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本会議 第317回本会議一般質問 ねりき恵子
2013年2月27日

新年度予算案について

 私は、新年度予算編成の基本方針、自然エネルギー、災害医療体制、文化、少人数学級などについて質問します。
 はじめに、県の新年度予算案についてです。
 労働者の賃金は2000年以来下がり続け、中小企業倒産も負債1000万円以上だけでも毎月50件にものぼるなど厳しい状況が続く中、県民のくらしや中小企業を支援する予算編成が求められています。
 しかし、今回の県予算案をみると、新年度当初予算に平成24年度12月・2月補正を加えた16か月予算と前年の14か月予算と比べると、公共投資事業は、約30%増の2450億円にものぼっています。また、企業立地補助金16億円の内、10億円がパナソニックへの補助で、さらに三宮周辺に本社を置く場合に法人事業税を4分の1に軽減するなど、あいかわらず公共事業と大企業誘致頼みとなっています。私たちは、経済再生のためには働く人の給与を増やすための対策がより必要だと考えます。
 日本共産党は先日「賃上げと安定した雇用の拡大で、暮らしと経済を立て直そう」というアピールを発表しました。いま、立場の違いを超えて、所得を増やすことが、日本経済再生の突破口であるとの認識が広がっています。
 たとえば、政府の2012年版「労働経済白書」では、「人件費削減が、消費の伸び悩みにつながり」、「日本経済の復活には、人間らしい雇用環境が必要」とあり、様々な研究者もデフレの原因は、「日本の雇用、賃金の低下」と指摘しています。
 私たちは、大手企業の巨額な内部留保を働く人に還元すべきだと従来から指摘をしてきましたが、500億円以上の内部留保をもっている約700の企業グループについてみると、ほんの1%程度を取り崩せば、8割の企業で月額1万円の賃上げが実現できることが明らかとなっています。
 安倍首相も、国会での質問などを受けて、「経営者に賃上げの協力を要請」しました。兵庫県としても、知事を先頭に、県下の企業に対し、賃金ひき上げを積極的に働きかけるべきです。
 一方、県民に対しては、第2次行革プランに基づく事務事業の見直し、職員の削減、県税徴収の強化など厳しい予算となっています。
 地域経済を再建していくためには、予算編成の基本方針として、県民のくらしをあたため、公共事業の中身を生活密着型にかえ、地元業者への仕事確保につながるものにしなければなりません。また、福祉・医療・教育など県民サービスの充実で県民生活を豊かにしていく方向への転換が求められています。

(1)地域経済の活性化、住宅リフォーム助成

 そのひとつとして、住宅リフォーム助成制度についてです。
 住宅リフォーム助成は、大工や塗装、電気、内装、畳など色々な職種の仕事を増やし、経済効果が大きいと各地で実績があがっています。
 全国商工団体連合会の調査では、2012年7月1日現在、全国で533の自治体、県では秋田県、山形県、広島県、佐賀県で住宅リフォーム助成制度がつくられ、兵庫県内では、西宮市など13の自治体で取り組まれています。赤穂市でも、昨年4月から、最高10万円を助成する制度が始まり、市予算800万円に対し、15倍もの1億2000万円の事業が行われ、住宅リフォーム助成制度が市民の消費購買力を引き出す力を発揮しています。
 一昨年度に改定された国の「住生活基本計画」では、新築住宅市場に加えて既存住宅の流通やリフォーム市場の整備推進を掲げています。
 県議会でも、2011年12月、「地元建設職人の技術活用と住環境の整備、地域経済の活性化を図る制度の創設を求める」請願が採択され、若い建設職人の技術を育成するためにも、地域の住宅建築やリフォーム市場の拡大が求められています。
 先日私は、宍粟市の「兵庫木材センター」を視察しました。県産材の活用を広めるためにも、住宅リフォームに県産材を使用することが有効であり、さらに、雇用を生み出し、地域経済の向上につながると実感しました。
 昨年10月、国土交通省が行った「地方公共団体における住宅リフォームに係る支援状況調査」によると、各地で地元産材を使用した一般建築やリフォームに対する補助制度がつくられ、都道府県では、青森県、京都府、高知県など全国で19府県に及んでいます。
 ところが、兵庫県にはこうした補助制度はなく、融資制度の利用も少ないのが実情です。県産材の活用を広げるためには、住宅建設の融資だけでなく補助制度をつくり、県産材を使いやすくすることが必要です。 
 そこで、地域経済の活性化のため、県産材を活用した住宅リフォームや住宅建設に対して利用できる補助制度をつくるよう求めます。

