日本共産党県会議員団のいそみ恵子です。安倍政権は、集団的自衛権、消費税増税、原発、沖縄基地問題など、あらゆる分野で暴走し、ゆきづまりに直面しています。
今ほど国の悪政から県民の命、くらし、福祉を守る県政転換が求められる時はありません。以下7項目にわたって質問します。
【集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回を】
安倍内閣は、国民の反対を押し切って、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行しました。60年以上にわたって積み重ねられ、国会答弁などを通じて国民に示されてきた憲法解釈を180度転換するものです。
憲法は、主権者である国民が政府等の権限を制限するための法であり、その解釈が政治的恣意により変更されることは、国民主権の基本原則から許されるものでは、ありません。憲法第99条で憲法尊重・擁護義務を負うべき首相自らが最高法規の憲法のあり方を否定することは、立憲主義を否定するものです。
だからこそ日本弁護士連合会、全日本仏教会、自民党の歴代元幹事長、改憲派の憲法学者等が「立憲主義まもれ」「解釈で憲法こわすな」の一点で声を上げ続けているのです。
日本弁護士連合会は、「集団的自衛権の行使は、憲法第9条の許容するところでなく、政府の憲法解釈も長年にわたって繰り返し確認されてきたことである。憲法の基本原理に関わる重大な変更を国民の中で十分に議論することなく、憲法に拘束されるはずの政府が閣議決定で行うことは、背理であり、立憲主義に違反している」と抗議し、その撤回を求める会長声明を発表しています。また、古賀誠元自民党幹事長は「過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達が積み重ねてきた選択への敬意もなく、そのことによってもたらされる責任と覚悟もないままに、この解釈改憲を実行するならば、将来に大きな禍根をのこすであろう」と語っています。
「産経新聞」の世論調査では「国民に十分な説明を行っていると思わない」との回答が85.7%と圧倒的多数をしめています。
知事もこれまでの定例記者会見で「なぜ集団的自衛権を今の時点でオーソライズ(承認)しなくてはならないのかという、その点についての丁寧な説明をきちっとしていただく必要がある」と発言されています。
知事、国民への十分な説明もないまま、国会審議にもかけず、国民的議論にも諮ることなく、拙速に「解釈改憲」で「閣議決定」が行われたことは立憲主義をこわすものと思われませんか。憲法第99条に明記された公務員の「憲法尊重擁護義務」からみても、「閣議決定」の撤回を国に求めるべきと考えますがいかがですか。
○井戸知事:集団的自衛権行使容認の「閣議決定」についてのお尋ねです・
今年7月に行われた「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備」に関する閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るという観点から、国として基本方針を示したものとされています。
今後、本閣議決定に基づき、必要な国内法制を整備することとなります。もともと、安全保障政策については、防衛、外交に関する事項であります。国際社会における国家としての存立にかかわる事務として、国において対応がなされるべきものであります。
この基本方針に対して、国民の間で様々な意見があることは承知しています。政府においては、今後とも、主権者たる国民に対し、丁寧に説明を行いながら、理解を深める努力を続けていく必要があると私は考えています。
また、基本的には、関連法制の整備には、国会での各般にわたる慎重な論議がなされた上で成立が図られるものであります。国会において、国民の納得の得られる審議を期待しております。
【防災訓練への在日米軍参加の中止を】
次に、米軍参加の合同防災訓練についてです。
