私は、日本共産党県会議団を代表して、上程中の2013年度関係議案中、議案第115号、第116号、第118号、第122号、第129号、第136号、第138号ないし第141号、以上10件について反対し、討論を行います。
職員給与削減、不要不急の事業に反対
はじめに、議案第115号、2013年度一般会計補正予算案についてです。
本補正予算案は、年間を通じた事業実績の確定を踏まえ所要の整備を行うものですが、反対理由の一つは、県職員の給与を昨年7月から今年3月までの9か月間削減した実績減が含まれていることです。県職員平均で15万円、係長・主査で16万6千円もの削減、教職員では、主幹教諭で18万9千円、役職加算のない教職員で4万5千円削減されました。
これは、国家公務員給与の平均7.8%削減が行われたのに合わせて、安倍自公政権が地方交付税削減により、地方公務員にも押し付けたものです。地方自治への乱暴な介入であり重大な問題です。
しかし県は、「国に逆らっては、起債発行が疑わしくなる」との理由で、県職員の給与カットを強行し、職員の生活や地域経済に悪影響をもたらしました。
第122号議案、兵庫県庁用自動車管理特別会計補正予算案、第129号議案、兵庫県病院事業会計補正予算案についても同じ理由で反対です。
また、今回の補正予算案の中には、従来から問題を指摘している高速6基幹軸の一部である山陰近畿自動車道・浜坂道路や川西インター線も含まれており、さらに、基幹農道蔦沢菅野線の増額も含まれています。以上の理由から、一般会計補正予算案に反対です。
「塩漬け土地」説明なく県民に借金まわすな
次に、第116号議案、県有環境林等特別会計補正予算案、第118号議案公共事業用地先行取得事業特別会計補正予算案についてです。
これは、宝塚新都市の一部約306ha、小野市山田115ha、篠山市小多田99haを、地域活性化事業債や一般単独事業債等を発行して413億6千万円で買い取り、環境林として保有・管理する形にし、その売却収入を借金返済のための財源として、公債費特別会計に繰り出しを行おうとするものです。
もともと宝塚新都市用地は、ゴルフ場開発など乱開発から県土を守るためと称して、1200haを約1千億以上も借金をして取得したものの、バイオ関連産業や、丘陵に邸宅を並べ、3万5千人が住むという新都市計画が破たんして、利用見通しが立たず塩漬け土地となっているものを、環境林として取得し、管理しようとするものです。
今回の宝塚新都市用地は、306ヘクタールで約253億円の簿価となっており、1ヘクタールあたり、8256万円となりますが、以前、新名神用地として、県がNEXCOに販売した1ヘクタールあたり単価は、4300万円と約半分ほどで、今回の土地も、実際の時価評価は、半分ほどにしかならないことは明らかです。
このようなことも県民に説明せず、環境林の名で、特別会計のあらたな借金をすることは許されません。結局、無駄な大型開発事業の借金の付け替えであり、事業を失敗した反省もなく、責任の所在も明らかにせず、なし崩し的に処理をすることには反対です。
また、これまでの用地取得の償還にかかる公債費繰り出しについても同様の理由で認められません。
赤字の但馬空港 民間にまかせても解決しない
次に、第136号議案、県立但馬飛行場の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例についてです。
県営の地方空港である「但馬空港」の管理運営を、現在の指定管理方式から周辺の公園も含めて「運営権方式」に変更するものです。
コストカットのためと言いますが、毎年度、多額の赤字補填を計上している赤字空港を、運営権方式にして、採算性をあげることは不可能であり、むしろ空港の安全性を危うくさせる危険性を伴うもので、利用料金制も、条例上の料金設定そのものがなくなることにもなり、認められません。
「大企業呼びこみ型」から中小企業中心の経済対策に転換を
次に、第138号議案、「ひょうご経済・雇用活性化プラン」の策定の件についてです。
