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本会議 第320回本会議一般質問 ねりき恵子
2013年12月9日

 安倍自公政権による特定秘密保護法の強行採決に、怒りの声が沸き起こっています。「何が秘密かは秘密」として、政府が勝手に秘密を指定、公務員、民間人問わず重罰で処罰するという、主権在民、基本的人権、平和主義の憲法の基本原則を踏みにじる違憲立法です。12月8日は、太平洋戦争勃発から72年。戦争中、国民の目、耳、口をふさいだ「国防保安法」とそっくりの秘密保護法をこのまま見過ごすことはできません。日本共産党は、憲法違反の秘密保護法撤廃のため力をつくす決意であることをのべ、以下、7項目について質問します。

【「社会保障と税の一体改革」による社会保障破壊反対を】

 はじめに、「社会保障と税の一体改革」についてです。
 これまで政府は、「社会保障財源を支えるには、消費税増税が必要」と言い続け、知事も、「消費税と地方消費税の増強、年金・介護・医療・子育ての4事業の見直しがセットで検討され、社会保障財源として確保されたもの」だと評価しています。
 しかし、安倍内閣は、「社会保障制度改革推進法」にもとづき、医療・介護・年金等あらゆる分野で、制度の切り捨てを進めようとしており、「消費税増税を決めながら、社会保障削減はありえない」という声が吹き出しています。
 中でも、介護保険の改悪は、「要支援1・2」の軽度の介護認定者を、ヘルパーによる生活援助など、介護保険サービスから外し、また、収入が一定額を超える人の利用料を2割に引き上げ、「要介護1・2」の人は、特別養護老人ホームに入所できなくしようとしています。
 医療では、70歳から74歳の医療費の窓口負担を2倍にし、年金も3年間かけ2.5%の支給削減。生活保護も保護費削減が強行され、さらに保護申請のハードルを高くする法改悪がねらわれ、負担増・給付減のオンパレードです。
 一方、大型公共事業や大企業減税を中心とする「経済対策」に6兆円使うとしています。消費税増税で税収が増えても、大企業奉仕のバラマキに使われれば、社会保障を支える財源等が確保できるはずがありません。
 「国は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めた憲法25条から大きく逸脱し、「自助・自立」の名でますます県民を苦しめるものとならざるを得ません。
 そこで、知事として県民の命・暮らしを守るために、社会保障制度そのものを解体するこれらの動きに対し、国に撤回を求めるべきと考えますが、お答え下さい。

○井戸知事答弁:
 まず、社会保障と税の一体改革についてです。
 既存の社会保障の安定財源を確保するとともに、その機能強化を図るためには、税や社会保険料の適正は負担を求めざるを得ない状況であると考えています。こうした負担について、国民の納得を得るとともに、持続可能な社会保障制度を構築していくためには、適切な負担で実施するという観点から、徹底した給付の重点化、効率化が求められなければならないと考えます。
 消費税引き上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化の財源とされています。消費税が8%となる26年度の増収分5.1兆円程度について言えば、まず基礎年金国庫負担割合の2分の1に2.95兆円程度、第2に、子ども・子育て支援や医療、介護の充実などに0.5兆円程度、第3に、消費税の引き上げに伴います物価上昇対策として社会保障4経費の増に0.2兆円程度、高齢化等に伴う自然増対策に1.45兆円程度が振り分けられるとされています。
 ご指摘の介護保険制度において、要支援1・2の方への訪問介護、通所介護は、市町が地域の実情に応じてボランティアなど多様な住民主体による柔軟な取り組みが可能であることから、地域支援事業の形式に見直すものと承知。
 利用者負担の増については、負担能力のある所得の高い方には、2割負担していただく仕組みを設けるもの。
 特別養護老人ホームの入所対象者は、在宅での生活が困難な中・重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化するもの。
 70歳〜74歳の方の医療費の窓口負担の2割への引き上げは、既に平成20年4月から法律上2割負担とされていたにもかかわらず、毎年度約2,000億円の予算措置により、1割とする特例措置が実施されてきたのを見直すもの。
 公的年金の減額は、現在の年金額が平成12年度〜14年度にかけて物価下落にもかかわらず据え置いたことで、本来の水準よりも2.5%高い水準となっているため、この特例水準を段階的に解消するもの。
 このように、社会保障の給付の水準を適切に見直し、負担についても年齢ではなく負担能力別のあり方に切り替え、年齢にかかわらず負担能力のある人には応分の負担をしていただくことによって、世代間や世代内の公平が確保され、持続可能な社会保障制度が確立していくものと考えています。
 なお、5.5兆円の対策は、消費税の増強に伴う景気の腰折れ対策を行い、日本経済を成長路線に導くものと考えています。

