私は、日本共産党県議団を代表して、請願第101号、第103号ないし第110号、第111号、第112号、第115号、第116号、以上13件を「不採択」ではなく「採択」を、請願第102号を「採択」ではなく「不採択」を主張し、以下その理由を述べます。
まず、請願第101号、「兵庫県議会議員選挙の1票の格差を2倍未満にすることを求める件」ですが、請願要旨にもあるように、1票の格差について違憲判決が次々出されており、広島高裁判決が「一人一人が平等の権利で代表者を選出するからこそ、国民の多数意見と国会の多数意見が一致し、国民主権を実質的に補償することが可能となる」としている点は、そのまま兵庫県議会にもあてはまります。
県民ひとり一人が平等の権利を有すること、また、県民の意思が議会構成に適正に反映されるものとするためにも、格差はせめて2倍未満となるようにすべきであり、格差解消に向けて引き続く努力が求められています。
以上のことから、請願の趣旨には賛成であり、採択を主張します。
次に、請願第103号および104号、「秘密保護法の廃止を求める意見書提出の件」についてです。
安部政権は、昨年末、国民の大きな反対の声も顧みることなく、採決を強行しました。しかし、法律が制定された後も、日本弁護士会や報道関係を初め、広範な国民の間から秘密保護法の廃止を求める世論と運動が大きく強まっています。
この法律は、国会審議でも明らかになったように、防衛や外交などで時の政府が「特定秘密」と指定すれば、国民には何が秘密かも知らされないまま、その内容を知ろうとするなど、特定秘密に近づけば、公務員だけでなく、一般国民や報道機関までもが逮捕や家宅捜査の対象とされる恐れがあるものです。
国会の国政調査権も侵され、それは県議会や県議会議員も同様で、県職員も処罰の対象になると、政府は国会答弁で明らかにしています。
本請願の議論の中で、特定秘密の指定、運用の適正さ、公平性を担保するために独立した第3者機関の設置が必要という意見も有りましたが、秘密保護法では、秘密を国会に提供する前提として、非公開の「秘密会」であることや「秘密会で知った秘密」を漏えいした場合、国会議員でも懲役5年の処罰を受けます。また、国権の最高機関である国会に対して「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と判断すれば秘密を提供しないとしており、官僚、行政機関の判断1つで国会に重要情報が出てこないことになります。
従って、仮に第3者機関を設置しても運用の適正さ、公平性が担保される保障などどこにもありません。
秘密保護法は、一層の情報公開が求められる時代に、幅広い情報を政府が秘密にし、国民の知る権利を侵害し、国民主権の憲法の原理を形骸化するものです。
安倍政権が、強行した秘密保護法は国家安全保障会議の設置、集団的自衛権行使、憲法改悪と一体のものであり、日本を戦争する国に変えようとするためのものです。
請願が述べているように、憲法9条で再び戦争をしないと誓った日本に、秘密保護法は必要でなく、廃止を求める願意は当然であり、「採択」を強く主張するものです。
次に、請願第105号、「消費税増税中止を求める意見書提出の件」です。
アベノミクスによる「景気回復」が、掛け声倒れになっていることが、様ざまな指標から明らかになっています。
GDPの6割を占める個人消費が伸び悩んでいることが大きな要因です。その背景には、労働者の所得が連続して下がっていることがあります。今春闘における賃上げの状況を見ても、輸出関連の大企業などがベースアップを回答したものの、消費税増税を補うものにはなっていません。多くの中小企業や2千万人にも及ぶ非正規労働者は、賃上げなどほど遠い状況にあります。このまま4月に消費税増税を実施すれば、あらゆる物価が上がり、可処分所得が減少し、国民生活は、一層苦境に立たされ、景気に重大な悪影響を及ぼすことは明らかです。
こうした事態を前に、4月からの消費税増税の中止を求める請願の願意は当然であり、採択を強く主張します。
第106号 「県『第3次行革プラン』のひとり親家庭への医療費助成削減を中止することを求める件」、
第107号 「老人医療費助成事業及び母子家庭医療費助成事業の対象者削減と負担引き上げを行わないことを求める件」、
第108号 「老人医療費、母子家庭等医療費助成に関する件」についてです。
いずれも、県の第3次行革プランに対し、医療費助成の削減を中止するよう求めています。県内各市町からも、反対や慎重な検討をのぞむ声が出されました。
