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本会議

第326回本会議質疑 きだ結
2015年2月16日

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、平成26年度兵庫県一般会計補正予算の質疑を行います。
 今回の補正予算は、国の「地方への好循環拡大にむけた緊急経済対策」によるものですが、そもそも、地方経済を疲弊させている一番の原因は、アベノミクスと消費税増税です。異次元の金融緩和と円安によって、一部の資産家や大企業は潤いましたが、中小企業は原材料の高騰で苦しみ、実質賃金は18カ月連続で下がるなど賃上げにも結び付かず、アベノミクスによる景気回復の実感がない人が多数を占めています。
 その上、「規制改革」と称して、不安定雇用を増やす「一生派遣」の労働者派遣法の改悪や残業代ゼロ法案をすすめ、社会保障は切り下げる一方、法人税の実効税率を下げるなど、さらに大企業を応援する政治をすすめようとしています。
 このようなやり方では、景気回復どころか、ますます県民のくらしと地方を疲弊させることは明らかです。いま求められているのは、働く人の賃上げ、地域に根付いた中小企業や農林水産業への支援、社会保障を充実して格差と貧困を是正する対策です。そうした観点から以下2点質問いたします。

【子育て支援・介護の充実を】

 まず、子育て支援や介護の充実についてです。
 1月27日発表の内閣府の「地域の経済2014」では、地方の市町村の人口変動を分析し、(人口が)増加した市町の特徴について「雇用者に占める正規雇用の割合が高く・・・雇用が安定的に確保されている」ことや、「定住を目的とした補助、子どもの医療費助成、保育体制の拡充等の子育て支援策の充実」により、「若い世代の住民の暮らしやすさが向上している」と指摘されています。
 兵庫県内では、相生市が、「子育て応援都市宣言」を行い、こどもの医療費はもちろん、保育料や給食なども無料で、家賃補助や定住促進などの支援を充実させ、近隣市町のなかで唯一転入者が転出者を上回る状況をつくりだし、小学校の児童生徒数も(昨年比13人)増やしています。
 全国では、京都府が、府下すべての自治体の保育料を、(所得制限つきで)第三子以降無料にする方針を打ち出し、福井県では、第三子だけでなく、第二子への支援を手厚くする議論も行われ、国の交付金の使途についても、より効果をあげるために、県・市町の連携会議を開いて、保育料の無料化拡充などを共同ですすめようとしています。
 今回の補正案では、「多子型の出産・子育て支援」を強調していますが、まだまだ不十分です。こどもの医療費の無料化や、保育料の無料化、すくなくとも全県で第三子の保育料を無料にするぐらいの対策が求められています。
 また、介護では、国の改悪により、「要支援」の高齢者の介護サービスの一部を市町事業に移す方向で、必要な介護が受けられない人が増えることが懸念されています。
 参議院の委員会で、わが党議員が「補正予算の地域住民生活等緊急支援のための交付金を介護拡充、介護用品の購入、入浴回数の増加、ホームヘルプの時間延長、病院や施設の付き添い・送迎などの追加サービスを購入することに使えるように」と質問しました。それに対し、政府は、交付金を「介護関連用品の購入、低所得者に対しては介護サービスの購入支援に活用することは可能」と答弁しています。
 そこで、交付金等の活用で、少なくとも第3子の全県的な保育料無料化など、子育て支援策の強化、介護については、介護サービスの購入支援等の拡充を行うことを求めます。ご答弁ください。