【県「第3次行革」による医療費助成削減やめよ】

 次に、県「行革」プランの見直しについてです。
 「第3次行革プラン」企画部会案は、国の社会保障制度の改悪に対し、県民の暮らしを守るどころか、さらなる痛みを伴う内容です。
 国の医療改悪に連動し、65歳〜69歳までの老人医療費助成事業は削減され続け、1999年度から2012年度の12年間で、対象者は19万2千人も削減し、助成額も83億円から8億6千万円へと実に9割もカットされてきました。
 今回さらに、「所得なし世帯」の低所得者1万3千人に対し、現在自己負担1割を2割負担に、「年金所得のみ世帯」8千人への助成は廃止し3割負担とする、非常に冷たい計画で、この年代で、たった3%の人しか助成を受けられない制度へと後退しています。
 また、母子家庭等医療費助成は、所得制限を強め、新たに母子や父子合わせて5万7千人も対象から外されます。
 県は「乳幼児・こども医療費助成事業の充実」や「他の世帯との均衡を」理由にし、対象から外れるこどもは、乳幼児・こども医療費助成制度の対象となると言いますが、母子家庭等医療費助成事業では対象年齢は18歳まで、自己負担は1日600円であるのに対し、こども医療費助成事業の対象は15歳まで、自己負担は定率2割と、制度に開きがあります。
 そもそも、過去の県議会答弁でも明らかなように、母子家庭等医療費助成事業は「生活経済基盤の弱い母子家庭」等に対する「母子福祉施策の一環」であり、世帯への支援を趣旨とする事業です。厚労省の調査でも母子世帯の中で就業しているのは、80%、その内、正規職員の割合はわずか39%、平均年間就労収入は181万円と、非常に厳しい状況が浮き彫りになっています。
 一方で、県債残高が膨らむ大きな原因となった震災前の公共事業の積み増しと、震災復興と称した大型開発について反省と総括はされないままです。「バブル後の20年 兵庫 成長率45位に低迷」と報道された日銀神戸支店の調査で示されているように、高規格道路や空港など大型公共事業では景気回復につながらなかったということです。
 また、2011年度決算ベースで類似団体の平均普通建設事業費1,319億円に対し、本県は2,179億円と高さが際立っています。
 ここにメスを入れず、県民の暮らしを削るばかりでは、さらに内需が冷え込み税収増が見込めず、財政再建も果たせません。
 そこで、行革で老人医療費、母子家庭等医療費助成制度などをさらに縮小するのはやめ、安心して生活を送れるよう制度の拡充こそ求めますがお答えください。

