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本会議 第322回本会議一般質問 宮田しずのり
2014年2月27日

くらし守り、防災進める新年度予算を

「第3次行革」撤回しくらし充実を

 はじめに、県の新年度予算案の方針についてです。
 昨年10月〜12月の国内総生産の伸び率は、前期比0.3%増、年換算でも1%増に留まり、伸び率は下がる一方です。円安が続いているのに輸出も伸びを欠き、アベノミクスのシナリオの破たんが明らかになってきました。「誤算の理由は、個人消費が前期比0.5%増にとどまったこと」とマスコミも指摘してもいます。国民の給与、賃金が増えていないことが根本的な問題です。こうした中で、県民の生活応援、給与を押し上げる県予算が切実に求められています。
 ところが、井戸県政4期目の最初の予算編成は、第三次の行革プランに基づき県民と職員に犠牲を押し付ける内容となっています。
 老人医療費助成事業は、今回、窓口負担1割だった低所得者Tの人は2割負担に、2割負担だった低所得者Uの人は自己負担上限額を外来月8,000円から12,000円などに引き上げるものです。
 そもそも、1982年まで無料だった老人医療費は、1983年に一部窓口負担が導入されて以降、削減が繰り返され、現在、対象人口の推計37万2千人に対し、助成制度の対象者はわずか6%、21,000人に過ぎません。
 年金は下がり、物価は上がる中、ある医療機関では、慢性疾患を持つ高齢者が、検査を断ったり、治療を中断し、意識混濁状態になって病院に搬送された時には糖尿病が重症化していて手遅れだった例も報告されています。
 また、母子家庭等医療費助成対象者は現在、子どもと養育者合わせて10万人ですが、その内、4万数千人、半数近い対象を一気に外すことになります。今年1月に発表された神戸市の「ひとり親家庭調査」では、母子世帯の5割は就労収入が200万円未満であり、「さしあたりの生活費」に困っていると答えたのが64.5%もあります。医療費軽減策の充実こそ、求められています。
 また、私立高等学校の授業料軽減補助や経常費補助の削減は、公私間格差の是正に逆行するもので、年収250万円以下の世帯、それも学費全体ではなく授業料のみ辛うじてカバーできる額に過ぎません。学費全体の無償化こそ求められています。
 このように今年度の県予算は、福祉や教育を削る一方で、投資事業は、「行革枠」として新たに1580億円を優先確保し、更に別枠の国加算分を加え、1912億円を計上しています。「これについて、2月十八日付け神戸新聞社説は、「投資規模を確保する。県予算の狙いは、この点に集約される」と報じています。
 新年度予算案が、県民生活か公共投資か、どちらに重きを置いているか明らかです。
 知事、いま、国は消費税増税や社会保障大改悪という、国民負担増をすすめようとしています。こういう時、県民生活に更なる苦難を押し付ける「県行革」は転換すべきです。
 福祉、医療、教育を狙い撃ちにした第三次行革プランは撤回し、逆に福祉、教育を思い切って充実し、全ての県民が希望の持てる新年度予算編成を求めますがいかがでしょうか。

○井戸知事答弁:
 県の新年度予算案の方針についていろいろお尋ねがありました。
 県民の期待に的確に答えられる、持続可能な行財政構造を確立することは、これからの行財政を維持していくために不可欠な見直しであろうかと考えております。
 今回の第三次行革プランにおいても国の政策動向や社会経済情勢の変化等を勘案して、優先度も見極めながら重点化をはかっております。
 老人医療費助成事業は国における70〜74歳の自己負担割合の見直しによって65歳から69歳の負担割合との逆転現象を解消するために、必要な見直しを行いました。限度額の引き上げは、低所得者区分TとUの、自己負担割合が従来1・2割だったものが、同等となってしまいますので、負担のバランスをはかったものであります。母子家庭等医療費助成事業は、乳幼児・子ども医療費助成事業の充実をふまえて、母子家庭と同程度の所得水準である他の世帯との不均衡を是正するため、対象を経済的不安の大きい低所得者層に重点化したものです。見直し後でも、乳幼児・子ども医療をあわせたカバー率は7割を超えています。
 授業料軽減補助については国の就学支援金の見直しに対応して、低所得者層に重点的に配分したものです。経常費補助の見直しは、地方交付税措置の重複分について段階的に解消をはかることにしています。
 また、阪神・淡路大震災からの20年を迎えるという節目であります。平成26年度当初予算では、喫緊の課題となっている地震・津波・風水害への総合的な備えの充実や、公共施設等の老朽化対策を推進するために有利な財源を活用するなどして、投資事業規模を確保したものであります。不必要な事業を行うものではないと考えています。
 福祉の充実については、税と社会保障との一体改革で、新規対応事業でも約50億円の一般財源を投じています。教育も充実をはかりました。
 今後とも、第三次行革プランの着実な推進をはかり、県民の皆様の期待にこたえてまいります。