日本共産党議員団は、行革特別委員会、先の本会議質問でも福祉医療費削減の第3次行革プランの撤回を求めました。
老人医療助成事業は、窓口負担1割だった低所得者Tの人は2割負担に、2割負担だった低所得Uの人は自己負担上限額を外来8千円から1万2千円にも引き上げ、対象者は、人口の推計37万2千人に対しわずか6%の2万1千人にしか過ぎません。
母子家庭等医療費助成も、所得制限を厳しくし、現在の10万人のうち4万数千人を制度から外し、自己負担も外来600円を800円にするなど、負担増を強いるものとなっています。
母子家庭の多くが、こどもを抱えながらダブルワーク、トリプルワークといわれる仕事の掛け持ちをしても、なお生活費に困っているという厳しい情況に置かれています。
そのため、姫路市や丹波市など、市町が独自に上乗せし、母子家庭医療費助成の現行水準を維持・継続するところも生まれています。
県民の置かれた厳しい生活実態を直視するなら、支援の充実こそ求められており、医療費助成削減の撤回を求める本請願の趣旨は当然であり、「採択」を主張します。
第109号 「介護保険制度の見直し中止を求める意見書提出の件」についてです。
政府が進めようとしている要支援者の介護保険外しなどを中止し、現行通り行ってほしいという要望は全国でも、県下でも高まっています。
要支援者の訪問介護、通所介護が「地域支援事業」として市町の事業に移行されようとしていますが、県社会保障推進協議会が県下全自治体に行った緊急調査では、「現在の人員体制では難しい」「利用者の自己負担が増加し、市町に格差が生じる」などと回答し、現行通りの介護サービスの提供が困難な状況が浮き彫りとなっています。
また、認知症など軽度でも入所が必要な高齢者が特養ホームから排除されたり、利用料負担の引き上げ等によって、介護保険利用の抑制につながり、「介護難民」が増える事が危惧されます。
よって、介護保険サービスが受けられなくなるような介護保険制度の見直しの中止を求める本請願は「採択」を主張します。
第110号「後期高齢者医療制度への国の公費負担増額等を求める意見書提出の件」、第111号「後期高齢者医療制度への県費の負担増額を求める件」についてです。
2年ごとの保険料見直しで、本県では、一人当たり833円の値上げが予定されています。年金の引き下げ、消費税率の8%へのアップで新たな負担を強いられる高齢者に追い打ちをかけるものです。
後期高齢者医療制度は、75歳以上を他の世代と切り離して、受けられる医療を差別し、高齢者が増え医療費が増えるほどに保険料負担が重くなる制度です。
日本共産党は、この制度を廃止すべきだと考えていますが、当面せめて、公費の負担割合を引き上げたり、県として保険料を減免するための制度をつくるなど、保険料に跳ね返らない形で公費を増やすことにより、国民の保険料を抑制することが必要です。
制度発足以来三たびの値上げに直面している高齢者の重い保険料負担を軽減してほしいとの願意を受け止め、請願の採択を求めます。
第112号「年金削減中止を求める意見書提出の件」についてです。
安倍政権は、消費税増税と社会保障の一体改革関連法によって年金削減を進めています。
昨年10月実施された1%削減に対し、全国的な異議申し立てがおこなわれ、全国で約12万人、兵庫県でも7200人余りが不服審査請求をおこないました。
そのさなか、今年4月からさらに0.7%の削減が決定されたことに怒りの声が上がるのは当然です。
消費税増税による物価高、介護保険料、後期高齢者医療保険料など負担増が実施されようとしている中、高齢者のくらしを支えるために、年金削減の中止を求める本請願は、高齢者のせめてもの願いであり、採択を主張します。
次に、第115号、「TPP交渉からの撤退を求める意見書提出の件」についてです。
安倍内閣は、TPP(環太平洋連携協定)の合意に向けて全力を尽くすとして、交渉妥結に向けてアメリカの要求に沿って譲歩する姿勢を強めています。
甘利TPP担当大臣が586品目からなる「重要5項目」について「1つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と述べたのもその表れです。
これは「守るべきは守る」「国益は守る」という国民に対する公約や昨年4月の国会における「農林水産分野の重要5項目などの聖域確保が出来ない場合は脱退も辞さない、国民に充分情報を開示する」という国会決議にも反するものです。
また、TPP交渉が、この間のアメリカ議会での議論の内容からだけでも、「アメリカ製品の売り先の確保のためであり、日本を含む多国籍企業の市場確保のために、国民の暮らしに関わる規制も関税自主権も放棄させるものであることが鮮明になっています。