8月31日、在日米軍の訓練参加に反対する市民約200人が抗議の声を上げる中、兵庫県と阪神地域7市1町の合同防災訓練が強行され、消防など85機関、約2千人と共に在日米軍が関西の防災訓練に初めて参加し、米軍基地のない自治体で初の実施となりました。
今回の防災訓練は、南海トラフ巨大地震と津波被害想定の下、災害対策本部の立ち上げ、防潮門扉の閉鎖、重篤患者の搬送等に取り組むきわめて重要な訓練です。しかし、問題は、消防・警察など85の参加機関に、米軍が知事の要請で初参加したことで、防災訓練の性格が大きく変わったことです。
在日米軍は、外国の軍隊で指揮権も日本政府、一知事に権限はありません。県や市町の地域防災計画上、防災関係機関としての位置づけもなく、いざという時の備えにならない、防災訓練に最も適さない機関です。
日米両政府の真のねらいは、日米安全保障協議委員会で示されたように沖縄の負担軽減を口実に「人道支援・災害救援訓練」を通じて、自衛隊と米軍の機能強化をはかることであり、防災訓練と称して米軍の軍事訓練を全国展開することです。現に、「トモダチ作戦」以降、全国の防災訓練に米軍が参加する動きが強まっており、今回の兵庫県の訓練では、見送られましたがMV−22オスプレイの使用も準備されています。
知事が連合長をつとめる関西広域連合主催の防災訓練も10月19日、和歌山県で開催予定で、オスプレイの活用が現実のものとなっています。オスプレイは、米海兵隊が他国への侵攻作戦を強化するために開発した輸送機で「侵略力」を強化するために配備されたものです。墜落事故を繰り返す欠陥機であり、元川崎重工業ヘリコプター設計部長も「オスプレイは、オートローテーション降下には入れるが、沈下速度が大きすぎて安全な着陸ができない」と指摘され、人命救助に最も適さない輸送機では、ありませんか。
来年以降行われる県・市町の合同防災訓練にオスプレイを含む在日米軍参加要請を行わないこと。10月にも和歌山県で行われる関西広域連合主催の防災訓練へのオスプレイ等の米軍機参加に対し、中止することを求めるべきと考えますがお答えください。
○井戸知事:米軍参加の合同防災訓練についてです。
南海トラフ巨大地震の国の被害想定では、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生し、全体としては最大で死者は32万人、被害額は220兆円にも及ぶとされる。これは国難とも言える状況であります。国内外からの幅広い応援が不可欠となります。その中で、東日本大震災での「トモダチ作戦」の実績がある米軍の支援は、外すことのできない選択肢ではないでしょうか。
今年度の合同防災訓練では、自衛隊の協力を得て、在日米軍の神奈川県座間キャンプからヘリ1機と隊員4名が参加していただきました。自衛隊との間で、ヘリ搭載の救援物資の受け渡し訓練を行った後、ヘリの展示と隊員による説明や意見交換が行われ、その後、自衛隊救護車両から重傷者を引き継ぎ、移送訓練を行ったものです。
自衛隊との連携だけではなく、米軍の災害救援活動について関係機関が理解を深めることができ、有意義な訓練になったと思っています。また、事前の調整過程においても、時間調整や飛行ルートなどの空港管制等について、連携のあり方が検討でき、成果がありました。
10月19日に白浜空港や串本等、和歌山県内の広域で実施される近畿府県合同防災訓練においても、今回以上の成果を期待しております。
在日米軍との調整は、政府間の専管事項ではありますが、災害現場では、被災の実情を把握している県や市町の役割が必然的に大きくなります。このためにも、今後とも防災訓練等を通じて、在日米軍を含む実動機関との連携を図っていく必要があると考えています。
【原発再稼働の問題について】
次は、原発問題です。
国内の原発48基全てが停止し、原発ゼロになってから丸1年。原発ゼロでも乗り切れることがますます明らかになっています。ところが、安倍政権は、九州電力川内原発1,2号機を早期に稼働させ、関西電力の大飯、高浜両原発等の再稼働への手続きを強引に進めようとしています。