○太田稔明健康福祉部長答弁:
 まず、老人医療費の見直しについてでございますが、福祉医療制度は、県民の安全・安心の基盤の制度として大きな役割を果たしております。見直しに当たりましては、選択と集中の徹底の基本方針に基づき、国の制度改正等を踏まえ、制度を取り巻く環境変化に対応するよう検討を行っております。
 まず、老人医療費助成事業は、65〜69歳の低所得者を対象に自己負担割合を1割、または2割で助成してまいりましたが、国における70〜74歳の自己負担割合の見直しにより、現行制度を継続いたしますと、70〜74歳の低所得者より65歳〜69歳の1割の方の自己負担割合が低くなる逆転現象が生じますため、1割引き上げ2割とするものでございます。
 また、対象者は所得状況により負担割合に1割の差を設けていますことから、負担の均衡を図りますため、2割の方につきましても1割引き上げ3割とすることとしております。
 次に、母子家庭等医療費給付事業は、子供の健全育成と母子家庭等の自立支援を目的に実施をしてまいりましたが、乳幼児等、こども医療費助成事業の充実を踏まえ、また、母子世帯等と同程度の所得水準である他の子育て世帯との均衡を図りますため、対象を経済的不安の大きい母子家庭等の低所得層に重点化をいたしました。その所得水準は、ほかの医療費助成制度の低所得者基準と同様に、障害者自立支援医療の基準に合わせたものでございます。
 今後、企画部会案に対する県議会、行財政構造改革県民会議や市町等のご意見も踏まえ、将来にわたり持続的で安定した制度として維持できるように成案を得てまいります。

【私学授業料軽減など私学助成の拡充を】

 つぎに、私学助成の拡充についてです。
 先月、「高校無償化廃止法案」が可決されてしまいました。
 高校授業料の無償化は、長年の運動を受け、2010年4月からはじまったばかりで、公立高校の授業料年11万8800円を国が負担し、私立高校の授業料も同額、低所得者にはその2倍ないし1.5倍を就学支援金として負担しています。その結果、経済的理由での高校中退者は2009年度1647人から2011年度945人へと半減し、政府もやっと、国際人権規約社会権規約の「中等高等教育無償化の漸進的実行」の留保を撤回しました。
 ところが、年収910万円以下の所得制限を設け、4分の1もの生徒が対象から外されます。国際公約を反古にし、切実な生徒の願いを踏みにじるものといわざるをえません。
 一方、県は「第3次行革プラン」で、低所得者に重点化する国の方針にならい、生活保護世帯と年収250万円未満世帯は、今年度の県内平均授業料{37万9千円}まで拡充するものの、それ以外の県単独の上乗せ部分については1億7千万円もの予算削減を見込んでいます。
 今でも大阪、京都、鳥取、岡山など県外校に通う生徒は、県内校に通う生徒の半額しか補助されないのに、さらに、補助が打ち切られ、同じ兵庫県に住みながら、県内・県外でいっそう格差を広げることになり、とうてい納得できるものではありません。
 また、文科省の調査でも、2012年度の兵庫県内私立高校の授業料、入学金、施設整備費などを合わせた実質的な学費の平均は81万7千円にもなり、全国4位の高さです。京都府では補助額を生活保護世帯で最高92万9千円まで拡充し、府独自の給付制奨学金と合わせ、学費全体の実質無償化を実現しています。兵庫県でも助成の対象を授業料のみとせず、入学料、施設整備など学費全体に広げ、実質的な学費無償化を目指すべきです。
 さらに、経常費補助の4億円もの削減について、「地方交付税に授業料軽減分が含まれているので重複分を削減する」といわれますが、授業料軽減補助も含めて5億7千万円もの県予算を削減するのは、教育の充実よりも「県行革効果」優先の姿勢といわざるをえません。「お金の心配なく学びたい」との切実な願いを受け止め、私学助成を行革プランで削減するのはやめ、授業料軽減補助は、学費の実質無償化へむけ、授業料以外にも拡充すること、県外通学と県内通学の格差をなくすことを求めますが、知事の誠意ある答弁を求めるものです。