○井戸知事答弁:
 まず来年度予算編成についてで、いくつかのご質問がございました。
 あす2月28日の夕方ですけれども、労使懇談会が開かれます。経協と連合の幹部と私どもが一同に会するわけでありますが、その際に25年度の予算の概要を16ヶ月予算として変性したこと、積極的な内容を含んでいることなどを説明することといたしておりますので、その際に、雇用の確保や雇用者所得の充実についてもあわせて触れさせていただこうと考えておりますので申し添えさせていただきます。
 まず、住宅リフォーム助成についてのお尋ねがございました。
 県産木材の利用促進をはかるため、昭和60年度に県産木材利用木造住宅特別融資制度を創設しております。県産木材を50%以上使用する住宅の新築・増改築、30平米以上のリフォームを融資対象としてきました。この融資制度では、住宅金融支援機構の金利に比べまして、1%低い固定金利で活用できることとしておりますので、利用者の返済額は、新築・増改築のために2千万円借り入れて、25年で償還する場合は280万円程度、リフォームのため、500万円借り入れて、10年で償還する場合は90万円程度、有利なものになっています。その利用実績は、リーマンショックの影響により、平成21年度に90件に減少しましたが、23年度以降は、年間140〜150件を数えるまでに増加してきております。一方他府県では、補助制度の例がありますが、新築等は1件あたり20万円から100万円まで、リフォームは1件当たり20万円までであります。これらと比較して本県の制度は十分有利なものになっていると考えています。また、耐震改修工事にあわせて行う、住宅リフォーム工事に対しても、住宅耐震改修利子補給事業を実施しております。平成25年度からは、対象融資限度額を500万円から1千万円に引き上げますとともに、1%の利子補給を行うことにいたしました。今後とも、木材フェアや木造住宅見学会などを通じまして、また、耐震補強の重要性を通じまして県民や工務店への制度の周知に努め、県産木材の住宅への利用促進や、住宅の耐震化を進めて、これを地域の活性化につなげてまいりますので、ご理解いただきたいと存じます。

(2)こどもの医療費助成の拡充

 2つめは、こども医療費助成の拡充についてです。
 私たちは、中学3年まで、通院も入院も所得制限なしで無料にすることを一貫して求めてきました。
 県は、新年度予算案で通院も中学3年まで対象にし、入院も償還払いをやめるなど改善が示されました。これは県民の強い要望が、一歩前進へとつながったものですが、所得制限は残され、自己負担も通院で2割という不十分なものです。県は、中学3年までの助成は全国4番目といいますが、群馬は「所得制限なし」「自己負担なし」の完全無料の制度で、東京は、就学前と入院の自己負担が無料、鳥取は「所得制限なし」となっています。
 県下でも、県制度に上乗せして中学3年まで通院・入院とも無料にしているのは11市町にものぼり、所得制限を撤廃しているのは6市町で、制度の充実がすすめられています。
 昨年、県が実施した所得制限強化、世帯合算方式による助成対象者の削減は、市町の取り組みの足を引っ張っていると言わざるをえません。
 そこで、県民の願いや市町のとりくみにこたえて、こども医療費助成制度の所得制限の世帯合算方式を直ちにやめ、所得制限なしで通院も入院も中学卒業まで無料化すべきと考えますがお答えください。