安倍内閣のこうした動きに対し、TPP反対の声は全国各地はもとより、アメリカを含む関係国の中でも湧き起っていると言われます。
委員会審査ですべての会派の賛成で採択とされ、わが党も採択を求めている請願第114号は、TPPに関して国会決議の順守を求めています。
国会決議を貫き、国益を守るためには、TPP交渉そのものから離脱する以外にありません。
よって本請願の趣旨は極めて妥当であり、採択を主張します。
次に第116号、借り上げ住宅の「機械的な住み替え対応をやめる」ことを求める件です。
この請願はHAT神戸灘の浜で、昨年9月と11月の2回に亘って、借り上げ公営住宅の入居者に対する説明が行われましたが、結局は機械的な住み替えを迫られている入居者から「希望する全ての世帯の継続入居を認めてほしい」という請願が提出されたものです。
このこと1つ取っても、今になって転居することが入居者にとってどれほど困難を伴うものであるかを物語っています。
20年近く前、この方たちは、入居する際の「住宅入居許可書」には「退去期限」の項目もなく、「20年の明け渡し」の説明も受けず、「借り上げ住宅」であることすら知らされずにきました。
知事は、昨年10月のわが党議員の質問に「入居者の実情も充分勘案」し、「きめ細かく弾力的に対応していく」「機械的に対応するつもりはない」と答弁されています。
この約束を守り、被災して20年近く立っても、今尚、心底から癒されることのない被災者に寄り添って、文字通り入居者の実情に合った県の対応をすべきであります。
以上のことから、本請願の「採択」を強く主張します。
次に、第102号、憲法改正の早期実現を求める意見書提出の件についてです。
請願の要旨に、日本国憲法は昭和22年5月3日の施行以来、約70年間、一度も改正が行われていないとありますが、日本国憲法は、世界に先駆けて戦争放棄とともに、戦力不保持、交戦権の否認を定めた9条をはじめ、生存権、幸福追求権など世界でも先駆的で豊かな内容をもっています。
この憲法があったからこそ、70年余に亘って日本は、戦争によって人の命を奪ったり、奪われたりすることはありませんでした。
今求められていることは、この憲法の先駆的原則を逸脱し、踏みにじっている政治ではなく、日本国憲法を守り現実の政治に生かすことです。
また、東アジア情勢は、一刻の猶予も許されない事態に直面しているとされていますが、北朝鮮問題の解決にあたっては、核、ミサイル、拉致、過去の清算など両国間の諸懸案を、日朝ピョンヤン宣言に基づき包括的に解決すること、6か国協議を再開し、その枠組みを地域の安定と平和の機構にしていくことが必要です。
尖閣諸島の問題では、尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的事実や国際法上も明白で有ります。
従って、日本領海内での中国の監視船の航行や航空機による領空侵犯、日本の実行支配を脅かす動きなど、絶対に許される行為ではありません。
現在、尖閣諸島をめぐる紛争問題が起こっている背景には、歴代日本政府が、尖閣諸島の領有の正当性を国際社会及び中国政府に対して、何回も重要な機会が有ったにも関わらず、理を尽くして外交的に主張してこなかったことが有ります。従って、今重要なことは日中双方が領土問題に関わる紛争について、冷静な外交交渉による解決を図るとともに、現状を変更する物理的対応、軍事的対応を厳しく自制し、両国の経済関係、人的、文化的交流に影響を与えないよう努力を図ることが重要です。
力対力という立場に立って、これらの問題を軍事力や軍事同盟強化、憲法9条を改悪し、戦争する国づくりに利用することは絶対に許されません。
紛争を戦争にしない、対話によって解決するという憲法9条の精神は、今世界で大きく広がっています。
たとえば、東南アジア諸国連合、ASEANの国々では、軍事に頼らない平和的安全保障の考え方を取り入れて実践しており、東南アジア友好協力条約TACは、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げ、57か国、世界人口の72%に広がるなど、巨大な流れになっています。このような方式を北東アジアにも広げる努力が求められていると考えます。
よって、今こそ日本国憲法を守ることが世界と北東アジアの平和と繁栄のために重要であり、憲法を変えるべきでないとの立場から本請願の「採択」に反対し「不採択」を強く主張します。 |