○佐藤啓太郎企画県民部長答弁:
 私立高等学校関係のご質問についてお答えをいたします。
 来年度の国の就学支援金の改正は、年収910万円以上、一定以上の所得を有する、そういった世帯を対象外とする所得制限を導入した上で、生活保護世帯などの低所得者層への支援に重点化をするものというふうに理解をしております。
 今回の見直し案でございますが、本県の授業料軽減補助は、改正後の国の就学支援金と相まって、生活保護世帯及び年収250万円未満の世帯では、授業料を実質無償化となるようにします。年収350万円未満の世帯では、現行から約5万円の増、年収570万円未満の世帯では、約3万円の増額となるように措置することと考えています。一定の充実が図られることになろうかと存じます。
 本県の補助対象は、国の就学支援金と同様に、授業料を対象としておりまして、その他の学校納付金については、入学資金貸付や奨学資金貸付により支援を行っているところでございます。
 県外の私立高校通学者への補助につきましては、一つに、現在、少子化の進展などによりまして県内私立高校には生徒の受け入れの余力があるということ。二つには、改正後の国の就学支援金だけでも現行制度の国と県を合わせた補助額の同水準以上となること。これらを踏まえまして、原則として補助を行わないということを検討しております。
 しかしながら、本県私立高校への通学者に対し補助を行う隣接府県、こういった府県に所在します私立高校への本県からの通学者には、相互主義の見地から、現行の県内通学者の2分の1補助、これを継続することとしたいと考えています。
 また、私立高校に係ります経常費補助と授業料軽減補助との重複解消につきましては、学校経営の影響を考慮いたしまして、段階的に行うこととしております。
 今後とも、国の制度改正の動向等を注視しつつ、生徒の就学機会の確保と保護者の負担軽減、また学校経営の安定化の観点から、引き続き適切に支援に取り組んでまいりたいと考えております。

【認可保育所の増設で公的保育の充実を】

 次に、保育の充実についてです。
 都市部を中心に、保育所待機児童の解消が依然大きな課題です。
 県の待機児童数は2013年4月で802人となっていますが、やむなく育児休暇を延長したり、認可外保育施設に預けた場合などはカウントされず、実際には、認可保育所を希望したのに入所できなかった人数は、「待機児童」がいる11市だけでも合計3千百人を超えています。それも、ほとんどの市で定員を2割程度も上回る「詰め込み」をしてなおその数字です。
 知事は、認定こども園の倍増などで待機児童の解消をはかると言われていますが、認定こども園は直接契約のため、「高い入園料や預かり保育料がかかる」「認可保育所に入れず、しかたなく幼稚園型こども園に入れたが、離乳食が用意されていないし、迎えの時間が早くて負担が大きい」など、受けられる保育に格差が生じています。
 やはり、認可保育所の増設を基本に公的保育の充実を行うべきです。
 しかし、再来年度から実施予定の子ども・子育て支援新制度は、保育の格差をますますひろげ、公的保育をくずすものです。
 まず、施設の量と質の問題です。
 新制度では、保育所の施設整備費補助は基本的に廃止され、認可保育所の新増設が進まなくなる心配があります。
 運営費補助も利用者への給付に切り替えられ、施設型給付のもとで保育所、認定こども園、地域型保育として小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育など、多様な施設・事業者が並立することになります。市町の責任で保育が実施されるのは、保育所だけです。
 心配なのは、保育の質の確保です。特に小規模保育は、6人〜19人の子供をマンションの空き室や空きテナントなど狭い面積の部屋でも保育を可能とするものです。保育士の基準も、認可保育所では全員が国家資格が必要なのに対し、半数以上があればよいとされました。保育関係者は、「たとえプロでも、1人で目を離さずに見るのは限界がある」など懸念を示されています。保育水準の低下を招かない対策が必要です。
 二つに、支給認定の問題です。保護者は、市町による支給認定を受けなければならず、労働時間のみで「長時間区分」「短時間区分」に分けられることになり、保育短時間の認定しかされなければ、利用を諦めるか、延長分を自己負担するしかありません。「時間がきたらサービス提供も終わり」ということでは子どもの保育はなりたちません。
 三つに、保育士の確保と処遇の問題です。
 現状でも、保育士は、厚労省の調査で平均年収が約315万円と他の業種より100万円も下回る低賃金で、長時間労働のため恒常的に人手不足です。新制度では、一定の使途制限のある運営費ではなく、施設型給付として渡され、事業者が人件費を抑えることが容易になるため、ますます非正規化・処遇の悪化が進んで、保育の質の低下につながりかねません。
 そこで、保育の充実のため、所待機児童の解消は、認可保育所の増設を基本に早急に行うこと。また、新制度で県としてつくる子ども・子育て支援事業支援計画では、認可保育所の整備目標を市町におしつけず、実情に応じて水準の高い保育所整備ができるようにすること。保育士の処遇改善のための財政支援を行うことを求めますが、お答えください。

