私は、日本共産党県会議員団を代表し、意見書案第30号「社会保障と税の一体改革に向けた適切な対応を求める意見書」に対して、反対する立場から討論を行います。
自民・民主・公明の3党合意により、本年8月10日、社会保障と税の一体改革関連法が強行されました。本意見書案は、この社会保障と税の一体改革を進めるにあたって、地方とも連携してすすめることや、低所得者の負担軽減の対策などを求めるものですが、わが党は、そもそも社会保障と税の一体改革そのものに反対です。共同通信が増税法成立後に実施した調査でも、「反対」が56.1%、「賛成」が42.2%となっており、国民は消費税増税に強く反対しています。毎日新聞の世論調査でも、92%が「増税が暮らしに影響する」と答えているように、消費税率10%への大増税が、暮らしと経済に大打撃を与えることは、誰の目にも明らかであり、多くの国民が不安と怒りを強めています。経済が悪くなれば、税収は減収し、財政再建もできません。増税推進の各党が、いっせいに巨額の公共事業バラマキ計画をたてていることにも、批判の声が高まっています。
また本来、社会保障とは「人間らしく生きる権利(生存権)」を実現するための国家による保障でありますが、このたびの社会保障改革推進法は、自助・自立を社会保障の原則とし、国と地方の責任を棚上げにする、社会保障の理念を根本から変えてしまうものです。日本国憲法第25条は1つに、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、2つに、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと規定しています。今回つくられた社会保障改革推進法は、日本国憲法に背くものです。
2012年度「経済財政白書」では、大企業優遇の「減税政策による税収の減少」が財政悪化要因の一つであるとして、2009年度の減収額を1980年比で15兆円と試算しています。これは消費税増税分の13兆5000億円を上回る金額です。大企業や高額所得者を優遇する減税を元に戻せば、消費税増税は必要ありません。
所得の低い人ほど、負担が重くなる消費税は、所得の再分配機能を壊す最たるものです。消費税を増税するのでなく、260兆円を超える巨額の内部留保金をため込んでいる大企業や富裕層への減税をやめて、応分の負担を求める税制改革と、国民の所得を増やす経済改革で、社会保障を充実し、財政再建ができる新しい道を日本共産党は提案しています。
本意見書案は、国民の暮らしも経済も財政もさらに悪くする「社会保障と税の一体改革」をすすめることを前提としていることから、わが党は反対です。
また、政務調査会長会で、わが党は、意見書に対する反対意見をきちんと述べ、繰り返し全会派一致の原則を守ることを要請したにもかかわらず、本意見書案を自民、民主、公明の3党が合意して、本会議に上程しました。先の6月議会に続いて今議会でも、全会派一致の原則を踏みにじり、日本共産党を除いて強行することは断じて認められません。政務調査会長会の全会派一致の原則は、長年にわたって兵庫県議会の慣例として行われ、平成9年8月の県議会政務調査会では、文書で確認され、また、平成19年6月15日の議会運営委員会においても「意見書・決議は、議会としての機関意思を対外的に表明するものであるため、最大限の重みを保持するよう、全会派一致によって議案を提出することが全国的にも先例となっており、兵庫県議会もこれを基本とする」と確認されています。
議会自らが決めたルールを踏みにじることは、意見や主張が違う会派間の調整をするという政務調査会長会の役割を、自ら否定することになります。先の6月議会でも、このようなルール無視の運営について厳しく抗議したにもかかわらず、例外的としょうして繰返されていることは、議会改革をすすめる兵庫県議会としても、極めて遺憾であると考えます。改めて全会派一致の原則を守ることを求め、私の討論を終わります。
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