政府が最近公開した福島第1原発事故に関する(故)吉田昌朗元所長への聴取記録調書によれば、事故発生直後、全交流電源喪失という報告を受け、「みんなが愕然という感じで声が上がらなかった」「絶望した」等と答え、なすすべがない状況に陥っていたことが伺えます。
現に、福島第1原発の事故対策では、原子炉内部どころか、毎日400トンの地下水が原子炉建屋内に流入し、海には大量の汚染水放出が続き、汚染水問題1つ解決出来ない事態となっています。
また、司法による判断も相次いで出されました。
1つは、5月の福井地裁の関西電力大飯原発3,4号機の再稼働差し止め判決です。
判決は、第1に、人間の生命を基礎とする人格権は憲法上の最高の権利であり、「これを超える価値を他に見出すことはできない」と断言し、この人格権を侵害する恐れがあるときは「運転さし止めが認められるのは当然である」としました。
第2に、原発の持つ本質的な危険性を強調しています。
第3に、政府が「世界で最も厳しい水準」と強調している安全性について、原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」を超える地震が2005年以降、5回観測されていることを踏まえ、「基準地震動を超える地震が大飯原発に来ないという根拠はない上、基準地震動に満たない地震によっても重大な事故が生じうる」と指摘し、規制基準の考え方を否定しています。
第4に、国民の安全よりもコストを優先する考え方に対し「人の生命と電気代の高い低いの問題を並べて論じること自体、許されない」と明確に述べています。
井戸知事は、判決直後「偏った、行き過ぎた判決だ」という趣旨の発言をされましたが、現実に起きた原発事故と国民の大きな世論の高まりの上に立ったこの判決を真摯に受け止めるべきではないでしょうか。
もう1つは、8月の福島地裁判決です。福島第1原発の事故により、川俣町山木屋(かわまたまち・やまきや)で生まれ育った58歳の女性が避難を余儀なくされ、養鶏場の仕事も無くなり、ストレスが原因で自殺に追い込まれ、原発事故避難と自殺の因果関係を認めた判決です。これは約15万人の原発事故被災者にも通ずる判決です。
原発ゼロを求める世論もますます高まっています。
川内原発の再稼働に対する世論調査ではいずれも反対が5割を超え、賛成は2〜3割台です。原発再稼働を進めるべきでないことは、明らかです。
電力会社の利益や産業優先でなく、県土と県民の生命・財産、安全を守るために、知事、大飯・高浜両原発の再稼働の中止を、政府,並びに関西電力に働きかけるべきと考えますが、いかがですか。
○井戸知事:原発問題について、本年4月に閣議決定された国のエネルギー基本計画では、原子力発電について、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定に寄与する重要なベースロード電源であると位置づけられています。
現在、火力発電が地球温暖化に加え資源の枯渇という課題を抱えておりますし、再生可能エネルギーは供給安定性への不安やコスト面での懸念が払拭されないという課題があります。
原子力発電所の再稼動は、あくまでも安全性が確保されることが基本です。その安全性の確保については、法律上の権限と専門的な能力を有する原子力規制委員会における厳格な審査を経て確認されることになります。再稼働そのものは、原子力政策に責任を持つ国において決定されるべきものです。
大飯原発、高浜原発については、現時点では、原子力規制委員会の適合性審査の結果は出ていませんが、今後、審査において、安全だという評価がなされれば、再稼働の判断は、一義的に国、政府の判断によるものです。
【UR借上県営住宅の継続入居を】
次に、UR借上県営住宅からの入居者追い出し問題についてです。
阪神淡路大震災から来年で20年を迎えようとしています。県も来年3月、仙台市で開かれる国連防災世界会議に向け、その経験と教訓を継承・発信するとして、多彩な事業を展開しています。しかし、その一方で、20年の返還期限をもって、URから借上げている県営住宅から被災者を追い出そうとしています。