○太田稔明健康福祉部長答弁:
 まず、待機児童解消に向けましては、これまで保育所の整備補助などによる保育の量の拡大に取り組み、平成21年度以降の4年間で、認可保育所約260ヵ所整備、約8,400人分の定員を拡大をいたしました。今年度も、待機児童ゼロを達成した西宮市を初め、2,000人以上の認可保育所定員増が検討されております。現行の認定こども園制度におきまして、幼稚園型では入園料や別途の預かり保育料を徴収することが認められております。また、認定こども園は直接契約の施設でございまして、保護者と園が子供の状態と保育提供内容について定めているものでございます。
 また、市町の保育の責任、これは保育所だけではなく、認定こども園、家庭的保育など必要な保育を確保しなければならないと法令で規定をされております。
 次に、小規模保育、三つの類型に分けられます。待機児童解消など、地域の実情に応じて多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みとなっております。面積基準は、認可保育所と同じであり、従事者の資格は分園を基礎とするタイプでは、全て保育士資格を有すことなどが求められております。
 保育時間でございますが、11時間を保障する保育標準時間と、原則8時間とする保育短時間の2区分が提案をされ、現在、国の子ども・子育て会議で検討中でございます。
 保育人材の確保につきましては、月額約8,000円の賃金を上乗せ支援しており、今後は保育所経営者に対しても、労務環境の改善を進めるような研修の実施などを通じて取り組んでまいります。
 保育の量の見込みについては、実施主体である各市町において提供する保育の確保方策及び実施時期を含め定めることが法で規定をされております。県は、県・市町少子対策協働会議や市町との個別協議の場を通じて、広域調整など、必要な役割を果たしてまいります。
 なお、保育所の施設整備補助のあり方や施設型給付の具体の内容など、新制度の詳細は、現在、国において検討中でございます。
 県といたしましては、引き続き保育の量拡大と質の向上に一体的に取り組みますとともに、新制度における保育制度の一層の充実のため、保育士配置基準の改善及び財政支援や保育所運営費の引き上げ等を国に働きかけてまいります。よろしくお願いいたします。

【パナソニック尼崎の撤退-雇用を守り、大企業補助改めよ】

 つぎに、パナソニックの撤退問題についてです。
 パナソニック尼崎工場は、昨年の第1工場、第3工場の閉鎖に続いて、第2工場も閉鎖し、わずか8年で、ついに完全撤退となりました。
 業績悪化を理由にしているものの、今期中間決算では1693億円の過去最高の利益をあげており、内部留保金は3兆3千億円で関西随一です。
 知事はパナソニック尼崎工場誘致について、「地域経済活性化の起爆剤」と大きな期待を表明し、補助額の上限なしという全国に例をみない補助金制度で、約80億円もの補助をしてきました。
 どれだけ経済効果があるのかというわが党の質問に対し、知事は直接投資額や雇用者総数をあげるだけで、具体的な説明はありませんでした。しかし、今回の撤退にあたり、「幸い、取引企業40社のうち県内関連企業は1社もなかったために影響も少なくよかった」などとのべ、結局、経済効果はほとんどなかったことを認めた形です。
 尼崎工場閉鎖で2百数十人のプラズマ子会社のプロパー正社員が、3月末で全員解雇されると報道されています。この方たちは、08年10月の本会議でのわが党の質問に知事が「正規雇用として(登用されるよう)要請をしたい」と答弁され、その後、時給制で退職金のない低い条件であるものの、ようやく有期雇用から期間の定めのない正社員となった人たちです。
 その全員が、今まさに、3月末で解雇されようとしています。大量の正社員の解雇ですから、当然、法的にハローワークに大量雇用変動の届け出義務があり、判例等によって確定している「4要件」に合致した、解雇せざるを得ないものかどうかの判断や指導が行われるはずです。
 県としても、労働局、ハローワークからも情報をつかみ、パナソニックに対し解雇でなく正社員としての雇用の継続を求めるべきと考えます。知事として、直接、パナソニック本社に出向き申し入れることを提案しますがいかがですか。
 また、補助金も一部返還で済ませるのではなく、全額返還を求めるべきです。そして、大企業誘致で経済を活性化させる経済対策の破綻を認め、新事業・雇用創出産業集積促進補助制度を廃止するよう、知事の決断を求めます。

