【破たんした「大企業呼び込み」型の補助金】
私は、日本共産党県会議員団を代表し、ただいま上程中の議案のうち、議案第143号「平成26年度兵庫県一般会計補正予算(第4号)」に反対の立場から討論いたします。
今回の補正予算案は、国の、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を受けたものですが、国の対策は、地方経済の再生と住民の暮らしの向上につながるものになっていません。
兵庫県の、昨年7-9月期の実質県内総生産は、前年同月比で3.1%減、名目県内総生産も 1.8%減となり、実質県民雇用者報酬は2.8%減となりました。
「アベノミクス」が波及していないのではなく、消費税増税でくらしと中小企業の営業をこわしておきながら、大企業の収益が上がれば働く人の賃金があがるかのように描いてきたアベノミクスそのものが破たんしていることはもはや明らかです。
働く人の賃金が下がり、家計が消費税増税による負担増を押し付けられたまま、いくら消費喚起策として商店街向けの商品券を配っても、消費が伸びるはずがなく、たとえ効果があっても一時的なものにすぎません。
また、いくら「地方創生」の対策を掲げても、安定した雇用や農林水産業をはじめ地域の産業が破壊されたままでは、地方の再生もできません。
今必要なのは、労働者の雇用を守り、中小企業への手当てを強めながら、最低賃金を大幅に引き上げ、年金削減をやめ、国民の所得を上げることです。大企業や大資産家にもうけに応じた負担を求め、国民の懐を温める経済政策へ転換することが必要です。
県としても、アベノミクスや「地方創生」に追随するのでなく、県民のくらしと兵庫県経済を守る立場から、経済政策の転換を国に求めていくべきです。
今回の補正予算案に対する具体的反対理由をのべます。
第一に、これまでも失敗してきた産業立地、「大企業呼び込み型」の事業が含まれていることです。
外からの大企業「呼び込み」にたよる地域振興策の破たんは、県が90億円の税金をつぎ込みながら、わずか数年で撤退したパナソニック尼崎の例で浮き彫りになりました。各地で、税金による補助金支出や減税、インフラ整備を自治体が行い誘致した大企業が、雇用にも地域経済にも責任をとらず撤退する事態が相次いでいます。
企業誘致そのものは否定しませんが、税金を使った支援は、「呼び込み型」に偏るのではなく、地域に根づき地域経済を支えている、今ある中小企業の育成や雇用補助などに切り替えていくべきです。
今回の「促進地域への事業活動立地支援事業」1億3千万円は、「促進地域」すなわち企業立地の少ない郡部での立地に限られ、補助対象となる企業の設備投資額もそれ以外の地域の「10億円以上」から「1億円以上」に引き下げられていますが、この間の実績を見ると、結局制度を使っているのは大手企業が中心で、中小企業には使いにくい制度になっています。
また、雇用補助は正規雇用に対してだけでなく、期限付きの「非正規雇用」に対しても一人当たり30万円が支給されることになっています。不安定な雇用を増やすことにつながりかねず賛成できません。
【不要不急の道路や農地の集積・大規模化に反対】
第二に、不要不急の事業や県民合意のない事業が含まれていることです。
これまでも繰り返し指摘してきましたが、国道178号浜坂道路や、基幹農道蔦沢菅野線の整備、債務負担行為による県道川西インター線の推進は、過大で必要性に疑問のある事業であり、反対です。
「農地中間管理機構」によって農地の集積・大規模化をすすめるための「農業構造改革支援基金」の積み増し4億7千3百万円も含まれています。政府がTPP参加を見据えて「日本再興戦略」に位置づけたもので、優良農地への本格的な企業参入をすすめることにより農村や中山間地の荒廃を助長しかねず、農地の集積に際し、農業委員会を事実上排除することになるなど問題の多い事業です。
また、「社会保障・税番号制度」いわゆるマイナンバー制度実施に向けたシステム改修の費用1億7950万円が含まれています。
マイナンバー制度は、国民一人一人に原則不変の個人番号をつけ、個人情報を容易に照合できる仕組みをつくるものです。個人のプライバシーが簡単に集積され、プライバシーの侵害や成りすましなどの犯罪が常態化するおそれがあります。
莫大な費用がかかるにもかかわらず、具体的なメリットも費用対効果も示されていない一方、徴税強化や社会保障給付の削減の手段とされる危険もあります。
憲法が保障する基本的人権の侵害につながる危険をもつ制度の導入には反対です。
以上のことから、議案第143号「平成26年度兵庫県一般会計補正予算(第4号)」に反対です。 |