○大田健康福祉部長答弁:
 本県では平成22年4月に、中学校3年生までの入院を対象に子ども医療費助成事業を創設いたしました。平成23年10月からは、大変厳しい財政状況の中ではございますが、選択と集中を行いながら小学校4年生から6年生までの通院も対象とし、さらに、本年7月からは対象を中学校3年生までに拡大をいたしました。自己負担は、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定したものにするためにも必要でございまして、低所得者の方々には、負担軽減の配慮を行っております。
 また、この制度は支援を必要とする方に対して、医療保険制度の自己負担を軽減するということが目的でございますことから、所得制限は必要と考えております。所得判定単位の見直しにつきましては、通常生計は世帯単位で営まれることを踏まえますと、世帯合算で行うほうが、世帯の実力を図る意味から望ましいと考えられますため、自立支援医療や老人医療に準じ、より公平性を図る観点から見直しを行いました。福祉医療制度は、県民の安全安心の基盤制度として大きな役割を果たしておりますため、将来にわたり持続的で安定した制度として維持していくことが適切であると考えますのでなにとぞご理解を賜りたいとおもいます。

原発と自然エネルギー政策

 次に原発とエネルギー政策についてです。
 福島原発事故はいまだ収束せず、15万人を超える住民が先の見通しのない避難生活を余儀なくされているなか、安倍政権は、原発再稼動や新増設、原発輸出を公言し、原子力規制委員会では7月にも制定する「新安全基準」案が議論されています。
 この「新安全基準」案は、福島原発事故の原因究明がされていないもとで、断層が地表に現れていなければ設置を認めるなど骨抜きの内容になりつつあることに専門家や国民から批判が起きています。
 ところが、知事は、大飯原発について「新安全基準に基づく再審査を要請」すると述べ、国に対し、原発を含めた「多様なエネルギー源のベストミックスを定めるエネルギー基本計画」の策定を求めています。
 原発の安全性とその基準が国民的に大きな問題になっているときに、事故を踏まえた徹底した安全対策を求めるのでなく、大飯原発の二度目の稼動について「再審査」を急がせるのは、県民の気持ちとかけ離れています。これは、知事が、原発依存の立場に立ち、再稼動容認の立場から抜け出せないからだと言わざるを得ません。
私の地元宝塚市では、市長が脱原発の立場に立ち、地理的特性にあった再生可能エネルギーの導入や利活用の推進に取り組むため、昨年4月から「新エネルギー推進課」を設け、専門の職員も配置。市民や専門家と一体となって、セミナーや市民懇談会などを重ね、調査・研究、「人・場所・仕組みづくり」の取組みを進めています。
「NPO法人新エネルギーをすすめる宝塚の会」が設立され、すでに市職員の支援の下、手作り発電所第1号も発電を開始、第2号発電所準備も進められています。
また、宍粟市では、最大の資源である森林と林業という特性を生かし、木質系廃材や未利用木材などバイオマスについて、エネルギー利用を促進し、事業所などでの乾燥処理、冷暖房、給湯などに使用している化石燃料のバイオマスへの代替を進める取組みが実施されています。その促進のために市民、事業者、宍粟市が連携し、地域産業の振興、新たな雇用の創出につなげる努力が行われています。
 一方、県の新年度予算案では、県民の要望の強い住宅用太陽光発電設備設置補助を廃止し、住宅用、中小企業への再生可能エネルギー設備設置に対する融資と海洋エネルギー資源調査が主な内容で、後退と言わざるを得ません。また、国から「特区」の指定を受け、県が進めるあわじ環境未来島構想におけるメガソーラーの設置などは、島外の民間企業による大規模設備が殆どで、地元企業や住民が参加し、雇用や地域経済の活性化に繋がる事業にはなっていません。
 そこで、県当局は先日、6月までに目標を示すと答弁されましたが、原発依存を前提とした目標ではなく、脱原発へきっぱり転換し、県として将来を見据えて再生可能エネルギー導入促進の総合的な目標、政策、体制をつくり、実施すると共に、市町や県民の自主的な取り組みに対する支援制度を創り実施すべきと考えますがいかがでしょうか。また、住宅用太陽光発電設備設置補助を再開することを求めますが、合わせて答弁願います。