○石井孝一産業労働部長答弁:
 パナソニックの撤退につきまして、私からご答弁申し上げます。
 尼崎工場の立地以降、これまで尼崎市の電子関係の製造品出荷額は大きく増加をし、また500名弱の尼崎市民の雇用が発生するなど、地域経済への一定の効果があったものと考えております。
 撤退報道を受けまして、県ではプラズマディスプレイ社社長に、直接、数度にわたり面談を行いまして、従業員の雇用確保を強く要請いたしますとともに、親会社であるパナソニック本社に対しましても速やかに知事名で申し入れを行い、本社社長から、「さまざまな視点から可能な限りの対応を行う。本社としても支援をしていく」との回答を得ているところでございます。
 現在、プラズマディスプレイ社では、再就職支援室の設置と地元企業開拓やハローワーク活用による就業先のあっせん等によりまして、雇用確保に取り組んでおります。県といたしましても、引き続き情報収集を行い、必要に応じ職業訓練などの対策を講じていくこととしております。
 産業集積補助金につきましては、平成14年度の制度創設以降、中小企業68社を含む96社に186億円を支援をしております。設備投資1兆円、雇用人数約1万4,000人の直接効果をもたらし、平成24年度の生産・投資額は県内GDPを2.6%押し上げている状況にございます。
 また、本県は、制度創設以降、工場立地で全国4位以内、さらに平成23年から直近の25年上期までは、製造業で1位を維持するなど、非常に高い効果を上げているものと思っております。
 東京、茨城を除く全ての都道府県に同様の補助制度はございます。他府県との競争的環境に負けないためにも、今後とも補助制度を活用し、積極的な企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、パナソニック社に対しましては、返還要領のルールに基づきまして、稼働10年間に満たない分の補助金返還は強く求めてまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

【宝塚市の文化と景観を守る取り組みに県の支援を】

 つぎに、宝塚の文化を守り発展させる取り組みについてです。
 私の地元宝塚は、来年、宝塚歌劇100周年、市制60周年、手塚治虫記念館20周年のトリプル周年を迎えます。
 宝塚は、「歌劇と温泉のまち」文化・観光のまちとして発展してきました。今から102年前(明治44年)に新宝塚温泉がつくられ、少女歌劇団、遊園地、動物園、植物園、昆虫館、公会堂、文芸図書館、宝塚映画製作所などが整備され、宝塚のみならず阪神間をはじめ兵庫県下の社会教育にも大きな役割を果たしてきました。
 これら施設が一体となって宝塚ファミリーランドとして、全国的にも文化発信の地となり、多くの人々の憩いの場、心の原風景として貴重な景観をつくりあげてきました。
 今も残る植物園は、昭和2年に開園。明治神宮内外苑や六甲高山植物園などを手がけた大屋霊城氏の設計で、造園学を基盤につくられた先進事例です。翌年にできた大温室は、モダンな形状が評価され、温室のモデルとなり、今でもテラスや植栽ポット、噴水の石柱などの構造物が残り、当時の技術や日本の植物園発展の貴重な資料ともなるものです。また、1947年には、日本植物園協会の第1回総会がおこなわれ、記念樹が現存するなど、日本の植物園の歴史をつくってきた場所でもあります。
 この歴史を最大限に生かしたナチュラルガーデン「シーズンズ」には準絶滅危惧種のミヤマアカネをはじめ、多くの昆虫や鳥類が生息する緑地でもあり、長尾山山系に連なる景観を生み出しています。シーズンズ周辺は、ファミリーランド時代からの小川が流れ、桜並木を市民が自由に散策できる憩いの場としても親しまれています。
 ところが、植物園を含む約3ヘクタールの土地に、阪急から商業施設、マンションなどの開発計画が出されており、この開発が進めば植物園と周辺の緑地は取り壊され、都市部の中の貴重な自然、阪神モダニズムの象徴的な景観のみならず、100年の長きにわたって積み上げてきた県民の貴重な文化的財産を失うことになりかねません。
 さらに、手塚治虫記念館の一部が植物園の敷地内にあり、植物園と一体的に整備されていることや、県も存続に支援をした旧宝塚音楽学校の文化創造館と宝塚大劇場の間を結ぶのがこの植物園で、マンション計画が進められると分断されてしまうことも問題です。
 市民団体や地域住民が集めた署名は約1万5千筆となり、日本植物園協会が保存をアピールするなど「宝塚の歴史を刻んできた植物園を残してまちづくりに生かしてほしい」との願いは切実です。
 宝塚市も、マンション計画部分の約1ヘクタールを取得すべく阪急と交渉を続け、市民参加のワークショップも行っているところです。
 そこで、全国的にも文化発信の地となってきた宝塚文化の歴史を守り、今後のまちづくりに生かしていくためにも、植物園を残し、花の道、宝塚大劇場から手塚治虫記念館と文化創造館をつないで一体的に県民の文化・観光資源として活用することが必要だと考え、県として、阪急に働きかけるなど宝塚市や市民の取り組みを支援することを求めるものです。