津波防災対策の強化を

 次に、南海トラフ巨大地震・津波防災対策についてです。
 県は、この間、津波浸水想定図を発表しました。
 私の地元尼崎市は、もともと尼崎平野は、縄文海進時の軟弱層が広く分布し、液状化しやすい地盤からなっており、その上、かつての工業用水くみ上げによって地盤が沈下し、JR線以南は海抜ゼロm地帯を多く、そこに人口が密集しています。これまで、この市民の命と財産を守ってきたのが18qに亘る防潮堤と尼崎閘門でした。
 それだけに今回の県の発表にも、住民の関心が非常に高く、疑問や不安の声が多く寄せられています。
 まず、兵庫県と大阪府の浸水想定図のちがいの問題です。
 県の発表では、尼崎市の浸水の深さは,概ね1〜2mとなっています。
ところが、大阪府の発表では、神崎川を1つ挟んで尼崎市と隣接し、同じようにゼロm地帯が多く、地質も同じと思われる西淀川区のJR線付近で1〜2m、阪神線付近で1部2〜4mの浸水の深さになっています。
 つまり、尼崎市域の方が、津波の水深が2m浅くなっています。
 県は、この差が生じた原因について、データの違いや阪神淡路大震災後の堤防の改良・耐震化などと言われますが、今度、備えなければならない南海トラフ巨大地震の地震動は、3分を大きく超える長周期であり、より大規模な液状化が予想されます。
 液状化は、1度起これば何度でも起こると言われ、阪神淡路大震災で大きな被害を受けた堤防も改良されたから大丈夫だという保障はありません。
県は、地震による側方流動などの防潮堤被害の判断が甘く、河川堤防では、液状化による沈下すら想定していません。
 県は、新年度予算のなかで、沈下する「防潮堤」の一部を詳細に調査するとしていますが、今後、防潮堤や河川堤防の液状化の影響をきちんと反映し、浸水想定を、再検討すべきと考えますが、いかがですか。

 もう1つ重大なのが尼崎市南部に集積する工場群の津波火災の対策です。
 国道43号から南の海岸沿い至る広大な地域は、所謂、石油コンビナート等災害防止法に該当する地域では有りませんが、鉄鋼、化学、石油関連などの企業が大規模に集積する工場地帯です。
 現在,尼崎市内には、34事業所に石油類タンクが259基設置され、6万1220klが貯蔵されていますが、その大多数が津波で浸水すると想定されている南部に集中しています。
 この内、千キロリットル以上の特定屋外タンクと5百キロリットル以上1千キロリットル未満の準特定屋外タンクを合わせた41基については、消防法に基づいて地盤とタンク本体の耐震化が義務付けられています。しかし、耐震化が義務付けられている大型のタンクすら2割近い7基が「非適合」ないし完全に耐震基準を満たしていない現状にあります。
 それ以外の500キロリットル以下の218基については、3・11以後に、津波火災等の際の避難体制の整備は義務付けられたものの、耐震化については何の義務づけもなく、現状を把握している部署はどこもありません。
 高圧ガスタンクは127基。その内、液化石油ガスなど可燃性・毒性のあるタンクが24基あり、内16基が臨海部にあります。それ以外に劇物、毒物として登録されている事業所が15社あります。
 しかし、これらの流出による津波火災は、県の浸水想定図の中では、全く考慮されていません。
 そこで、県として、石油コンビナート等災害防止法に准ずる内容で、県と市が民間事業所や経済団体と防災協定を結ぶことや、事業所職員の避難体制の整備、事業所の敷地部分や護岸のかさ上げ、液状化対策、施設の耐震化などを義務付けるなど実行性のある仕組みづくりを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最初に述べた、堤防の液状化の影響を反映した県の浸水想定の再検討の問題と合わせ、答弁を願います。