○井戸知事答弁:
 続いて原発と自然エネルギーについてです。県としましては、再生可能エネルギーの普及に向け、来年度さまざまな取組を行います。県民や市町への支援につきましては、太陽光発電相談指導センターでの窓口相談を続けますし、家エコ診断事業などによる省エネ化も指導いたします。このほか、新温泉町による小型バイナリー発電の導入検討の支援や、土地改良区などがおこなう農業用水を活用した小水力発電の導入計画の策定も支援してまいります。住宅用太陽後発電設備設置補助、上限10万円でしたが、設備の普及にともないまして、平成23年8月に4kW規模で整備する費用が約220万円だったものが、1年後には約184万円と、40万円ほど値下がりしております。このような状況を踏まえまして、10万円の補助をするよりも、低利融資の拡充に切り替えることにしたものであります。
 再生可能エネルギーの普及は、CO2の削減や、エネルギー自給率の向上などの観点から、重要であります。このため、6月を目途に、温暖化対策の観点から県独自の再生可能エネルギーの導入について数値目標と対策方針を取りまとめることにいたしました。一方、原発の問題を含むエネルギー政策は、わが国の経済活動や国民生活におおきな影響を与えます、国家的課題であります。県といたしましては、コストの問題を含め、適切なエネルギーミックスのあり方について、国民的議論が尽くされていない現状では、当面、原子力発電所を直ちに廃止するのではなく、行き過ぎた原発への依存度を下げていくことを基本とすべきだと考えています。なお、大飯原発については、現在暫定的な安全基準にもとづき、一時暫定的な運転を認められているわけでありますので、1日も早く安全基準に基づき厳正に再審査されることが適当であると考えて申入れ等を行っております。
 県が要請していた国のエネルギー基本計画の議論がようやく再開されようとしております。また、関西広域連合でも、中長期的なエネルギー政策の考え方を取りまとめることとしております。これらをふまえまして、県としても基本的な考え方をしっかり主張しとりまとめに反映させて参ります。

災害に役立つ地域医療への支援について

(1)災害拠点病院への支援強化を

 つぎに、災害時に役立つ地域医療への必要な対策についてです。
 東日本大震災は、普段から地域医療を充実し、住民がいつでも安心してかかれる医療体制を整備しておくことが、災害の備えとしても重要であることを浮き彫りにしました。
 現在、県医療費適正化計画や保健医療計画の改定がすすめられていますが、これは、もともと小泉自・公政権が、都道府県に医療費削減の目標を持たせ、平均在院日数の短縮や病床数の抑制を進めさせるために導入された仕組みです。今回の県計画案では、平均在院日数の目標を現在の28.3日から25日に、さらに短縮するもので、「病院追い出し」がいっそうすすめられかねません。これは地域医療の充実を求める県民の願いに背くものです。
 国も県も医療費抑制路線を改め、地域医療を充実し、災害に強い医療を築くことが求められています。
 1点目は、災害拠点病院の支援・強化についてです。
 災害拠点病院は、都道府県が指定し、2次医療圏域に最低1ヶ所の整備がうたわれ、県下に16病院が指定されています。
 東日本大震災後の昨年3月、厚労省通知「災害時における医療体制の充実強化について」にもとづき、災害拠点病院についてもDMAT体制を必ずつくること、施設の耐震性、通常の6割程度の自家発電、3日分程度の燃料確保、井戸水の確保など災害拠点病院の充実強化の方向が示されたところです。
 ところが、県の支援は、災害時の初動体制にかかった費用の3分の1の補助しかなく、上限20万円です。体制の整備については何の支援もありません。
 阪神北医療圏域では、宝塚市立病院が災害拠点病院に指定されていますが、今回の体制強化の指針にもとづき、H24・25年度の2か年で自家発電の更新工事とDMAT体制整備を進めています。DMATは、現職の職員の中から救急医、看護師、薬剤師、臨床技師の4人チーム体制をつくり、今年1月に研修を受け国に申請中ですが、DMAT体制が十分機能を発揮するためにも、また日常の救急業務を十分行うためにも救急医の複数体制など人材確保も大きな課題となっています。さらに、DMATに必要な医療機器や通信機器、装備などに1500万円程度かかるなど病院の財政負担が重く、いっそうの支援が求められています。
 他府県の状況をみると、高知県では、DMATの整備に必要な資機材の購入や訓練、実際に行った支援活動の経費の全額を補助するなど、災害拠点病院の機能強化のための支援策の拡充をおこなっています。兵庫県としても、県が責任を持ち、災害拠点病院の耐震化やDMATなどの機能強化への支援策を実施すべきと考えますが、知事の心ある答弁を求めます。