入居者のねばりづよい運動で、県は、6月17日、新たな方針「UR借上県営住宅への継続入居の可否判定について」を打ち出しました。その内容は、75歳以上の高齢者や要介護度や障害者、難病、認知症のある人に限って一定の基準に基づき継続入居を認めるとして、かかりつけ医や地域とのつながり等の社会的条件を考慮すること。さらに、それまで継続入居不可としてきた75歳未満であっても、近隣に介護中の親族がいる人、末期がん患者のいる世帯、義務教育中の子どもがいる世帯や、その他、判定委員会がこれらに準じると認めた場合には、継続入居を認めるというものです。
これは、一歩前進ですが、新たな線引きでも多くの方が退去を迫られることになり、到底認めることはできません。7月、入居者に「借り上げ県営住宅の継続入居手続き等」のお知らせと「継続入居可能性判定依頼書」等が送られ、「このまま残れるのか、それが一番の不安だ」との声がたくさん寄せられています。
震災で何度も転居を余儀なくされてきた入居者は、支え支えられ、ここを「終の棲家」としてコミュニティ「再生」の懸命の努力をされてきました。借り上げ住宅の高齢化率が63.4%と進み、その多くが単身世帯で地域のコミュニティに何とか支えられ生活されています。ある開業医も「高齢者が新たな場所で人間関係を築くのは本当に大変。人が生活を成り立たせていくために地域コミュニティへの依存が非常に大事である」と言われています。大震災の最大の教訓がコミュニティの再生であったことは、『伝えるー兵庫県 阪神淡路大震災の教訓』でも明らかです。
借上げ住宅問題の根底にあるのは、県が入居許可書に20年の退去期限を明示せず、公営住宅法等に基づいて、入居者が退去時期を予測できるように具体的に通知せず、説明もしていなかったことであり、20年後退去の方針が財政の都合から行革プラン推進の中で、具体化されたということが真相ではありませんか。
「阪神・淡路大震災20周年事業基本方針」で「大震災の経験と教訓は、未来に向かって永遠に、地域や国を超えて全世界に伝えていきたい。・・復旧・復興への努力やその成果を分かち合い、喜び合いたい」と言うのではあれば、年齢や条件等による線引きでなく、希望するすべての入居者が安心して暮らせるようにすることこそ被災兵庫県のやるべきことではないでしょうか。
阪神淡路大震災から20年、被災者に再び悲しみを与えるのですか。知事、被災者のUR借上県営住宅からの追い出し中止の英断を行い、継続入居を求める全ての方に引き続き入居を認めることを求めます。
○大町まちづくり部長:UR借上県営住宅については、契約期限までに都市再生機構に返還することを基本として、入居者には円滑に住み替えていただくことを原則としております。
県では、当初から20年を限度とした県営住宅として位置付け、入居決定時には、入居許可書と併せて県営住宅のしおりを配布し、20年を限度とした借上住宅であること、また、借上契約終了後は明け渡していただくことを伝達しております。そのようななかで、全員の継続入居を認めることは、自力で住宅再建をした被災者や、既に転居された方との公平性の点からも問題があると考えております。
高齢や障害などで住み替えが困難な方については、一定の基準に基づき、継続入居を認めるという方針を平成25年3月にとりまとめました。それを団地ごとに説明会のべ78回開催し、入居者からの意見の聴取に努めてまいりました。
これらの意見を受け止め、判定委員会での議論を経て、本年6月、75歳未満でこれまで継続入居不可としていた世帯についても、義務教育期間中の子供がいる世帯などは一定の条件の下で継続入居を認めることとしました。併せて、継続入居の可否を心配される入居者の方々の不安を取り除くため、事前相談の体制を充実し、希望者には継続入居可能性の有無を通知することとしたところです。
また、これら借上県営住宅において、段階的にコミュニティ機能を引き継いでいくため、空き住戸の速やかな募集・入居をURに要請していきます。また、団地毎の状況に応じて、指定管理者による巡回の充実、地元市の福祉部局との連携による見守りの強化、ふれあい喫茶等の住民活動への支援を実施してまいります。