○杉本防災監:
 このたびの津波シミュレーションにつきましては、国が開発したプログラムを用いて沈下量を算定するなど、地震動による防潮堤・河川堤防等の被害を考慮し最悪のケースを示すとともに、ハード整備の参考とすることを目的に実施したものでございます。今後、浸水区域を縮減するために沈下量の大きい箇所とそれに対する工法等を専門家委員会で検討して、津波防災インフラ整備5箇年計画を中心として対策を講じてまいります。
 大阪側との違いでございますけど、兵庫側の堤防につきましては、阪神淡路大震災後、新耐震基準を用いまして、堤防を河口から約3.5km 復旧しております。それから、大阪側と比べ液状化を起こす軟弱層の厚さが2m 程度薄いということもあげられまして、こうしたことによるものと考えております。
 今後、専門家の意見を聴きながら、必要な箇所について、防潮堤・河川堤防の側方流動を含めた縦・横の変形等を詳細に解析を致しまして、沈下対策を検討してまいります。したがいまして、現時点で、浸水想定を見直す状況にはないと考えております。
 石油類の屋外貯蔵タンクの設置にあたりましては、規模の大小を問わず国の法令で耐震性を確保することが定められております。このうち500kl 以上のものにつきましては、平成16年に基準が見直されまして、平成29年3月までに改修を終えることになっております。石油類タンクの指導権限につきましては、市町の消防本部にあると言うことでございますので、県と致しましては、尼崎市消防本部と連携を致しまして、配管や施設の耐震性能、避難体制等について、確認や指導の徹底を図ってまいります。
 また、尼崎市内の可燃性・毒性を有する高圧ガスの貯蔵タンクにつきましては、津波による流出のおそれがあるとされる浸水深3m 以上のエリアに存在しておりません。いずれも国の耐震設計基準を満たしております。今後とも、定期的な立入検査を行いまして、耐震性や緊急時の避難等ハード・ソフト両面から、対策の徹底を求めてまいります。