○大田健康福祉部長答弁:
 災害拠点病院につきましては、ごぞんじのように災害時の医療を適切に提供いたしますために、施設の耐震化や自家発電等の設備整備、医薬品等の備蓄をはかりますとともに、お話のございましたD-MATを保有して被災地における救護活動を担っていくことが求められております。
 このため県といたしましては、地域医療再生医療施設耐震化支援基金による施設の耐震化の優先的補助等により施設の耐震化を進めますとともに、交付税措置がなされます平成17年度までは、公立病院もふくめ、自家発電装置や必要な医療資機材の整備に対する助成を行ってまいりました。また、災害拠点病院に指定されることでDPC、いわゆる診断群分類別の包括評価という係数におきまして、診療報酬上での加算も図られております。
 一方D-MATにつきましては、活動に必要な装備は交付税措置がなされておりますし、災害発生時に病院内・病院外で使用した資機材、医薬品等の費用、あるいは交通費等は助成されることになっております。
 また、県は災害拠点病院におきます医薬品や、備蓄資機材の更新費用のほか、D-MAT等が訓練に参加する費用、災害拠点病院における災害医療コーディネーターの研修費用等を助成いたしております。
 なお、東日本大震災の発生をふまえて、国の平成23年度第3次補正によりまして、すべての災害拠点病院にたいして、自家発電装置等に緊急措置がなされましたが、その際には宝塚市立病院からの申請は上がってこなかったと承知しております。県といたしましては、今後も引き続き災害拠点病院の機能強化をはかりまして、災害時に迅速な患者受け入れや医療救護活動が円滑になされるように努めてまいります。

(2)県立こども病院のポーアイ移転について

 医療の2点目は、県立こども病院のポートアイランド2期への移転計画についてです。
 この計画について県は、新年度予算でも34億円の建設費を計上していますが、県民の間では、多くの疑問や反対の意見が強まっています。
 それは、ポートアイランドは阪神・淡路大震災時、海に浮かぶ埋め立て島だったが故に、大きな被害を受けた土地だからです。
 しかし、県は繰り返し、18年前の大震災時にも大きな被害は受けていない、今後予想される南海トラフ地震にも安全だと言います。
 知事は、今議会の提案説明で、「阪神・淡路大震災の経験や教訓を決して忘れてはならない。改めて「忘れない」「伝える」「備える」取組をすすめていこうと」と述べられました。そうであるならば、あの大震災時にポートアイランドにあった神戸中央市民病院がアクセスの途絶、大規模液状化により、震災直後の一番必要とされた時に、ほとんど負傷者を受け入れられず、その後も、ライフラインの寸断が長期化したことで、病院として十分な機能を果たすことができなかったという、痛苦の体験から教訓を引き出すべきです。
 そして、今後南海トラフ地震で予測される長周期地震動は、津波だけではなく、特に液状化に影響を与えると言われ、三宮側・ポートアイランド側、双方の橋の取り付け部に大きな損傷を与え、アクセスを途絶させた18年前の被害を再現する可能性が非常に高いものです。
 また、港島トンネルの取り付け部は、県自身が行ったシミュレーションで2倍想定の津波で浸水することになっています。アクセスが途絶すれば、仮にポートアイランドU期が地震や津波で大きな被害が出なかったとしても、病院が機能する大前提が失われるのではありませんか。
 このような場所が、病気と闘うこどもたちの療養環境として本当にふさわしいのか、この移転計画に対して患者団体、医師会などの医療団体からも異論が出されるのは当然です。
 県はこうした声を無視して移転計画を強行しようとしていますが、その背景には、県と神戸市が国に共同申請した「関西イノベーション国際戦略総合特区」として、医療産業都市を推進するねらいがあるからではないでしょうか。知事は、こどもの命より経済的理由を優先されるのでしょうか。
 小児・周産期医療の最後の砦を守り、全県的に充実させる対場から、県立こども病院をポートアイランド移転ではなく、現在地を含め安全な場所で建て替えることを強く求めるものです。知事の答弁を求めます。

