私は、日本共産党を代表し、請願第127号ないし第130号、第132号ないし第137号は不採択でなく採択を、請願第126号は継続でなく採択を求め、以下討論を行います。
第127号「消費税率10%への増税中止を求める意見書提出の件」です。
内閣府が8日発表した2014年7〜9月期のGDP改定値では、年率換算で1・9%減、実質成長率のマイナスが消費税が増税された4〜6月期から2四半期連続となりました。
消費税8%への引き上げによって、日本経済は「増税不況」ともいうべき状態に陥っています。請願が指摘しているとおり、中小企業の大部分が、消費税を価格に転嫁できず、売り上げ減少と円安による原材料高等で苦境に追い込まれています。
安倍首相は、消費税10%への引き上げを先送りしましたが、1年半後には「景気に関係なく増税をする」とのべています。
そんなことをすれば「増税不況」が再び起こり、日本経済が深刻な危機に陥り、ひいては国・自治体の財政再建も行えなくなるのは明らかです。
よって、消費税10%への増税を中止することを求める請願第127号は不採択でなく採択を求めます。
第128号「中学校3年生まで子供の医療費無料化を実施することを求める件」です。
請願にあるように、子育て世代が、非正規雇用の広がりによる低収入と、消費増税・社会保障の負担増など、何重もの経済的負担に苦しむ中、せめて医療費だけでも無料にとの願いは切実です。
県内では、中学校卒業まで無料化を実施する自治体が24市町になったものの、自治体により制度が異なり、医療費負担に格差が生じています。
格差なくどこに住んでも安心して子どもが医療にかかれるよう、県の制度として中学校卒業まで医療費無料化を実施することが必要です。
よって、請願第128号は不採択でなく採択を求めます。
請願第129号「子ども・子育て支援新制度実施に当たって、全ての子供の権利が保障される、保育制度・子育て支援策の実現を求める件」です。
来年4月実施される子ども・子育て支援新制度は、保育所・幼稚園の制度を戦後初めて根底から変えるものであるにもかかわらず、1年ほどの準備期間しかなく、実施を前に大混乱が続いています。
新制度のもとで、保育所、幼稚園、4類型の認定こども園に加え、小規模保育、家庭的保育など地域型保育、新制度の枠に入らない幼稚園や、無認可保育所など、多様な施設に多様な基準が並存することになります。
受けられる保育に格差が生じるのではないかという懸念は当然です。
子どもの健やかな成長のためには、どこのどんな施設であっても、受けられる保育に格差が生じるようなことがあってはなりません。
県として子ども達や市町間で格差が生じないような施策を求めている本請願の採択を求めます。
第132号「小規模企業振興基本法に基づき、全ての中小業者が活用できる制度の創設を求める件」です。
この請願は、6月に国会で成立した小規模企業振興基本法により政府がつくった基本計画に定められた「地方公共団体の責務」を県として果たすための施策の具体化を求めたものです。
兵庫県では、20人以下、サービス業で50人以下の小規模企業は、企業数で86.5%、雇用で50%をしめ、県経済で大きな役割を担っています。
この役割を正当に評価し、事業が継承・発展できるよう、担っている役割にふさわしく県が支援策を充実することは法の趣旨からいって当然必要なことです。
景気が回復せず、円安による原材料高などで、中小企業が苦しみ、事業の継承・発展が困難な中で、全会一致で成立した法に基づき、小企業・家族経営を守り育成する施策の具体化を求める願意は当然であり、不採択でなく採択を求めます。
請願第133号「フレール兵庫浜崎通借り上げ県営住宅を買い取ることを求める件」についてです。
この請願は、県が阪神・淡路大震災被災者向けの県営住宅として借り上げた住宅の入居者に借上げ期限を理由に立ち退きを迫っている問題で、棟借りした住宅の買い取りを県に求めたものです。住宅の管理組合として集められた署名292人分とともに提出されました。
請願の要旨にあるように、国土交通省は、「借上げ期限の到来時には、高齢化の進んでいる入居者の希望、要望などを十分に踏まえて……公営住宅として買い取る」方策も検討されるべきだとしています。
知事も当初、「アンケート調査や個別相談をふまえて買い取った住宅に移っていただくことも含めて検討する」とのべており、県はURと具体的な金額を提示して交渉を行うべきです。