防災・老朽化対策進める職員削減やめよ

 次に、今後の防災やインフラ老朽化対策などを進める県職員の体制強化について、県民の命と安全、県土を守る立場から改めて質問します。
 県では、今後、南海トラフ巨大地震に備えた津波防災対策に加え、日常的な道路、橋梁、河川の維持管理、老朽化対策が必要になります。
 中でも、橋梁だけを見ても4700の内、すでに4分の1が50年の耐用年数を超え、7年後の2020年には半数の2,350、17年後の2030年には7割の3,300の橋が耐用年数を超えます。
 しかし、必要な維持・管理などが充分行われていなければ、笹子トンネルやJR北海道のような大惨事を招くことになります。
 県のインフラでこうした事態を未然に防止する為には、財源もさることながら、県職員の人的体制の確保が不可欠なことは言うまでもありません。
 しかし、県は、新行革プランで職員を2割削減し、さらに今後1割減らす計画です。その結果、必要な部署、とりわけ土木職,建築職など専門知識と経験を持った技術職員が大幅に不足しています。
 これを出先の土木事務所でみると、新行革プランの5年間で土木職121人、建築職21人、合計142人、2割も削減され、今後更に第3次行革で1割、60人からの専門技術職員が削減さようとしています。
 県はこの人手不足をカバーするために、新たに「社会基盤施設総合管理システム」の導入や県職員の再任用、それに「まちづくり技術センター」やコンサル、民間業者への委託など外部技術力の活用を行うとしています。
 しかし現場では、例えば土木事務所の職員は、多忙のため、道路や橋梁、河川など日常の点検、維持、管理の仕事にも支障を来し、長時間労働も余儀なくされています。
 今年度から運用開始された社会基盤施設総合管理システムは、現場の意見を聞かずに作成され、ピンポイントのデータは入っていても、例えば、道路の平面図、電線、ガス管など古い構造物が入っていないなど現場で活用しにくいと聞きます。
 退職者の再任用者は週4日、30時間内の勤務で、仕事量にも限界があり、大量退職した団塊の世代が65歳を超えると再任用者で補うことも困難になります。
 現在でも、設計はほぼ90%以上がコンサルタント。本来、県職員が行うべき積算や工事管理は「まちづくり技術センター」へ大きく依存しています。
 職員は、委託したコンサルから設計図を受け取り点検しますが、多忙のため、間違いが有っても発見できず、次の委託先「まちづくり技術センター」での積算段階や入札段階で業者に指摘される場合もあると言われます。
 私は、この間、多くの職員やOB職員から、異口同音に、県職員自身が設計していた時期と比べて、現場技術力が低下しており、将来が心配という率直な声が聴かれました、これは県職員の能力の問題ではありません。
 行革で人員を大幅に削減した結果、職員が以前のように、設計、積算、工事管理などに直接関わることが大幅に減少し、現場技術力を高めていく機会が少なく、経験を積んだ職員からの技術継承もできにくい、研修の時間も十分とれない状態になっていることを、知事ももっと深刻に受け止めるべきではないでしょうか。
 全国的にも東日本大震災の後、公務員と公務労働の役割が見直されてきています。
 わが党は、公務員は少なければ少ないほど良いという議論には組みしません。
 あくまで、県民の安全、安心、県民の財産である県土を守る立場から、必要な部署に必要な人数と人材を配置すべきではないでしょうか。
 そこで、第3次行革プランにおける職員の1割削減計画を見直し、とりわけ総合土木職、建築職など技術職、専門職はこれ以上の削減をやめ、充実を図ることを提案しますが、いかがでしょうか。答弁願います。

○井戸知事答弁:
 防災やインフラ老朽化対策をすすめる県職員の体制強化についてのお尋ねがありました。
 持続可能な行財政基盤を確立するためには、常なる改革が不可欠であります。とりわけ、仕事の仕方を効率化することにより、定員につきましては一般行政部門で平成2 0年度から2 5年度までの削減実績2 2 . 4% を踏まえまして、今後30年度までで約8%の定員削減、全体として3割の定員削減に取り組むこととしています。
 このため、執行体制の確保にあたりましては、単に一律に削減するのではなく、災害復旧など県民の安全安心に直結する分野については重点的な職員配置を行うなど、適切な対応に努めています。
 こうした中、ご指摘の土木・建築分野にありましても、防災対策や社会基盤施設の維持管理・老朽化対策を着実に推進していく必要があります。そのための適切な執行体制の確保はもちろん、効率的な業務推進と的確な技術の継承を進めています。
 事業量が増加する場合には、必要に応じて増員を行うなど全体の業務量に応じた人員配置を行っています。また、民間委託やOBを含めた土木技術を有する経験者の活用など、円滑な執行体制の構築に努めています。団塊の世代対策も十分注意してまいります。あわせて、現場との意見交換を積み重ねて作り上げました「社会基盤施設総合管理システム」の活用を図ってまいります。点検結果や修繕・更新履歴等の検索など事務の迅速化が図られると考えています。
 また、技術の継承については、道路や橋梁など分野別、階層別に多彩な研修を開催するとともに、工事内容に応じて、外部委託に頼ることなく、若手職員自ら、測量・設計から工事監督まで一貫して取り組むことも行っています。県職員自らが担当すべき仕事は県職員があたることを旨としているものです。
 今後とも、スリムで効率的な執行体制のもと、職員の協力を得ながら県政の推進にあたってまいります。

ブラック企業対策強化を

 次に、いわゆるブラック企業についてです。
 厚生労働省が昨年9月、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対して、重点監督を実施し、このほど発表された結果を見ますと重点監督を実施した全国5,111事業場の内、何と82%の事業場で労働基準法違反が明らかになりました。
 この内兵庫労働局管内では、重点監督を実施した208事業場の内、83%の事業場で時間外労働、賃金不払い残業、健康障害防止対策の違反があり、是正勧告が出され、健康障害防止措置と労働時間の把握方法が不十分だった91事業場に指導票が交付されました。
 