○前田病院事業管理者答弁:
 県立こども病院の移転についてお答えいたします。こども病院の移転整備地であるポートアイランドにおいては、阪神淡路大震災の教訓をふまえ、神戸大橋は、東南海・南海地震や内陸直下地震に耐えうる補強がなされているとともに、新たな港島トンネルの開通により、アクセスの複数ルート化がはかられ、水道・電気・ガスにかかるライフラインも強じん化や、複線化がはかられるなど、大規模災害リスクを想定したうえでの対策がすでに講じられています。加えて、新こども病院においては最新の免震構造を採用するとともに、水や燃料等を3日間備蓄することとしております。また、阪神・淡路大震災の際にはポートアイランド1期において液状化が発生したものの、おもな道路での車の通行に支障はありませんでした。一方、津波による浸水については現在県が取り組んでいる津波浸水シミュレーション結果が公表されれば、神戸市と連携して必要な対策を講じるとともに、ドクターヘリや海路による輸送システムを構築するなど万全を期すこととしております。これら災害リスク対策については、県のホームページや県の広報紙等で情報提供をおこなっています。なお、県の看護協会をはじめとした各種医療関係の団体や、患者団体に対し、丁寧に説明を行ってきたところであり、これらの団体からは災害リスクに十分配慮した上で、ポートアイランドにおいて着実に整備を進めていただければよいとのご意見をいただいております。
 さらに、子ども病院のポートアイランドへの移転は、総合型の神戸中央市民病院との連携により、現在での子ども病院では対応が困難な合併症を有する妊婦、いわゆるハイリスク患者やキャリーオーバー患者等により適切に対応しようとするものであり、経済的な理由によるものではありません。ご理解をお願いいたします。

宝塚の文化を守り、発展させる取り組み

 つぎに、宝塚の文化を守り、発展させるための取り組みについてです。
 私の地元・宝塚市は、「歌劇と温泉のまち」、文化・観光のまちとして発展してきました。今はなきファミリーランドを中心に、宝塚歌劇、宝塚映画、宝塚温泉、手塚治虫記念館などが配置され、文教・観光都市宝塚の地域文化として定着し、全国的にも文化の発信の地となってきました。
 また、戦後の1951年(昭和26年)には、ファミリーランド東端に宝塚映画製作所が設立され、映像文化の拠点となってきました。
 宝塚映画製作所は、当時、最新鋭の設備を備えた東洋一の映画スタジオで、小津安二郎、黒澤明、木下恵介など巨匠監督が宝塚映画で名作を生み出し、「鞍馬天狗」「大菩薩峠」をはじめ、「姿三四郎」「若大将シリーズ」など176本もの映画と3200本ものテレビ作品が作られ、日本映画と戦後のテレビ映像の一翼を担ってきた貴重な文化的財産です。映画のまちを見直そうと阪神淡路大震災後には、全国初の公設・民営の映画館「シネ・ピピア」が誕生、市民の手による市民映画祭は13回を重ねています。
 しかし、映画スタジオはファミリーランドの閉園時に解体され、宝塚映像株式会社も明日2月28日に解散、映画フィルムをはじめ数々の貴重な映画・映像資料が散逸する危機に直面しています。
 ファミリーランド跡地の一部は、阪急が経営する「ガーデンフィールズ」として営業されてきましたが、本年12月には閉園され、マンション建設計画が持ち上がっています。
 また、ここの一角に残っている文芸図書館だった建物は、昭和7年に開館し、実質的に公の図書館機能を果たしていました。その後、音楽学校や歌劇記念館として使用されてきましたが、ガーデンフィールズの閉園に伴い取り壊されようとしています。当時の面影を残す建物としては、昭和10年に竣工した旧宝塚音楽学校(現在の文化創造館)とこの文芸図書館のみです。社会教育施設としてだけでなく近代建築物としても価値あるものであり、保存を求める声があがっています。
 このような状況の下、宝塚市は、貴重な文化をつくり上げてきた歴史を残し、伝えるため、ガーデンフィールズの跡地をマンションではなく、市民の憩いの場、文化の発信の場として整備するよう阪急に働きかけているところです。
 来年は宝塚歌劇100周年。手塚治虫記念館20周年の年です。
 兵庫県として、市の取り組みを県として支援すること。近代建築物として文芸図書館の保存と、貴重な映画資料を収集・保存・管理し、映像文化に触れることのできる映画ライブラリーの設置など映画文化を守り発展させるための取り組みを行うことを求めます。