○井戸知事答弁:
 次に、宝塚の文化を守り発展させる取り組みについてです。
 宝塚ガーデンフィールズは、宝塚市の中心市街地に位置し、市内外の人に親しまれるとともに、市の都市空間形成においても大切な役割を果たしていますが、本年12月24日をもって営業を終了されるとされています。
 宝塚市においては、ガーデンフィールズ内の緑あふれる良好な環境をできる限り保全し、すばらしい庭園など、現状のたたずまいを生かしながら整備を進めていきたいと考え、ガーデンフィールズの敷地のうち、シーズンズ植物園を中心とした用地約9,000平米の取得に向け、阪急電鉄株式会社と協議が進められていると承知しています。
 その上で、花のみちから宝塚大劇場、手塚治虫記念館、そして宝塚文化創造館に至るまでのエリアの一体的な土地活用を図り、宝塚の象徴とも言えるこの場所と市民の記憶を継承し、新たな宝塚文化の発信拠点として整備していく意向であると承知しています。
 県としても、宝塚市の事業計画が国の都市再生整備計画事業に位置づけられ、社会資本整備総合交付金の活用が図られるよう協力してまいります。今後も、宝塚市の観光、文化、商業の中心であるこの地域が、ガーデンフィールズ閉園後も地域の活性化に大きな役割を果たしていくように支援してまいりたいと考えております。