 時間外労働では、最長で月80時間を超える労働者がいる事業場が、4分の1にものぼり、10時間、12時間労働が常態化しています。
 社員の7割に及ぶ主任級以上を管理監督者として扱い、割増賃金を支払っていなかった例など、ひどい実態が浮き彫りにされました。
 その背景には、派遣法などの労働法制の相次ぐ規制緩和で、非正規雇用が全労働者の4割近くに達する中で「正社員で募集すれば、いくらでも人が集まる」という労働市場があります。
 ところが、安倍内閣は、今国会に派遣労働の期限を取り払い、更に派遣労働を拡大する大改悪案を提出していますが、絶対に容認できるものではありません。
 これに対し、日本共産党は、長時間労働の是正、労働条件などの情報公開、パワハラをやめさせる、の3本柱からなるブラック企業規制法案を参議院に提出しているところです。
 まさにこの問題は、社会全体の問題として取り組む必要があります。
県は、昨年9月県議会でわが党議員がこの問題で質問したのに対し、知事名で兵庫県経営者協会に対し、文書で依頼した以外は、若者応援企業の公表、労働法のパンフの普及は労働局が行ったもので独自のものは無く、これではとても本腰を入れた取り組みとはいえません。そこで、改めて県独自の取り組みについて提案します。
 具体的には、経済団体や労働団への更なる働きかけ、若者に対しては基本的な働くルール、労働条件等を知らせる簡便なパンフレットなどを作成し普及。県が許認可権をもっている業界や事業所、工事発注ななど取引のある業者への労働基準法の遵守など「職場環境改善の取り組み」の要請、更には県立大学や高等学校で労働基準法など働くルールに関する教育など是非、本腰を入れて取り組むべきと考えますがいかがですか、答弁願います。

○石井産業労働部長:
 ブラック企業についてご答弁いたします。
 企業が労働基準法等の労働関係法令を遵守することは当然の責務であります。いわゆるブラック企業対策は、県・労働局・労使団体が連携して一体となって取り組むべき重要な課題と認識いたしております。
 このため、県では、政労使による雇用対策三者会議等におきまして厚生労働省での重点監督の取り組みや、労働関係法令の遵守等につきまして、労使団体に対し、改めて周知徹底を行いますとともに、各地域に起きましても、県民局ごとに労使団体・商工団体・労働基準監督署・市町等の出席のもとで、地域別雇用対策三者会議を開催し労働関係法令の遵守等について周知をはかっているところです。
 また、県が発注する工事等の契約書に関係法令を明記することとしているほか、契約関係課長等で構成いたします、請負契約等における労働条件対策連絡の会議を設置いたしまして、庁内での労働関係法令遵守の徹底に取り組んでいるところです。
 またさらに、若者しごと倶楽部におきまして、厚生労働省が昨年9月に実施した重点監督の取り組みをうけ、労働関係法令等の基礎知識等の冊子を県独自に10月に印刷をし配布をしますとともに、必要に応じてこの点に関します相談等に対応しているところです。
 あわせて、県立大学をはじめ、神戸学院大学・武庫川女子大学等へ労働局から局長自ら講師としてまいりますとともに、高校におきましては、公民科の授業で法律や雇用、労働問題等の幅広い学びや、企業等との連携による実効性あるキャリア教育を推進するなかで、若者への働くルールの周知等を行ってまいります。今後とも、若者が適正な労働条件のもと生きがいを持って働くことができるよう政労使が連携し労働関係法令遵守の周知徹底にとりくんでまいりますのでよろしくお願いいたします。