一地域の問題だという意見がありますが、この問題は、県の行ってきた復興支援策によって住むことになった県営住宅を、今になって期限だからと追い出すことが許されるのか、災害復興にとって被災者のコミュニティ維持が重要だと発信している県が自ら被災者のコミュニティを壊すことが許されるのかという県政の重要課題です。
これまで繰り返してきたように、「入居期限」について入居者は十分知らされていませんでした。「終の棲家」としてのコミュニティをつくってきた住み慣れた地域を今になって離れることはできない、引き続き暮らしたいという願意はあまりにも当然です。
よって、請願第133号は不採択でなく採択を求めます。
請願第134号、「特別支援学校の設置基準策定を国に求める意見書提出の件」についてです。
請願にあるように、全国的にも県内でも特別支援学校の児童・生徒数の増加が続いています。当初の想定をはるかにこえた増加により教室が不足し、学校は、教育活動に支障が起きるほどの「詰め込み」をせざるを得なくなっています。
これは、小中学校、高校など学校には定数・面積などの設置基準が学校教育法で定められているのに対し、特別支援学校にだけはそれがなく、基準がないために、「詰め込み」すぎであっても容認されているのが現状だからです。
障害の有無にかかわらず平等に教育を受ける権利を保障するために、少なくとも特別支援学校の設置基準をつくるべきだという主張は当然です。よって請願第134号は不採択でなく採択を求めます。
請願第130号及び第135号「豊かな障害児教育の実現を求める件」です。
障害者権利条約が批准されたもと、「合理的配慮」が社会の責任とされ、障害者差別解消法では「合理的配慮の不提供」の禁止について、国の行政機関や地方公共団体等には法的義務が課されています。教育分野でも、障害をもつ子どもたちに持たない子どもたちと同等に教育を受ける権利を保障するための「合理的配慮」をすすめ、インクルーシブな教育制度の実現に向かうことが求められています。
請願は、兵庫の障害児教育に携わる人たちから、インクルーシブ教育の実現に向けた具体的な施策の実施を求めています。
過大過密化の解消などの教育条件整備や、社会参加の場としての福祉施設充実、就労支援体制の拡充は、県として当然進めていくべきことであり、不採択でなく採択を求めます。
請願第136号「教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求める件」、請願第137号「教育格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。
貧困と格差が広がる中で、どの子にも教育を受ける権利を平等に保障するため、教育費の軽減・無償化、ゆき届いた教育の実現の願いはますます切実です。
政府が少人数学級を40人学級に戻そうとする動きが厳しく批判されています。県は小学校4年生まで少人数学級を実施していますが、これを後戻りさせることなく、さらに広げることが必要です。
政府は、高校と大学の学費を段階的に無償化するという国際人権規約の条項への留保を撤回しましたが、無償化を進めるどころか、一度は導入された公立高校の「授業料無償化」を廃止して、高校就学支援金に所得制限を導入する改悪を強行しました。
私立高校では、2010年から実施された就学支援金制度により負担が軽減しつつあるものの、兵庫の私立学校の納付金は平均57万6千円と重い学費負担が引き続き残されています。県の上乗せ制度の拡充や、私学経常費補助の増額などが必要です。
将来をになうこどもの教育条件の整備を求める本請願は不採択でなく採択を求めます。
最後に、請願第126号「政務活動費、費用弁償、宿泊料、グリーン車利用の見直しを求める件」についてです。
政務活動費の不正支出疑惑や不適正な支出の問題で兵庫県議会は厳しい批判を浴び、再発防止をかかげて条例改正を行いましたが、課題は残されています。
景気が回復せず、県民が厳しいくらしを強いられているもとで、税金である議会・議員活動にともなう費用について、さらに県民の目線で見直すことが必要です。
本請願が求めている、政務活動費の領収書のインターネット公開、費用弁償の実費支給、宿泊費を実費支給を原則とし職員並みに上限を減額すること、議員のグリーン車利用の廃止などは、わが党もこれまでも主張してきたとおり、当然必要な改革です。
次の議会に先送りするのでなく、今の任期のうちに実現すべきだという立場から、本請願は継続でなく、採択を求めます。
以上、議員各位のご賛同をお願いし、討論を終わります。 |