○井戸知事答弁:
 宝塚の文化を守り発展させる取り組みについておたずねがありました。阪急電鉄は本年12月24日をもって、宝塚ガーデンフィールズの営業を終了する予定であります。その跡地利用については、宝塚市は手塚治虫記念館に隣接する庭園部分について、用地を取得して公園や文化施設等として活用する意向だと承知しています。現在気鋭の建築家のアドバイスも受けながら、美術館等の建設を検討していると聞いています。県民局もこれに協力をしております。一方、その他の土地については、良好な土地利用の誘導に向けて、市が阪急電鉄と協議を進めていると聞いています。旧文芸図書館の建物については、ガーデンフィールズ閉園後は阪急電鉄が宝塚大劇場のバックヤード的な施設を整備する予定と聞いています。現在の建物を保存することは困難な状況にあります。なお、この建物は、中華料理店として利用する際に、内部・外部とも相当程度改造が施されましたので、文化財としての価値が損なわれているのではないか。このように聞いているものでございます。宝塚映画製作所等が製作してきた映画は、貴重な文化資源といえます。地域住民がそれを地域の文化資源として活用し、映画祭の開催や歴史などをとりまとめて発信していくとりくみにつきましては、日本芸術文化振興会による助成や、県のふるさと芸術文化発信サポート事業など、ソフト事業に対する助成を通じて、支援をしてまいります。また、フィルムにつきましては、これを長期間にわたって適正に保存活用していく必要があります。高度な設備と専門的な知識技術が必要でありますから、これらをそなえ国内の映画フィルムを網羅的に収集している東京国立近代美術館フィルムセンターの活用を所有者に呼びかけてまいります。

少人数学級の拡充について

 次に、少人数学級の拡充についてです。
 私たちは、少人数学級の全学年での実施を繰り返し求めてきました。今では、35人学級が小学4年生まで実施されています。
 いま、全国でいじめを苦にした自殺など痛ましい事件が相次いでいますが、本県のいじめ件数は、昨年4月から8月のわずか5か月間で、すでに昨年1年間の1.73倍へと顕在化しており、子どもたちに目の行き届いた教育環境を整備することが急務となっています。
 長年の国民運動によって、国の学級編成基準は、小学1、2年生で35人学級が実現し、新年度から5年計画で中学3年生まで進められようとしていました。
 ところが、安倍自公政権は少人数学級の「費用対効果」を問題に、その実現を願う圧倒的な国民世論に背を向けました。
 一方、文部科学省の学級規模に関する「検討会議」の昨年9月の報告は、「子どもたち1人1人にしっかりと向き合い質の高い行き届いた授業、生徒指導等を行っていくために」教員定数の改善をすすめることが「必要不可欠である」としており、少人数学級の効果についても「学力の向上や出欠、不登校」の改善例を示しています。
 このような中、新年度から、東京都が中学1年生で少人数学級を実施することとなり、中学校で独自に少人数学級を実施しているのは、兵庫県や大阪府など7府県を除き40府県にのぼり、その内16府県では、すでに中学全学年で実施されています。
県教育委員会は、定数内で少人数授業と教科担任制を組み合わせた「兵庫型教科担任制」をすすめ、35人学級を小学4年生までにとどめていますが、現場では、「問題の多発する小学校高学年にも35人学級を」「不登校の増加する中1、受験に直面する中3こそ、きめ細やかな配慮のできる少人数学級を」との切実な声が届いています。
 1クラスの人数を減らし、「いじめ」対応も含め、子どもたち1人1人を生活や学習の面から、丁寧にみることのできる少人数学級の実現がいよいよ重要です。今こそ、国に少人数学級実現のための抜本的な定数改善を強く求めるとともに、小学4年生でとまっている35人学級を、県独自に中学3年生までひろげることを求めますがご答弁下さい。