温暖化対策 大規模事業所に総量規制を

 次に、地球温暖化防止対策についてです。
 政府は、温暖化ガス排出量が世界5位にもかかわらず、「2020年で2005年比6%減」という、京都議定書の基準年である90年比では3%も増加する目標を示し、原発を動かさなければ削減が進まないかのように説明し、国際世論の厳しい批判を浴びました。
 原発の稼動で温室効果ガスが減らせるというのは誤りです。
 現実に、これまで原発依存度を増大させてきた期間も温暖化ガスの排出量は増加してきました。
 県の「第三次地球温暖化防止計画」案は、県としての削減目標を05年比6%減としていますが、これは90年比では3%減で、政府より上積みされているものの、京都議定書目標25%減からはほど遠いものです。
 兵庫県は、温室効果ガス排出量が2011年度のCO2換算で7148万トンと、都道府県レベルのワーストクラスです。
 その内、7割が産業・業務部門によるもので、中でも県内事業所22万の内、わずか0,3%、640の大規模事業所の排出量が3585万トンと、県内排出量の半分をしめ、大幅削減のためには、ここの削減がカギになります。ところが、今回の計画でも、大規模事業所には、削減計画と報告を義務付けているだけで、削減の実施義務は課していません。
 県として、企業まかせにせず、原単位すなわち生産単位の排出量ではなく、排出総量の削減を大規模事業者に実施させる仕組みづくりが必要です。
 東京都では、2000年比25%減の目標をもち、その達成に欠かせない大規模事業所の排出削減について、自主的な取り組みでは限界があるとして、2009年に条例をつくり、独自に約1400の事業所に対して総量の削減を義務化した、いわゆるキャップアンドトレードを導入しました。
 私は、東京都にうかがいましたが、2010年―2014年の第一計画期間中に、事業所ごとに6または8%の削減義務率を定め、その実効性確保のためのきめ細かな制度のもとで、目標達成は確実となり、その後の第2期も15または17%の義務率を設定し、削減が進む見込みが出来たとのことでした。
 当初、「企業の成長に反する」など反発の声も多く出されましたが、実施して見ると、省エネによるコスト削減や企業のイメージアップにもつながり、排出量取引を使うまでもなく目標達成に至る事業所が大部分を占めたとのことです。
 企業の発展と省エネ・低炭素化は相反する課題ではないことを示しています。
 さらに、兵庫と同様工場の多い埼玉県でもキャップアンドトレードに踏み出しています。
 そこで、県として、低炭素で持続可能な兵庫県にするため、京都議議定書並みの目標をもち、大規模事業所に総量削減を義務付ける制度を導入し、合わせて今回から開始する特定物質排出状況と削減計画の公表は、事業者単位でなく事業所ごとに改めよう提案しますが、いかがですか。

○藤原環境部長:
 地球温暖化防止対策についてお答えいたします。
 「第三次地球温暖化防止推進計画」では、国と同様に、原発による削減効果をほとんど見込まない直近の2012年の電源構成を前提とし、国の対策に県独自の対策を上乗せして、温室効果ガス削減目標を設定したところでございます。
 ご指摘の鳩山政権時の25%減目標は、当時のエネルギー基本計画に基づく、原発の新増設を前提としたものです。仮に、電源構成を基準年度の2005年度相当とした場合には、県の、今回設定した目標は、2005年度比で15%削減となり、かなり野心的な目標になったと認識しております。また、さまざまな操業形態をもち、一律な対応がむずかしい産業部門の排出割合が大きい本県では、事業者自らによる削減目標の設定と、県への提出、計画的な削減対策の推進、県への結果報告等を内容とする制度を、2003年度から実施しており、産業部門で、第2次計画の目標年度である2010年度に、1990年度比で県の見込み比6.3%減を上回る7.6%減と着実に削減が進んできたところでございます。また、複数の事業所を要する事業者に、より計画的・効率的な削減を促すためエネルギー効率が高い事業所への生産シフトなどの工夫が期待できる事業者ごとの公表を原則として制度設計をすすめていくこととしております。今後、第3次計画の目標達成に向け、県民の皆様、事業者、団体、行政が一体となった総合的な温室効果ガスの削減の取り組みを進めてまいりたいと思います。