【原発再稼動中止求め、原発ゼロへ転換を】

 最後に、原発問題についてです。
 私たちは、先日、飯舘村・浪江町・南相馬市など現地を視察、福島県当局や仮設住宅の方々からお話を伺ってきました。
 今なお、14万2千人が避難生活を余儀なくされ、事故発生直後から時間が止まったような被災地の状態を目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。
 知事はこの間、わが党の質問に「原発ゼロ」について、直ちに廃止ではなく行き過ぎた原発依存度を下げていくことを基本とすべきと答弁されてきました。
 しかし、福島の現状を見て、まだこの立場に立たれるのでしょうか。
 まず、除染は、未だ計画の22%しか進んでいません。その遅れの最大の原因は、国と東電への不信感や放射性物質への不安から地元の同意が得られず、汚染土壌などを最長30年間保管・管理する中間貯蔵施設の設置場所が確保できないことにあると言われます。これが、復興全体を遅らせています。
 二つに、汚染水問題です。1日400トンの地下水が福島第一原発建屋内に入り高濃度の汚染水となり地上タンクに貯蔵されますが、すでにいっぱいとなり、最大80万トンまでタンクを増設する計画です。
 ところが、この貯蔵タンクから汚染水漏れが相次いでいて、海に流出し続けています。政府も東電も場当たり的な対策しかとっていないのが現実です。
 三つに、使用済み核燃料の処理の問題です。
 福島第一原発4号機の使用済み核燃料の取出しが始まりましたが、1号機から4号機までの核燃料は合計3106本。これをプールから取り出すだけで4年程度、さらに原子炉内で溶けている燃料取り出しまでには最も早いケースで8年、廃炉には最低約40年かかるとされています。しかも、取り出した使用済み核燃料はプールを入れ替えるだけで処分されるわけではありません。
 全国には10電力50基の原発に何万体という未使用・使用済み核燃料が存在しています。最終処分する技術も方法も確立されていない中で、原発を稼動させればさせるほど核のゴミが増え、危険を増大させることになります。
 このように除染、汚染水、使用済み核燃料など、福島の現実を見れば、原発が安全だといえる根拠はどこにもありません。原発の依存度を下げ、数を減らしただけで解決するものではなく、1基でも危険なのです。
 知事は、政府に対して新基準に基づく確認作業の結果や再稼動の判断を行う場合には十分説明することなどを求めていまが、あくまでも再稼動容認からのものです。
 11月、滋賀県が、福島と同程度の事故が福井県の原発で起きた場合の放射性物質の拡散の独自予測を行い、琵琶湖の最大水深5メートルまでの水が国の定める飲料水摂取量基準を超え、放射性セシウムでは最長約15日間続くとの試算結果を発表しました。もしそうした事態になれば、琵琶湖からの水を飲んでいる阪神・神戸間の県民200万人以上が影響をうけることになります。これひとつとっても再稼動など考えられないではありませんか。
 今こそ原発に依存するエネルギーベストミックス論の立場から、思い切って原発ゼロの立場に立つべきです。
 福島での現実、若狭湾に集中する活断層の危険、事故発生後の甚大な影響等を考慮すれば、再稼動は中止するよう国と関西電力に申し入れるべきだと考えますが、知事の誠意ある答弁を求め質問を終わります。

○井戸知事答弁:
 原発の再稼働中止についてのお尋ねがありました。
 原子力発電を含むエネルギー政策は、我が国の経済活動や国民生活に大きな影響を与える国家的課題で、現在、政府が検討しているエネルギー基本計画の素案では、原子力発電について安定供給、コスト低減、温暖化対策の観点から、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく重要なベース電源と位置づけられています。
 今後の計画策定過程において、さらなる国民的議論と合意が求められると考えますが、現在、火力発電が地球温暖化に加え、資源の枯渇という課題を抱え、再生可能エネルギーは供給安定への不安やコスト面での懸念が払拭されないため、当面、原子力発電は安全を最優先に確保しながら依存度を下げることを基本に検討すべきと考えています。
 福島第一原発事故対策のうち、汚染水対策と除染等については、現在、政府と事業者において懸命な作業が実施されています。
 また、使用済み核燃料対策については、エネルギー基本計画の素案においても、世界共通の課題として抜本的な強化を図ることとされています。
 これらについては、全国知事会などを通じながら、強力に推進されるよう申し入れを行っているところです。
 さらに、原発再稼働については、広域連合を初めとする数次の申し入れも踏まえて制定された新しい規制基準に基づき審査が行われています。今後とも、原子力規制庁を初め関係者から適時適切に情報収集し、安全最優先を基本に、当面、安全なものについて稼働を認めていくべきだと考えます。
 なお、先日、滋賀県が発表した琵琶湖への影響シミュレーションは、あくまで湖水への影響を予測したもので、下流の淀川取水口や浄水処理を経た水道水について影響があるとの結論を得たものではありません。水道への影響の程度は、現時点では不明でありますし、滋賀県も予測結果を水道事業者と共有し、対策の検討を進めたいとしているものであります。
 今後とも、原子力につきましては、その安全をベースに基本に考えるべきだ、これが私の基本的な考え方でございます。
 以上、私からの答弁とさせていただきます。

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