安倍自公政権の補正予算をうけた1286億円の補正
私は、日本共産党県議団を代表し、議案第141号、2012年度兵庫県補正予算案について反対し、討論を行います。
今回提案された県の補正予算案は、総額で1,286億円、内、基金積み増し分も合わせると、96%が公共事業関連です。
これは、安倍自公政権が、デフレ不況から脱却するとして、金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢として打ち出し、編成された総額13兆円もの国の補正予算を受けたものです。これで本当に経済の再生ができるのでしょうか。
今日のデフレ不況の最大の要因は、労働者の賃金が抑えられ、社会保障が削減さてきたため、家計の消費が落ち込んでいることに有ります。
貧困と格差が拡大し、国民の所得が落ち込んだままでは、いくら公共事業だけを行って、一部のところが一時的に潤ったとしても、国民全体の消費拡大、内需拡大にはつながりません。ものが売れなければ企業の設備投資、生産拡大にも結びつかず、金融緩和の効果も上がりません。
また、消費税増税が、来年4月実施されるようなことになれば、更に、急速に個人消費が落ち込み、深刻な経済不況に陥ることは、多くの専門家から指摘され、過去の自民党政権の下で経験したことです。
政府は、今回の補正予算13兆円と、来年度予算92兆円を合わせ、15ヶ月予算として100兆円を超える大規模な予算編成を決定しました。
ところが、その財源は、約半分、50兆円を超える国債の発行、借金です。県は、今回の補正予算で県の負担は無いというものの、近い将来、国の財政破綻はいっそう深刻になり、そのツケは結局、国民、県民にしわ寄せされることになります。
また、今回の県の起債は交付税措置がされるといいますが、国は、地方交付税を来年度4千億円も削減する方針を示しており、将来に亘って、財源が保障されるとは限りません。
こうした点について、午前の質疑でもわが党・杉本議員が指摘し、公共事業だけでなく、予算を福祉や中小企業支援など幅広く活用するよう提案したところですが、県にその姿勢は、見られません。
わが党も、勿論、生活密着型の公共事業は必要と考えますが、将来の経済再生への見通しのない、また、財政破綻によるツケを国民に押し付ける事になる、今回の予算編成の基本的なあり方に反対であります。
高規格道路や基幹農道、公園事業などに反対
次に具体的な事業の問題について述べます。
まず、道路整備事業で、「一般国道178号、浜坂道路」は、瀬間大橋上部や久谷地区等における土工工事など来年度・実施予定の工事を前倒しして行うものです。現在の国道178号の事情からバイパス等の整備は必要と考えますが、高規格道路として整備し、わずか4分の時間短縮のために、9キロの浜坂道路全体で、総事業費245億円の巨費を投じて建設することは、費用対効果という点から認められません。
また、「主要地方道・加古川小野線・東播磨南北道路」の事業については、土工工事や舗装など来年度・予定事業を前倒しして行おうとするものです。この事業についても、歩行者や自転車なども利用可能な、一般道形式のバイパス方式で整備することなどの提案も行い、1期分だけで660億円も費やし、約6キロの自動車専用の高規格道路を建設することには、反対してきたところです。
基幹農道整備事業では、宍粟市「蔦沢(つたざわ)菅野(かんの)」地区に延長1830メートルの谷筋を結ぶ農道整備が計上されています。総事業費が19億5500万円、内・県負担は、全体で約7億円です。この道路は、JAライスセンターや大豆乾燥施設への利用などの際、市街地の渋滞を避け、時間短縮できるとの説明です。しかし、最も短縮される場合でも、6キロ弱の距離が2キロに短縮されるだけです。しかも、利用時期は、収穫期などに限られており、1日の計画交通量もわずか940台です。当初から税金の無駄遣いとして住民の批判が強く、民主党政権の事業仕わけで、無駄な事業として国庫補助のトンネル部分がストップしていました。今回、県が要望し、復活したもので、認めることはできません。
次に、都市公園整備事業として、「あわじ石の寝屋緑地」と、「尼崎の森中央緑地」の用地買収と園路整備に33億2600万円が計上されています。しかし、公園の用地買収については、今回の緊急経済対策ということからみて相応しくないものです。
特に、「あわじ石の寝屋緑地」については、かつて淡路島全域6万haを対象とした淡路島リゾート構想のプロジェクトの1つ「石の寝屋ヴィスタパーク」として計画されたものの、構想全体が破たんしたため、県土地開発公社が先行取得していた土地を県が順次買戻し、公園として整備するものです。周辺には広大な国定公園があり、豊かな自然の中に、多額の税金をつぎ込んで、これ以上、公園を整備する必要はないと考えます。
今回の補正予算の中で、明石駅前南地区の市街地再開発事業に対する補助金が計上されています。国庫補助事業として「再開発組合」が施工するものです。しかし、総事業費255億円の内、明石市の負担額が、保留床購入と補助金を合わせて93億円にものぼり、あまりにも大きな財政負担に、市民の中から反対や疑問の声が多く出され、議論が充分つくされた状況ではありません。住民合意のない再開発事業を推進することには賛成できません。
以上で、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ご清聴有難うございました。
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