住民主体で再生可能エネ大幅導入を

 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてです。
 固定価格買取制度により、住民・地域による発電などの取り組みが急速に進み、自治体としての再生可能エネルギー中心の政策づくりも広がっています。
 県も100万キロワット作戦をかかげていますが、県内のエネルギー消費のうち再生可能エネルギーが占める割合は、2020年に約5%にしかなりません。
 将来の県のあり方を見据えた積極的なエネルギー政策が必要です。県内のエネルギー消費を省エネによって抑えた上でそのうちの大部分を再生可能エネルギーでまかなう目標と計画を持つべきです。
 同時に、地域資源を活かした地域経済振興や産業の育成など、住民主体の地域づくりと結んだ普及が重要です。
 私は、この間、再生可能エネルギーが地域の雇用や産業の振興につながり、衰退していた地域の希望を生み出している例を幾つも見聞きしてきました。
 高知県梼原町は、地形を活かした風力発電と、林業の振興と一体に木質バイオマス普及を進めてきたことで、林業やペレット生産の工場で雇用が生まれ、こうしたまちづくりで観光客が増えるなど、地域活性化につながっています。
 徳島県では、「過疎・高齢化する地方で、自治を守るためにも、自分たちの足で立ちたい」として、徳島再生可能エネルギー協議会が発足し、市民共同出資の太陽光発電で出資者に地域の特産農産物を贈ることにより出荷する小規模農家にも喜ばれているとりくみなど、県下各地でのエネルギーの開発をコーディネート。協議会自身も新たな雇用を生み出しています。
 ところが、兵庫県の再生可能エネルギー普及策には、こうした地域振興の視点が極めて弱いと言わざるを得ません。
 メガワットソーラーは、地域外の大手企業によって設置されれば、地域のお金が地域で循環せず外に流れるだけということになりかねません。
 昨年度の企業庁の太陽光発電施設の契約率を見ると、金額ベースで地元中小企業はわずか16%に過ぎず、大手が84%を占めています。
 県は、今後の県エネルギー計画を策定しようとしていますが、将来の原発ゼロ・脱化石燃料の兵庫県を見据えて、2020年までに再生可能エネルギーを県内エネルギー消費量の2割まで引き上げ、地域経済・地域振興の視点から住民の取り組みを支援する計画とすることを求めますが、いかがですか。

○井戸知事答弁:
 住民の取り組みを支援する今後の県エネルギー計画についてのおたずねがありました。
 本県では平成14年にグリーンエネルギー推進プログラムを策定して、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に取り組んできました。
 一昨年の固定買取価格制度開始後は、再生可能エネルギーをあらたに100万キロワット導入する目標をかかげ、太陽光・小水力・風力・バイオマスなど、多様なエネルギー源の導入をめざしています。
 県としては、家庭や中小企業への融資でその導入を支援しておりますが、ご指摘の地域振興の観点からは、環境未来島構想に取り組む淡路では、県民債を活用した住民参加型太陽光発電事業を実施しています。山間部では未利用の木材をバイオマス発電に供給するための林内路網の整備など、林業の循環システムとあいまったバイオマス発電の推進をはかっています。
 企業庁では太陽光パネルの架台への県産木材の活用にもとりくんでおります。
 来年度は、地域住民主導の取り組みを応援するため、自治会等が主体となった、太陽光発電等の導入への支援をおこないますとともに、多自然地域の集落を対象に、大規模災害時の非常用電源等の確保につながりますエネルギー自立の村づくり支援事業などを推進してまいります。
 しかしながら電力需給を考えますと、自然条件の影響を受ける再生可能エネルギーのみでは十分な電力量をまかなうことはできません。したがって、当面は、国のエネルギー基本計画案でも明記されているベースロード電源が必要と考えています。
 こうしたことも踏まえながら、省エネ型生活スタイルの推進でどの程度のエネルギー需要が抑制できるか、ベースロード電源として石炭やLNG火力発電の立地はどの程度可能か、地域のポテンシャルを最大限に活かして、再生可能エネルギー100万キロワット増の目標をさらにひきあげることができるか、などの観点から将来の兵庫県のエネルギー政策の在り方を検討し、計画としてとりまとめるとともに、地域資源の更なる活用や住民・地域が計画推進に参画しやすい環境づくりをめざしてまいります。どうぞよろしくご指導ください。