○大西教育長:
 私から少人数学級の拡充についてお答え申し上げます。本県では平成13年度から国の加配定数等を活用しながら、児童生徒の成長段階や、教科の特性に応じまして少人数学習集団の編制などを行います、新学習システムを推進しております。こうしたことから、小学校1年生から4年生につきましては、基本的な学習習慣、生活習慣の定着をはかるため、県単独定数も措置しながら、35人学級編制を実施しております。また、小学校5・6年生にでは、基礎学力の向上や、あるいは中学校で増加します不登校対策等、中学校への円滑な接続を図る観点から、科目に応じて教科担任制と少人数学習集団をくみあわせた兵庫型教科担任制を計画的、段階的に実施してまいりまして、今年度全県実施がなったところでございます。

 さらに、中学校におきましても、決め細やかな指導の推進の観点から、少人数学習集団の充実を図ってきております。
 一方、国におけます少人数学級拡充等の定数改善につきましては、今後、来年度悉皆調査される全国学力学習状況調査等を活用しながら、十分な検証をおこないつつ、教職員の人事管理を含めた、教職員定数あり方全般を検討することとされておりまして、来年度の予算化が見送られたところでございます。
 35人学級編制の更なる拡充につきましては、本来義務教育の機会均等、およびその水準確保等を保証する責務を有する国におきまして必要な措置を講ずるべきであり、今後国に対しましても、今申し上げました早期の検討とその結果を踏まえました定数改善計画の策定等を引き続き要望してまいりたいと考えております。

【再質問】
○ねりき恵子:
 2点うかがいます。知事に御答弁願います。
 一点目は県立こども病院の移転です。説明をされたといいますが、パブリックコメントでもポーアイに移転するということではとっていませんし、住民がこの件で意見を聞いてほしいといっても受け付けないという態度をとっているので、ぜひ意見を聞く機会を県として持っていただきたい。
 もう一つは、住宅太陽光発電の設置補助の実績を見ると、昨年度補助制度は予算を増額して2397件ありました。融資制度のほうは1500件の枠だったのに262件しか実績がないということで、人気のあった補助制度をなくして人気のあまりなかった融資制度を拡充するということは納得がいかない。これから再生可能エネルギーを大きく増やしていくという方向にとっては、補助制度を復活すべきだと思うし、これから計画をつくる上でも、原発容認の立場に立つかたたないかで、その数字は大きく変わってくると思いますから、あらためて原発依存をやめるという立場にたっていただきたいと思うのでお答えください。

○井戸知事再答弁:
 まずこども病院にでございますが、管理者から申し上げましたように、いろんな諸要因を検討した結果、とくにハイリスク患者や、引き続き入院を要する者の看護ということを考えましたときに、総合病院、とくに大きな力のある総合病院とタイアップすることがのぞましいということから、ポートアイランドの市立中央病院の横に立地を決めたものでございます。安全性の確認をし、それに対する備えをするのは当然のことであります。当然のことを県民に確認をするということまではもう必要ないのではないかとこのように考えております。
 それから太陽光パネルの整備について、補助制度をやめて低利融資に一本化したということでありますが、補助制度の趣旨は、私どもが整理したときは中古住宅について、改めて太陽光パネルを屋根に載せようとした場合に、新築住宅と比べて20万円ほどの整備費の差がございました。その整備費の差を半分程度埋めようという意味で県独自の補助制度をつくったわけでありますが、さきほど答弁いたしましたように40万円ほど整備費が下がってきておりますので、そのような意味で補助をする根拠がいかがかということになりましたので、融資制度に一本化させていただいたものでございます。融資制度は使い勝手がいいということになりますのでそのような意味で、ぜひご理解をいただいて活用いただきたいと思います。

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