○井戸知事:子育て支援・介護の充実についてです。
 今回の国の経済対策で創設された、地域消費喚起・生活支援型の緊急支援交付金を活用して、多子世帯対策として、すべての乳児に保健師等が面会して、兵庫県版ベビー用カタログギフトを配布する乳児子育て支援事業等を実施して、子育て世帯の安心の確保と経済的負担の軽減をはかることにしています。
 また、地方創生先行型の消費対策として、相対的に所得が低い若い世帯から早期に不妊治療を開始して妊娠成功率を高めるため、特定不妊治療費助成事業に追加の助成を行う新たな県単独制度を創設しました。
 少子化を食い止めるためには、子育て世帯の経済的負担の軽減をはかっていくほか、若者の経済的自立の促進や、質の高い幼児期の学校教育・保育の提供、子育てと両立できる働き方の実現など、幅広い対策が必要です。保育料の軽減については、平成20年度から県単独制度である多子世帯保育料軽減事業として、第3子以降のこどもの保育料負担を年齢に応じて5千5百円と4千円を軽減しています。この事業は27年度から補助対象を小規模保育などの地域型保育事業にも拡充していきます。ご指摘の第3子の全県的な保育料無料化については、財政的な制約もあり、県としては直ちに困難でありますので地域の実情をふまえ県の制度を前提として各市町においての検討を期待したいと思います。
 なお、介護サービスの購入支援については、低所得者対策として社会福祉法人が行う利用者負担軽減に助成を行っています。また、介護サービス利用者負担額の所得に応じた上限額を設定しています。
 低所得の施設利用者の居住費や食費への負担上減額設定も行われています。
 さらに市町が実施する地域支援事業において排泄用品の購入補助など低所得者への追加の事業の実施が可能となっています。介護保険事業については、県と市町との役割分担をそれぞれ踏まえ適切に果たし、臨時的な対応ではなく、継続可能な措置として対応すべきものではないかと考えます。

【地域振興、農林水産業、新規就農支援の強化について】

 次に、地方・地域の振興のための対策についてです。
 安倍政権は「地方創生」として人口減少の克服や東京一極集中の是正を強調しますが、身分も収入も不安定な非正規雇用を増やし、結婚して子育てをすることができない社会をつくってきたのも、地方の農林水産業を輸入自由化で壊し、大店法を廃止し、商店街をシャッター通りにしてきたのも、産業の空洞化や平成の大合併をすすめてきたのも、自民党の政治でした。
 このことへの反省を抜きにして、「地方の再生」はありえません。
 しかし、国は、農業や地域経済に壊滅的な影響をあたえるTPPや、大企業の農業進出をすすめる国家戦略特区を推進しています。補正予算案でも、「競争力強化」のための大規模化、集約化への支援が中心です。
 これまでの自民党政治の反省の上にたって、農林水産業の振興を、大規模農家への集約化一辺倒でなく、小規模・家族でおこなう農業、新規就農者への支援を、金額上乗せや条件を柔軟にするなど、抜本的な支援の拡充を強く求めます。知事の明確な答弁を求めて質問を終わります。

○藤原農政環境部長:本県農業は、小規模・兼業農家が約8割、65歳以上の高齢農業者が約7割を占める中、持続的発展のためには、小規模農家が参加できる集落営農組織の育成や、将来の担い手となる新規就農者の確保・育成が重要でございます。
 これまで県では、集落リーダーの育成や、共同利用機械の購入支援を通じまして集落営農の組織化支援を行い、平成25年度末時点で1400集落が組織化されるとともに、決め細やかな相談支援体制のもと、新規就農者の育成強化をはかり、平成25年度で291人と、年間育成目標の300人をほぼ達成しているところです。
 このたびの経済対策においては、都市近郊に隣接し、大きな消費地をかかえる本県農業の強みを生かして、収納希望の多い施設園芸につきまして就農時の初期投資や施設保有リスクを軽減して就農を促進し、さらに早期の経営安定をはかるために、市町やJA等が施設などを整備して新規就農者等にリースする農業版設備貸与制度の創設を提案させていただいたところです。
 今後とも、関係者が一体となりまして、新規就農者の数の確保と定着を図りまして、認定農業者・集落営農などの兵庫県農業の担い手を育成し、力強い本県農業を確立してまいりたいと思います。

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