法案についてうかがいます。国会内外の動きを知事も良くご存知だと思われます。国会の中では、憲法の学者が3人も与党推薦の学者までもが憲法違反にあたるとし、昨日は、元内閣法制局長が立憲主義にもとる、黒を白という類とのべたと報道されています。国会の中でもそういう動きがある。国会の外でも、この日曜日には神戸市の東遊園地で9千人の県民が集まって、憲法違反の法案を廃止にせよと。この数年間でおそらく9千人も集まった政治的な集会は記憶にないと思われます。地方議会からも、全国14%にあたる246の議会から、昨年7月の集団的自衛権の閣議決定も含め、今回の安全保障法案に対して、慎重審議、あるいは廃案にせよという意見書があがっています。国民の7割8割がまだ説明不足だという認識を示しています。国民といえば県民であり市民であり、それだけ説明が不十分だといわれている中で、地方の声を直接届ける立場にある知事から、安保関連法案の廃案を求める声をぜひ国に上げていただくよう、再度答弁を求めます。
 産廃のことについてお聞きします。先ほど環境部長から答弁があったが、行政処分の指針は、不法投棄があった場合に原状回復措置を講じたことによって行政処分をださず、行政指導だけにとどまっている、そのことをあらためなさいというそういう指針になっています。これまで住民が産廃行政や産廃事業者に不信をつのらせているのは、そういう大規模な不法投棄があっても、原状回復措置を講じたことによって処分を出さない、それがまた不法投棄を拡大してきた、そのことを改めなさいという指針なんです。
 ですから、加西市では原状回復措置を講じたことによって処分を出さなかったといわれていますが、今後もそういうことであってはいけない。重大かつ大規模な違法行為に対しては、即取り消し処分をしなさいと、これが指針なんです。だから、いまの答弁ですと、原状回復措置を講じれば処分は必要ないという認識は大間違いだと指針にてらして思います。重大かつ大規模な違法行為に対しては躊躇なく取り消し処分で対応する、そのことが産廃行政の信頼をかちえる対応の仕方だと思います。加西市の不法投棄の問題では、不法投棄を行った事業者自身が、重大な違法行為だと言っています。行政も許しがたい行為だと改善指導書も出している。事業者自身が認めているわけですから、そういう対応が必要だったと思いますし、今後も原状回復措置を講じたことで処分を出さないという対応は改めていただきたい。ご答弁をお願いします。

○井戸知事:
 入江議員がおっしゃったように、安全保障法制については、いろんな形でいろんな各界でも議論がされている。意見がいろいろ多方面からあるということは承知しています。宮崎前法制局長は私の同級生で人柄も良く知っております。
 ただ、法律的な議論が一方で行われていることとあわせて、国会においては、その多方面の議論を踏まえた上で、論戦論議がおこなわれているわけでありますので、先ほども答弁しましたように、95日間という長期の通常国会の延長が行われたということも国民に十分な理解を求めるだけの時間的余裕を国会として持ちたいというために延長されたと考えられますので、十分に今後とも国会の中で論戦を積み重ねていただき、国民理解を深める、このことが基本的な今における状況ではないかと考えております。
 現実に一知事が個人的な意見をいう場面ではなく、国会に既に論戦がうつり、法案審議が行われている状況ですので、これを十分に見守るべきだと考えています。

○梅谷環境部長:
 行政処分の環境省の指針によりましては、行政指導についても迅速かつ柔軟な対応が可能ということで必ずしも行政指導がだめだといっているわけではありません。ただ、違反行為が継続しているとか、生活環境保全上の支障が拡大されるおそれがあるなどの場合は当然行政処分をおこなうということが必要ですので厳格に対応してまいります。

【再々質問】

○入江議員:
 重大かつ明白な違法行為には機敏に処分で対応するように、これが行政処分の肝の部分になっています。加西市の不法投棄というのは8千立米、ダンプで1300台分ですよ。この違法行為に対して、行政指導ですませるというのは、明らかに、環境影響上問題がないから処分をしないというのは違法行為を追認しているんです。だからこの指針では「重大かつ明白な違法行為」には即取消し処分で対応して、住民からの信頼を取り戻すというのが処分の一番の目的になっている。それを環境に影響が出ていないために撤去したから処分を出さないというのは、指針に照らして読み取れていないと思わざるをえません。「重大かつ明白な違法行為」に対しては、躊躇なく取り消し処分をすると、今後の対応について、もう一度答弁してください。

○梅谷環境部長:
 不法投棄の事案については事例に応じて一番効果的な方法で対処いたしております。重大かつ明白な違反につきましては厳正に対処してまいります。

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