今後とも、入居者の実情等も十分勘案した上で、きめ細かく弾力的な対応をしてまいります。
【子ども・子育て支援新制度について】
次に、子ども・子育て支援新制度についてです。
来年4月実施される子ども・子育て支援新制度は、保育所・幼稚園の制度を戦後初めて根底から変えるもので、1年ほどの準備期間しかなく、実施を前に大混乱が続いています。
県下の市町は、施設・事業者確認のための基準づくり、地域型保育の認可基準等の条例・規則制定、教育・保育の受給計画を含む「子ども・子育て支援事業計画」策定などを行い、その内容を知らせ、確認・認可作業や、利用者の認定作業を行わなければなりません。
ところが、政府自身の作業が大幅に遅れ、省令の誤りや、財源のめどさえも十分示されず、条例制定は、9月議会がタイムリミットとなり、政府の省令等を示しただけでパブリックコメントを実施したり、地方の子ども・子育て会議の決定を経ずに条例案がつくられるなど、多くの市町で、審議が不十分で拙速な作業となっています。
また、事業者の間にも困惑が広がっています。国から示された公定価格の仮単価が低く、多くの施設で試算では運営が成りたたないと危惧されています。しかも公定価格の仮単価は消費税率10%を想定したもので、2015年度からその額が保障されたものでもありません。
何よりも、当事者である保護者に新制度が知られていません。保護者は、市町により支給認定を受けなければ、利用申し込みだけでは保育を受けられなくなります。また、ほとんどの市町で、利用者負担がいくらになるのかが示されていません。西宮市では、のべ2千人以上が参加した説明会では、「保育料がどうなるのか」との不安の声がでています。
実施まで半年でこの状態です。せめて、国に対し、実施時期の延期を求めるべきではないでしょうか。
新制度のもとで、保育所、幼稚園、4類型の認定こども園に加え、小規模保育、家庭的保育など地域型保育、新制度の枠に入らない幼稚園や、無認可保育所など、多様な施設に多様な基準が並存することになります。
子どもの健やかな成長のためには、どこのどんな施設であっても、受けられる保育に格差が生じるようなことがあってはなりません。
ところが、保育の質に関わる職員配置は、認可保育所では全員が保育士でなければならないのに対し、新制度の国基準では、家庭的保育は保育士資格者は不要、小規模保育では、保育士資格者が半分以上でよいB型、不要のC型も認められています。その基準は市町が定めるため、住む場所や利用する施設によって保育環境や保育条件に格差が生まれることが懸念されます。
その上、政府は、実施に必要な1.1兆円のうち、4千億円の財源不足が生じるとして、職員配置や処遇改善などを先送りする方針を示しています。しかし、保育士は、他の業種より100万円も下回る低賃金・長時間労働で慢性的な人材不足が続き、保育士を養成・確保するとともに、処遇の改善が急がれます。
国に対し、新制度実施の延期と、必要な財源確保を求めること、県として、職員配置に対する財政措置を充実し、地域型保育など職員配置が充実できるよう市町を支援すること、民間社会福祉施設運営支援事業を増額すること、認定こども園への県単独運営費補助の維持・増額など、保育水準に格差が生まれないような対策を講じることを求めますが、いかがですか。
○大田健康福祉部長:子ども・子育て支援新制度についてです。県では、平成27年4月の新制度スタートを目指しまして、24年8月の子ども・子育て関連3法の成立直後から、市町や事業者を対象とした説明会や地域別の意見交換会の開催、計画策定に向けた全市町との個別協議等に努めてまいりました。
また、円滑な移行に当たっては、事業者や一般住民に対する制度の周知が重要であり、かねてから各市町にはその準備状況に応じた適時適切な広報や、利用者負担額案の早期提示を助言をいたしております。例えば、西宮市では、市政ニュースや市内各地域での保護者向け説明会等を通じて、随時、新制度の情報提供を行っておられます。
これらの取組を通じて、新制度の実施に必要な小規模保育事業等の認可基準や幼稚園、保育所等の運営基準を定める条例につきましては、すべての市町が概ね国が想定するスケジュール通り9月議会で制定予定でございます。