介護保険からの要支援外し中止を

 次に、介護保険の充実についてです。
 国は、税と社会保障の一体改革と称して消費税増税をする一方、医療・年金・介護・子育て支援など、社会保障制度の大幅な切捨てを進めようとしています。
 介護保険制度では「要支援1・2」と認定された高齢者、全国150万人の「訪問介護」と「通所介護」を介護保険サービスから外し、ボランテイアなどが担う市町事業に丸投げすることや、特養ホームの入所を要介護3以上に限定すること、一定以上の所得者の利用料を2割負担にするなどの方針を示しています。
 中でも、「訪問介護」と「通所介護」は、「地域支援事業」として市町が行うこととし、更に国は、市町に支出する財源を75歳以上人口の伸び率に応じて事業費に上限を設けるとしています。
 これでは、市町は費用削減のため、利用者の負担引き上げ、介護サービスを専門職からボランテイアへの肩代わり、事業者報酬の引き下げなどを実施する事態が懸念されます。
 兵庫県社会保障推進協議会が県下の全自治体に行った緊急調査では、地域支援事業への移行について回答を寄せた34市町の内、9市町が不可能と回答、判断不可は16市町にのぼり、「予防給付を市町事業とすることは、現在の人員体制では難しい。「利用者の自己負担が増加し、市町に格差が生じる」「要支援認定者の中にはガン末期や認知症などの事例があり予防給付がなくなると生活できなくなる」などの意見が寄せられ、市町への移行は困難な状況が浮き彫りになっています。
 介護サービスが必要な人を介護保険から締め出し、「軽度」の高齢者が十分な支援を受けられないことになれば、介護の重度化が進み、本人と家族の負担が耐え難いものになるだけでなく結果的には介護給付費の増加につながります。
 保険料を徴収しておきながらサービスが使えなくなるのは「国家的詐欺だ」との声が上がるのも当然ではないでしょうか。
 知事は、県下の介護認定者の内、35.2%を占める94,043人の要支援の高齢者が、介護保険から除外されるのをこのまま見過ごすのでしょうか。
 国に対する介護保険外しの中止を求める声は、全国で高まり、北海道では道内の4分の1を超える47市町が国に意見書を上げています。県下でも、新温泉町議会が「要支援者への保険給付の継続を求める意見書」を国へ挙げたのをはじめ、県社会福祉協議会やホームヘルプ事業者協議会、認知症の人と家族の会などから要望書が提出されるなど、要支援を介護保険サービスの対象から外さないでほしいという声は切実です。
 そこで、知事も、この県民の声を真摯に受け止め、高齢者から介護保険サービスを奪う、「要支援」の介護保険外しの中止を国に強く求めるとともに、県としては、従来と同様の介護サービスが受けられなくなる高齢者を一人も出さない取り組みをすべきです。
 知事の誠意ある答弁を求めます。

○大田健康福祉部長:
 介護保険の充実についてお答えいたします。
 今回の介護保険改革につきましては、ひとつの特別養護老人ホームの新規入居者を原則要介護3に見直すことにつきましては、本県では現在の入居中の方の多くは要介護3以上でございますこと、また、国の制度改革でも認知症で常時の見守りや介護が必要な要介護1・2の方の入所を認めておりますことから大きな混乱は生じないものと考えております。
 二つ目の一定以上所得者の2割負担にすることにつきましては、負担能力のある方には応分の負担をしていただくことによって、世代間や世代内の公平性を確保するものと考えております。
 市町事業に移行したします、訪問介護・通所介護につきましては、市町が、配食や見守り等の生活支援サービスを一体的に提供できますことから効率的なサービス提供となりますが、実施するに当たりましては、県は必要な予算確保を国に要望しておりますほか、市町の円滑な事業実施とサービス水準のばらつきの防止ということで好事例などをまとめて市町に情報を提供してまいります。
 さらに、生活支援サービスの充実をはかりますため、県としては24時間体制の見守り等を実施いたします地域サポート型特別養護老人ホームの推進や、元気高齢者等が配食などの在宅サービスを提供する、安心地区の整備などを先進的に行ってまいります。今後は26年度の市町介護保険事業計画策定に向け、地域の実情に応じたあり方を県が提案してまいりたいと考えております。

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