県職員の退職手当の削減について
私は、日本共産党を代表し、本日上程された、議案第139号「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」について反対し、討論を行います。
本条例案は、国家公務員の退職手当の支給水準の引き下げ措置にあわせて、県職員の退職手当の引き下げを行おうとするものです。
今回の措置により、退職手当の調整率は、2年間の経過措置をへて段階的に17ポイントも引き下げられ、平均削減額は、一般行政職で約400万円、教育職で440万円にものぼります。職員の給与は、連続して引き下げられているうえ、行革による独自カットが続けられています。そこにさらに400万円もの退職手当削減は、職員・教職員とその家族の生活を大幅に狂わせます。大震災による住宅ローンなどをかかえた職員も多い中、将来設計におおきな影響を与えるものです。
しかも、臨時任用の教員が1年ごとに受け取るわずか0.6ヶ月の退職金に対しても引き下げた調整率が適用され、13%もの削減が行われます。本来は正規職員とされるべきところ、県財政の都合で臨時任用の繰り返しを強いられている臨時教職員に対し、追い討ちをかけるこの措置は、官製ワーキングプアをいっそう広げるものにほかなりません。
開会日の討論でものべましたが、職員の給与や手当の削減は、職員と家族のくらしへの影響にとどまらず、住民の福祉やくらしを守る公務労働の質の維持に関わる問題です。また、勤労者世帯の年収が、ピーク時から平均で102万円も減り、消費が落ち込んでいるときに、さらに所得を減らすことは、デフレ不況と地域経済の落ち込みをいっそう深刻にするばかりです。
今回の退職手当引き下げは、労働者である職員・教職員の理解と納得を得たものではありません。県は「理解してもらっている」といいますが、合意にいたっていない労働組合が複数あります。労働基本権が著しく制限されている県職員の不利益変更を、協議も合意も不十分なまま強行することは許されません。
加えて、削減の実施が2013年3月1日、2014年1月1日、2015年1月1日と段階的に行われることも、特に学期の最後を区切りに退職することが多い教職員の間に大きな矛盾と混乱をもたらしています。たとえば、来年2月末までに60歳になる教員が、2月28日に定年退職する場合と3学期末である3月31日に定年退職する場合では、160万円も受け取る額に差が生じます。賃金を計算に入れても、最後まで勤める方が収入が減ることになるのです。私たちのところには、「このままでは、2月末には退職しなければ大きな減額になります。でも、担任をしていますのでその子たちをおいて年度途中で居なくなることはとても苦しく悩んでおります」との声が寄せられました。今回の改悪は、このようなむごい選択を迫ることにもなるのです。
県職員のくらしと県経済にとってこれだけ影響の大きい議案を、閉会日に提案しすぐに採決するのは、たいへん乱暴なやり方といわなければなりません。
以上の理由から本議案に反対です。 |