県では、これまでから、新制度における幼児教育・保育の質のさらなる向上のため、保育士等の配置や処遇の改善等に不可欠な消費税増税分以外の4千億円程度の財源の早期確保を国に強く働きかけております。職員配置や認定こども園の運営等に対する県単独での支援の充実につきましては、今後の国の予算編成の動向等を踏まえつつ、必要に応じて検討をいたします。
また、加配職員の人件費を支援いたします民間社会福祉施設運営支援事業は、各施設の実態により即した算定方法となるよう、昨年度見直しを行ったところでございます。
今後も、新制度の着実な実施に向け、実施主体である市町の取組を積極的に支援してまいりたいと考えております。
【国民健康保険の広域化について】
次に、国民健康保険の広域化についてです。
私の地元西宮市のクリーニング業を営むAさんは、国民健康保険料が払えなくなり、市役所と滞納分を分納する約束をして、誠実に履行していました。
ところが、突然、「分納解消、差押事前催告書及び督促状」が送付され、一括納付を求められました。納付の指定日までに2週間の余裕もないというものです。県下では、差押件数が5332世帯と、5年前と比べて約3倍に増え、強引な取り立てや差押、保険証の未交付など、自治体の厳しい制裁が強化されています。
高い保険料を払えない人が増え国保財政が悪化し、また保険料があがる。自治体が保険料の取り立てに走り、払えない人が医療を受けられなくなり重症化する悪循環は、国が国庫負担を「医療費の45%」から「給付費の50%」に変更するなどして大幅削減し、市町の国保財政における国庫支出金の割合が80年代の6割から23%程度にまでおさえ込んできたことが根本原因です。ここをたださずに、問題の解決はありえません。
しかし、国がねらう国保の広域化・都道府県化は、逆に国の責任を放棄するもので、解決どころか、国民への負担強化をすすめるものにほかなりません。
「社会保障制度改革国民会議」報告は、社会保障を「自助を基本」とする考え方に転換し、国保の広域化も、医療費を抑制するために、都道府県の権限を強化し、病床機能報告制度の導入や地域医療ビジョン策定とあわせて推進するとしています。国民が安心して医療を受けられる国民皆保険制度の再構築ではなく、「医療費・社会保障費抑制」がねらいです。
8月の国と地方との国保基盤強化協議会の中間整理では、国が追加公費の規模も含めた財政基盤強化の具体策も明らかにしないまま、財政運営の担い手を都道府県とし、都道府県が市町村に分賦金を課し、市町村はそれを納めるのに必要な保険料率を決めて被保険者から保険料を徴収する方向が示されました。
このままでは、分賦金が高額になる一方、市町が独自に行ってきた減免制度や一般会計からの繰り入れなどが行われず、保険料がますます上がって、払えずに医療を受けられない人がいっそう増えるという事態になりかねません。
国保広域化は、国保問題の解決にならないことは明らかです。知事、広域化反対を貫き、その方針撤回と国庫負担率の大幅な引き上げを国に求めるとともに、当面、県独自の予算を投入して、保険料の引き下げを行うよう求めますが、いかがですか。
○大田健康福祉部長:国民健康保険の広域化についてです。国民健康保険制度は、低所得者や高齢者が多く医療費も高いという課題がございます。単に保険者を都道府県に移行するだけでは問題は解決されません。
このため、従来から、県では、医療保険制度を一本化し、制度設計と財源の責任、権限を有する国を保険者とすることを主張して参りました。
国は、8月に国民健康保険制度の都道府県化に向けた国と地方の協議の中間整理をとりまとめましたが、ひとつには、医療保険制度の一本化の道筋、二つには、明確な財源確保方策や県と市町との役割分担、三つには、もし、県が医療サービスの総合調整を担うのであれば、それに応じた権限と責任、が示されていません。