この「活性化プラン」では、アベノミクスと同じ「デフレ脱却」の目標をめざし、兵庫経済の目指す姿として、「活力あるしなやかな産業構造」を掲げています。その第1に「成長分野を核に発展する産業構造」として、先端科学技術基盤の集積、特区制度による規制緩和、高度技術関連分野の企業誘致の推進に向け、立地インセンティブの強化、立地企業の環境整備等に取り組むとしています。そして、相変わらず「県内投資を促進する立地競争力の強化」をめざして、「税の軽減や優遇措置などにより・・立地を促進する」としています。
わが党も、科学技術やその分野の産業が発展することについては重要と考えます。しかし、特区を設け、規制緩和し、税財政の優遇措置、誘致補助金など至れり尽くせりのおぜん立てをして立地環境を整備するというのは、余りにも大企業を優遇し、パナソニックの失敗の経験など全く生かされていません。
県外から大企業を呼びこんでも、利潤は本社に吸い上げられ、雇用や地域経済への恩恵も少なく、好循環に結びつかないことは全国でも、兵庫でも証明済みとなっています。このような産業政策からの転換こそが求められています。
事業所数で99%、従業員数で約8割を担う中行企業への手厚い支援が必要ですが、提案されている活性化プランでは、中小企業の位置付けは,きわめて弱いと言わざるを得ません。
全国では、すでに25県が、中小企業振興条例をつくり実施しています。県の活性化プランも、中小企業振興策を核にした内容に、抜本的に転換すべきことを指摘しておきたいと思います。
そして、デフレ脱却というなら、大企業の成長を助けて、そのおこぼれを待つというのではなく、デフレの原因を取り除くこと。すなわち、県民の給与・賃金の引き上げが求められているのに、県としての目標や取り組みは示されていません。
以上のことから、本件については反対です。
大規模事業所にCO2総量削減義務づけを
つぎに、第139号議案、第4次兵庫県環境基本計画の策定の件についてです。
この基本計画には、「ごみ処理広域化方針」が書き込まれています。この広域化方針にもとづいて、大型ごみ処理場建設がすすめられており、ごみの減量化につながらず、環境にも影響をあたえる計画に、北但馬や東播磨で住民から反対の声があがっています。
また、「低炭素〜CO2排出をできる限り抑え、地球温暖化を防止する」と掲げられています。しかし、産業・家庭・運輸などをすべて含めた県内のCO2排出量7148万トンのうち半分の3585万トンが、県内の22万のうちのたった640社の大規模事業所から排出されており、ここを減らさなければ、削減はできません。にもかかわらず、計画は、総量規制の義務付けをせず、排出抑制計画の策定及び措置結果の報告を求めているにすぎず、あまりに不十分です。
以上のことから、第139号議案に反対です。
ムダな高速道路でなく住宅建設を
つぎに、第140号議案、ひょうご社会基盤整備基本計画の改定の件についてです。
今回の改定は、「21世紀長期ビジョン」に描いた兵庫の将来像に向け、真に必要な社会基盤整備を戦略的に推進するための計画と位置付けられています。
具体的には、国の国土強靭化政策に沿ったもので高速道路のミッシングリンクの解消と称して名神湾岸連絡道路などをすすめ、無駄なダムの一つである金出地ダムなども整備するとしています。また、県営住宅についても行革方針に沿って、建て替え戸数の事業費を圧縮し、平成32年に県営住宅管理戸数を5万戸に削減する計画などが含まれており、認められません。
行政は教育内容へ介入やめよ
最後に、第141号議案、「ひょうご教育創造プランの改定」についてです。
日本共産党県会議団は、そもそも改悪された教育基本法にもとづく教育基本計画として、「教育創造プラン」を策定することそのものに反対をしています。
それは、教育とは人間の内面に深く関わる崇高な営みであり、「これが絶対」というものはなく、子ども自身が教師との日々のふれあいや教材の中から自らの生き方を探り、選び取っていくものであり、行政や政治が介入し、特定の価値観を押し付けたり、誘導すべきではないからです。
教育行政が行うべきは、教育条件の整備です。現在、日本の教育予算の水準は、OECD諸国の中で最低であり、兵庫県でも教育予算を抜本的に増やし、学校事務費の増額、少人数学級の実現や高すぎる学費の解消こそが早急に求められています。
したがって、今回の改定に反対です。
以上、議員各位の賛同をお願いして、わたくしの討論を終わります。 |