このため、県では、一つには、医療保険制度の一本化への道筋を明らかにすること、二つには、国民健康保険制度の財政上の構造問題を解決し、国の責任において財源を確保すること、三つには、後期高齢者支援金の総報酬割の導入対象に国民健康保険を加えること、四つには、基準病床数の総量規制の弾力化や保険医療機関の指定権限等の委譲等を提案致しております。
県としては、引き続き、国に対して提案の実現を求めることにより、医療保険制度の安定した運営をめざして参ります。また、これらのことにより、保険料が分賦金とされた場合でも、地域毎の医療水準に応じた低廉なものになると考えております。
なお、県では、県独自の事業費補助金や低所得者の保険料軽減策としての保険基盤安定負担金など、平成26年度において約5百億円の財政支援を行っています。
【名神湾岸連絡線について】
次に名神湾岸連絡線についてです。
名神湾岸連絡線の計画段階評価の手続きが開始され、国と県は、直線距離で約2キロメートル、800億円ともいわれる事業費をかけて、早期事業化をすすめています。しかし、さまざまな疑問点があります。
まず、「阪神臨海部の道路交通の改善」特に「阪神高速3号線、43号線の渋滞解消」が果たしてできるのか、という点です。
県が実施した委託調査によると、名神湾岸連絡線が接続する阪神高速5号湾岸線と今後接続し、六甲アイランドの西側からのびる大阪湾岸道路西伸部(8・9期)の整備ケースごとに、合計10パターンの将来交通量の配分が検討されています。説明では、全線が同時に実現された場合、阪神高速3号線の交通量の半分程度は湾岸線への転換可能としていますが、西伸部の整備がない場合、転換できる交通量は1割台ほどと、かなり低い効果にしかなりません。
その上、名神湾岸連絡線が先行して供用された場合、「湾岸西伸部の供用までの期間の交通集中が想定」される、ハーバーハイウェイにつながる住吉浜渡り線を、上下1車線の道路を上下各2車線に拡幅する追加の工事がどうしても必要になります。
名神湾岸連絡線が、短い距離の高速道路で、高い効果があげられるかのような印象をあたえていますが、6千〜7千億円もかかる大阪湾岸道路西伸部が整備されないと大きな効果をあげることができない高速道路であることは、住民向けの説明パンフレットでも全く触れられておらず、住民に情報提供すらされていません。
8月、国は、住民へのアンケート等で交通問題を改善するための懸念、ニーズを把握するとしていますが、都合のよい情報ばかりでは、本当の意味で説明や意見を聞いたことになりません。地元では、今津東線の上に高架の高速道路ができれば、街の分断や、灘五郷のひとつである今津郷の酒づくりへのダメージになることを心配する声が聞かれます。
道路建設には、地元の合意が一番重要なはずです。そのことをなおざりにしては、計画がすすむはずはありません。
また、「津波の緊急避難場所として使用する」とも言われますが、県の調査結果によると、避難階段の問題、ゲートの封鎖や安全確認、避難用扉の鍵をどのように開けるのかなどが、問題点とされていますが、調査結果にもとづく協議などは全く行われておらず、実現の目途はたっていません。
今後、過大なインフラをかかえ、老朽化対策や維持費に膨大な予算が必要であると懸念されています。古い自民党型政治に逆戻りするのではなく、新たな高速道路は、極力抑制すべきです。
名神湾岸連絡線について、積極的に推進する根拠は極めてとぼしいと考えます。県としてもこの事業に反対し、国にもその中止を申し入れるべきと考えます。知事の誠意ある答弁を求めて、わたくしの質問を終わります。
○田中県土整備部長:名神湾岸連絡線について
人口や産業が高度に集積する阪神臨海部では、交通等に関する様々な課題がございます。
1つには、阪神高速神戸線や国道43号への交通集中による渋滞の解消や沿道環境への負荷の軽減です。2つには、名神高速道路と臨海部を行き来する交通が札場筋(ふだばすじ)線などの一般道路を通行することに伴う交通安全対策です。3つには南海トラフ巨大地震に備える防災・減災対策などであります。
名神湾岸連絡線は、これらの課題に対応し、阪神臨海部に安全で快適な都市空間を創出するとともに、関西3空港の国内外乗換や、阪神港も含めた物流拠点へのアクセス改善に資する重要な基幹道路であります。
現在、国が事業着手に向け、計画段階評価を行う中で、渋滞の頻度や交通事故件数などのデータを示し、地元の意見を聞きながら、事業の必要性や事業内容の妥当性を検証しております。
具体的には、今年7月、大気汚染や騒音など住環境への影響、幹線道路の渋滞等による生活道路の安全性への影響などの課題につきまして、西宮市を中心に尼崎市から神戸市長田区までの住民約17,000名と事業所約13,000社を対象にアンケート調査を、 また道路利用者や経済界へのヒアリング等を実施いたしました。
これらの結果を踏まえまして、国は、複数の概略道路計画案を作成し、2回目のアンケートやヒアリング調査を行うなど、広く住民意見を聴取した上で、概略道路計画をとりまとめる予定であります。
今後、その計画をもとに環境に与える影響を調査し、都市計画の手続きを進めることとなります。事業化に際しましては、湾岸線への交通転換を促進いたします大阪湾岸道路西伸部と一体的に整備することを国に働きかけてまいります。なお、津波襲来時の活用についても検討をしてまいります。
今後とも、名神湾岸連絡線の計画段階評価の早期完了、事業着手に向けまして、国や地元市と緊密に連携しながら取り組んでいきます。
(再質問)
○いそみ恵子:2点再質問させていただきます。一点目は、集団的自衛権の閣議決定の問題です。真正面から批判をされている方をもう一人紹介させていただきたいと思うんです。いま神戸新聞に連載がはじまっておりますが、自叙伝を書かれている貝原前知事です。貝原さんは、9月28日付で、「自衛という口実で、武力行使を当たり前にする。普通の国になることは、現憲法の理念を根底から否定することであり、単なる解釈のレベルの話ではなく、断じてあってはならない」と、こういうふうに書かれてあります。わたくしは、まったくその通りだと思います。「憲法は変えるべき」という方々からも、今回の安倍政権の閣議決定は、やはりこれはちょっとおかしいではないかという声がでておりますが、解釈で憲法を壊すな、立憲主義を否定するな、という声があがっているわけです。そこで、知事、「国において、対応がなされるもの」と言わずに、ぜひこの点については、率直な知事の思いをぜひお聞かせいただきたいと思います。
二点目は、借上げ住宅の入居者追い出し問題です。被災入居者が、声をあげ、県はあらたな線引きをつくりました。先ほどご報告合った通りです。しかし、その線引きは、被災入居者と相談してつくられたものではありません。いくらハードルを下げても、いくら新しい線引きをつくっても、多くの被災者がやっぱり追い出されることになるということになります。来年国連防災世界会議で、大震災の教訓、経験を発信していく中で、被災地兵庫県で、本当にそれでいいのかということを、私は問うたところです。県下の同じ被災地の宝塚・伊丹の市長さんは、継続入居を決断しています。決断すればできるということではありませんか。ぜひ知事に英断を求めたい。継続して入居できるように、すべての方々が、希望される方が残れるように、ぜひ知事としての英断を求めます。
○井戸知事:集団的自衛権の行使容認の取扱いについては、先ほど答弁したとおり、最終的には法律が制定されないと動いていかないわけで、要は、政府は、そのような法律をつくるということにしたということだけを言っているだけです。したがって国権の最高機関である国会で十分な論議をされて、黒白をつけていただき、国民に対して理解を求めるのが正当な筋ではないでしょうか。
UR借上げ住宅の取扱いについては、20年の期限がある賃貸をいたしまして、借り上げて県営住宅としているものでありますから、その基本を踏まえながら、適切な現実的対応をしていこうということで、いままでのいろんな形での対応をしてまいりました。そして、原則として期限より1年前までには、諸事情も勘案して、その取扱いを決めさせていただこうとしておりますので、個別の事情も、十分配慮しながら、判定委員会で判定していただいた上で、決定させていただく。
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